第四話『第100回の全国図書館大会と中小レポート50年』

お久しぶりです。最近は近年毎年のことですが新任職員研修の講師をやったり、システム更新の準備にあたふたしたり、極々最近では、なんか色々と脆弱性が見つかったやつへの対応やら、何やらで、現実逃避したくなる日々です。
また、3月・4月は人事異動の季節ということで、長年一緒だった人が異動となり、タモロスならぬ「○○さんロス」って感じです。

さて、自分でも忘れかけていたブログの続きです。
昨年は『中小都市における公共図書館の運営』、いわゆる中小レポートが出されて50年でしたね。
で、今年は全国図書館大会がなんと第100回でもあり、ついでに1954年に図書館の自由に関する宣言が採択されてから60年ということで、記念行事一色…というわけではないのか…笑
本当なら、『新・中小レポート』とか、『図書館の自由に関する宣言・改』とか、検討されても良いとは思っていますが…なさそうですね。

50年、60年という歳月は、書くとそうでもないのですが、よく考えてみれば、1963年当時に図書館で働いていた人は図書館の仕事から離れている人がほとんでしょうし、当時とは社会情勢や情報量なども異なります。
それでも、色々出された(例えば「Lプラン21」とか)ものに比べて、なんとまぁ、息の長いものかと思います。(何もLプラン21が既に無意味とは言っていないですよ。)
「図書館は成長する有機体である」と言われているにも関わらず、今も変わらずというのは、

1.図書館の本質は変わらないので、変える必要が全くない
2.聖域化してしまい、手を加えようと思う司書がいなくなった
3.改訂版を作りたいと思っても、本業に追われ作る時間がない

のいずれかなのかなぁと思っています。

最初は「社会情勢は変わっても中小レポートの目標を達成できない図書館が多い」のかなぁと思ったりもしましたが、物価の違い、雇用の違いなどに目をつぶれば(つぶっちゃだめだろう…笑)、およその図書館がクリアしているし、当時よりしっかり運営できているように思えます。
でも、所々の館で満たしていない(雑誌50誌とか新聞保存期限とか…細々としたものは多々)館があるので、ある意味面白いです。(物価換算するとどうなのでしょう?平均単価を457円だから、約4倍必要?)

それにしても、休館日は日曜日が望ましいとか、開館時間は少なくとも午後1時より6時までとか、今読み返すと、逆にとても新鮮だったりします。

なので、「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」の話でも書いたような気がしますが、やはり数値目標的なものは必要だと思います。
数値目標がない理由としては、その数値以上のことをしなくなるというのが最大の理由なのだと思われますが、中小レポートを改めて読み直すと、「ちゃんと超えている部分も多いじゃん」って思いました。(当たり前といえば当たり前ですが)
そのため、最低限の数値、平均的な数値、望ましい数値の3段階方式で目標があると良いなぁと切に願います。
そうすることによって、最低限の保障はされ、平均的な数値に近くなると思いますが。

まず、中小レポートの焼き直しをしたものを作成し、人口比率または歳入比率の数値目標を掲げ、最低限の数値に満たない自治体名を挙げることによって、首長の目を向けさせないと、理想論や机上の空論にしかならないよなぁ…と思う今日この頃です。
ほとんど、全ての館が最低限数値をクリアした頃、改訂して、数値目標を少しずつ上げていけば、問題ないような気がしていますが…
(そういや、光を注ぐ交付金でちゃんと注がれなかった(一応、図書費にしたものの、その分通常予算からカットするなど)自治体名の公表はどうなった??)

話は変わって、全国図書館大会、今年は100回目ですねぇ…
日図協の大会年表を見てみますと、参加者数が出ています。
1956年に横浜で開催された時から、参加者数は1000人を超えている!
が、なんか数字がおかしい…
所々、何十何人単位までカウントされているのに、時々2000人ジャストとか…あり得ない…
まぁ、もちろん、色々な行事イベントの参加者人数はおよそ何人とどうやって計測したのかわからないけど、そんなもんかという数値になっていますから、そんなことに目くじら立てる必要もないですね。

なので、そんなことを言いたいのではなく、およその数だとしても、1956年に1000人は良いとして、平成22年も1000人?(せっかくだから1300人とかになると良いのに…と冗談でも言いたくなるのですが…)
図書館はまがりなりにも増えていて、公立図書館は今や3000を超える館があり、専任職員は1万人を超えています。
単純計算だと、3館に1人とか専任職員10人に1人という状況。ただ、実際には公立図書館だけではありませんから、ぐぐっと割合は減ります。
1000人代の参加者ということは、おそらく会場のキャパシティの関係もあるのでしょう。

となると、図書館職員である間に、どれだけの人が参加しているかという疑問も出てきます。
私の職場では分館の職員を合わせても、たぶん私が1回参加したというのが最大です。
(県外出張はまず予算がないですし、自費だとしても、2日連続などは休めないですし…)

全国各地で開催されているため、毎年参加している人とか、本業をどうやって遣り繰りできているのだろうと思っています。でも、うちみたいな小さなところでなければ、やれるのかなぁとも思いますが。

私の置かれている状況と違う状況はあまり想像できませんが、このご時世、全国へ行ける出張費が付くのも珍しいと思いますし、自費で参加している人の話もよく聞きます。
それなら、100回記念大会は、メインをそのまま東京で良いとしても、サテライト会場として各県立図書館等を結んで開催するのも面白いんじゃないかなぁ…と。
各県立図書館くらいであれば、出張費も出るでしょうし、分科会に出て現場に戻るというのも可能でしょうし。

どちらにしても、可能であれば、参加者の内訳や過去の参加回数などのアンケート調査もしてもらえると、良いかな?と思っています。(最高は何回出席なんだろう??)

最後に、「図書館の自由に関する宣言」に絡んで。
以前もどこかで書きましたように、私はこれは理想論でしかないと思っていますし、過去に書いたものとまだ考えは変わっていません。

ただ、無料で全ての情報が手に入れられるかというと、少なくない図書館で、県外からの取り寄せは送料負担でお願いしますとされているようですし、『はだしのゲン』や『BL本の問題』でも毎度のことながら問題提起がされていますし、実際に私の館でも、別の資料ですが「こんな資料が図書館にあるのはまずいのではないか(例えば「子どもたちが見たら云々」とか「税金でこんなもの買うなんて云々」など)」とクレームが出て、びしっと言い返しても、結局収集が付かず、上司が折れるなどでモヤモヤがおさまらない事があります。(「収集の自由」や「提供の自由」に関して)

また、『アンネの日記事件』に見られる状況も、「提供の自由」と「利用者の秘密を守る」の狭間で、揺れ動いた図書館も多くあったと思われます。
(書庫に入れるかカウンター付近に別置か、はたまた監視カメラでも設置しようか…と。)
あれだけ、大騒ぎして、結局その後の続報はないのもモヤモヤしますが、これに限らず、資料を破損させようとする悪意のある利用者から資料を守るにはどうすれば良いのかと考えさせられました。

もちろん妙案があるのであれば、そんなに全国的に資料の切り抜き被害とかはなくなるでしょうが。

それにしても、「図書館の自由に関する宣言」について「業界の一団体の宣言なんでしょ?」という一般の(多くは行政の)方々の発言にうまい反論が見つけられない日々でもあります。(必ずしも、図書館職員だからって入会しているわけでもないですしね…ついでに言っちゃなんですが、施設会員の負担金の予算取りの説明にも苦労しています。)

さ、GWもあと2日、頑張って仕事しよう…!

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第三話『さらば、われわれの館。』

(前回から)
「民間力を利用して」が本当の意味で機能するように、利用させていただいている民間力にあぐらをかかずに、本質を追究して、精進しないといけないんじゃないかなぁと。

ということで、3つ目の話題。
『さらば、われわれの館。』

みなさんもとっくにご存知でしょうが、個人の管理人さんが運営していた図書館司書の求人の場『われわれの館』が閉鎖、いや閉館してしまいましたね。
私自身、一応、片田舎の図書館の正職員をさせていただいているのですが、今の図書館業界に入る時も、実はつい最近まで、利用していたので、衝撃は大きかったです。(こちらが求人する方でなく、私自身がされる方としてですよ、念のため。)
13年間でしたっけ、管理人様、本当にお疲れさまでした。

さてさて、利用はよくしていたけど、実は仕組みはわかっていないんですよね。
掲示板のように、契約社員とか募集する人が登録するのは良いのですが、よく全国の情報が収集されているなぁと。

確かに、検索システムは格段に便利なりましたし、必要な情報を収集し、まとめて、発信するのが今の図書館職員が必要とするスキルの1つなのですから、「自分の司書採用の情報も探せないで、何が司書志望か」と言われちゃおしまいなんでしょうけど、まだ、そのノウハウがわからない人も多い現実もあります。
その辺のノウハウでもまとまっているといいなぁと。
ツイッターのハッシュタグ使った方法も提案され、個人的には、わかりやすいし、ハッシュタグの中に生き続けるという意味では、素敵だなぁと思っています。

現在臨時職員で働いていて、正職員を目指している人と以前話をしましたが、検索の仕方が「司書採用」「司書採用 (自治体名)」「司書採用 (採用年度)」「司書採用 (自治体名) (採用年度)」「採用試験 司書 (採用年度)」(カッコ書きは希望する場所・年度を具体的に入れる)という検索の仕方をして、TRCの求人情報を見て終わりなんだそうです。 
ツイッターはやっていないようですし、RSS云々もわからなかったようで、私としては「う~ん」でした。
SNSの利用者数が急増しているニュースはここ数年ありますが、この例を見ても、「若いからといってみんなが使っているわけでないんだねぇ」と思った例でもありました。

もちろん、司書採用の情報は日図協でも出ています。(前述の人は知らなかった。知らなさすぎ?)
でも、われわれの館にあって、日図協の採用情報にないものはたくさんあります。(もう、われわれの館がないので、「ありました」ですか。)
1人の管理人さんに出来て、業界の主団体の1つにできないって、どう考えてもおかしいですよね。

まぁ、おそらく、「情報をお寄せください」とありますから、率先して探しに行っていないでしょうし、採用する側も、地元の人を前提に考えているので、もし万が一、日図協が「載せませんか」と依頼していたとしても、「試験会場広くないし…」と思われているかもしれませんが。
そもそも、そういうページがあることすら、各自治体の人事担当者は知らないでしょうけど。
逆に人事担当に、「図書館の運営には司書が望ましい云々」という話も含めて、「司書採用のご予定がありましたが、ご一報ください」という連絡をいれておくと良いでしょう。
また、自治体のメリットとして、受験のための前泊で地域にお金が落ちるかもしれないし、全国から優秀な司書の卵が受験するかもしれないというのも記述しておくと、司書採用増えるかも?
1人採用に100人受験というのもありますし。

日図協さんは、司書採用に関してはどう考えているのでしょうか…増やしていきたいのか、各自治体に任せるだけなのか…
図書館の数が増えたから、会員数が急激に伸びている…って話は聞きませんから、もちろん、日図協の方針が気に入らないとか、会費分のメリットがないとか、そういう諸事情もあるかもしれませんけど、非正規職員が多ければ会費も負担になるでしょうし、正職員採用が増えれば、少しは…と、考えるのは変でしょうか。
学校の進路指導教員のように、採用枠を新規開拓していく気持ちはどのくらいあるんでしょうかね。

もし、図書館運営に司書資格が必須であれば、人数の増減があるにしても、コンスタントに図書館のある自治体で採用がされることになります。
有することが望ましいレベルでは、ゼネラリストを育てようとする気持ちが大きい自治体では、根拠法がないから司書採用すらありません。
図書館法にその一文を入れるのがどれだけ難しいことなのか、わからなくもないですが、それをどうにかしようとするのが日図協なんじゃないかと、思っている私は勘違いですかね。

本来なら望ましい基準にあるように、司書資格を有する常勤の職員が運営していくことがベストですが、長らく司書採用はかなりの狭き門でしたし、これからもより一層狭き門でしょう。
その間の新卒司書採用希望者の受け皿として、窓口委託や指定管理受託業者があったわけで、非正規職員の不安定雇用を企業側の問題としないで、そもそも業界側の問題だと思っていかないといけないでしょう。
司書採用枠の拡大のために、業界のメイン団体の1つとしての日図協の取り組みを見せてほしいものです。
業界団体の戯言と揶揄される前に…せっかく、色んな意味で区切りなのだしね。

ということで、次回『次は第100回の全国図書館大会と中小レポート50年』に続く。

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第二話『雑誌スポンサー制度(雑誌オーナー制度)のデメリット?』

(前回から)
結局、現状だと基準はないので、職員は削られ、資料費は減らされる一方なんですが、サービスの低下は許されなさそう(ただの言い訳になりそう)なので、そういう点で苦労している図書館職員も多いだろうな。

ということで、2つ目の話題。
『雑誌スポンサー制度(雑誌オーナー制度)のデメリット?』

財政難の昨今、図書館の中で削られるやり玉に挙がるのが、雑誌費と雑誌です。
雑誌は一部の館を除いて、数年保存される消耗品的な扱いですし、分館がある自治体だと、「同じ雑誌があるんなら削れるよね?」と、そういう面でも狙われやすいため、予算確保のための説得に奔走する図書館職員といった状況も例年通りです。
さて、ここ数年で雑誌スポンサー制度を導入している館も増えているのですが、その仕組みはだいたいこんな感じですかね。

1.図書館または外部団体(NPOとか)が、図書館で収集している雑誌のスポンサー企業を探す。
2.スポンサー企業と書店等と関係する契約書を結ぶ。
3.スポンサー企業は雑誌のリストから、広告を載せたい雑誌を選び、書店等に雑誌の年間購読料を支払う。
4.書店は通常通り、雑誌を図書館に納入する。
5.図書館は雑誌新刊のカバーに該当企業の広告を貼りつける。
もちろん、自治体の広告に関する要綱とか、審査があればそういうのも入ってきますが、およそこんな感じですね。

図書館は企業からスポンサーになってもらうために、雑誌を増やせるし、スポンサー企業も公共の場に広告を出せるとともに、地域住民に社会貢献をアピールしつつ、雑誌ジャンルによっては広告ターゲットも絞れる…
つまり、図書館にとってもスポンサー企業にとっても、いわゆるWinWinなことです…と、なっているらしいです。

ええ、そんなことなら、「いっそ図書資料費も出してもらっちゃえ」という方向に進みそうなんですが、メリットばかり強調されて、デメリットが言及されていないのは落とし穴なんじゃないかと、ひねくれている私は感じます。

デメリットを考える前にもう少し現状を見てみると…
雑誌スポンサー制度を始めた当初はスポンサーが付きやすいが、継続してスポンサーになってくれないことがあるのと、そもそもスポンサーがほとんど付かない場合があることが、現状における課題のような表記がされています。
その一方で、雑誌スポンサー制度が好評といった記事も散見しています。
また、広告のサイズは表面が小さめで、裏面は全面といった感じが多いでしょうか。

この雑誌スポンサー制度は、確かに機能すれば良さそうですが、スポンサーは永続的に付いてくれるものではなく、広告効果が見られない場合などは、企業ですからすぐに撤退されてしまいます。
そうすると、一気に収集雑誌が削減されてしまうことになります。
確かに、財政難で削られてしまうだろう分を賄うために、スポンサー集めに職員が奔走するのですが、頑張れば頑張るほど撤退された時の影響が大きいはずです。
また、「どうせ削られる運命だった雑誌だろ?」という反論もちらほら聞きますが、そこがちょっと微妙なんですよね。

基本的に、図書館は雑誌は継続的に収集しています。「その雑誌の収集を止める時は、その雑誌が休廃刊したときだ」的に。
なので、スポンサーが付いたら収集して付かなかったら購入中止というのはできるだけ避けたいわけです。
でも、スポンサー側も関連する雑誌のスポンサーになることもあれば、できるだけ手に取られる雑誌のスポンサーになりたいのは人情ですから、図書館側があまりコントロールはできません。

そのため、スポンサーが付いた雑誌が図書館として継続して収集したいものであれば、スポンサーが付かなくなった時点で、別の雑誌を切ることになります。
(これがなかなか手間なんです。読まれていないだろうな、と貸出数を見て予算減のためカットした雑誌に限って、「来館して見ていたのに」とクレームが来ますし。)

雑誌の年額も月刊誌・週刊誌の違いに限らず、大きく異なりますから、金額が大きい雑誌のスポンサーを降りられると、数誌削減する候補を選ばないといけなくなります。
だからといって、予算削減されて削られた雑誌の中からというのも欠号だらけになるでしょうし…

スポンサーが付かなくなったら、その分の予算が少しは戻るかと言えば、戻らない方に賭けた方が確率高いでしょうね。

また、もし、この雑誌スポンサー制度が企業側にとってどのくらいメリットになるかというと…もし、私が企業側なら出さないかも。
裏面の全面広告はおそらく見られないだろうし、利用者にとって、見たいのは雑誌の表紙ではなく中身だろうし、せっかく自分がスポンサーになってお金を払っているのに、バックナンバーには広告載せられない場合が多いし、そもそも、図書館を利用していない人の方が多いらしいし…と。
もちろん、市役所や図書館に恩を売っておきたいとか、別な思惑があれば別ですけどね。

もし、とてもメリットがあるのであれば、「雑誌スポンサー制度って図書館でやっていませんか?」って問い合わせが先に企業側からあっても良いわけですし。
それに、都市部はともかく、地方の方で雑誌スポンサーになった団体等を聞いてみると、義理と人情でといった寄付金的な要素が大きい感じもしています。

「45誌収集して予算が付いている館がプラスアルファとして5誌雑誌スポンサーが付けるという話」と「50誌収集している館が雑誌スポンサーを5誌付くことになったので、45誌分の予算を付けるという話」は違うだろうなと。

民間の力を利用してと言えば聞こえは良いですが、要は、経費を削減するために、最小限の手間で、企業からお金を出してもらおうというだけになっている感じも否めません。
市民との協働云々も、要は、人件費を削減するために、ただで使える労力を得ようというのが前提となっているのと同じようなものですかね。

本来は、企業側が雑誌スポンサーになることがステイタスと感じるような図書館、市民がボランティアでも良いから参加したい図書館を作っていかなきゃいけないはずなんですけどね…

「民間力を利用して」が本当の意味で機能するように、利用させていただいている民間力にあぐらをかかずに、本質を追究して、精進しないといけないんじゃないかなぁと。

ということで、3つ目の話題。
『さらば、われわれの館。』に続く。

少し追記:
何も民間からお金を支援してもらうがだめとは言っていませんよ。
そういや、『ネット活用 運営資金を募る 海士町立中央図書館』(http://www.sanin-chuo.co.jp/news/modules/news/article.php?storyid=542829006)って記事も最近ありましたし、図書館の資金調達は最近色々と話題になっていますし。
ただ、資金調達ありきや、他人の懐を当てにしすぎて、かつ二番煎じ、三番煎じだったり、上辺だけの取り繕いでは、結局は一時的な効果しかないのではないか、ということです。

今回は触れませんでしたが、相手は企業ですから、交渉のプロがいると図書館職員なんか太刀打ちできません。
スポンサー費用を餌に、少しずつ相手の要求が拡大したり(例えば、「イベント広告を置かせてくれ」とか、「この雑誌を収集リストに加えてくれ」とか、「販売スペースを出させてくれ」とか…だから、個人スポンサーは募集していないのかもしれませんけど。)、広告審査は通ったけど、その先で利用者とトラブったりもあるかもしれません。

よくリンクでは外部サイトで、自己責任の旨の記述がありますが、利用者が民間療法的な本を読んで「図書館にある本だから信じていたのに云々」と言われるケースもあると考えると、きっとそういうトラブルも出てくるかなぁと。

もっとも、利用者のニーズの拡大に財政がついていかないというのがそもそも問題で、目標は上を目指せとは言っても、上限もなければ下限も結局ないわけで、負のスパイラルに突入している感じもします。
おそらく、どこも財政難なのですから、資料は全部寄贈かスポンサー、職員はボランティア、システムはスタッフの持ち出しPC+フリーソフト、運営費は募金という図書館だって現れるでしょう。似たような図書館はすでにいくつかあるようですが。

図書館のない地域ではそれでも嬉しい図書館ですし、その館が取り上げられればマネしようとするところも出てきます。
図書館は金ばかりかかる所だと財政当局に思われている館は。

結局は、個々の善意が逆に首を絞めることになるのかなぁと。
(そういや、以前、やなせたかしさんが無料で仕事を引き受けていたことを吉田戦車さんが指摘していた話がありましたよね。それと同じで、自治体的には『お金をかけない=税金の無駄遣いにならない』という考えがあるわけで、それはもっともだけど、今回の話はその甘えと同じような理論になるのかな、と。)
(話の内容は異なるけど、図書館で有名どころの講師を呼んで、参加者に好評を得ていたけど、謝金は真っ先に削減されますので、予算が付かなくなり、破格値でやってくれる方もおられますが、それを下回る予算って…誰も呼べないじゃん、近い将来、謝金0になって、職員かボランティアでやることになるんだろうな…)

ではでは☆

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第一話『「図書館の望ましい基準」と「金太郎飴」』

(注:5つの話題をまとめて書いたら、あまりにも(×2)長くなったので、1つずつに分けました。1日1つずつUPされます。)

今年もあっという間に残り1カ月を切りましたが、みなさまはいかがお過ごしでしょうか?
このブログもいつもながら久々になってしまい、自分でももどかしい限りです。
まぁ、前から自分に行動力は足りないとは思っていますけど。

ようやく例年のブックトーク月間が過ぎ、束の間のひとときだったりするんですが、そういや、他の図書館ってどのようにブックトークやっているのかなぁ…なんて思いました。
学年集会のような形式でやる場合もあれば、各クラスでやる形式も多いでしょう。
職員一人出かけてやったり、ボランティアと協働して開催したり、複数職員でやることもあるでしょう。

先日ある館の職員に聞いたら、学年固定で複数職員で行くから1日1クラスって話を聞いて、いいなぁ…と思いました。
というのも、私の場合は、依頼される学年は学校によって異なりますが、全学年ですし、1日で同じ学年ですが、クラス単位実施のため、同じプログラムを1日数回やるので、個人的には大変だなぁと感じています。
(それも月に6プログラム以上作らないといけなく(違う学校の同じ学年ってのもあるので)、今日は○○小△年で明日は□□小☆年という形でやっていますし、それぞれ貸出しちゃうので、使い回しが効かないんです。)
もちろん、例えば1日で1クラスずつ全学年やるとか、そういうのがあれば大変だろうなぁと思いますが。

たぶん、児童畑でやっている児童担当であれば、そんなこともないのでしょうけど、私はそうじゃないので苦労するのだろうな、きっと。
1小中学校につき1職員っていう図書館職員体制ではないわけだし、図書館によってかなり違うなぁと感じる日々です。

ということで、1つ目の話題。
『「図書館の望ましい基準」と「金太郎飴」』(ちなみに『金太郎飴』って登録商標なんですよね。)

さて、夏頃でしたか、『公共図書館は「金太郎飴」であるべきか』(http://www.yomiuri.co.jp/job/biz/columnculture/20130718-OYT8T00851.htm)という記事がありましたね。
民間委託・指定管理者の事例代表としてTSUTAYA図書館があげられるのはどうかなぁと思ったのと、そもそも「直営=金太郎飴」「民営=個性」という視点でしか書かれていないことに違和感を感じました。

公共図書館は開かれた私立図書館も含まれるので、地方自治体の公立図書館だけではないですし、個性は民営化してなくても独自性の高い公立図書館もあるのですけど…
また、「すべてを民営化」とありますが、cccは指定管理者であって、設置から全てではないんですよね。
民間が最初から設置して、周辺住民に自由に利用させている図書館ってどのくらいあるのでしょうかね。

それはさておき、何をもって金太郎飴と表現しているのか、中の人の私としてはわかりかねる部分です。
前述のブックトークだって、図書館職員が担っている館もあれば、ボランティア団体がやっている館もあるし、学校図書館の職員が…とか、そもそもブックトークって学校でやっていないというとこもあります。
貸出・返却・レファレンス・おはなし会…まぁ、その辺はサービスとしては同じようなことをしていますが、いかんせん、蔵書も違うし、規模も違うし、職員体制だって違うのだから、違うでしょう。
飲食店が併設している館もあるし、地域書店と連携すれば、「この本良かったので欲しいのですが」という要望にも対応可能です。
もちろん、直営館は公の機関ですから、民間とは違う、制限される部分もたくさんあります。

いくらAmazonが安いからといって、地域の商店を差し置くと必ずクレームが出てきますし、記事中にあるように収集や対象を特化したような資料収集も市町村立レベルだと難しいですよね。

私は、図書館の中の人間ですから、館ごとの差を感じているので、金太郎飴的ではなく感じている一方で、記事中にあるように『全国どこでも、ある程度の本がそろっているということが絶対に必要で、金太郎飴でなければならない部分もある』というのに賛成です。
最低限の基準をクリアしてこそ、個性の出し甲斐があると思うんですけどね…
金太郎飴に例えると、金太郎飴○○味って感じで。

では、最低限の基準はどうなっているかといえば、前も書いたような気がしますが、数値目標はないんですよね。その理由を探して見つけた資料『全国公共図書館研究集会報告書(平成24年度)』のP34の後ろの方(http://www.jla.or.jp/Portals/0/data/bukai/public/shiga.pdf)に『ただ、国がそういう数値を挙げるのは、今の時代の政治経済行政原理である規制緩和に反する、これが唯一の反論で、だから挙げられない』ということで、数値目標がないらしいです。
数値目標があると、それをクリアすれば良いだけになって、発展性がなくなる的な意味合いもあるようなのですが、今の地方自治体で、「図書館の独自の数値目標を掲げて、貸出し密度上位10%、各人口段階別の図書館設置団体のうちの上位の10%の中に入れるように頑張ろう」という自治体はどれほどあるのでしょうか?

確かに、人口比率ではなく、財政状況にも左右される面はあると思いますから、数値目標の出し方は苦労しますが、せめて高めに設定された最低基準をクリアできるぐらいはとしてもらわないと、図書館は迷走する…いや、すでにしているんじゃないかなぁと。
現に、「図書館の運営は司書資格がない職員でもいいんだよね?」と言われる状況も聞きますから、いくら望ましいと言っても、「そうだね、そうなればいいね、でも、法的根拠がないから、資料費も職員もカットね」と言われるのがオチでしょ。

なので、人口規模に合わせるのは、「図書館数」「図書館専有延床面積」「蔵書冊数」で、その自治体職員数の比率で「専任職員数」、図書館法で運営の司書資格必須にして、「図書館費」や「資料費」はその自治体歳入の○%とすれば、基準ができると思うんですけどね。
法的根拠なく「望ましい基準を目指せ」というよりは、ずっと良いと思っています。
それより、プラスアルファにどれだけできるかはその館の職員の努力とオリジナリティで、良いのではないかと。

結局、現状だと基準はないので、職員は削られ、資料費は減らされる一方なんですが、サービスの低下は許されなさそう(ただの言い訳になりそう)なので、そういう点で苦労している図書館職員も多いだろうな。

ということで、2つ目の話題。
『雑誌スポンサー制度(雑誌オーナー制度)のデメリット?』に続く。

少し追記:
およそ1980年以降の資料で一般流通…要はISBNがある資料という条件があるのですが、『県内にその館でしか所蔵がない資料』(「県内1冊資料」とでも呼びましょうか。)が、30万冊以上あるそうです。
「うわ~30万冊か…すごいなぁ、それだけ多様な図書が購入されているんだなぁ」と思ったら、実はその逆の話だったりします。笑
話によると、県内所蔵資料の1%、ISBNありタイトル数の2割ということで、そう考えると、所蔵がかぶる率の方が高いか…

図書館は利用者を思い浮かべながら選書している面もあるので、ベストセラー小説が貸出上位に来るなど、同じような貸出数率になっていることも少なからずあります。
そうすると、金太郎飴的ではありますよね。

でも、個々に見ると、図書館のサービスや質が地域よって大きく異なりますから、いくら相互貸借でカバーしようとしても、難しいのが実情ですね。

例えば、選書の専門性が必要か否かを理論や理想でなく、例えばTRCの新刊全点案内(要するに今週出る本的な選書アイテムですが)で、10個飛ばしで予算内の週の割合に合うように購入し続けて、貸出数が変わらないとかのデータが取れれば、面白いと思うんですけどねぇ…そんな大掛かりなのはできませんしね。笑

そういや、利用者リクエストで購入した資料が他にも利用される云々という話も以前読んだことがありますから、選書の専門性がどれくらい必要になるか…う~ん、今度ゆっくり考えてみよう。

ではでは☆

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図書館とポイント制度

武雄市の図書館がオープンしたようで、そっち方面に行くことがあったら寄ってみたいなぁと思っていますが、行く機会は皆無だからなぁ…まぁ、誰かがレポートしてくれるでしょう。
と思っていたら、ちょっと見つけたのが『全国的に話題の『武雄市図書館』に行ってみた。』(http://ekagen.net/archives/25486884.html)のエントリー。

ものすごくうるさいということで、まぁ、確かにオープンしないと(事前見学では)わからない部分です。

でも、カフェ併設している図書館はあるし、私が訪れた館は、一応複数階に分かれている館ですが、カフェ+雑誌コーナーということで多少違いはありますが、やはりそういうような音と香りはしていましたね…

他にも『図書館寄席』を開催してドッと笑い声があがる館もありましたし、公立直営の館でオープンスペースの講座を開催している館もあるし、BGMを流している館もあるので、「図書館=静か」ではない場合も多々あります。

その一方で昔ながらの図書館もあり、そのイメージでいる利用者も少なくないのはよくわかります。

私が以前いた館は、設計段階でコミュニティ機能をコンセプトとした設計だったため、階上の講座が廊下から見える感じの吹き抜けになっていたのですが、講座の声などが階下の図書館にも音が聞こえるため、「うるさい」という話が出ることがありました。

もちろん廊下でバカ騒ぎしているようであれば、注意もしますが、構造上どうにもなりませんし、コンセプトとその利用者の図書館イメージと異なっていたために出た話で理解してもらうまでが大変でした。

それとは逆に、別の館では比較的静かな館で、普通に図書館でお話会が開催されているのに、「お話会の声がうるさい」ということもありましたし、パソコンのキータッチや新聞の閲覧の音についても「うるさい」という声があがります。
「子供がうるさいので注意してくれ」ということで、騒いでいたら注意することもあるのですが、親がちゃんと「○○ちゃん、図書館で静かにしてね」と言っているそばで注意するのもどうかなぁ…ということで、子供にシーッのジェスチャーするだけのときもありますし。

図書館は不特定多数が来館する以上、図書館へのイメージは多種多様で、全員が納得するのはなかなか難しいところではありますね。
一番良いのはゾーニングなんでしょうが、色々細切れにするのはお金もかかるので、静かに読書したい人の部屋を別置すると良いですかねぇ?
無響室みたいな静音読書室を作ったら…逆に静かすぎていられないか??

話の感じからすると、非滞在型図書館と滞在型カフェがある図書館と解釈すれば、静かな図書館を期待している人は資料を借りるだけの図書館だし、カフェ風に使いたい人にとっては図書館付カフェということなのだから、良いのかなぁと思ったりします。

私がちょっと気になる点といえば、CD・DVDのレンタルが併設している点。
図書館にCD・DVDはないのかなぁ?と思ったら検索ではそうでもないようで、レンタルと競合しないものが置かれているのか、そうでもないのかがわかりませんでした。
レンタルの方がタイトル数はあるでしょうから、「図書館にないやつはレンタルで…」という流れになれば、それは儲けものでしょうけど、「図書館の視聴覚資料が少ない!」ってクレームになれば本末転倒だなぁと。
あと気になったのは、館内OPAC。併設のメリットを生かすなら、「これはセルで在庫あり、これはレンタル可、これは図書館在架中」という表示もありなんじゃないかと。Web-OPACでアマゾンで購入ボタンがあったような感じでさ。どうなっているんでしょう?

他にももちろん、色んな人がおっしゃっている指定管理までの経緯とか問題点とかあるのでしょうが、個人的には首長が一番の上司で、自治体の一機関としては公務員的に上司の指示に従う義務があるんだから、ある意味導入されちゃったんだから仕方ないことなのかも、と。

一番の問題点は個人情報の件なんでしょうけど、例えばGoogleで何気なく検索していたら、cookieを利用した広告が出てきて、年代、性別、住居地域がドンピシャで、検索語関連の広告も出ますし、アマゾンや楽天などの「これを買った人は云々」みたいな利用のされ方も今の時代ですからよくある話です。

また、SNSを利用しているせいで個人情報がダダ漏れということもありますし、アンケートや懸賞などで自分から開示している場合もあるし、街の防犯カメラなどまでひっくるめると、逆に個人情報がきちんと管理されている方が少ないような…

民間企業で社員や派遣社員やアルバイトが個人情報引き抜きって話も最近はよく聞きますし、図書館のシステムは絶対安全でスタッフはきちんとしている…ってわけでもないですしね…

そうなるとどこも誰も信用できなくなってしまいますね。

もちろん、CCCが万全な体制の企業かどうかというのは別問題で、図書館の立場的には問題ありなんでしょうけど、その企業を信用しないなら、いっそその図書館は使わないで、広域利用のできる館を使うとか、図書館は未登録者にも開放されているわけですから、登録せずに閲覧だけするでも良いのかなぁと思います。

まぁ、そんなことを書くと「それはおかしい」という意見をもらうのですが、全国津々浦々の図書館で全く同じサービスが受けられるかというとそうではないわけですから、その自治体の方針がたまたまそうなってしまったので、あきらめるか、次の首長や議員の選挙に反対票を入れるかするしかないのが現状だと思いますけどね。
個人情報関係の問題は、少し前にも図書館システムから漏洩した話もありましたしねぇ…
そういうベンダーが図書館システムをやっている館なので利用しないという考えも個人の考えですからありなわけですし。

それとは別に、Tポイントカードのポイントについても問題提起がされていますが、なんかたまたま話題が大きくなっただけで、問題なさげな感じもするんですけどね…

ということで、本題は、図書館でのポイント制度の話。
3月に社団法人日本書籍出版協会が出した質問状で、『著作権法第38条第4項に定められた、非営利無償の貸与の範囲を逸脱する』といった旨の質問状(http://www.jbpa.or.jp/pdf/documents/takeo20130304.pdf)を出しているのですが、これについては「?」。

参考までにその項は『4  公表された著作物(映画の著作物を除く。)は、営利を目的とせず、かつ、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には、その複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。)の貸与により公衆に提供することができる。』というわけですが…

Tポイントで利益誘導されるのはCCCだけなんでしょうか?「Tポイント使えます」っていうお店はCCC傘下だけでないですし、もし、参加するためのお金がCCCに流れているからということであれば、問題という論法なのかもしれませんけど、運営主体云々言い始めれば、民間会社の指定管理者全般にも言えることでしょうし…

そうでないとし、1日3ポイントということであれば、その部分については、結果的に営利になる場合もあるかもしれませんが、3ポイント分の金銭価値をその複製物の貸与を受ける者に与えているので問題ないのかなぁと思ったりします。

問題だと思う団体があるのは構いませんし、どうせなら裁判を起こしてくれると、白黒はっきりして良いのですけどね。

Tポイントがどのくらいの価値なのかいまいちわかっていないのですが、無人貸出機を使うと1日3ポイント。たぶん3円(?)。365日開館していたとしたら、約千円。
(その複製物の貸与を受ける者が-3円(実際には3円分もらっているわけなので-(-3)円という意味で)料金を受け取っているという意味に強引に解釈すると前述のが当てはまるか…?)

もちろん金額ではないのですが、次のサービスと比べたらどうでしょう?
・1時間100円の駐車料金が図書館利用者は1時間無料。
・貸出票(当日分)を見せると特定の商店で商品が数%OFF。
・貸出票に商店街クーポン付。

どちらも実際にある図書館のサービスなのですけど、金額的にはこっちの方が大きいでしょ?
前者は、「図書館を利用するのに駐車料金を取るなんて…」っていう考えはわからなくもないですが、駐車場の管理委託先はやはり民間企業だったり事業団だったりで、本来なら1時間100円をもらいたいところですよね…
それに、そういう図書館で、「図書館来館にかかったバス代やガソリン代を負担します」って話はききませんから、本来負担すべき駐車料金がサービスでお得になっているわけです。

また、近くに商業施設があったり複合施設だったりすると、図書館にちらっと寄って、駐車料金を無料にし、本は借りていかない人も少なからずいたりしますから(もちろん返却だけの人もいますし)、100円分利用者はお得ですし、もしかすると無料にされた分は還元されて、公費からその業者に支払されているかもしれないですし…

後者2つは、貸出票が金券と化しているのですから、読まなくても借りておく、最悪、借りる手続きをした瞬間に返却して貸出票だけ持っていれば、荷物にもならないわけで、Tポイントで云々言っている方々に、「そういう図書館にもクレームを入れているんですよね?」と問い質してみたいんですけど。
まぁ、そういう館があったことを知らないからという理由もあるかもしれませんが、話題があるなしで差別するのはどうかなぁ?

図書館の図書館らしいポイントの付け方とすれば、前にどこかで書いたかもしれませんが、延滞が5年間なかったのでゴールド利用券で貸出数がブルー利用券+5冊までOKとか、+3日まで返却期限が伸びるとか、自分専用予約棚が出来るとかがあっても良いですよね。

延滞でなくても、利用回数とか利用冊数で利用券がランクアップダウンする…
魅力は金券系に比べると今の時代半減するかもしれませんが、元手は少ないので良いかなぁ。

ポイント数で、借りたい資料を無料で配達とか、図書館送迎ありとか、図書館用品と交換できるでも良いのですが、そんなの財政担当課が許すはずもないですし。笑
利用券がゴージャスになるだけってのも面白いかもしれない…紙製→パウチ→プラスチック→金箔付…とか。

同じような感じで独自のポイント制度をもうすでにやっているとこもありますし。(例えば日進市立図書館(http://lib.city.nisshin.lg.jp/riyou/main.html))

ということで、図書館でのポイントや利用特典を付けるのはありだと思いますが、どこまでがOKかは今後の議論かなぁと。
とにもかくにも、図書館現場としては、悲しいかな、行政報告や事業評価のための指標の1つに貸出数があり、貸出至上主義になりたくなくても、貸出数UPのための方策を考えなければならないという面が少なからずあります。

もちろん、そんな本末転倒のお得感なくても貸出数を増やせれば良いのですが、資料費がなく呼び水としての新刊依存もできないし、資料の魅せ方1つで変えられるとわかっていても、ノウハウを持っている人も少ないし、創造する時間的人的余裕もない状況の館も多いですから、呼び水としては、Tポイントだろうが、商店街金券だろうが、許容範囲だなぁと思っています。

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選書ノウハウをどう伝えるか

 前回、県立図書館の話に触れましたが、神奈川県立川崎図書館って立地のせいもあってか、蔵書構成は普通でない部分もあるんですよね…
 だから、まぁ、サーチャーにお金を払って調査してもらうより、無料の部分で事足りることがあるってのは、このご時世では助かる人も多いのはわかるし、図書館様様と思われるのは悪い気はしません。

 ただ、全ての県立図書館で同じだけのサービスが受けられるかというと、県立レベルでさえ、各館に特色があって、特定の分野を重点的に収集してみたり、貸出数が増えるような蔵書構成にしてみたり、ずっと滞在したくなるような雰囲気だったり…ほんと様々です。
 でも、財政難をはじめ、館の方針転換だったり選書担当者の変更でガラッと変わることだってあり得ます。

 もし、各都道府県に1館、国立国会図書館並みの蔵書の図書館があれば(とはいっても、国立国会図書館でさえ全部あるわけでないのが難点なんですが)、地方だと行きにくいというのはあっても、ほぼ機会均等になるでしょう。

 しかし、現実にそうならないのは、出版されている量や流通にのらないものの量が膨大ということに加え、予算や物理的容量など、悲しい現実があるのは仕方ない(本当だったら仕方ないで済ませられないことなんでしょうけど)ことです。
 膨大な図書や資料群の中から、予算等に合わせて、各館の収集方針や利用者ニーズに応じて取捨選択して購入するのが選書というわけなのですが、最近、選書についての話が何箇所かで出たので、今日はそんな話題でも。

 さて、もうすぐ年度が終わるので、人事異動の季節なのですが、図書館職員にとっては、図書館から異動させられるかもしれないという不安なドキドキと異動してくる上司や同僚がどのくらい図書館について理解してくれる人なのかの不安なドキドキが合わさってドキドキしっぱなしな今日この頃なことと思います。

 システム操作や著作権の話などは、マニュアルや法解釈の説明書があれば、十分引き継げますし、レファレンスはもちろん経験がものを言うことが多いのですけど、簡単なものは業務端末上の操作でなんとかなることもありますし、本格的なレファレンスは個人戦でなく団体戦なのだからこれもなんとかなりますし、「これを調べる時にはまずこれとこれをあたってみる」というパスファインダー的なものを用意している館も少なくありません。
 もちろん、いつまで立っても赴任した時と同じレベルでは、大問題ですが、ちゃんと業務を学ぶ意欲があれば、着実に能力は上がります。
 しかしながら、選書については、確かにやっていく中で能力がアップするものなんですが、人によっては異動してすぐに選書をしないといけないことになるので、「選書ってどうやるの??」ということになります。

 大まかには、説明できるけど、全部を明文化するのは難しいのが選書ですからね…

 拙ブログは図書館関係者が見てくださる率が高いですけど、それ以外の方も見てくださっているので、図書館で資料がどうやって選ばれているか簡単に記述しますと…

1.新刊の図書リストが届く
 図書館への図書の卸業者は何社もありますが、いずれの場合も新刊となる図書リストが届きます。以前も取り上げましたが例えばTRC(図書館流通センター)では『週刊新刊全点案内』という冊子が毎週届きます。

2.担当者がそれを見て選ぶ
 選ぶと書くのは簡単ですが、難しいのがこの部分。
 大きい図書館であれば、分野ごとの担当者がいて、その中の該当分野から選びます。
 小~中規模であれば、およそ兼任ありで、一般書・児童書・参考資料・地域資料などを担当制にしていたり、小規模であれば、ひとまず全部担当ということで、一通り目を通します。
 ここでは大雑把に書くと、
 (1)資料収集方針や収集基準を満たすかどうか考える
 (2)蔵書構成や所蔵資料の新鮮さなどを考える
 (3)利用者のニーズや地域性、社会的な話題などを考える
 (4)資料に偏りがでないか公平性が保たれているか考える
 (5)予算の資料費を考えて週当たりどの程度買えるか考える
 ということなのですが、後でもう少し細かく書きます。

3.2の中から、選書会議などを経て購入する資料を決定する
 人数の少ない館では、担当者1名であとは館長がチェックしてというところもありますし、この時に、図書リスト以外の本(例えば、買い替え、リクエスト購入、複本、直販本など)も選んでいます。

4.システム等から発注する
 Webをとおして発注する場合やFAXなどによる発注をしているところもあります。発注先は、地元書店経由だったり直接卸業者であったりです。

5.資料が届く
 卸業者が直接または地元書店を通して装備(バーコードや背ラベル、フィルムコーティングなどをすること)した資料を図書館に送られて来て、図書館システムを導入している館にはその基本となるデータを送付されます。
 そうして、データを修正したり微調整して、納品された資料をチェックして、各館の新刊コーナーに配架されます。

 まぁ、流通している本を選ぶ場合の流れで、寄贈本とか、地域行政資料とかはまた別な流れで図書館に入ってくるのですが、割愛しておきます。

 ということで、こういう流れが1週間の中で行われているのですが、客観的にみると不思議だと思いませんか?

・週に1000冊以上の本から数十~数百冊選ぶのにどれだけ早く選んでいるのかと。

・図書のリストだけで必要な本がわかるのかと。
(まぁ、前に実際に聞かれたんですけどね…)

 図書のリストといっても、『週刊新刊全点案内』では、簡単な書誌情報に加え、あらすじレベルの内容も紹介されていますし、それ以外の図書リストについても、およそ分類ごとに並べられていることが多いです。
 そうすると、そこは図書館ですから、「この分野のこれが自分の館には足りないなぁ」と思っていますから、狙い目の分野は理解しているはずです。

 (1)はどちらかと言うと抽象的な表現が多いですから、個人的にマニアックなものや極端に主張が偏っているものでなければ、クリアできます。
 (2)も自分の館の資料を全部読んでないにしても、「このくらいの割合でこんな本が入っている」というのは大雑把にわかりますし、分野として分類番号で検索したり、件名(図書の内容を簡単に表したもの。件名で検索すると必要とする同じような資料が検索できます。)を使うと、「この内容の資料の最新は古いから買っておこう」など細かく知ることができます。
 (3)は普段から色々な情報にアンテナを向けつつ、カウンターでの利用者とのやり取りなどでわかることが多いですし、流行という意味では、同じような内容の本がリストに載るので、案外気付きやすいものです。
 (4)は客観的な主張の本が出てればそれを優先しますが、「反○○」と「○○推進」が偏らないように購入すれば良いです。
 (5)は普通に予算を50週くらいで割り算しておけば、目安はできます。
 なので、直観的には簡単そうなのですけど、図書のリストだけでは実際に中身は見ていませんから、見計らいといった直接見ることができるサービスを利用したり、実際に書店で見たりといったことも、日ごろから選書力を高めるためにやっています。

 でも、実際問題として、この流れで、簡単に選書はできません!!

 よく聞かれるのが、「AとBと同じような内容の本が同時期に出版されたとき、なぜAを購入することにしたのか」ということです。
 その内容の本を購入することになった図書館であれば、全館Aを選ぶかというと、そうではなく、実際にBを選ぶ館もあるわけですし、Bを選んだ館が変かといえば、Bの方を読みたい人に相互貸借で借りられるという点で、選択の多様性を保証する意味では正しい選択だったりもします。

 『週刊新刊全点案内』の後ろの方に約半年前くらいの号で売れた数がわかるリストが出ているのですけど、0冊はおいておいて、1冊という本を購入した館って逆にすごいなぁと思います。
 そういうことからも、著者名や出版者名から「この人(出版社)は○○に定評があるから、同じような内容なら買いだな。」って判断が多いですけど、司書だから100%が選ぶとは限らないのが、選書ノウハウの明文化を難しくしているのだと思っています。

 それに加え、所蔵のない資料も相互貸借で借りることができるというのも大きいでしょう。
 所蔵のない資料のリクエストが一切ない図書館って聞いたことがありません。新刊や簡単に購入可能なリクエストであれば予算のある限り、基本的に購入している館はまれにありますが、相互貸借もしなくて良い館って…(もちろん、利用が極端に少ないとか、そういう仕組みが浸透していないとか、リクエストという行為が皆無とかは除いてですけど)

 つまりは、選書をどれだけ頑張っても多かれ少なかれ選定外の要望は出てきます。
 そうであれば、極端な話、新刊図書リストの5つ置きに購入しても図書館として成り立つ場合があるんじゃないか(それだと選書に関して専門性云々はなくなるんだが。)、だからと言って、そんな大掛かりな実験を自分の自治体を巻き込んでやるのは無理ですし…と思うこともあります。

 また、通常の図書館であれば、選書は客観的に見てその館で必要とされるであろうと考えられた図書が選ばれて購入されるわけで、図書館職員の趣味や関心で購入されているわけではないのですが、その一方で、その職員の趣味や関心で購入したからと言って、かなりマニアックでない限り、同様な趣味や関心のある利用者の需要を満たすわけですし、もちろんそればかりというわけにはいかないですが、偏りにだけ気をつければ、選書として成り立つのではないかと思ったりもします。

 実際に、その場合とは少々異なりますが、利用者のリクエストで購入した図書はよほどのことがない限り、複数回貸出されますし。
 今は極端なことを書きましたが、極端じゃない場合としても、職員によって、ある分野に強い弱いというのはあります。

 例えば、医学系に強い司書がいれば、闘病記文庫の他にもその病気の人が関心を持つであろう資料を選んで購入します。それがその館の特色となって利用者の中にはそれを目的で利用する人も増えます。
 では、その司書が異動や退職したら、どうでしょう?
 蔵書構成の比率的に、医学系が若干多めに購入されることになるのですが、その司書の時代よりちぐはぐな選書だったりして、数年後にはその司書の選書したものも古くなりますので、使えないことになりかねません。
 確かに、長期的展望に立ってだの、重点的に購入だのをしても、成長する有機体というわけではないですが、良くも悪くも変わっていくのは変えられません。
 だからといって、特色もなく無難な選書だけというのも、図書館の需要的にどうだろうと思います。
 大きな図書館ではそんなに感じないかもしれませんが、小さな図書館であれば、4月以降の新刊が大きく変化してしまうかもしれません。

 では、どうすれば良いかといえば、ベストなのはノウハウの伝授です。それもできるだけ具体的な。
 例えば、公式twitterが4月からつぶやかなくなったとか、つまらないつぶやきになったとか、館の方針転換がされたのでなければ、中の人が変わったからで、やりかたのノウハウは伝授されても、どういうことをつぶやくかの感覚的なノウハウが伝授されていないわけです。
 選書は私が考えるに、最もノウハウを伝えにくい業務だと思います。
 実際に司書の判断が絡むので、その判断をフローチャートにすることで、システム化できそうな感じもするのですが、ガラガラポンで「Aは購入、Bは見送り」とはならないのは、8割の司書が選んでも2割の司書は選ばないこともあるわけですし、前述のように色々な本が選ばれることで多様性は相互貸借により保証されるわけなので、間違いではないですからねぇ…

 そこで、長い目で見て変わっていくのは本当に仕方ないことなのですが、ノウハウを伝えるために、どうすれば良いか考えてみました。

 ・判断に関するツールがあれば、開示しておく(例えば新聞の書評欄だったり、インターネットのURLだったりも含む)
  出版後の場合なら、誰かが評価しているわけですから、簡単ですが、出版に前後しての判断をしないといけない部分なので、例えば、「この人(出版社)は○○に定評があるから、同じような内容なら買いだな。」的なものを作っておくと、新しく赴任した人も参考にできるかと思います。

 ・新刊図書リストに選んだ理由を簡単にメモしておく
  後任の人が見直す時間もあまりないかと思いますけど、説明責任ではないですが、簡単なメモでも、選書で何を見ているのかポイントがわかり、選び方が伝わります。

 ・引き継ぎ書にプラスして「こういう考えで選んでいる」という想いを表しておく
  同じ選び方はできないとしても、明文化されることによって、その図書館での選び方がわかります。

 では、逆にそういうノウハウが伝授されなかった場合は、どうするか。 

 ・まず、その図書館の蔵書を見ておく
  どの道、図書館を把握する必要があるので、異動が決まってから赴任する前でも、図書館をじっくり観察しておきます。そうすることで、「この分野(著者)の本多いな」とか「ここは古い本が多いな」とかわかります。多いところや新しい本はよく購入する部分で、古い本はあまり購入しない部分ということですし。

 ・数か月間の新刊図書リストと所蔵資料を見比べる
  メモではないにしても、アンダーラインが引いていたり、著者名に○がついていたり、件名に冊数がメモしてあったりしていることもありますし、選書会議や選定リストだけでは、その時どんな本が出ていたかわからないこともありますから、見ておく必要があります。

 ・著者や件名で検索をかけてみる
  多いから買うのか少ないからあえて買うのかは、後任の人の判断ですが、その館の癖がわかるかと思います。

 それ以外で、ノウハウではなく選書眼を鍛えるためには、「1に情報収集、2に情報収集、3、4は図書館把握で、5に情報収集」ですかね…
 ニュースや新聞や書評誌を読んだりすることはもちろん、書店を数件まわって面置き・平置きの本やポップのある本をチェックすると、時代の流れもわかりますし、選ぶのが苦手な分野でもなんとかやっていけます。
 自分の図書館の本を見直すのも図書館把握です(図書の動きの善悪しもわかるし)が、他の図書館も見て回って「自分の館にないこの本はどうして購入されたか」と考えることも勉強になります。

 ということで、ぐだぐだ書いてみましたが、選書は図書館の要ではありますが、絶対に正しいという解もありません。
 システム化するとしたら、ウェイトの付け方が非常に多岐にわたり、細かくしないと使えないシステムになってしまう気もしますが、参考にはなるでしょう。
 裏技チックに、数週間待って他の館の様子を見ながらという方法もおそらく可能だったりもします。

 でも、十人十色とは言いますから、その利用者の要求は様々です。一生懸命選んでも選ばなくても図書館としては成り立つかとは思いますが、「この館(もしくは分野)のおすすめ本は何ですか?」という利用者の問いに「この館にある本は全ておすすめできます!」と言えるようになると、とてもやりがいがあることでしょう。

 図書館の資料購入費は税金からなっていますので、気軽には購入できませんが、「選書どうしよう…」と悩んで気を病むよりは、気楽に考えて、利用者に「ねっ、その本いいでしょ?」って言えるように、購入した本をどう魅せる(見せる)か、利用させるかを重点に考えると、年数が経てばきっと良い図書館になることと思います。

 ちなみに、私はここのところ、児童サービスにウェイトを置かざるを得ない立場にいるのですが、前任者が児童畑な人だったため、私の考えとは異なる部分も多く、なので、最初のうちはほぼ踏襲していましたが、徐々に私カラーになっている感じもしています。笑
 まぁ、利用者から評価されたし、それはそれでいいのかな?

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県立図書館どうなるのやら…

1月更新には間に合わなかったけど、みなさま、今年もよろしくお願いします。

昨年末、珍しく立て続けにエントリーをUPしたのですが、先日『認定司書』と『雑司ケ谷R.I.P.』の件を気にしていると書いたエントリーを読んでくれた図書館員の方からメールをいただき、モヤモヤが少しすっきりしました。
こういう反応が返ってくると、いくら拙いブログであっても、続けていて良かったなぁと思います。

認定司書の方は、日図協のページにもなった方々の記述があります()し、図書館雑誌にも昨年は連載がありましたね。
第2期の少ない理由が震災があると考えているようなので、第3期がこれより減ったらどうなの?という意味で、気にはしているんですけどね…もしかするとそれを危惧したから昨年の特集があったんでしょうかね…

ただ、特集を読み返すと、やはり内側向きかな?認定司書のメリットを云々とか業界誌にいくら書いたって、「司書」を「書士」と間違う首長もいる中で、「認定司書だから云々」とはならないだろうなぁと。

実際に、図書館じゃない部署に異動ということもあるようですし…
例えば、首長宛てにアンケートを送って、「貴自治体職員で認定司書を持った職員がいた場合云々」という項目を質問して、その回答を公表するとかやれば良いのに…と思ったりしましたけどね。
まぁ、無回答か検討していないけど検討中が多くなるか、特に考慮されないが多くなるのか…

『雑司ケ谷R.I.P.』の方は、教えてもらった話によると、貸出制限後の所蔵数的に少し増って感じのようです。
元々『さらば雑司ケ谷』を持っていなかったり、所蔵していても『雑司ケ谷R.I.P.』は買っていない館があったりといった感じでしたけど、出たときより所蔵が増えたのは事実のようです。

ただ、購入理由は各館の中の話なので、図書館職員が待って買ったのか、出版されたあと、図書館の中の人以外にもこの件が認知され、「借りられるか近くの図書館でリクエストしてみよう」的なものも含めて利用者リクエストによるものなのかがわかりにくいのが難しいところですね。

また、他にも「公立図書館では貸出しないで」とあった図書についての判断とか、「各館の判断で」と言えばそれまでですが、どうもいつの間にかスルーになっている感じもします。

さてさて、図問研が『神奈川県立図書館に関する緊急アピール』(http://tomonken.sakura.ne.jp/tomonken/statement/%e7%a5%9e%e5%a5%88%e5%b7%9d%e7%9c%8c%e7%ab%8b%e5%9b%b3%e6%9b%b8%e9%a4%a8%e3%81%ab%e9%96%a2%e3%81%99%e3%82%8b%e7%b7%8a%e6%80%a5%e3%82%a2%e3%83%94%e3%83%bc%e3%83%ab/)ってことで、話題になっていますが、ものすごく違和感があったりしています。
廃止にするのに反対ということはわかりますが、埼玉県でも統廃合の話は出ていますよね?(http://www.pref.saitama.lg.jp/page/gikai-gaiyou-h2409-f050.html

神奈川県立図書館と埼玉県立図書館の違いは、「新県立図書館においては閲覧や直接貸出のサービスを廃止、市町村立図書館を通じての貸出のみを行う」ということを発表しているか否かということだけなので、まぁ、文面からも「統廃合をするな」とはないので、その部分に対してのアピールなのでしょう。

それをふまえて、私が感じたこといくつか。

・「一般公衆の利用に供し」に違反?
 建前上は、市町村立図書館の相互貸借により借りられるわけですし、何も「一般人には指一本も触れさせない」とは言っていませんけどね…
 もちろん、利便性は格段に落ちますよ、でも、考え方ややり方で変わると思うんだけどなぁ。
 その手の理論を拡張すると、「書庫の本を(書庫出納を介さないで)直接手に取れないのは…」ってなりそうと思うのは考えすぎでしょうか。
 それに閲覧と貸出を分けずに記述しているのも少し怖い気がします。前もどこかで記述した気がしますが、セットに考えるせいで、レファレンス本や地域・郷土資料に「貸出しないなんて云々」と言う利用者もいますしね…
 「一般公衆の利用に供し」は何も直接サービスだけの話を書いているわけでないと、思っているんですけどね。

 で、逆に、図書館法に反したらといって、罰則らしいものがない気もするのですが…それを言ったらキリがないのですけど、間接的には提供するらしいので、法に反しているというまでは言えないと思います。

・改訂された「公立図書館の設置及び運営に関する望ましい基準」?
 頭に「改訂された」とあるので、間違っていないのですけど、改訂後は『図書館の設置及び運営に関する望ましい基準』という名称なんですよね…(http://www.mext.go.jp/a_menu/01_l/08052911/1282451.htm またはhttp://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/tosho/001/__icsFiles/afieldfile/2013/01/31/1330295.pdf)。

 それにしても、拙ブログで12月19日はとうに過ぎているのに…とアップした日、文部科学省ではタイミング良く?悪く?アップされたのに、2月になっても日図協では…はぁ…orz(自分の意見が通らなかったから更新意欲がなくなったんでしょうか??メルマガでは触れていたのですが、このページ(http://www.jla.or.jp/ibrary/gudeline/tabid/234/Default.aspx)はまだ変わらず…)

 「住民の閲覧も含む直接利用が県立図書館の役割であること」と書かれていますが、それはどの文を差しているのでしょう?「閲覧」って語は市町村立図書館の施設設備の部分と私立図書館の部分にしかないんですけど…
 で、市町村立図書館のその部分を準用したとしても、「ねばならない」ではなく、「努めるものとする。」です。
 「努めるものとする」や「望ましい」が多用されていることはすぐにわかりますが、それをしないからといって基準違反というのであれば、多くの市町村教育委員会が違反しているってことになるんじゃないでしょうかねぇ?
 『法律を遵守し、基準に則った運営を行ってください。』って全自治体に言いたいですね。笑
 まぁ、「努めようとしたけど、諸般の事情がありますので、実現はできません」と返ってくるだけでしょうけどね。
 首長が「娯楽関係の映画のDVDを買うな」と言っているところもあるようですし、光交付金の話を何度も出しますが(笑)、一応付けておいて、その分通常予算を減するなんて当時の総務大臣もおかしい言っているのにするのですから、その程度のことで、考えを変えるほど財政当局等は甘くないわけです。

・検討会の議事録は情報公開できないもの?
 ニュースありきで、どこぞやの記者だったが確認したら「そういう意見もあったというだけで云々」って本決まりではない返答があったとかあったような気がしますが、もちろんそんなことは鵜呑みにはできないですけど、情報公開請求しても出てこないものなんでしょうかねぇ?
 で、「他に公開しないこと」と言われても公開しちゃうとか。笑

・時間はどのくらいかければ良いのか…
 この手の問題、確かに県民に問うのは必要だと思います。それに異論はありません。でも、必ず、相反する意見が出てきます。その一方で、すでにある施設なのですから、ランニングコストはかかりますから、つぶすならつぶすで。
 もちろん、なくさない方向というのはベストでしょうが、耐震性云々、財政難云々であれば、その代替え案がないといけないのですが…
 そういや、前述の埼玉県立図書館は、県立川越図書館を廃止したわけですが、そのノウハウや問題点はどうなっているか検討したのでしょうかねぇ…
 相互貸借の話ではないのですから、いつか提供できるように、いつか良い方向にでは難しいので、期限は切る必要があります。

 で、実際問題として、1館廃止&閲覧・直接貸出停止が決まっていた場合、パブリックコメントを募集しようが、時間をいくらかけようが、方向が一転することはないような気もしますけどね。パブコメ後に考えていた方向でなくなったってことはほとんどないと思うんですけどね、首長の一存で前任者の企画が凍結的なものはあるでしょうが。

・県立図書館が直接貸出する意味は?
 まぁ、確かに閲覧して「借りたいな」と思っても、「お近くの市町村立図書館で…」というのは面倒な話です。
 立地場所により「市町村立図書館が遠いので」とかいう利用者も多いですし。
 同じ自治体内に都道府県立図書館と市町村立図書館がある地域は限られていますけど、どうやって棲み分けているんだろう?といつも思います。
 基本図書と専門図書でしょうか?都道府県立図書館がある地域の住民は、両方を使い分けるのが簡単ですが、都道府県立図書館から離れたところにいる住民は、その地域の図書館で専門書系も扱ってもらいたいと思うでしょうから、その地域の図書館は一部専門書を扱うか相互貸借で取り寄せることになるわけですから、そういう場所の利用者は県立図書館は書庫レベルでしかないわけですし。

 実際、「あ~、この資料は県立しかないですね」って話をしたとき、「県立図書館まで行くのか…」って言われますし。(その後、一巡回貸出で借受しますけど。)
 なので、私個人としては、市町村立図書館のバックアップを充実させて欲しいです。
 書かれているように、市町村立図書館から見れば「県立図書館のレファレンススキルは非常に高い」のは概ね確かですし、レファレンスをしないとはどこにもないのですが…人が減るという前提ではあるんでしょうけど、全員が全員高度かというと…??
 また、考えようによっては、いわゆる一巡回貸出(例えば相互貸借の連絡便が届いて次の連絡便が来るまで、館内閲覧条件での貸出。)ではなく、参考図書なども市町村立図書館ではあまり貸さない資料を館内閲覧のみでなくて、貸出するということになれば、ちょっと良いかも?と思いますし、規格関係資料や特許関係資料もレファレンスインタビューがしっかりしていれば、何も全部通覧したい人はともかく、利用者的には必要な情報が手に入れば良いのですから、そういうのでもいいかな、と。

・市町村立図書館への負担と言うけれど
 う~ん、確かに相互貸借の量は格段に増えるでしょうね。ただ、地方に住んでいる利用者からすれば、わざわざ県立図書館まで足を運ばなくても良いというメリットがありますし、相互貸借の本来は絶版等で購入して提供できない場合に考える手段であって、自館でその資料を買わない分、相互貸借で頑張るわけで、逆に県立図書館への貸出業務はなくなるわけだし…

 また、相互貸借にかかる費用が相互負担な自治体もあるでしょうが、神奈川県って協力車とか連絡巡回車って走らせていませんでしたっけ?そういう車を走らせているところは、基本的に県内図書館にある資料の相互貸借は週に1回などかもしれないけど無料でできたかと…宅配に関しても、県立図書館へ着払いし県立図書館元払いで各館へ郵送というところもあるわけなので、自治体費用負担はないのでは??
 もちろん、あるところでそれ式やられたら費用が問題ですが、逆に、相互貸借にかかる費用は県立負担ということを条件にすれば、良いだけの話ですし。

・神奈川県は住民一人当たりの図書館費は全国最低レベルなの?
 これは、へぇ~って思いました。まぁ、図書館年鑑を調べればわかるのでしょうけど。どこかに都道府県・市町村別人口1人あたりの資料費&貸出数ランキングが一覧になっていないかなぁ…
 逆にそれこそ図書館法か何かで、「自治体内人口1人あたり●●●円以上(または歳入の●%)を資料費としなければならない」と明記されれば、予算確保に苦労しなくて良いのですけどね。

ということで、なんとなく反論めいて再反論されそうですけど、私は以前書いたように、都道府県立図書館は直接貸出を始める前に戻って、より市町村立図書館のために尽力して欲しいと思っていますから、そう思っただけで、おそらく経費削減に名を借りた人件費削減による人減らしや資料費削減によるサービス低下はやめてほしいとは思っていますよ。
ただ、そうなると、相手の考えを変えるための論拠としては、どうもこのアピールでは乏しいかな、と。

で、日図協の見解は…???????????
(私は日図協の中の人でないけど、ちゃんと機能しているのでしょうか??)
まぁ、『指導する立場にないのでコメントしない』という常套句が出るんでしょうが。笑

ではでは☆

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『公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準』が改正したんだけど?

2012年12月27日現在、まだ文部科学省のページにアップされていないようですが、12月19日の官報号外275号(http://kanpou.npb.go.jp/20121219/20121219g00275/20121219g002750000f.html)に、『公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準』の改正した全文が載っていました。
パブリックコメントが募集されていた時に読んだ人も多いと思うので、その時点から変わったとこを中心に書きたいと思います。

相変わらず数値目標などが皆無なので、「努めるものとする」「ことが望ましい」ばかりで、必ずしも設置・採用・収集しなくても良いと解釈されるのがオチなので、読んで脱力してしまう感じがするのは否めません。
確かに、数値目標があるとそれにとらわれすぎて、「それを越えた部分はしない」となるのも本末転倒なんでしょうが、結果コメントにもあるように(参考:「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」に関するパブリックコメント(意見公募手続)の結果について(http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185000606&Mode=2))、『報告書では、「目標基準例」を掲載しています』とあくまで、基準には載せないというスタンスなんですね…
それなら、その例を基準にちゃんと載せておくのがわかりやすいのではないかと思うんですけどね。(ちなみに、報告書はこれ(http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000092338))
でも、結果についてにあるように「数値目標として設定することが望まれます。」って、どっち付かずなブレたコメントがあったりしますけどね。
数値目標が高すぎると地方自治体から反発されるし、低すぎるとそれはそれで文句が出る…まぁ難しいのはわかりますが、自治体の規模に対して%で基準を作るなど、最低基準と目標値といった数値目標を作れば良い気もしますけどね。

さて、まだ改正版を読んでいない人のために、主な変更点を簡単に書くと…
・私立図書館も基準の対象になった
・地域課題に対応したサービスも明記
・危機管理に関する規定を追加
・指標や目標、評価、結果などをどんどん情報公開すること
・電磁的記録や地域資料の電子化についての規定
が大きなところで、あとはサービスを充実させたり連携先を広げたりですかねぇ…

パブコメ後では、総則の『三 運営の基本』の最初に『図書館の設置者は、当該図書館の設置の目的を適切に達成するため、司書及び司書補の確保並びに資質・能力の向上に十分留意しつつ、必要な管理運営体制の構築に努めるものとする。』が増えた
5番目に図書館の管理が指定管理者以外もひっくるめて『他の者』になったり、公立図書館の『4 職員』のところの『専門的職員』が『司書及び司書補』になったということが、結果についてにも書かれていますが、主な変更点かなぁ。

パブコメ時にあった、改正についての主な改正内容に記述している『図書館機能を十分に発揮するため、館長に必要な知識・資格を有する者を置く』という文面を見ると、置くのが必須になったような錯覚を覚えますが、

旧版では
・館長は、図書館の管理運営に必要な知識・経験を有し、図書館の役割及び任務を自覚して、図書館機能を十分発揮させられるよう不断に努めるものとする。
・館長となる者は、司書となる資格を有する者が望ましい。

改正版では
・市町村教育委員会は、市町村立図書館の館長として、その職責にかんがみ、図書館サービスその他の図書館の運営及び行政に必要な知識・経験とともに、司書となる資格を有する者を任命することが望ましい。

となっています。
つまり、館長個人の話から任命権者に話をシフトしただけで、結局、『望ましい』なんですよね。「置かなければならない」ぐらいにならないと、人事担当などに「そうね、そういう人を置くのが望ましいよね、でも大人の事情があるんだから、置けなくても仕方ないよね。」と言われるのが目に見えています。

ほんと、初めの一歩だとしても、館長の有資格条項だけでも規定できれば、主幹級の人が今更資格講習を受けて資格を取りに行く人もあまりいないでしょうから、今現場にいる司書さんの館長への道が開けるし、図書館の運営に司書資格が必須になれば、ペーパー司書だったとしても、新たな雇用も生まれるのでしょうが…図書館法の改正で改「善」されないかなぁ。

まぁ、確かにそんなに言及するほどのものではないのですが、パブコメ時よりも話題が少ないってちょっと寂しい気もします。(単に私が気付いていないだけかもしれませんけどね。)
日図協のパブコメは公開されていますけど、正式版についての意見や見解はないんですかねぇ…正式版すらまだ載っていないし。平成24年12月19日から施行されているのですよ!一応…笑

日図協のパブコメを見ながら、結果についてのコメントを見つつ、本文を見ていると、なんとも苦笑いしそうになる感じです。

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(仮称)図書館員大賞を考えてみる

年末も押し迫り、クリスマスも目前で、なぜかどこの図書館も児童コーナーはどこもかしこもクリスマス本特集で、先日も『Xマス絵本 お薦めは? 図書館と書店に調査』中日新聞(http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20121220/CK2012122002000039.html)という記事を読み、私だったらどれを候補にあげようかなぁと思いながら、前回、TRC図書館スタッフが選ぶ…の話を振った手前、『もし、図書館員大賞をやるので、1月~11月末に出た本で0~8類の1冊ずつのおすすめを挙げてください』と言われた場合のことを考えてみました。

実際、考えてみると意外と難しいですね。
かなり印象に残っていないと、1月・2月の資料の印象が薄くなっている…そして、図書館で購入した資料以外の図書は基本的に選外になる…(選定候補も入れても良いのですけど…)

で、今回は私だけなので、紹介文を長くしても良いけど、本格的にやるのであれば、各人思い入れが色々あるでしょうから、100字~140字ならまとまるかなぁと。
大掛かりになれば、本屋大賞と同じようにタイトルのみの一次…って感じの方が能率があがるでしょうけど。

ということで、共感をあまりよばないだろうトーネコ選、2012年のおすすめ図書~9類除く各類1冊~。笑

0類
総記なんでコンピュータ関連や図書館、書評系の本とか色々あるのですが、私が選ぶのは、これ。

ご存じ、東京子ども図書館発行の図書で、児童畑の図書館の人にとっては、当たり前な良書(?)が、あらすじと簡単な紹介文で紹介されています。
また、特徴的な部分としては、キーワードから絵本を探せる点で、絵本選び、学校等への読み聞かせ、お話会、ブックトークに十分力を発揮することでしょう。

1類
哲学に、人生訓に、宗教などですから、『超訳ニーチェの言葉2』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)とか『夢解釈<初版>上・下』(中央公論新社)や地獄関連の本もいいなぁと思いましたし、見て楽しむというのであれば、『錯視図鑑』(誠文堂新光社)もと思って、かなり迷ったりしていましたが、私はこれを。



マジックに興味のある人は数多くいるでしょうが、この本は神経科学者が、どうしてあるものが見えなかったりするのかなどを科学的に考えています。
もちろん、適度にマジックのタネ明かしはされているのですが、理屈はわかっても、手品を見るとやっぱり騙されてしまう脳って不思議だなぁと思える本です。

2類
歴史に地誌に伝記と類で分けるのがもったいない気もしますが…地誌系だと『原色ニッポン 南の島 大図鑑』(阪急コミュニケーションズ)で、伝記系だと『この年齢(とし)だった!』(集英社)なのですが、最終決断して個人的には、これですかねぇ…



今でこそ、英語を話せる人も増えていますが、確かに幕末期にはオランダ語が話せる人はいたけど、英語は当時の日本人にとっては新しい言語だったんだよなぁと。
やはり、LとR音は当時も難しかったんだと、妙に納得しましたが、情報や移動手段が少ない時代の通訳できる人物の大変さがよくわかる本です。

3類
法律や経済、教育などちょっと硬めの本が多い3類ですが、逆に民俗などではちょっと楽しい本もあったりします。シリーズで出ている『47都道府県・こなもの食文化百科』(丸善出版)も今年出た中で良いなぁと思った一冊ですが、私はこっちで。



この本は赤ちゃんの気持ちがわかる本などの育児書でなく、赤ちゃんがどうやって認識し人間となっていくのかという科学的に分析された内容です。
だからといって、小難しい本ではなく、どんな実験をやってどんなことがわかったかが分かりやすく書かれており、人間ってやっぱりすごいなぁと思える本です。

4類
自然科学と医学の中から選ぶことになるのですが、『世界で一番美しい…』シリーズ(創元社)、『邪惡な植物』『邪惡な虫』(朝日出版)、『アートで見る医学の歴史』(河出書房新社)、『冥王星を殺したのは私です』(飛鳥新社)も個人的にはとても良かったのですが、最後に選んだのはこれです。



タイトルの印象とは違って、ヘンな虫図鑑というわけではありません。著者がコスタリカで見つけた変わった虫たちを紹介する中で、自然の大切さを知ることができるのがこの本です。
あとがきの『自然の中でちっぽけで「ヘンな」虫であっても…(中略)…大切で必要な存在だ』の部分が印象的でした。

5類
工業系から家事・育児までこちらも他の類に変わらずそのうち1つというのが難しく、『アイスクリーム基本とバリエーション』(柴田書店)や『電卓のデザイン』(太田出版)なんかが印象に残っているのですけど、最終的に選んだのはこれ。



過去の建築物である巨大ピラミッドから未来の宇宙エレベーター、そして銀河鉄道999の発着用高架橋まで、建設のプロのみなさんが、大真面目に考えたプロジェクトが載っているのがこの本です。
もちろん実際に作と予想以上の困難や費用もかかるとは思うのですが、出資者がいれば本当に出来そうです。

6類
どの産業に視点を向けるかで選択が変わってしまう感じがしますが、『おもかげ復元師』(ポプラ社)や『バナナの世界史』(太田出版)も良いのでやっぱり迷ったのですが、個人的にはこの本を。



この本は「どの魚が一番美味しいか」という本ではありません。味という視点以外にも、色、におい、食感、見た目など色々な角度から、どんな魚が「うまい」のかを考えていくことをテーマにした本です。
全100巻シリーズの40巻目なのですが、専門的なこともわかりやすく書いていて読みやすいです。

7類
こちらも芸術やスポーツで色々と好みがわかれるのですが、『絵本作家のアトリエ1』(福音館書店)や『絵本作家という仕事』(講談社)などは図書館員的には興味をあるところですし、『招待状のデザイン・コレクション』(グラフィック社)も素敵だったのですが、これかなぁ…



写真を撮る本の中に混ざっているこの本。タイトル通り、撮り方ではなく、証明写真などでの撮られ方について書かれている本です。
願書や履歴書、運転免許証、パスポートなど意外と思い通りにならない証明写真ですが、写りを良くする方法から貼る前のカット術まで、わかりやすく書かれています。

8類
言語系だと、日本語か関心の高い言語が選ばれるか、珍しい言語か…で、票は割れそうな類ですけど、職場体験の受け入れ時のレファレンスで筆順の話をよくするので、『筆順のはなし』(中央公論新社)も良かったのですが、こっちをあげてみます。


「てんてん」つまり濁点は、近代に発明されたものだそうで、その濁点について、その成立過程や歴史について書かれているのがこの本で、音を文字にする場合の日本人的な捉え方や考え方がわかります。
改めて、日本語ってすごいと思うとともに、日本人の感覚的な文字の捉え方に納得しました。

一般書はこんな感じでしょうかねぇ…
書評っぽく語りたい本や例にも出さなかったけどもう少し触れたい本もあるのですが、あくまで、ひとまずやってみるということで。

で、児童書も類別でも良いのですけど、児童書と絵本という組み分けで挙げると…

児童書
今回、児童書と絵本という枠組みにしましたが、絵本扱いにするかどうか館によっても違いますし、一般と同様に0~8類でそれぞれというのもありかもしれません。その中で選んだのはこれ。



今年の5~6月にイモムシの本が続けて出たのですが、ブームだったのでしょうか??子どもの目線でよく見かけるイモムシとその成長した姿がわかります。
どれも甲乙付けにくかったのですが、個人的に一番見やすかったです。

絵本
絵本は選ぶにしても量が多いので主題分類などを使って読み物系を除外するのも仕方ないかなぁと思いました。図書館員としては『としょかんねこデューイ』などでも良かったのですが…



他にも今年出た本で良いのはありますが、この本を読んで、こんな感じで「図書館の一日」ってのも出て欲しいなぁと強く思ったので、一番の印象に残っています。
博物館の研究員がどのような仕事をしているのかや、大きな展示品の展示の方法など文字通り博物館の一日を通して描かれています。
(ちなみに去年は『野球場の一日』が出てました。)

さて、ようやく本題。
(仮称)図書館員大賞を本当にやるとしたら、どんなことを考えないといけないのか、少しやってみて思ったこと。

<やる中身編>
・9類は類で除くか否か
 小説類は他で散々やっているから、図書館はそれ以外でというスタンスだったので、9類を全部除いてしまったのですが、小説だけが9類ではないですから、「9類(日本小説)、9類(翻訳小説)、9類(その他)」くらいには分けておこうか悩むところです。

・0~8類から各1冊か0~8類から1冊か
 9類を除いて1冊というのは意外とスッと出るような気もしますし、集計しやすそうな感じもします。
 また、各類1冊とした場合、印象度はやはり類によって異なるのもちょっと心配だったりします。 

・児童書はどうするか
 今回は児童書一括りプラス絵本としましたが、その館で絵本扱いにするか否かでも違ってくるでしょうし、一般で小説類を除いた場合、読み物系絵本は除くかどうかも厄介な問題な気も。
 児童書部門は児童奉仕担当者が選ぶのでしょうが、「最低でも5年で20年以上読み継がれたもので…」的な人がいる館だと「該当なし」になるかもということや(私の偏見?)、0~8類でシリーズものが良かった場合は1シリーズなのかそれでも1冊なのかとか、復刊系の取り扱いもある程度決めておかないといけないなぁ(それは一般書の方も新装版などでも言えることですが。)と。

・コメントの有無
 図書館員なので2000字…っていうのも悪くはないのでしょうけど、できるだけ気軽に参加できた方が良いので、前述のように100文字程度のコメントを付けてですかねぇ。
 そうじゃないと、最初から流されたり横着する人多数な気もしますし。

<やり方編>
・個人参加か機関参加か自治体参加か
 図書館員の個人参加だったら積極的な人が推す本が有利になりますので、やはり機関参加か自治体参加ですかねぇ…
 実際にやってみて、地域性にもよるのではないかと思いますので、分館の多い地域に流されないためには、中央館で集約してもらい各自治体で挙げてもらう方式が良いでしょうね。
 都道府県立図書館もやはり分館がある場合もありましょうが、都道府県立図書館1枠が妥当だと思うのですが、2票持つ権利があってもいいのかなぁと。

・参加館が増えたらどうするか
 まぁ、これは本屋大賞と同じように各自治体から出たものを県立図書館でまとめて、各類上位のものを出し合って、上位10くらいで再投票が良いですよね。
 地域性が出てくることを期待しているのですが、こればかりは箱をあけてみないと…

・どこが主催するか
 日図協が図書館年鑑に前の年の集計結果を載せるのが楽しいと思うのですが、きっとやらないんだろうなぁ。
 TRCがやっても良いとは思いますが、TRCと契約していない館が参加しにくいということで、図書館振興財団でしょうかねぇ。 

<準備編>
・まずは個人で。
 1年近く休止していたので、私が探していないだけで、同じようなことをやっている人(日常的に書評ブログがある人はすぐできそうですし)もいるかもしれませんが、県の企画担当などでなければ、なかなか一気にはできません。
 なので、個人レベル…例えば各ブログとかで同じようなことをやる人が増えれば、県域レベルでやろうという企画が持ち上がるかもしれないなぁと。
 ただ、私は影響力皆無な図書館員なので、まずそうそうに広がらないのが痛い所でしょうか。笑
 1冊挙げるだけならTwitterでハッシュタグ付けても良いのでしょうが…それでも、付けるとしたら #libgp-0、…、#libgp-8、#libgp-c、#libgp-pかな?

 以下様式っぽいもの。

 (仮称)図書館員大賞プレ
 ※9類を除いて今年出た本で私がおすすめしたい本

 ☆0類
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 ☆1類
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 ☆2類
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 ☆3類
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 ☆4類
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 ☆5類
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 ☆6類
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 ☆7類
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 ☆8類
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 ☆児童書
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 ☆絵本
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・次に県レベルで。
 県レベルで各自治体から集約することをすれば、全国規模まであと少しだと思われます。
 ただ、色々と込み入った事情もありますから、似たようなものを色々な都道府県でやってもらって、統一していくといいかなぁと。

ということで、まとめ。
(仮称)図書館員大賞をやってみたら、どれほど面倒…いや、楽しいことになるかと思い、考えてみたら、色々と配慮・検討しないといけないことが少し見えてきました。
でも、1年間の出版物を改めて通覧してみると、別出版社で同じ時期にピンポイントな本が出たり、今年の情勢やブームなどが見えてきたり、面白いなぁと思いました。

前座予定がなんか長文になってしまいましたねぇ…
こっちもちょっとやりたかったなぁ…19日の官報号外であった改正望ましい基準。
(参考:『「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」が改正される』(http://current.ndl.go.jp/node/22557))
一通り目は通したけど…やれやれです。
年内間に合えば。

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徒然ならざる雑記

1年ぶりのブログ更新です。
もちろん、図書館から離れたわけでなく、粛々と(?)図書館業務に勤しんでいました。
著作権法の改正、津々浦々の図書館で起きた色々なこと、研修について、図書館の自由に関する宣言について、日常業務で思ったこと、もちろん先日無事に終った地獄の(?)ブックトーク月間とか、話題には事欠きませんが、書ききれる前に月日の方が進んでしまい、今に至っています。orz
なので、復帰1回目は、軽く近況報告から始めます。

まず、先日、かなり久しぶりに図書館総合展に参加してきました。初日だけですけど。
有楽町の東京国際フォーラムでやった最後の年だったので、8年くらい前だったでしょうか。
横浜はちょっと遠い感じなので、なかなか行く機会がなかったのですが、なんか変わったなぁって印象が強かったです。

前回からかなり日が経っていますし、私自身もそれなりに年を重ねていますからなのかもしれませんが、大学の学祭的な感じが増えたかなぁと。
それと、ブースは…「うちのここを見て行ってくださいよ」的な積極性が少なくなった感じも…

初日のフォーラム始まる直前の受付の混み様は大変でしたね、この大人数への対応であれでは、参加者が図書館関係者でなければ、揉め事が起きたんじゃないかと。
例えば、名刺ありの人と記入する人を分けるとか最後尾表示やフォーク式の行列にするとか、各フォーラム受付でも受付できるとか…

あと、感想は、前回よりあまり知り合いに会わなかったなぁ(顔見知りで同時間にいたけど会えなかった方もいましたし、知っていても会うのは初対面(?)な方には、人見知りが激しいので声をかけなかったからもあるんでしょうが)ってとこですかね。

それでも、参加したフォーラムは『図書館100連発-フツーの図書館にできること 』(http://www.ustream.tv/recorded/27151402)と『思いがけずシステム担当者になってしまったら -OPACをDIYで充実させる』の2つでしたが、講師の方から元気をもらった感じがしました。

次に、ブログ休止中に、『図書館の自由に関する宣言』に絡む事案のメールをいただきました。
ちょうどその頃、似たような案件が出たこともあり、深く考えることとなりました。

1.あまり図書館で収集されない図書は提供されないこともあるのか
2.図書館の自由に関する宣言の絶対度はどのくらいなのか
3.図書館は結局どういう施設なのか

ということについてです。
たぶん、これだけ書くと、

A1.提供されないことはあり得ない!
A2.図書館司書たるもの絶対順守!
A3.国民の知る権利を保障する機関!

なんて、回答が返ってくるのでしょうが。(笑)

実際には相互貸借されなかった資料もあるし、取り寄せ利用者実費負担だと買った方が安くなる場合もあるし、収集方針により購入見送りということも多々あります。
そして、私自身は『図書館の自由に関する宣言』は理想論ではあっても現実からかなり乖離しているなぁと感じていますから、私の1と2への回答は推して知るべしでしょう。
もちろん、貸出館で貴重書扱いなどであればなおさらですし、コミック系の相互貸借しない館も数多くありますけどね。

3については、「図書館は福祉機関なんだから、云々」とか「この本の内容はエグいのでYAコーナーに置くのは教育機関としていかがなものか」とか…まぁ、そういう時には「『図書館の自由に関する宣言』に…」とある種のダブルスタンダードだったりもしますが。

他の図書館の方々はどうなんでしょう?図書の所在が確認できれば必ず提供まで進めているのでしょうか…
もちろん、提供するまでの時間は問わないのであれば、そりゃあどうにかなりそうですけど。笑

自分の館では収集しないけど、相互貸借で借りられたら提供するとかも、ちょっとナンセンスな感じもしますしね…

最近は来年度の予算要求でドタバタやっていますが、行政事務側(財務とか首長とか)に『図書館の自由に関する宣言』を説いても、「業界団体の宣言ごときは云々」と一蹴されますし、「法的根拠がなければ云々」と資料費は大雑把に削られるは、司書だろうとなんだろうと異動対象にさせられるは、なかなか思うようにいかないことが多々あるので、図書館戦争じゃないですけど、宣言を図書館法に盛り込み、数値目標も明記して、司書有資格項目を追加して…と、図書館法を変えれば全ては解決するんですけどね。

もちろん、何でもかんでも法にするのはちょっと…とは思いますけど、v.s.財務課や人事課等をするのであれば、絶対に法的根拠がないと一蹴されるのがオチですからねぇ…
光を注ぐ交付金だって、大臣がどんな発言しようとも、上乗せではなく、付け替え(交付金分減額)したところも多数あるようですから(図書館がそういうのを望むわけがないですから)、なかなか大変なわけです。(そういや、付け替えした状況などの集計って出てませんよね?)

最後に、最近気になった話題は、本屋大賞ならぬ図書館職員による大賞をと以前から考えていて、他にも同じように考えておられる方もいたので、近々実現するかな?と思いながら月日は過ぎて行っていましたが、それに近いことをTRCの図書館スタッフでやってくれたことが、なんか第一歩という感じで良かったなぁと。(ただ、本屋大賞と違って2011年の出版物に対してなんだよなぁ…)
(参考:http://www.trc.co.jp/topics/e_ranking.html

個人的には、一括りで集計していたので、それぞれの分野から1冊ずつあげてください的な各分類同数程度集計とか9類を外す縛りとかが欲しかった(もちろん9類は9類ででも良いですけど)のと、児童書、絵本のランキングもあると良かったなぁと。
企画的にはとても良いと思うので、おそらく来年もパワーアップして開催されるとは思うんですけど、どうでしょう?

私もそういうのをやりたかった方の人なので、『もし私が各都市の図書館にアンケート用紙を送りつけたら回答どのくらい集まるかなぁ』と考えたり、『日図協とかでやってくれないかなぁ』と他人頼みをしてみたりしていましたが、例えばいっそTRC主催でも良いのではないかと思ってみたりもこれを見て思った次第。

時々、図書館関係の調査が大学の研究室経由で(卒論・修論用も含め)送られてくるけど、それは「研究だし」とか「後輩だし」とか意外と回答率が高かったりするのでしょうけど、一介の図書館屋の私なんかがなんとなくで調査したって…と思う今日この頃です。
まぁ、そこで根回しして動けるか動けないかで決まるっていえばそれまでなんでしょうけど。

それから、今なんとなく気になっていること。(箇条書きにて)

・神奈川県立図書館や埼玉県立図書館の統廃合
 どちらも耐震関係の名目なのですが、市町村立図書館と同じように直接貸出等をしてきた状態から館数も減り、どういう位置付けになるか…

・認定司書関連
 現在認定司書の人は(http://www.jla.or.jp/committees/nintei/nintei/tabid/210/Default.aspx)に載っているのですが、結局のところどうなんでしょうかねぇ…
 第1期認定審査で37名、第2期認定審査で15名ということらしいのですが、元の応募数は知りませんけど、3期は10人前後くらいになるでしょうか。もう少し減るかな?
 やはり、認定されたメリットが見えないですし、論文や講師もどうも似たような人たちで回っている感じがするので、そもそも10年居られるかも疑わしい現在ではねぇ…
 おそらく、今後は数人ずつといったところでしょうか。そうすると身近に認定司書がいて「あの人のように」とはならないだろうなぁと、第3期の応募状態が気になっています。

・U40 - Future Librarianの現在
 しばらく関心から外れていたら、結局どうなったのか不明のため。

・雑司ケ谷R.I.P.などが結局どうなったか
 6カ月経ったあととかの比較がどこかないかなぁと思ったけど見つからなかったので。

本日は、衆議院選挙の投票日ですねぇ、私はいつものように期日前投票だったのですが、ふと、数年前の『日本図書館協会、政党マニフェストの公立図書館での閲覧についての要請を提出』(http://current.ndl.go.jp/node/16410)ってのを思い出したんですけど、うちの館内にないなぁ…なんて。笑
解散総選挙だと、各党アンケートとか日図協はしないんですかねぇ…やはり日図協の動きが見えない…

そんな感じ(?)で、これからもどうぞよろしくお願いします。

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ブックトークをやってみよう

純粋な児童畑でない児童担当(もやっている)の私が、何の因果かいくつかの小学校でブックトークを8本やることになり、シナリオを8本作ることに…それも1カ月以内で。
もちろん、児童担当が長い人や純粋な児童畑の人であればスイスイ出来ちゃうのでしょうけど…と愚痴りながら通常業務後や合間に本選びとシナリオ作成。
やり方によっては、被っている学年は共通って方法もあるでしょうが、基本的にブックトークしたもの+その他その学年にあった資料を貸出することにしていましたから、基本的に8本全部別なものを作ることになりました。
また、学校によってはボランティア団体が定期的に読み聞かせをしているので、それとかぶらないように…等々色々な条件付きでの作成でした。

ということで、今回は、ブックトークを依頼された時の作り方的な事が書ければいいなぁと。
今回の対象は1年×1・2年×1・4年×2・5年×2・6年×2の8パターンで、各クラス数クラスずつという状況でした。
8本のテーマはそれぞれ『たね』『てがみ』『石』『しましま』『高い』『算数』『音楽』『図書館』(もちろん、テーマとして出すときは単語ではないですよ。)でした。
テーマを先に書きましたが、実際はテーマを決めてから作ったわけではありません。
今回は実験的なこともやれたのは収穫でしたが、実験された方は楽しめたかどうか…(笑)

さて、今回は『しましま』を例にどんな風に作ったかというと…
まず、小学校の授業は45分です。30~40分、可能であれば30分以内で終わるようなものを作ります。
もちろん予定なので、ゆっくり読んだりすると軽く40分になってしまいますし、特別教室などで実施することになっていれば、移動と挨拶などで5分は使えない状態ですし。

最初にキーになる本を決めます。
キーにする本は自分の好きな本かこれは外せない(最初にテーマありきだった場合など)本です。
『しましま』でキーになった本は『ストライプ』(後段参照)です。
インパクトもありますし、中身は考えさせられるものですので、お気に入りの1冊だったりします。

で、その切り口をどうするか考えます。
今回は素直に「しましま」ですんなり決まりましたが、「変身」「変化」のようなテーマにも使えますし、中身としては「周りの目に左右されない」「自分の気持ちに正直に」ですから、教訓型のブックトークにも使えます。
また、「マメ」だったり「新学期初日」とかでも良いですし、「食べる」とか「困った」とか、切り口はたくさんあります。

でも、実際はこの時点ではテーマは決めていません。(最初は「変身」にしようと思っていましたから…)

次に何と組み合わせるか考えます。
イメージ的には1点に引ける直線はたくさんあるのと同様に、もう1冊を決めると方向性が決まります。
で、それぞれの切り口に合いそうなものを何冊か集めます。
そんな時、スズメバチに襲われた児童や園児のニュースを見たため、「じゃあ、今回は『しましま』かなぁ?」となりました。

それで、オープニングで紹介する本は「スズメバチ」が出てくる本です。
そういうことで、ハチやスズメバチの本がありますけど、その中から、『虫から環境を考える 5』(後段参照)をチョイスしました。
最初の方に蜂の子が載っているので「食べる」テーマにも変更できそうですし。

テーマが決まったら、その直線状になる資料をどんどん集めます。
「しましま」な服を着た海賊でも、「しましま」な動物でも、「しましま」なものでも何でも良いので集めます。
で、この場合は4年生に行くことにしたので、その前後が主対象になっている本を選びます。
この時点では、思いつくままに抜いていきます。(おそらくすぐに10数冊にはなるでしょう。)

一般的でない(?)私の作り方としては、それらの中から次のようなものを頭に入れて抜いていきます。
(1)キーになる本
(2)科学の本
(3)伝統的な本
(4)読み物系
(5)+1学年な本
(6)-1学年な本

まず、(1)はそのブックトークの中核を成す図書。
自分の熱弁をふるえそうな、その本であればどんな切り口でもわかるような本です。
思い入れがありすぎて、他が霞むのはいけませんから、ほどほどに…ですが、真ん中より後ろで紹介する、可能であれば最後付近で紹介するものです。

次に(2)。
ブックトークは、何も読み物ばかり(学校の先生は往々にして読み物を要求することが多いのですが)でありません。
読むのや文学が苦手という子もいますし。
「へぇ~」って思えることがあると話を気にしてくれますし。

で、私個人的に当面の問題の(3)。
児童畑の担当者がよく言う「長い間読み継がれている本」いわゆる「良書」と呼ばれるものです。(私は児童書は選択肢多数型と思っていますから…(たぶん、児童畑の人と堂々巡りな話になります。))
これらの中から選ぶのは色々な本で紹介されているので簡単なのですが、実際には困ったことがありまして…

ブックトークは基本的に、あまり普段は手に取られない素敵な資料を紹介するというのが目的です。
もちろん、「良書」と位置付けられた伝統的な本は、図書館の児童担当者に尋ねれば、紹介されるし、おはなしのろうそく系の読み聞かせ団体でもよく紹介されます。
悪くはないのは私も認めますので、あることは当たり前で良いと思います。
でも、そういう団体さんや児童担当者の活動が活発であればあるほど、そこの小学校で知っている子の率が上がります。

確かに、全員が知らない本を探すのは難しいです。図書館を利用したことのない子ばかりであれば別ですが。
出した時に「あ~知ってる~!」って言う子もいます。多くなければ「じゃあ、内容やオチは内緒だよ」って続けますし、多ければ「知っている人が多いけど知らない人のためにあらすじだけ紹介します」と読み聞かせから急きょ変更するパターンもありです。
でも、つい朝に読まれたかどうかがわからないことがあります。
図書館でおはなし会などをしているグループとは交流はありますが、学校オンリーの場合は全く知らされていないこともあったりします。

(4),(5),(6)はほとんど読み物(になってしまう…)なのですが、4年生であれば、3年生が読むようなもの1冊と5年生で読みそうなもの1冊を考えて入れることによって、読む量が少ない子や多い子にも対応しようということです。
で、その分類に合うように集めた資料を分けてみます。

続いての作業は『+1のつながりを見つける』です。
もちろん、今の例であれば『しましま』というキーは全部の資料に含まれますが、他の括りができないか考えます。
例えば、蜂のしましま→女王蜂→女王とか、「○○つながりで」と話せるようなものがあるといいなぁレベルですけどね。
それがあると、トークの繋ぎがうまくいきます。
もちろんつなぎ言葉はあるに越したことがないですが、なきゃないでどうにかなります。
実際にはうまくピースがはまるが如くってことはテーマを絞ると少なくなり、今回はちょっと失敗でしたが、以前書いた拙エントリーのは思ったように繋がりましたね…。

それから、繋ぎ方を考えて抜いたり入れたり組み替えたりしていきます。
基本的に前から後ろに繋がるものは後ろから前にも繋がります。
なので、後ろで繋がらなくなったら前にしちゃうとかで大丈夫です。

抜いたのはその回には使えませんが、学年を変える時とか違うテーマでやるときに取っておくことができるので、どこかにメモっておくと後で参考になります。
今回は8本同時進行だったので、「○○」のために抜いて来たけど、「△△」で使ったというのもあります。
例えば、『海賊の大パーティ』。当初、海賊ということでこの「しましま」に入れようと思ったのですが、うまく繋がらなかったので、「図書館」テーマに入りました。
というのも、2編あるんですよね、この本。「図書館」テーマでは6年生ということもあり、震災関係も盛り込んだので、これはお話、でも現実は…的な部分で使用しました。

で、おおよその話の流れを決めます。
私の場合、だいたいこの時にじっくり読みます。
この時点で入れ替えられてしまう図書もありますが、じっくり読むことによって、別の道が開けることもあります。
イメージ的には、色々な切り口でのネットワークが可能になるような感じです。

それから、時間に合わせて、どのページ(次に繋がりがあるものがあればそのシーン・写真は欠かせません)を紹介するのか、どのように(あらすじ紹介か絵をパラパラとするのか全部読むのか)紹介するのか紹介方法を決めます。
挿絵とかがあれば、見せながら紹介するというのなどはわかるでしょうが、高学年になるにしたがって、「紹介したい部分に挿絵がない!」って事態も出てきます。
そういう時は会話文を中心に…でしょうかね。
それで、流れを決め、シナリオを作成します。

・導入でスズメバチのニュースの話。
この時期にそういうニュースが流れるのにはちゃんと理由があります…

・『虫から環境を考える 5』 偕成社


蜂の子の食べる話をしたら、「え~っ!」が多かったです。日常的に食べる地域ではないですが、知らないことに逆にびっくりでした。

・『クモ』 今森 光彦/文・写真 アリス館


虫嫌いの人には「うわっ」って感じですが、節足動物(笑)繋がりで…予想通り男子は興味を持ってくれたみたい。

・くいしんぼうシマウマ ムウェニエ・ハディシ/文 西村書店


繋がりは動物ってくらいしかないけど、こちらは「しましま」から普通に想像される動物ということで、シマウマの話。
あらすじで説明し、最後の手前で「しましまの毛皮があったわけでないよ…」と興味を惹かせて次へ。

・クマは「クマッ」となく?! 熊谷 さとし/著 偕成社


シマウマ繋がりで、シマウマは黒地に白いしましまなのか白地に黒いしましまなのかの質問。
シマウマの写真を使って説明。
ついでに、この本には、縦縞と横縞の説明があるので、トラは縦縞?横縞?
という質問を投げかけ、説明。

・ウェン王子とトラ チェン ジャンホン/作・絵 徳間書店


他に「しましま」な動物という哺乳類つながりで、トラです。
もちろん、直前に縞の説明しましたしね。
これは読み聞かせで全部読んでみました。

・トラねこマーチンねずみをかう D.キング=スミス/作 あかね書房


トラねこということで、トラ模様繋がりですかね…
「この主人公のトラねこのマーチンはねずみが好きなんです!」って言ったら、予想通り苦笑。
マーチンがねずみを飼いたい理由のあたりを読んで、あとはあらすじで途中までの説明しました。

・月夜のバス 杉 みき子/作 偕成社


・小さな町の風景 杉 みき子/著 偕成社


それから、場を落ち着かせるためもあり、詩的なお話。
月夜のバスを読んで(ちょっと読みにくい部分もあったけど)、2冊同時に紹介しました。
もちろん「しましま」というのは、月夜のバスの横断歩道です。笑

・ストライプ デヴィッド・シャノン/文と絵 セーラー出版


落ち着いたところで、途中まで読み聞かせです。
「このあとどうなったでしょう?」的な質問を投げかけておしまいです。
終わったらこの本に殺到していたので、非常に興味を持ってくれたんでしょうね。

実際には、こんな流れでトークが長くなり、40数分かかったのですが、盛況のうちに終わらせることができました。
このテーマのが最後の回だったので、終わりよければ全て良しです。笑

裏のテーマとして「他と同じじゃなくて良いんだよ」というテーマ性を持たせようとしたのですが…今回はまぁまぁかな。

<今回特に印象に残ったもの。>
『たくさんのふしぎ 2010年1月号』福音館書店


内容を紹介したら子供の目が輝いていた感じでした。早く図書にならないかなぁ…

『ワシとミソサザイ』ジェーン グドール/作 さえら書房


内容はよくあるような話ですが、絵が良かったのか、興味を持つ子が多かった感じです。

『月のしかえし』ジョーン エイキン/作 徳間書店


実は以前の「7」をテーマにした時に見つけた本の1つ。読み聞かせにはちょっと長いし、学年も上の方の感じだったので、今回紹介出来て良かったなぁと。
『算数の呪い』ジョン・シェスカ/作 小峰書店


この本、主人公の切羽詰まった感を出すために少々早口で読んだのですが、一気に読む感じなので、1クラス目でかなり体力消耗したなぁ…(同じブックトークを連続して2~3クラスやりますので。)

ということで、トーネコ的ブックトークシナリオ作りのまとめ。

1.キーとなる本を決める。
 基本的に自分の好きな本。絵本数冊と読み物数冊あれば多少学年がずれていても対応できます。

2.キーとなる本の切り口を色々決めておく。
 切り口が多ければ多いほど後が楽。

3.時事等とキーとなる本を組み合わせてテーマを決める。
 あくまで仮テーマ。集まる本によってはテーマを変えたっていい。
 時事等は、最近のニュースの他、教科で習ったものに絡めたり、最悪、服装や見た景色・思い出などでも。
 今回は東京スカイツリーとか○○の秋とか導入は色々でした。

4.導入紹介の本を決める。
 探し方は、フリーワード検索、件名での上位語・下位語でヒットしたもののうち気楽に紹介できそうなもの。

5.導入紹介の本とキーとなる本の直線状にある本を集める。
 この時は思いついたもの、検索したものなど何でも。
 そして、
 (1)キーになる本
 (2)科学の本
 (3)伝統的な本
 (4)読み物系
 (5)+1学年な本
 (6)-1学年な本
 に分けて考える。

6.テーマ+1のつながりを見つける。
 それぞれの本でテーマの切り口以外の切り口を見つければ今後の作成も楽です。

7.繋げて色々並べて流れを決める。
 盛り上がりは後半から最後が良いかと。
 ここでどんどん削っていくのですが、削ったものも別の機会に活用できるようにメモ推奨。

8.周辺情報を調べてみる。
 写真の見栄えが良い本や著者の略歴・作品などに目を通す。

9.シナリオとして文字にしてみる。
 (読み聞かせ分も全文字化した文字数÷400×2+5)分くらいで概算。
 大体6~10冊紹介できるけど、1コマ(45分)でなら6~7冊が無難。

10.開くページに付箋を貼って練習する。
 以外に、ページをめくるとか、読み聞かせの間とか、質問と回答の間とかで予定通りにできないもの。
 シナリオは覚えた方が良いけど、覚えてなくても、焦らない。だって、児童の反応を無視して淡々とシナリオしゃべってもつまらないですし。
 不測の事態(子供の歓声がやまない。会場に遅れてくる。先生の紹介が長い。)も頭に入れておく。

  
11.調整して、準備万端になったら本番。
 会場やその日の流れを確認した方が良いかと。

最後に色々思ったことや感じたこと。
・大変になることはわかっていたのですが、学校の希望通りの日程でブックトークを入れてしまったことと、各学校で場所がまちまちだったので、例えば移動教室で児童が来るまで待ちぼうけだったり、重い本の入ったオリコンをかついで3往復しないといけなかったり、その辺の学校との調整は密にすれば良かったなぁと。(来年度はもし依頼があっても詰め込みたくないなぁ…)

・私のブックトークはフリップを利用するのが多いのですが、それにプラスした小物の準備が間に合わなかった(変わったハガキとか、写真を撮ってくるとか)部分もあったり、実験的にCDを流すことをブックトーク内に埋め込んだら、流れるまでの数秒の間が直前までノンストップでしゃべっていたせいで異様に長く感じました。(ブックトーク後半に使用したので、最初に一時停止していてもそれが解除されてしまって…)

・基本的に私が作るブックトークはあまり汎用性がありませんので、いつでも使えそうなものをいくつか用意しておくと、今回のような状況に陥らなくても良かったかなぁと。(まぁ、今回のをベースに改良していけば良いことでしょうが。)

・あらすじの紹介をする場合、挿絵がほとんどないとき、ポイント押さえれば良いようですが、どうもそれだとただの「本やお話の紹介」であって「ブックトーク」と言えないような気分。(なので会話文とか読むとか試行錯誤していますが…う~ん。いわゆるストーリーテリングものを紹介する場合で、時間の関係でストーリーテリングしない時なんか特に。)

・児童書のレーティング(?)は欲しいところなのですが、児童畑の人が考えているレベルと実際の子供達のレベルは違うように感じました。(もちろん個人差が大きいですけど…)

・高学年になるほど、会話のやりとりを含めたブックトークが有効なような気がしました。

・クラスによって反応は違うんだけど、笑う所は笑って欲しいなぁ…騒がずちゃんと聞くようにという指導なのかもしれないけど、噛み殺した笑いがちょっと切ない感じでしたし。

・児童畑の人は困った時に頼りになるんだけど、もう少し新しめの本も教えて欲しいなぁ…

・Googleはやはり色々と組み合わせて検索できるから便利。でも、「おっ」と思った図書に限って自館になかったりする…笑

・色々な人のブックトークのブログとかを見ていましたが、レファ協みたいにシナリオ込みでアップする場所があると便利かなぁ…と。(楽したいわけでなくてね(笑))

・私のブックトークが正統派(?)のブックトークにならないのはおそらくバックボーンに知識のストックがないことなんだろうなぁ…と少々反省。

・大変だったけど、「この本をこっちのテーマでやってみたい」とか思えるようになったのは一歩前進?笑

今回ブックトークの作り方をテーマに書いてみましたが、児童畑の担当者からすれば、まだまだな選択方法だと思いますが、確かに同じ図書館員でもプロとセミプロもしくはアマくらいの差はありますよね…
ただ、広く深く関わることができれば申し分ないのですが、このご時勢、そうもいかなくボランティアさん任せになっていたりしている図書館も少なくないと思います。
なので、これを読んで「やれそう」とか「ものは試し」とブックトークをやってみようとする職員が増えるといいなぁと思います。

最初は色々あるブックトーク本のシナリオ通りにやってみる。
次にその中の1冊を変えてやってみる。
もう1冊変えてみる。
ということを何回かやってみれば、ブックトークのイメージを作ることができると思います。

基本的にブックトークは場数だと思いますし、紹介する本を読み、文字にしたシナリオを確認すればなんとかやれるのではないでしょうか…
切り口の多様性とジャンルの広がりを持たせるのはその後かなぁ?

ということで、児童畑の人ならば教える立場でしょうが、私だとまだまだ教えられる立場なのでアドバイスになっていないかもしれませんが、学校などへの『出前ブックトーク』みなさんもいかがですか?

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図書館の統計は難しい

今、ちょっと気になっているのは『貸出冊数を虚偽報告  15年間で89万冊水増しか 横芝光町立図書館の元職員』(http://www.chibanippo.co.jp/news/chiba/local_kiji.php?i=nesp1316227995)の記事。
私はもちろん部外者なので、この件に関しては憶測の域を出ませんが、15年で89万冊ですか…月平均5000冊?
というか、統計をコンスタントにいじるのはなかなか難しいと思うんですが…
というか、この記事、これだけ見た人に誤解を与えるような感じがしますけど、何とも言えないけど、なんか変だよね。

話は今の議会中のことのようですが、過去に統計の話がないかと思って、横芝光町の議会会議録を見ると、

・平成19年12月議会の会議録の記述
 4月から11月までの入館者数が17万4,239人、貸出数46万3,959冊
 ほぼ前年並み

・平成20年度12月議会の会議録の記述
 4月から10月までの開館日数が179日間、入館者数14万75人
 年間295日間開館

・平成21年度12月議会の会議録の記述
 4月から10月末入館者数14万3,359人、貸出数44万7,784冊

・平成22年度6月議会の会議録の記述
 平成21年度の総入館者数は22万3,290人、貸出数66万8,826冊

・平成22年9月議会の会議録の記述
 7月末の入館者数7万3,286人、貸出数13万8,267冊
 前年比、入館者数6%、貸出数46%減
 コンピュータ入力に誤りがあった

との記述があります。

で、記事に戻ると
09年度、つまり平成21年度の一般書と児童書を合わせると52万2千冊以上は貸出され、
10年度、平成22年度は一般書と児童書を合わせると24万3千冊以上が貸出されたってこと。

もう少し整理して記述すると、
平成19年12月、つまり、19年度は月平均6万6,280冊、2万4,891人
平成20年12月、つまり、20年度は貸出数は記述されていないけど、2万3,346人
平成21年12月、つまり、21年度は月平均7万4,630冊、2万3,893人
平成22年6月では、21年度の総計なので先ほどとの差を考えると
668,826-447,784=221,042冊なので、11月~3月は月平均3万6,840冊
223,290-143,359=79,931人なので、11月~3月は13,321人

ん?
確かに多くの図書館で7~8月を山にした利用統計グラフが出来るけど、それにしても月平均違い過ぎない?
それに、記事は一般書と児童書だから、それ以外が14万6千冊…(雑誌やAV資料とかでしょうが)

平成22年9月、つまり、22年度は月平均3万4,567冊、1万8,658人
んん?この値はさっきの数字に近いよね。

ということは平成21年の11月からは正常値って理解でOKでしょうか??

一方、Webで掲載されているのを確認すると…

それぞれ、個人貸出
合計と団体貸出を含めた合計。
平成6年度 99,369 99,369
平成7年度 309,605 309,605
平成8年度 342,493 342,493
平成9年度 405,466 405,466
平成10年度 425,402 425,402
平成11年度 422,717 422,717
平成12年度 476,577 476,577
平成13年度 487,654 487,654
平成14年度 530,007 530,007
平成15年度 564,704 564,704
平成16年度?
平成17年度?
平成18年度 558,488 638,799
平成19年度 587,357 672,209
平成20年度 609,806 730,431

ただ、平成19年度は最後にまとめがあるのですが、
この年度の集計だと588,492 673,344で1,000プラスで違う。
同様に平成20年度も606,550 727,175で3,000マイナスで違う。
なので、平成21年度の途中で統計を見失っているのですが、貸出数約67万というのは団体を含めた数かな?

前述のように私は部外者ですから、客観的にわかる感じのする部分はここまでですかねぇ…
(それに、気になったのでざっと計算したので、それこそ数値の入力ミスや計算ミスもあるだろうし。)

ただ、確か平成22年4月からカウンター業務委託(9.20.訂正)になったんですよね。
で、ここからは推測の域を出ませんが、この記事の疑問に思うことは…

1.統計の出し方が違ったんじゃないか
仮に、今まで色々と熱心だった職員がいたのに、窓口部門が(9.20.訂正)変わったからといって、46%減するでしょうか?
いや、確かにしないこともないですが、明らかにサービスが低下したとしても、それまで培ってきた図書館の利用者から見て、46%減になるほどであれば、「悪くなったねぇ」って声がかなり聞こえてきそうな感じもします。
でも、人がいなくなったのではなく、入館者数は6%減なので、今までは20冊借りていたけど、10冊しか借りなくなったというパターンが考えられること。
新刊の借りられる率はおそらくどの館であっても、高いでしょうから、新刊を買わなくなったとか、受入した資料数を見直してみると謎が解けるかもしれません。
業者任せにしないで、町民の声を聞いてみてからでも遅くはないかと…
というか、平成22年度の6月議会前に4~5月の利用統計って報告されていますよね?
委託業務をしているのなら、特に。(9.20.訂正)
その時点で気付くでしょ?21年度の統計値が変なら。

2.15年も統計を騙すのは難しいのでは?
図書館要覧とか、様々統計は取られているはずですし、突然、「これこれの統計を」といわれることも多々ありますが、その時にもばれないようにするためには、日々の貸出記録に数百冊貸出処理をしないといけない計算になります。
いくらなんでも、そんな作業はしないでしょ?
それだけやるバイトでも雇ったり、サーバでプログラムを書き加えたりしない限り、どこかでボロが出ますよね?
でないとすると、議事録の『コンピュータ入力に誤りがあった』になるのですが、例えば、貸出数の統計をシステムの帳票を添付しないでエクセルに打ち変えて起案するでしょうか?
百歩譲って起案しないとしても、館長とか教育委員会とかで会議するときに使う資料で帳票の根拠を全く示さないで、数字だけっていうのは非常にナンセンスなので、無理のない予想となると前述のようになります。

いや、それに、平成22年9月の議会での議論が今再び再燃?っていうのも疑問がありますし、「コンピュータ入力ミス」って表現がやっぱり変だなぁと。貸出統計とかをシステム帳票ではなく、どこかに毎日入力するってことかねぇ?

なんか、その職員の方(あえてそう呼びますが)のせいにして、何かを隠そうというウラがあるような可能性もありますし、ちょっと悪意のある書き方だなぁと記事を見て思いました。
だって、その方の発言とか実際の行動を見ていたら、熱入りすぎってくらい図書館業務に積極的で真剣ですもの。
知らない人が見たら、「某所の入場者数水増し疑惑のようなものか?」って思いますもの。そんなことするメリットないですし。

そもそも、貸出数が増えたら、職員増加するようなご時勢でもないでしょうし…そういう自治体だったのでしょうか?例えば貸出数5万件につきスタッフ1人増とか…
もし、それなら、私は毎日読みもしない資料を借りては返すのをスタッフ総出でやってもらうけどな(ついでに利用者にも「借りて持って帰らなくてよいですから、借りたことにしてください」って)…笑

さてさて、この話は部外者の私にとっては経緯を見守りたい記事なので、エントリーに含ませておいて、これ以上書けませんが、「図書館での統計作業って意外と奥が深かったりするんですよ。」って今日の話の本題にはもってこいだったので、取り上げさせてもらいました。

図書館は今や情報システムは欠かすことが出来ないものですが、これが統計にはちょっとやっかいなんです。
というのも、5月頃、日本図書館協会からの新年度の体制と前年度の利用統計の調査に合わせて県からも同じような調査依頼があります。
当県だけなのか、他の都道府県でも同じかどうかわかりませんが、これが微妙に違うので、毎年のことながら、苦心します。

例えば、蔵書数や貸出数で、いわゆる一般書、児童書はもちろんなんですが、雑誌は含むのか否か、AV資料は含むのか否かという資料区分による違いや、利用者は団体を含むのか相互貸借の図書館を含むのかということも少しずつ違ったりします。

また、貸出数では利用者の自治体内数なのか、全数なのかということが違ったりしますし、利用者数や登録者数も、過去1年以内の有効数かただの登録者数かで変わったりしています。

5月の調査は毎年のことなので、何も変わらなければなんとかなりますが、システムが変更になった場合や統計の取り方が変わった場合は、要注意になります。

例えば継続貸出。
システムやその設定ににもよりますが、継続貸出をすると1貸出となるものも今は少なくありません。
もちろん、同様に図書館によっては利用者が持ってきて「またこれを借りたい」と言われた時に予約などがなければ、返却処理をしてまた貸出処理をする館もありますから、整合性的にOKでしょう。
でも、「継続なんだからカウントしなくてもいいんじゃない?」って考える人もいますし、急に貸出数が増えた(減った)原因を調べたらそのせいだったってこともあるようです。

それに類似して、とあるシステムだと、Web操作の履歴や統計が取れるように、最初から独立館の如くWebというのが設定されている場合がありますが、それが意外に問題だったりします。
というのも、Web上継続貸出をすると貸出数として同じように1カウントされる上に、1件につき利用者1人分カウントアップっていう仕様らしいです。
(つまりある利用者が10冊の継続貸出をしようとしたら、貸出数10プラスに加え、利用者数もプラス10人…っておいおい。)
大抵の統計はWeb館って設置条例でもあればともかく、システム上の分け方ですから、基本的には設置されている図書館の統計となります。
が、この場合、Webでの貸出数を無視するかというと、予約数の統計には今ならWebでの予約数が入るから、やっぱり入れないといけなくて、じゃあ、複数館ある場合はどこに入れるかとか…(サーバのある中心館?)
そんな感じでやっかいだったりします。

また、統計の取り方の問題は、それだけでなく、システム設計の段階から実際には問題になることもあって、図書と雑誌の区分を分けていなかったり、AV資料を一緒くたにしたりはかわいい方で、利用者区分がすべて個人利用者扱いだったりしますから、そうなると、1件ずつ当たらないといけない羽目になることも…

他にも、大きな調査でないとしても、例えばお隣の自治体から、「どのくらいそちらを利用させてもらっているのか知りたいので、うちの利用者数と貸出数を出して」と言われても、システム上利用者の区分が自治体内&自治体外だけだったりすると、無理だったりしますし…
年齢区分を例えば10歳ずつ区切っていたら、「未就学児の統計を出して」とか、「中学生の利用統計を出して」とか言われて、これも無理です的で…(逆もある。年齢区切りを学齢にしたら、グラフを作ると19歳~22歳で区切るか以降のことを考えて20~29歳のような区分にするか…と、19歳だけどうするか…とか問題もあったりします)

いくら熟考して様々な区分を考えても、普段使うには煩雑になったり、イレギュラーな事態が発生したりします。
例えば、自治体内図書館での資料の貸し借りは基本的には回送にまわすだけで良いのですが、実際に行事などで借りておきたいときは貸出中にしなきゃいけないので、図書館名義の利用者番号を作ったりするのですが、それの貸出や予約は区分は団体?相互貸借?ってことや、未登録者の予約や登録可能ではないので登録しないけど特例で貸す人が出てきたり、カセットテープは収集しない予定なので区分は作らなかったが、郷土資料で使えそうなカセットテープをもらった時の媒体の区分だったり、紙芝居枠などの貸出管理をするための資料統計には含まれない貸出が必要になったり…
確かに熟考が足りなかったのかもしれませんが、時代が変わって電子書籍はシステム上図書扱いできるかとかなども含めて色々なことが起き得ます。

実際には、システムデフォルトの統計帳票だと必要な統計を取りにくいので、データベースから直接SQLなどで抽出しなきゃいけないことがあったりするものもあるようですし、かゆいところに手が届くような統計帳票を持つシステムはなさげですからねぇ…

統計の取り方によって、外部に出す数値がころころ違ったり、システムの設定によって、取れる統計と取れない統計が出てくるのは、統計数値を心もとないものにしている原因のいくつかですが、それに加えて、除籍作業も問題があったりします。
除籍されたというデータが残っているうちはその情報も統計情報に含まれているのですが、あまりに使わない情報を残しておくと検索時間などシステムの負荷になることもあるので、よくSEに不要情報の物理削除を薦められます。
で、物理削除すると、実は過去の統計情報もなかったことになるシステムもあったりするので、なかなか恐ろしいことになります。
例えば年度更新で数年利用しなかった人を除籍し、個人情報なので物理的にも情報を削除するとその利用者が数年前利用したことすら存在しなくなるので、数年前の統計を突然「過去10年の推移を知りたい」と言われた時など、当時と値が違うってこともあります。
(だからといって、幽霊登録者が増えに増えて、自治体人口より多くなったらそれもまたねぇ…笑)

という感じで、私も一応ずっとシステム担当ですから、統計に悩まされること多々です。
デフォルトの帳票だと、「この統計は期間指定できるけど、こっちはできない」とか、「これとこれの組み合わせの統計は抽出できない」とかよくある話で、SQLを使ってもそもそもシステムで最初からない情報は取れないですからねぇ…ほんと苦労します。
昨年度の統計ではシステム更新があったので、数値の合わない理由を探すのが一苦労でした。
多くはイレギュラー利用や新機能のせいだったのですが、それこそコピー枚数の入力場所に入館者数を入力してしまっていたり、統計を出力する前に別の人が物理削除してしまったり、利用者登録の区部を間違っていたり…という人為的なミスのせいってこともありますし、後からの修正は統計に反映されない部分とされてしまう部分の数値の整合性がつかなかったりしたためです。

ということで、日図協とシステムベンダーさんに統計について今後お願いしたいことは、次のとおり。

・毎年取る統計について、日図協の号令のもとで、システムベンダーさんにワンクリックで出力される様式化を進めてください。

そうすることによって、年度初めの忙しいときに面倒なことをしなくて済むメリットがありますし、新任シス担を無駄に悩ませないで済みます。
また、その様式の仕様が区分の目安にもなりますし、どの館からも同じ条件で抽出されるので、比較しやすいでしょう。
可能であれば、都道府県独自の統計も調べて、過去のデータと整合性を取れるようなものになるともっといいかもしれませんね。

・統計情報の帳票はありとあらゆる出力が可能なような柔軟なシステムを作ってください。

システムがブラックボックスになっていることも多々ありますが、大抵は色々とフラグはあると思いますので、それらを色々な条件で抽出できるようになると、とても楽になります。
せっかくの業務軽減のためのシステムが統計においては負担になることも多くありますし。
可能であれば、SQLに対して素人の人でもわかるように、SQL文を打たなくても、例えば「この期間のこんな条件に当てはまる利用者のこの分類の貸出数」とかプルダウンリストなどでフラグを引っ張ってこれるようにとか、わかりやすい形のプログラムが欲しいです。

まぁ、この辺は実際に各図書館員が声を上げてくれないと、私がSEさんなどに言っていても、「いやぁ~そういう声初めて聞きました」ってよく言われますし。
(やっぱり図書館におけるシステム担当者会って必要だよな…)

ということで、前段が前段だけに長くなりましたが、長くなったついでに、最後にいくつか統計にまつわる話。
・とある図書館の統計、よく見ると『自治体内利用者<自治体外利用者』になっている…広域利用のせいなのだけど、よく議会などでツッコミ入らないなぁ…って思います。提出する利用統計で全数表示とかなんだろうか?ついでのついでだけど、登録者率100%を超える値になっている理由は広域利用者なんだけど、そもそも自治体内人口で割り算するのはおかしくない?
・とある利用者(子供)、絵本を1冊借りて、館内で読んで、返すついでにまた借りるを何回も繰り返していたので後でその日の統計を確認したら、年齢別利用者数に偏りが…笑
・とある図書館のレファレンス統計、前年度比数百%ってどれだけ多くなったんだ?って思って聞いたら、レファレンスの定義を改めたってことに加えて、何か問い合わせがあったらカウンターの紙に正の字を書くようにしたんだと。確かに簡単なレファレンスや問い合わせだと記録するの忘れるからなぁ…
・自館での話。所蔵資料の絵本の作者の統計を取ったら、圧倒的に五味太郎さん!そんなに偏って買っているつもりはないけどなぁ…絵本扱いの資料として元々多作な五味さんのが多いってことだけなのかな?(この統計、レオ・レオニとレオ=レオニとか漢字氏名とかな氏名の著者の整合性をするための直しが面倒でした。)

それにしても、システムから出るある統計値、時々原因不明な増減あるんだけど、SEさんに聞いても「う~ん?」で解決しないのはもやもやだなぁ…

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光そそがれない交付金再び

以前に引き続き、今年度も光そそがれる交付金が出されるという怪文書(笑)…じゃなくて、連絡のFAXが某T社(笑)から届きました。

で、それが本当であるのなら、首長や財務担当者によって悩まされる図書館が出てくるでしょうね。
私はそういう図書館にとっては「『光そそがれない交付金』だな」と勝手に呼ばせてもらっているのですが…

前回は次のような図書館が見られるという話を書きました。

財務担当:「喜べ、交付金が出るらしいから、うちでもらう分は俺たちが調整してやるから」
図書館 :「いくらもらえるかなぁ…ドキドキ」
財務担当:「図書館には●●●万円付けることにしたぞ」
図書館 :「え~そんなに~☆」
財務担当:「まぁ、来年度に繰り越せるので手続きが必要だけどな」
図書館 :「それだけもらえるのなら…」
財務担当:「ただ、●●●万円分、通常予算からは来年度の予算を減らしたけどな」
図書館 :「えっ…」
財務担当:「せっかくの交付金だから、何か「こういう資料を買いました」的なものをよろしくな」
図書館 :「ええ~っ!」
財務担当:「合計予算額が減らなかっただけ良かったじゃないか」
図書館 :「…。ところで、来年度は元に戻りますよね?予算。」
財務担当:「まぁ、臨時の交付金だから戻るとは思うよ」
図書館 :「いや、思うだけって…はぁ~orz」

…と、勝手に会話調にしましたが…笑
光をそそぐためには、通常予算にプラスして予算付けされるからこそなのですが、上記のような図書館の場合、交付金を合わせても通常予算程度にしかならず、目玉商品を無理に買う必要があるので、通常年度より通常資料が買えない事態に。
そんな図書館があることはネットワークの広い某T社をはじめ、日図協や各都道府県立図書館なども把握しているようなんですが、日図協などで緊急調査などもなく…

もちろん、首長や図書館主導のもと、通常予算に普通にプラスされている図書館だって多いですし、一部調査では交付金で何を購入したかとか事業をやったかとかは調べられているようなのですが…
たぶん例に挙げた図書館だって、そういう調査では「その目玉商品を購入しました(泣)」って回答するでしょう。
なので、大々的に調査はやってもらいたいですが、調査項目に通常予算にプラスされたか、交付金分減されたかの項目はあってほしいものです。そして、公開してもらいたいです。(それによって図書館への力の入れ具合がわかるじゃないですか)
で、前回は次年度送りができなくすれば…と書いたのですが、ある人から、「いや、たぶん、そういうとこだと、『今年度増やした分資料が多く買えたから、減らしていいよね?』って笑顔で財務担当に言われるんじゃない?」って言われ、妙に納得してしまいました。

今、地方自治体では議会の真っただ中だと思われますが、おそらくそれに気付いてそんな図書館を助けてあげよう的な人はいないでしょう。たぶん、今回も。

そんな感じの記述が前回。

そんな悲しい状況を打破するためには、そういうことをしないようにと国から通達するのが一番なのですが、今の情勢では無理。
他に、その手の記事を大々的に宣伝するというのもありだと思いますが、図書館の中の人だと、匿名記事でない限り、ちょっと怖いものがありますし、個人レベルでは記事の大きさも知れています。(まぁ、日図協がコメント出しても大きな記事にはならないでしょうけど。)
首長に日図協から文書?効果0だな。(NDLの書誌データ無料ダウンロードには早々と説明を求められたけどさ。)
前述のような調査結果を公表するってのはいけると思うのですが、逆に「そういうのもありなのか、今度はうちも」って藪蛇も怖いなぁ…

いや、もちろん、片山前大臣が8月に次のようなことをおっしゃっていたようですが…
『確かに交付金を事業に充てたことにはなっているけれども、その分を、その充てた分を翌年度の当初予算から削るとかですね、結局、2か年度を見てみたら、全然金額は増えていないというような、そういう自治体もあると聞いておりまして、結局、それはそういう自治体の場合には、当方が目指した、期待した効果が必ずしも上がっていない。その交付金を使って事業をやったことになっているけれども、翌年度のそれに、本来ならば毎年投入されていた予算が削られているということになれば、結局、プラス・マイナス・ゼロでしかないのではないかと、こういうところもありまして、これは、非常に、こんな使い方というのは残念』(http://www.soumu.go.jp/menu_news/kaiken/48265.html より)
この部分はもうちょっと大々的にニュースになってくれれば、多少は変わったかもしれませんが、『残念』『もっと真摯に汲んでいただいて』だけだとやっぱり弱いですかねぇ…「指導」とかになれば別ですが。たぶん、この部分はそういう方式の自治体はスルーだろうな…(不利な事(発言や通知)は、なかったことにしそうだし。)
ただ、内閣が変わったので、『皆さんに情報資料として、後刻、提供を申し上げたいと思います。 』って資料も出てくるかどうかあやしい感じもしますし…

もし、その意思が引き継がれていたのなら、首長や財務担当宛てに文書を送ってもらいたいものですね。

今年度の住民生活に光をそそぐ交付金は、果たして、前回悲しくなった図書館にも光が注がれるでしょうか?

さてさて、この交付金が無事プラスに付いた図書館はどのようなことに使ったのでしょうかねぇ?

その多くは資料の購入でしょうけど…
一概に資料と言っても、地元学校への支援的に調べ学習用の資料を購入したり、年配の方のために大活字本を購入したり、『○○支援』的にビジネス書・子育てに関する本・病気に関する本などを購入したり、視聴覚資料や参考資料、全集など普段買えない資料を購入したり…と、各館の思惑で様々違うと思うのですが、どうも注文しても出版者品切れで購入できない事が多かったから、もしかすると児童書の購入が一番かぶったかも…と思ったりしています。
他にも「に基づく地域づくり」の整備として、図書館情報システムや電子書籍貸出システムなど導入経費の足しやコンピュータ化などもできそうですが、その後のランニングコストを考えると、この手のは数は少なさそうです。
あとは、貴重資料などがあれば、資料の電子化などもやっているところあるかなぁ?
基本的に外部データベースの利用などランニングコストのかかるのは、やろうとしていた所以外ないかも…
なので、資料、機器、書架類などの購入と今まで修理しようと思ってもできなかった施設の修繕ぐらいが聞いた中では多いでしょうかね。
私は、「いっぱいもらえるんなら、書庫増設してほしいなぁ…」って言ってみたけど、「事業計画に元々ないからだめ」って言われてしまいました。笑
ただ、もらえたら、これをやりたいってのはあると思いますが、図書館のない自治体に図書館建設費とかはだめなんですよね…確か。

ということで、その政府から出されるかもしれない情報資料も気になりますが、やはり、全国規模で、どのように使ったかという調査をしてもらいたいものです。
もちろん、経常年度に比べて図書館運営費はどうなったかという問いも含めて。
例として

1.平成22年度の住民生活に光をそそぐ交付金(以下「光交付金」)は図書館に付けられましたか?付いた場合、金額はいくらですか?
a.付けられた(   )万円
b.付かなかった(設問5へ)

2.平成22年度の光交付金はどの年度で利用しましたか?
a.平成22年度中
b.平成23年度中
c.その他(       )

3.光交付金は何に利用しましたか?(複数回答可)およその金額と利用内容をご記入ください。
a.資料費(    万円)(主な購入種別・目的・テーマ等:              )
b.機器の購入(    万円)(機器名:     )
c.図書館の修繕(   万円)(修繕箇所:    )
d.その他(利用したもの:     (     万円)(目的:      ))

4.平成23年度予算についてお伺いします。平成23年度予算はどのようになりましたか?
a.経常予算も増え、光交付金分も増加した
b.経常予算は変わらないが、全体的には光交付金分増加した
c.経常予算は若干減ったが、全体的には光交付金分増加した
d.平成22年度中に利用したか光交付金が付かなかったが、経常予算は増加した
e.平成22年度中に利用したか光交付金が付かなかったので、経常予算とほぼ変わらない
f.平成22年度中に利用したか光交付金が付かなかく、かつ、経常予算から減少した
g.光交付金分、経常予算は減少したが、全体的には変わらない
h.光交付金分に加え、経常予算も減少した
i.その他(                    )

5.光交付金について調査結果を公表する時に、自治体名を公表してもよろしいですか?
a.公表しても構わない
b.公表されると困る

6.光交付金について何かあればご記入ください。(自由回答)

といった感じでしょうか…
もっと細かい調査…例えば、前大臣の発言を知っているかとか、光交付金の配分決定プロセスとかなんかも良いかもしれませんが、概して調査が長く難しくなってくると回答率が下がりそうで…
問3をもう少し細かくも図書館の中の人としては知りたいですけどね…
で、問5はbが多かったらどうしようとか、考えてしまう問ですが、逆に市町村名を公表しないという前提なら問4でgの回答も書きやすいかなぁ…と。

日図協主導のもとで、都道府県立図書館が共通設問で各市町村立図書館に問い合わせる方が一番手っ取り早いでしょうが、そうすると、全体の調査結果が出るまでに、平成23年度の光交付金に(もしあれば)間に合わなくなってしまいますから、都道府県立図書館主導で責任を持って(もしくは公開速度を競って)結果を公表という方がもう少し早いかな。

さて、今年度はどうなることやら。

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今の図書館の改善は可能か?

丸山高広さんのブログのエントリー『図書館を改善する3つのポイント(私案)』(http://maru3.exblog.jp/13208438/)に触発されて(?)というか、実際にはコメントを付けようと思ったら字数制限で書けなかったので、ここまで変わらない感じで進んでいた図書館を改善するということは、非常に難しい話で、さらっとは書けなさそうですし、私はそうそうあちこちで言っていませんが(もちろん、同業の方々とのおしゃべりレベルでは言います(笑))、拝読して思ったことを書いてみます。

『1.公共図書館の意思決定機関を明確にする』について。
これ、ものすごく、わかります。
現在、ほとんどの公立図書館は、直営、指定管理に関わらず、自治体がそれぞれ設置しています。
で、そこに働く職員や資料の購入費は、基本的にその自治体の税金でまかなわれています。
もちろん、指定管理費も自治体から払われるものは基本的に税金です。
なので、図書館は予算というものに行動が制限されるということは、当たり前の話です。
でも、その中では意思決定は可能です。

図書館の運営については、市の方針ということになりますから、最終決定権者は首長ってことで良いと思います。
が、一挙一動全てに対し、お伺いを立てるのは難しいということになります。
だから、図書館長にある程度の裁量権はあるのですが…
全国的に見て、館長クラスはどのレベルですかねぇ?大所帯だと部長ってこともあるでしょうが、課長かその下ぐらいが一般的でしょうか?
そうなると、公務員系の職員であれば、上司の命令に従う義務が足かせになります。

いくつか聞いた図書館の例をあげると…
・運営規則上できないことをしたい利用者が出来ないということに腹を立てて、その上の部局で散々わめいて、上司から館長に「例外で認めてやれ」って電話がある。
(もちろん、特例条項として、よく館長が認めた者とかありますけど…)
・自分の所属する政党紙を図書館に置くように、館長とその上層部に掛け合う議員がいて、収集することにする。
(結局、公平性を出すために主な政党紙を収集することに。もちろん、政党紙も情報源ではありますから、あればあったで良いですが、経験上、読まれることが少ないので、利用者からは「政党紙なんか置かないで、一般紙を1つでも増やした方が良い」と言われるとのことも。)
・上層部の親族の営業に影響するためとか、自治体内の業者団体から首長宛のクレームが多いので、資料の収集に偏りが出る。
(図書館の自由に関する宣言なんか知ったこっちゃないのでしょう。)
・指定管理についての検討でメリットとデメリットなど比較検討レポートを出したら、「デメリットはいらない」と館長より上の上司に再提出を求められる。
(よくある話でしょうが、そこの館長さん曰く「費用削減を最大のメリットして書いている記事が多いので、調べてみると人件費分の費用削減効果(削減した分で資料費を増やしても)でしかないというのに、検討とは名ばかりで、指定管理ありきのメリットばかりだと、『私達は費用分の仕事をしていないので指定管理がいい』ってことじゃないか。」と。)
・プラスにならない光交付金。
(財政課や首長が言う表側は「図書館に交付金をこれだけ充てました」だけど、その内情は「その分、通常予算を減らしたけど」とか)
他にも色々あるのですが…

要するに、自治体内の一組織だと、意思決定がぶれることがあるということが問題だったりします。
もちろん、丸山さんがおっしゃるような、諸外国のような方針決定機関があって、という方法もあるでしょう。
(私は不勉強なので、わかっていないのですが、その諸外国のその機関は自治体とは別機関で各自治体にあるのでしょうか…)

日本の地方自治的な形からすると、自治体の総合計画みたいなものがあって、教育計画みたいなものがあって、図書館の運営指針みたいなものがあるので、上記のようなぶれは多々あっても、抽象的な表現であっても、方針はあります。
それを現場監督である館長が遂行してるわけですが、そこに日本の地方自治体特有のしがらみがあるので、特に影響力や深い図書館愛(?)がなければ、その上を攻略された時点で曲げざるをえないこともあるんだと思います。

で、私は図書館業界は自治体行政機関とは別にして、例えば全国の図書館が1社の支社のようになると、意思決定が全国規模で統一され、図書館長は現場監督として専念できると思うのですけどね…
そこまでいけば理想ですけど、現状からの改善とすれば、せめて、図書館長は図書館のことをよく理解している人をつけ、その館長は図書館運営について首長といえど、言い返せる人なら、普通に改善されると思いますけどね。

まぁ、それを実現するためには、結局、法的根拠が必要だなぁと認識しています。(最近は法的に根拠がなければテキトーに流されちゃうし。)
第一段階ととしては館長の有資格者条項を復活させるですかね。
もちろん、図書館への理解と図書館愛(?)がある人であれば、無資格でも良いのですが、それを判断する尺度もないので、いっそ、上級司書とか認定司書なんかやめて、認定館長制度にしちゃうってのはどうなんでしょうね。

そして図書館法で『館長は認定館長でなければならない』的になれば、明確になるのではないでしょうか。
館長の考え一つで変わった図書館もありますし。

『2.ライブラリアン(司書)とクラーク(事務員)を置く。』について。
こっちは、そう長くはならないと思いますけど…笑
以前いた図書館はそれこそ全部担当で、奉仕担当の仕事から庶務担当の仕事まで、挙句に機器の修理やら設備のメンテナンスまでやっていたりしましたからねぇ…確かに事務仕事を誰かにとは思ったりしました。
でも、ある程度の館になると、庶務担当とか管理担当とか名称は異なるけど、伝票云々の作業や本庁舎への連絡などやってくれる事務方がいます。
なので、文字通りに捉えると、「あれ?すでに(事務員が)いるんじゃない?」と思えるのですが…

今私のいる館では、庶務仕事はそういう感じになったので、かなり減りましたけど、奉仕担当の業務は相変わらずほぼ全部という状況は変わっていません。
でも、私はそれはそれで良いと思っています。そうでなければ、「○○を担当している△△さんがいないので、わかりません」的な状況が多発してしまいますし、それは土日など人が半減(交代休なので)しているときなんかに起こりえると思いますし。

しかしながら、奉仕対象人口が多くなれば、仕事も増えますし、利用者が増えれば色々な問題も起きてきます。(この辺の話もいつか書きたいなぁ…)
また、システムを扱う統計調査や問い合わせに関する回答などは、事務員の方はわからないことも多々ありますので、結局回答はこちらで作るということに。
それに加えて、単館であれば、意思疎通がしやすいのでしょうが、複数館ある所だと、各館の意見調整(同一自治体の館でありながら。)など、やはり仕事は増大しています。

以前も書きましたが、半数以上が臨時職員である状態ですので、責任ある判断が必要なのも正職員がすることになりますから、直営は直営なりに面倒だったりします。
もちろん、臨時職員が責任がないというわけではありません。でも、クビを切られやすい半面、辞めやすいこともあり、問題が起きた時に「辞めればいいですよね」とその後の後処理だけ残されてしまうケースも考えると、ため息です。

もうひとつついでに書くと、人的に余裕のある図書館は良いのですが、余裕のない図書館の場合は、新しいことをしようと思っても、それがただその人の負担になることもあるので躊躇したり、自己研鑽を兼ねて研修を受けに行きたくても「その日は(仕事やカウンター業務が)まわらないからだめ」と言われて月に一度出られるかどうかという場合もよく聞きます。
そういうのは、各館の事情でしょうし、現場は大変だけど、若手職員を送り出すような館もなくはないですが、常にぎりぎりの人員配置で、一人でもアクシデントで長期離脱したらサービス業務が増大するようなとこもあります。

なので、望ましい基準はいくら宣伝しても「そうだねぇ、そのくらいいればいいよねぇ」と言われるくらいで、法的根拠でもない限り人員確保は難しい現状だなと思っています。
何も図書館に限ったことではないですが。

なので、人口規模に合わせて、『図書館業務を担当する者何人、図書館事務を担当する者何人』という条文が図書館法に入らないかなぁと思っています。

『3.資金調達(ファンドレイジング)の道を拓く。』について。
うんうん、よくわかります。
わかるのですが、今の日本のNPOで他の収入もなく職員が普通に家族を養っていけるところってどのくらいあるでしょうか?
もちろん、切り詰めたり、共働きでしっかりやっている家族も知っていますが、NPOの業務+アルバイトというパターンが多いかなぁと。(私の周りだけかもしれませんけど)
確かに、ある程度大きな組織だとなんとかやっていけている団体も聞いたことはありますが、日本の場合は難しいのが大半(代表は別に収入のある人だったりすることが多いですし)のようで、まして図書館の事業のみでやっていくのは至難の業レベルなんじゃないでしょうか。
(短期事業であればまだしも、長期的に雇用と事業をしていくのであれば。)

図書館を運営する事業体が、例えば飲食店展開を成功させたとしても、それはそもそも飲食店事業の成功ですから、図書館で、となると何でしょう?
大きな収入源になりそうなのは有料講座の実施でしょうか?
公民館講座レベルの有料はほぼ実費ですから、もっとお金を払っても受けたくなる講座…有名な人の公演などでは逆に出費もかさみますし、パソコン講座などは民間のノウハウの方が有用かもしれませんし。

図書館グッズの販売とかだって、なんか販売事業って感じもしますしね…

私は、以前も書いたと思いますが、利用の対価の『利用』の定義をすることが第一歩で、利用は私が考えるには閲覧までで良いのではないかと思っています。
つまり、貸出は有料って話。
図書館に来て、図書館で必要な情報を得られる部分に関しては、無料で図書館の意義は満たされると思いますけど…
貸出については、借りられたことで他の利用者が利用できない、つまり占有状態的であるという判断で、その権利を金銭支払いによって得る…
個人的な極論ですが、私はそれでも良いと思っています。
そうなると、貸出至上主義だとか言われたとしても、大事な収入源になるわけですし、その貸出料に公貸権料分を上乗せ…
まぁ、それが図書館として良いかどうかは全然別にして、そんなのもありかな?って思ったりすることもあります。

図書館とは離れた事業を展開することで、安定した収入を得られるというのであれば、逆にそっちメインでやった方が良いと思います。
寄付金を募るとしても、大口の出資者が常に出資してくれるとは日本では難しいかと思います。
まぁ、図書館とは別事業を展開して、それで得た利益を図書館にまわす場合、それが大口の出資者というのでも良いのですが、新刊雑誌の出資云々の記事を見ていると地方だと厳しいなぁと思えます。
難しいのであって、無理ってわけでないですが、スタッフはボランティア有志で資料は寄贈での方ができる確率としては高いかな?

安定収入も考えると、やはり前述のように自治体から独立した機関にしつつ、その地域住民に貢献するということで、自治体の歳入の一定割合をもらえる仕組みになると良いとは思います。
となると、やっぱり法改正でしょうか…笑

ということで、図書館を改善するポイントとしては、『図書館法に改善できる仕組みを盛り込む』が一番手っ取り早いと思うのですが、おそらく急に対応できないとかなんとかで、「当面の間、置かないことも可」って但し書きが付け加わって、結局変わらないんじゃないかというオチになりそうでこわいです。

最後に、私が思うに、図書館の改善は図書館長の熱意と部下への配慮が満たされることによって一気に変わると思います。
館長の熱意ばかりで部下の負担が増えてしまっている図書館はいつか瓦解すると思いますので、熱意を持ちつつも、比較的良いと思えることを部下がやりたいと言えば「俺が責任取るからやってみろ」とか、その人に負担が増えないように配慮を欠かさないような館長がいれば十分変わるでしょう。
業務に関してはその人選などがキーポイントで、図書館業界としての改善としては、机上の空論だったとしても、望ましい図書館のベースにプラスして…というか、もう少し細かく定義して、逆算のシミュレーションができるようにする必要があるのではないかなぁと思っています。

それにしても、どうして図書館法はせっかく図書館のためだけの法律なのに図書館に有利には改正されないんでしょうか…

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館内閲覧だって利用の形態ですよね?

数日前(書いた時は…笑)の毎日新聞の地方版の記事『ばってん日記:不便な図書館/熊本』(http://mainichi.jp/area/kumamoto/news/20110718ddlk43070206000c.html)を読んでみて、さらっと読んだ時と、深く読んだ時にに受ける印象が違うなぁって思ったので、コメント。

まずは、さらっと。
1.熊本県立図書館と熊本市立図書館で、とある郷土資料扱いで貸出していない資料があった。
2.ネットで調べてみるとその資料は福岡県立図書館や福岡市立図書館では貸出が可能だったので取り寄せたいと思った。
3.しかし、熊本のどちらの図書館でも所蔵としてはあるので、取り寄せられないとのことだった。
4.それって何とかならない?

ということなので、相互貸借のルールにひっかかったんだね…と、わからないこともないなぁって気分に一瞬させられるのですが…

ちゃんと読むと色々なことを思いめぐらせることになります。

A.『利用=貸出』?
『図書館』と言えば、「本を借りるとこ」って半数以上の方が答えるだろうと思いますけど、以前も触れましたが、借りるばかりが利用でないし、資料だって借りられない資料もたくさんあります。
なにも、熊本の2館は「所蔵はあるけど見せません」って言っているわけでないのだから、中を見ることはできるはずです。
記者も書いていますが、30年前の資料なんですから、もしかして「貴重書なので…」とか「修理中なので…」ってことはあるかもしれませんけど、基本的には閲覧利用可能だと思われます。

また、該当資料が郷土資料扱いされている資料ということだけしかわからないので、一概に言えませんが、図書館のほとんどは複写サービスもやっていますので、必要な部分を複写するのも手だったんじゃないかと思いますが…
どうも、この方は『利用=貸出』で図書館を考えておられるんじゃないかと思ってみたりもします。

それと、もしかすると貸出用の複本が過去にあったかもしれない(30年間でなくなったり使えなくなったりしたとか…)とも考えると、「なんで貸出用がないんだ」的な書き方はちょっとどうかなぁ…

さて、これに似たケースが、うちの館でもありました。
県内ではあまり所蔵されてないだろう郷土資料で、やはり1冊しかないので、禁帯扱いのものを、某放送局の番組作成責任者が借りたいと。
その時は、『取材扱い』という特例で貸出したのですが…返却の督促をして約1カ月…最終的には戻ってきましたが、ものすごく心配になったことがありましたので、「放送・報道関係にはあまり貸したくないなぁ」と少々トラウマだったりします。笑

児童向けの図鑑などに多いのですが、「これは図鑑だけど貸出用にしよう」とかの判断は分かれることがあります。
「どこそこの図書館では貸出できるのだからなんでできないんだ」って話もわからなくはないですが、その館では参考資料として貸出さないと決めたのだから、それはそれで尊重されるものだと思うんですけどね…

『利用=貸出』という意識で図書館があるのであれば、逆に館内の資料は「すべて貸出可能です」が理にかなっています。
でも、そんな館はまずないですし、貸出されない参考資料や郷土資料についての一定の貸出しない暗黙の了解はあるのだと思います。(雑誌の最新号一夜貸しとかもまれにはありますけどね。)

まぁ、そういうことは理解しつつも、やはり自分の借りて読みたいものが貸出できないと思うと、「何とかならない?」って気持ちもわかります。
けど、今回は相互貸借のルールに基づいた対応ですし、所蔵資料が閲覧のみの利用ではあったけど、利用できるわけだし、郷土資料の禁帯は理解してもらっているようなわけですから、「いちいち記事にすることか?」って思ったりしますけどね。

ただ、利用云々の話になると、無限ループのごとく、どこまでを無償と考えるかとか、結論の出ない日々ではありますが。

B.所蔵資料は他館から借りられない?

おそらく、記者の方はここの部分が不満なのでしょう。
この部分は相互貸借の暗黙のルールとして、「所蔵している資料は借りない」というのがあるのだろうと思われます。

相互貸借は図書館の相互協力のもとに運用されますから、「所蔵資料があんのに、なんでうちの館のが必要なん?」って思うこと多々あったりします。

もちろん、所蔵資料でもOKだと、ベストセラーなどで人口が少ない館などの資料が地元住民の目に留まらないままで他館に貸出されたりするってこともあるとは思われますので、原則所蔵資料はご遠慮いただくのですが、こちら(私のいる地域)ではその辺は意外とアバウトさがあるかもしれません。

読書会グループの複本を集めるなどは普通にありますし、聞いた話だと「そちらの館の資料の方が(館が新しいので資料が)きれいかと思って」って話もあったりするそうですし…(笑)
いや、もちろん、そこまでされると、断るかもしれませんが。

例えば、所蔵資料があっても、あることにはなっているけど、不明なのでとか、督促をガンガンしているけど、長期未返却なのでとか、ある程度ちゃんと理由がある場合であれば、良いかと思いますけどねぇ…

郷土資料に限り、所蔵資料があっても、貸出可能なものが借りられるようであればOKというルールになると、おそらく、この記者さんも願ったり叶ったりなんだと思いますけど、以前も書きましたが、相互貸借資料って、原則は『まずは購入努力をして、手に入らない理由があるときのみ、持っている館の協力で借りることができる。』のはずなんです。
が、相互貸借で移動される資料の量が年々増えているのは、それに反して、資料費が削減され、優先順位の低い資料は「どっか買ったら借りよう」という意識が蔓延しつつあるからなのでしょう。

あくまで、相互貸借は、仕方なくするものなんですから、相手の親切に胡坐をかくものではないですし…

そう考えると、「所蔵しているから、他館から借りるのはちょっと…」っていう答えは、図書館的にはルールに基づいた回答なのかなぁと思ったりしています。

それにしても、今回の事例(?)、なるほどと思ったのは、自分の自治体の郷土資料は複本がなければ、基本的に禁帯なんだろうけど、他地域であれば、借りられるということもあるということは、確かにそうで、自地域以外の資料はじゃんじゃん貸出するっていうのもありかもしれないですね。
ただ、この件の貸出可能だった理由は、複本があったからなのか、自県ではなかったからなのか…わかりませんね。

ただ、福岡の図書館が複本を持っていたと考えると、熊本の両図書館だって、複本があったと考えるのが普通ですよね?
自地域の資料だから需要も多く、貸出用資料がなくなってしまったと考えるのも普通かなぁと。

C.越県の相互貸借

地域によっては、自分の所属県でない地域からも、県レベルで協定が結ばれていて、利用者はお金がかからず借りられる場所もあるようで、それはそれで羨ましいなぁと思ったりします。
自分の都道府県内であれば、県立図書館が運用している配送車や、配送費県立払いとか、相互に費用負担とか、同じ都道府県内図書館から借りる場合の利用者負担0はよくある話です。
でも、協定がない県同士の場合は、通常、郵送の金銭負担が発生します。

場合によっては、県内になければ貸出不可って言っちゃっている館もありますが、どうなんでしょうね…

郵送費用は、往復利用者負担が多いような気もしますが、そんな統計はないでしょうかねぇ?
図書館で相互負担で相殺するとことか、全部借受館負担だとか、色々なケースは考えられるのだけど。

あ~、そういや、そんなに古くない(1年前未満の)新書を貸して欲しいってFAXが隣県から来たことがありました。
郵送費往復したら、その新書買えますから…ってお断りしましたが。笑

D.税金で所蔵した?

いやいや、郷土資料だと、寄贈資料かもしれないよっと。
寄贈資料だと、まぁ、「2冊いただけると嬉しいな」的なアピールはしますが、1冊だけだと、やはり禁帯出扱いになるんだろうなぁ…
もし寄贈者が著作権者だったら、もらうときに、「貸出用に勝手に複製して良いですか?」って聞いてもらうと面白いかも~☆

E.30年前の本のリクエスト

んー、対処としては良いのだろうけど、普通は購入できないよなぁって思いますよね。
それなら、新聞記事にタイトル書いて、「もし家にあれば、熊本の各館に寄贈してあげて」って記事にしてあげるのが、手っ取り早いかもしれませんね。

F.書庫で眠っている?

確かに、書庫で眠っているような資料もありますけど、動かないでそこにあるということは、あまり利用がなかったので、保存しているってことでしょうから、「ちゃんと保存していてエライ」くらい書いてもらいたい気分だったりしますけどね。
書庫に限らず、書架で全然動かない資料ももちろんありますが、大抵の図書館員は、「どうやって動くようにしようか」とか「どうやって日の目を見るようにしようか」とか「10年後くらいには利用があるだろう」と思いながら、創意工夫を凝らしているわけでして、寝かしているわけではありません。
もちろん、この記者の方のように、「利用=貸出」で、資料に眠る時間を与えないような図書館ばかりですと、「行ったけど読みたい本なかったよ…」ってことになるのかなぁ?と妄想したりしています。

G.本の幸せとは?

私自身、本になったことがないですから、よくわかりませんが、図書館で埃をかぶっているのも嫌ですけど、たくさん利用されて手あかをベタベタにされるのも嫌だなぁ。
温度と湿度が行き届いた場所で、たまに手に取られながらも、優しく扱われて、後世まで残されていくっていうのがいいかなぁ?と思ってみたり。
まぁ、人間の幸せの価値観が違うように、「ガンガン利用されて役目を終えるのが本望」っていう本もいるかもしれませんし、「折り目が付くから人に触られるのは嫌」って本もいるかもしれませんが。笑

H.著作権法の壁

図書館が別の図書館の求めに応じて絶版などになっている資料を複製することは可能ではありますし、保存のために必要がある場合複製できるのは、わかっていますけど、30年前の資料が絶版であっても、所蔵はしていますので、できないでしょうし、保存のための複製については、なかなか権利団体さんと意見がちょくちょく平行線だったりしています。
今回の件は、一般流通していた郷土資料なのか、普通に頒価不明な郷土資料なのかわかりませんが、せめて、一般流通していない郷土資料だけでも、「利用者の利用(貸出)に供するために必要がある場合」といった感じで複製できると良いのでしょうけどね。

といったことを考えながら、図書館の記事を読んでいる日々。

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たまにはブックトークをした話でも。

児童担当もやっているよ(というか実際は全部担当)ということで、たまに児童サービス関係の話なんてのも。

さて、最近は学校で朝読ということで、読み聞かせに来てほしいという依頼や、授業時間でブックトークの依頼がよくあります。
書いちゃいないけど、幼稚園から中学校まで呼ばれれば行くというスタンスで児童サービスはしています。

ただ、バリバリの児童担当の人のように「あの人の絵はねぇ~」とか「この作家だったら定評があって…」という話には時々ついていけなくなったりしています。
ので、そういう方にはお叱りを受けそうですが、それなりの児童担当ということで…ご勘弁を。

先日、児童担当の人と、絵本の選書について、「図書館で、定評のある良い絵本を…云々」って言われたので、「じゃあ、良い絵本って?」と返し、「ぐりとぐらとか長年読まれている…」と言うので、「じゃあ、最近のは買えないじゃん」と、まぁ、そんな定番の(?)会話をしていたのですが、共通認識としては、最近の絵本は色使いが派手というか目立つというか表現しにくいですが、「今の子好みの感じだよね」って結論になりました。
要は、選書の話から始まったのですが、良書主義をとるか、色々な本に触れる機会と考えるかって元々似て非なる考えがある2人ですから、どちらの言い分ももっともということで、後半は「最近の絵本は…」って話になったわけです。

私は、何も図書館に悪い本(?)を置けって思っているわけでもないですが、大人の感性と子供の感性はやはり違うものですし、もしかして図書館であまり置かれていない本に出会って、他の本をも読みたくなったって子だっているかもしれませんし…、借りてみて「自分には合わない」とか「つまんない」って思うことで、本を見る目が育つような気もしますので、余程の受け入れられない理由がない限りは置いても良いと思っています。
しかしながら、もちろん、予算というものがありますから、以前も書きましたように、優先順位がついて何でも感は薄れてしまいますけどね。
なので、どちらかというと、定番の複本より多様性で購入って感じではあります。

で、こないだ、小学校へ同僚と一緒にブックトークに行ってきました…
が、先生から頼まれたのは1~2年生。
あまりブックトークにおすすめはされないらしい年齢です。(どうも3年~くらいの方が良いらしいってよく聞くので。)
かつ、私が担当したのは1年生。
でも、テーマは自由だったので、そこは安心。(以前、某所で「戦争をテーマにブックトークを…」って頼まれて、なかなか大変だったので。)

おそらく、普通なら「いや、その学年だとブックトークより読み聞かせが…云々」って主張するのもありでしょうが、私にはできませんので、頭では難しいなぁと思いながら、受けました。
実際問題として、図書館側としては、積極的に学校に出前をしたいところなのですが、ただでさえ、時間数が増え、授業内容が増えた状態で、「授業時間を1時間ばかりください」というのは、なかなか言いにくい状況ですから、どうしても受け身になります。
そのため、先生が突然、「来週のいついつお願いしたいのですが…」って言われたら(というか日程調整なしの場合が多いですが)、なんとかやりくりして出かけます。

さて、朝読の読み聞かせで中学1年生と小学2年生に同じ資料を展開してみるなど、実験的なことばかりしている、そんなそれなりの私が今回設定したテーマは、7月7日に実施したこともあり、『7』です。笑
強いてテーマらしく書けば、「何が7か考えよう」です。

こんな展開。

1.はらぺこあおむし(エリック=カール/さく,偕成社)

・あらすじ紹介
(一週間が7つ曜日があるというのを説明。読んだことがある子がほとんどなので、月曜日と土曜日を読み、蝶になるまでを確認)

2.ハンダのびっくりプレゼント(アイリーン・ブラウン/作,光村教育図書)

・読み聞かせ
(読み聞かせ後、ハンダが持って行ったフルーツを確認(7つのフルーツ))

3.ポテト・チップスができるまで(森山 京/作,小峰書店)

・あらすじ紹介
(おいてけぼりにされたところで紹介は終え、最後に良いことがあったことを予告(7匹の子豚))

4.こそだてゆうれい(さねとう あきら/文,教育画劇)

・あらすじ紹介
(挿絵を見せながら、内容を紹介。女の人は何だったのかで終わり。まぁ、タイトルでわかるし、つなげるためにバラすけど。(飴屋に7晩通う))

5.お月さまをのみこんだドラゴン(ジョアン・デ・レオン/さいわ・え,新世研)

・あらすじ紹介
(あらすじで全部紹介。月に竹藪があるか?という問いで次へ。(7つの月))

6.月をみよう(藤井 旭/著,あかね書房)

・説明
(世界にはうさぎ以外にもカニや女性に見えた人々もいることを説明)

7.ななほしてんとう(たかはし きよし/さく,福音館書店)
・説明
(少し脱力させるために、7つの星と言えばということで。一応中身も簡単に確認。(7ほし))

8.ほくとしちせい(藤枝 澪子/ぶん,福音館書店)
・説明
(7つの星の並びについて説明。また添え星についても興味を持たせる説明。(7つの本物の星…でも本当は…))

9.お月さんはきつねがすき?(神沢 利子/作,ポプラ社)

・あらすじ紹介
(挿絵を見せながら、内容を紹介。月は誰にでもついてくるよね?と確認(秋の七草))

10.しちどぎつね(岩崎 京子/文,教育画劇)

・あらすじ紹介
(最後、おおきなかぶと関連付けて(1度やられたら7度仕返しするきつねのあだ名))

11.おかえし(村山 桂子/さく,福音館書店)

・読み聞かせ
(最後にこの本は何が7つだったか確認(きつねのおくさんの贈ったもの7回))

でした。

トータル40分かかりましたが、1年生なのに、最後までしっかり反応してくれて嬉しかったです。
もっと素直に、7色の虹の出てくる話とかでも良かったかなぁ?と思いましたが、流れが「食べ物」→「夜」→「きつね」つながりで展開したので、いたしかたなく。
もちろん、他にも『オオカミと7ひきのこやぎ』とか、『ゆうかんなしたてやさん』とか、7に関わるものは案外たくさんあったなぁというのが今回の収穫です。
(例えば『こぶたを数えてIからMM』もローマ数字の説明だけど、ローマ数字って7種だし…(1年生じゃ難しいので却下しましたが))

今回注意した点は、1年生なので、読み聞かせは慣れているけど、ブックトークは基本的に「あとで読んでみてね」なので、違和感を感じると思って全部読むか、あらすじの説明かを言ってから、話をしたのが良かったかなぁ?と。
基本的に聞き手の反応でアドリブや展開の変更するブックトークなので、他に持って資料を持っていましたが使いませんでしたね…。

また、おそらく普通のブックトークだと紹介数多すぎと言われかねないですね…はい、でも、ご想像通り、低学年は集中力勝負なので、ハイテンポで話しました。

で、実際にやってみて、びっくりしたのは、月の影の部分の説明をした時、「えっとね中国ではカニに見えて…」って詳しい説明をし始めた子がいたこと。
なので、その子に合わせて話を展開したりして、楽しく話せましたし、子供達も最後の『おかえし』で、大笑いしてもらえましたから、楽しんでもらえたかなぁと思います。

なのですが、そのあとの時間は同僚の正統派ブックトークを見学し、「やっぱりそういうのが普通なのかなぁ?」って思ったりしました。
(もちろん、普通のブックトークっていうのも変ですが…)

ということで、今回ブックトークで思ったのは、最近はブックトークの虎の巻的な本が色々出ていますし、ネットでも紹介した本を紹介している所も多いのですが、レファ協みたいに、どんどん登録していき、1つにまとまっている所があると、とても便利だし、勉強になるんじゃないかなぁ?と。
もちろん、聞き手に合わせてプログラムを組む面白さや、聞き手の反応で展開を変えられる柔軟さが必要なので、紹介した本の羅列というのも味気ないかもしれませんが、「同じ本でこういう展開する方法もあるんだ」とか「この本も加えたらどうだろう」とか、知識が広がるのはソーシャルネットワークの本領発揮なんじゃないかなぁ?

確かに、長期的に図書館勤務で、資料把握も完璧で、自館未所蔵の資料も広く把握している状態は理想なのでしょうが、現実の正職員で司書持ちは多くない状況であれば、そういう場もありなんじゃないかと思います。

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ドライブスルー図書館

ファイルを整理していたら、数年前の書きかけのエントリーを発見。
ちょうど、読売新聞オンラインにその手の話(http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110520-OYT1T00108.htm)(※無理があったわけでないと思うけどな)があったなぁと思ったので、せっかくなので書きなおして再度エントリー。笑

ドライブスルーはファーストフード店だけではなく、薬局やクリーニング店や先にあげた書店などにもあったりするわけですが、図書館は?となると、アメリカにはアリゾナ州グレンデールのFoothills Branch Libraryがある(http://current.ndl.go.jp/node/8230)ようですが、日本だとブックポスト返却が可能な函館市立中央図書館などくらいですかねぇ…

そこで、ドライブスルー図書館を実現するべく、どうすればできそうか考えてみました。
(いや、もちろん、様々な条件はあるのですけどね。)

ドライブスルーな施設づくりから始めないといけないのですけど、それだってカウンターが1か所で済むようであればファーストフード店的で良いのでしょうが、そうもいきませんし。
小さな図書館なら可能だけど大きい図書館だと不可能ということも色々ある気がします。

ドライブスルーの流れとしては、
1.入口側で注文をする
2.ぐるっと店をまわって受け取り代金を払う

なので、それを図書館の貸出に当てはめると、
1.入口で借りたい資料を検索する(OPACで)
2.出口でその資料を受け取る

うん、簡単そう…でもないんですよね。
まず、貸出の面からだと、お店の注文であれば、ある程度の選択肢になり大丈夫ですが、図書館となるとメニューを一覧にしたら大変なことに…笑
電話でタイトルの聞き違いもあるように、マイクも外の風で聞きにくい状況で、間違いが少ない方法を考えるとOPACなのですが、運転席から上半身を乗り出して、両手でキーボードを打つのはなんかしっくりきません。
そうすると、片手でタッチパネルになるのですが、例えば10冊検索してそれぞれ貸出確定ボタンを押すのにどのくらい時間がかかるだろうか…と思うと、ドライブスルーの入り口で渋滞が発生しそうです。
もちろん、検索に時間がかかってくれれば、それを書架に取りに行く時間ができるので、良いのですが、ドライブスルーの快適感は減るような気がします。

そうすると、薬局系が事前にFAXしてもらえば早く渡せるとうたっているのと一緒で、ある程度事前に検索してもらえるのであれば、PCで予約してそれから来館とか、直前に携帯電話で検索してもらい、それをバーコード等の表示にするなど、次善策は取れそうです。
もっとも、ドライブスルーの入り口カウンターに人を割けるのであれば、やはり同じように窓越しに聞き取りながらできますけどね。

あとは、全資料からではなく、おススメ本やテーマ、新刊などであれば、もっと効率はあがるでしょうか。(先にあげた書店のような方式)

貸出の場合は、利用者の資料の選択(注文)の次に注文を受けてから資料を集めに行かないといけないので、どれだけ素早く捌けるかが問題です。
書架の棚アンテナである棚が光るなどすれば、すぐに行けて良いのですが、ドライブスルーだけでなく通常業務もありだと、いきなり光ったりしてびっくりするでしょうし、難しいです。
あとは配架に行っているスタッフの近い場所の人に無線指示とか、ある程度、配架抜き出しの担当書架を決めておくと効率が良いかな?

いっそ、立体駐車場のように5Fくらいまで上がってもらって、下がってもらえば、時間的には良いかなぁ?笑
それか、自動販売機的(全自動図書館の拙エントリー(http://c-town.way-nifty.com/blog/2009/01/post-24cf.html )で想像していましたが、提供数は少ないけど本当に稼働しているのはあるようですね(http://www.shvoice.com/watch/news/8327.html)や(http://japanese.china.org.cn/life/txt/2011-02/24/content_21993960.htm))に、0類の貸出機、…9類の貸出機とかのようにして、イメージ的には車で書架(自動販売機型)を回っていうのも面白いと思いますけど、交通整理が…(一方通行とか?笑)

おそらくそれでは場所も広大になりますから、全部を一か所でスルーするのではなく、検索して貸出するレーンは次のものとは分けた通路にしないといけませんね。

返却を考えてみると、資料にICタグを付けて、ベルトコンベア式の自動返却機を置くと返却作業がない分、ただのブックポストより楽かなと思ったりしますが、でも、利用者的には1点ずつ入れないといけないので、停車時間が長くなるか…開館時間中ならドサッとスタッフに渡せて夜は自動返却装置ですかね…
まぁ、ブックポストの中に人を置いて、入ってきたらどんどん返却処理をするという方法もありですね。(見られたくない人用って感じで)

あと、すぐに出来そうなのは予約本の受け取りですが、24時間資料貸出ロッカー方式(資料を貸出処理して、そのロッカーのキー番号で借りていく方式)も良いと思いますし、それを拡張して、携帯電話が利用券代わりになるのだから、携帯電話でピッとすると自分の割当ての資料の入っているロッカーが開くというので良いでしょう。
もちろん、普通に入り口で利用券を読み込ませ、中の人が予約棚から取り出して出口付近で渡すっていうのもありだとすぐ実現出来そうですね。(もちろん図書館がドライブスルー構造でないからできないのでしょうけど)
レファレンスは電話で受けて、貸出できる資料があれば予約扱いで貸出してしまえば良いですし…

ということで、予約本の受け取りと返却は1レーンあればOKで、スーパーのレジの様に商品が少ない人、つまり2~3点だけ借りる人もそのレーンで良いかな。
大口顧客は集める時間がかかるので、図書館を大回りしてもらうか渋滞覚悟かですね。

もし、ドライブスルーのみの図書館であれば、新刊雑誌や新聞の閲覧はないですし、内部は自動書庫で良いので図書館内を奔走するスタッフはいなくて済むので、4~5人で回せるでしょうか?(大きさによるでしょうけど)

ちょっと味気ない図書館のような感じもしますが、Webサイトを充実させて館内の資料の紹介を一生懸命やり、非滞在型の図書館を目指すのも一興かな。
いつかまた新館に携われるチャンスがあれば提案したいものです。

が、やはり問題点もあると思います。
というのは、当たり前ですが、中身を確認してから借りるなどが難しいということ。
用意してもらったは良いけど、やっぱり違うのとなると、後ろの車もつかえてしまいます。
図書館が湖などに面していて、かつ一方通行道路の場合とか、ぐるっと回る間に運転者以外の人が、中身のチェックをしたり、新聞の閲覧などができたりというのもありかと思いますが。
もちろん、車のない人にメリットはないですし、おはなし会なんかも出来るわけがありません(ん?でもサファリパークみたいない方式とかで車にラジオ載せて敷地内放送ということで、ストーリーテリングするとかはあり?)。
それに何より、目的の本以外の本を知るブラウジングなどが一切排除されるのもおかしなことだと思ったりもします。

今回、ドライブスルー図書館を考えてみて、一番のネックは10冊20冊の貸出を来館してから考えるときに、その資料を検索したり、中を確認してから借りるのが時間がかかるということです。
でも、実際にカウンターにいると、返却しに来るだけですぐ帰ってしまったり(なので、返却窓口を一番奥にしようかと思ったことも)、予約本を取りに来るだけの人も多くいますので、それなら、その人たちは車から降りない方が良いのではないかというのが発端です。
梅雨が近づいているので、駐車場から図書館まで屋根があるといいなぁと思いつつ、どうせならドライブスルーで、と思いました。

そういや、とある駐車場で、駐車券に自分の車のナンバーが印字されていたことがありました。
おそらく、入り口のバーのそばにあったカメラで読み取ったのでしょうが、同じようにその所有者の車のナンバーから予約貸出ロッカーに導いて家族単位での貸出っていうのも面白いんじゃないかな?

ではでは。

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貸出制限依頼について思うこと

前回に引き続いて、『もしも、新刊を出す作家が、図書館に貸出猶予を求めたら』(笑)です。

まぁ、「出てくるのは時間の問題だろうなぁ」と思っていたら、詳伝社から出された『陰謀の天皇金貨』(加治 将一/著)が早速『公立図書館では貸出さないで』と書いています。
それも、あとがきや奥付けでなく、巻頭に『本書の公立図書館での貸出をご遠慮願います』とあります。(まぁ、まだ文章は書かれていますが。)

『雑司ケ谷R.I.P.』は大きく取り上げられましたが、こちらの方はまだそんなに…といった感もあります。

でも、所蔵する・しないに関わらず、作家さんのお願い攻撃はどんどん増えそうな勢いなので、やはりちゃんと図書館内で検討する必要があると思います。
こちらも、間違えないでおかないといけない点としては『貸出さないで』ということで、『所蔵するな』『閲覧するな』というわけではないことは前回と一緒です。

すでに所蔵して貸出しているところはありますが、まだ発売されたばかりなので、今後どのくらいの図書館が普通に所蔵して貸出するか経過が楽しみだったりします。
あっ、もちろん、所蔵しているけど貸出禁止資料になっている館もあるかとは思いますが。

前回も書きましたが、図書館で貸出をしていない資料はたくさんあります。
が、それは、図書館が運用上(百科事典の途中が貸出されていたり、壊れやすい資料だったり、雑誌や新聞の最新号だったり)、あまり貸出するのはどうかな?と思って図書館が自主的・主体的に貸さないことを決めた資料です。
雑誌の最新号だって一夜貸ししている図書館もありますし、一概には言えませんけど。
しかし、著者のお願いだから貸出さない資料というのは受動的ですし、例を見ないことです。

法的には前回のもそうですが、著作権者に図書館の貸出を左右する権限はありません。
図書館側がそのお願いの意思を汲むか無視する(語弊があるかな?)かです。
図書館が図書の貸出を行えるのは以前も触れたと思いますが、著作権法38条4項で、非営利無償の場合は複製物の貸与が可能とされているからです。

また、ベストセラー大量貸出問題については、「公共図書館貸出実態調査2003」(http://www.jbpa.or.jp/pdf/documents/report0403.pdf)で解決済み(?)ですし、新刊の貸出制限云々は(CDにも図書館においてはないですけど)根拠法がない状況だったりするんですけどね…
ある意味義理人情の世界でしょうか??

確かに、この財政難などで、資料費は激減していて、図書館としては買いたくても買えない図書がある状態で、なんとか所蔵したい資料を優先的に選んで購入していますから、最初の選択からこの手の図書は落ちてしまうような気がします。
今回の『雑司ケ谷R.I.P.』のように、大きな話題になれば、作者の意図とは別に宣伝効果も出て売れるパターンも出てくるでしょうが、それも後になるにつれて、扱いも小さくなると思うので、何匹目のドジョウまで宣伝効果がうまくいくかって見方も面白いかもしれません。

作家さん側がもし本気でどうにかしたいならば、前述の著作権法38条を変更する必要が出てきます。(って話も過去にありましたよね…映画の著作物だけでなく書籍等にしたいって話。)
他国で見られるように、その保障を国が基金を作ってその辺の補償をする制度が確立されているなどあればともかく、先に補償を要求されると反発せざるを得ない状況かと。
例えばDVDなどの映像著作権に見られるような補償金云々になった場合、図書の購入冊数はおそらく1/3以下になります。(例えば300%割増の場合だと)
で、補償金を処理する機関なんて、作る気なんて更々ないでしょうから、同じ轍を踏むことになるでしょう。
もちろん、DVDの時に見られるように、中身のデータについての補償なのかそれを焼き付けた媒体としての契約なのかによって、ダメージを負ったページを捨てて補償金なしでそのページを複製できるかどうかなどの図書館としてのうま味も出てくるかもしれませんが。

公貸権の話をするとまた長くなりそうなので、話を戻して。

そもそも、図書館の存在理由と商業主義の考えは相容れないような気もします。
図書館の貸出数をただ単に増やしたいなら、予算の続く限り、人気ベストセラーとその複本だけを買っていれば格段に増えるのはわかっています。
商業主義的に考えると、図書館は収入がほとんどないですから、支出を減らすためにブックオフなどで資料を仕入れれば費用対効果も上がることでしょう。
まぁ、今後はわかりませんが、そんな図書館はないですから、まだ機能しているのでしょう。

ただ、その一方で、税金で運営していることから、地域住民の要求を全く聞かないというわけにもいきません。
図書館についてよくわかっている住民ばかりではないですから、自然とマスコミで取り上げられた本に飛びつく人も多く、リクエストとして図書館に要求してきます。
で、自分の予約が半年後くらいになると知った利用者の中には以前も触れましたが「なんでもっとその本を買わないのか」って文句を言う人もいて、それは近年日常茶飯事だったりします。
また、これも書きましたが自分に過失のある弁償本ですら、「ブックオフで買っていいのか?」「保険で何とかならないのか?」「俺は税金を払っているんだ」なんていう利用者もいますから、「予約しないで購入をお勧めします」と言っても買う人は少ないかと…
もちろん、逆に、新刊が出て自分で購入して「あ、これ予約いっぱいになっているでしょ?私は読んだから寄贈しますね」って一度読んだきりの話題の本をくれる利用者もいますがね…

それら(図書館を利用するから書籍を買わないのか、そもそも書籍を買わないのか、いくらぐらいなら買うのか等)の総合的で多角的な調査って最近はみないので、是非やってほしいほしいなぁ。

xiao-2さんの『みききしたこと。おもうこと。』での『図書館で予約の多い本は?』(http://d.hatena.ne.jp/xiao-2/20110518/1305733056)でも触れられていますが、図書館側でなぜ買わないのかという質問や調査は難しいですから、やはり何か新聞等での調査があると良いなぁと私も思いました。

質問を加えるとすると、「なぜ、この本を(買わずに)予約したくなったのか?」なんかもあると面白いかも…

そういったことをうまくまとまっているところを見つけられなかったので、

・図書館の利用者は3割
参考:時事通信社(http://www.jiji.com/service/yoron/result/pdf/071121.pdf)など
(過去に拙ブログのエントリーでも図書館を利用しない人が7割の話を書きました(http://c-town.way-nifty.com/blog/2008/11/post-e283.html))
(毎日新聞での第62回読書世論調査の件)

・新刊の出版点数は増えている
参考:不破雷蔵さんのエントリー『新刊書籍・雑誌出版点数や返本率推移をグラフ化してみる』(http://www.garbagenews.net/archives/1565633.html
(色々数値が出ている中で一番わかりやすかった)

・が、売り上げは減っている
参考:不破雷蔵さんのエントリー『10年で売上は書籍17.4%減、雑誌は24.4%減に~落ちる売り上げ・上がる返本率』(http://www.gamenews.ne.jp/archives/2008/08/10174244.html

・でも、販売冊数はあまり変化ない
参考:『書店の販売冊数と図書館の貸出数の推移』(http://www.1book.co.jp/002649.html
(『まずは図書館で読んでみて自分に本当に必要な本か見定めしたいという消費者の声があるように感じます。』ここになんか共鳴。そういう使われ方は個人的には嫌ですが。)

・一方、買われる書籍は月に1人あたり300円程度
参考:不破雷蔵さんのエントリー『1か月の購入金額は155円!? 週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる』(http://www.garbagenews.net/archives/1243180.html

・その割には月に1回以上買う人は約8割(!?)
参考:『書店での書籍購入頻度は「月に1回以上」が79%』(http://www.spireinc.jp/news/pdf/071101.pdf

といった感じで見ていくと、もちろん、統計の取り方などで数値の感じが違いますし、最後の調査結果は雑誌も書籍に含まれているようなので、一概には言えませんが、9.7%の人が書籍を読むけど購入しないと言っていますので、『図書館を利用する1/3程度はどうやっても購入しない人なんだろう』と推測できます。
だからといって、残り2/3の利用者が貸出しされないから購入するようになるかというと、月の購入平均が300円だから、新刊単行本だと年2回程度購入しないわけで、年々増えている新刊の中から、2冊を選ぶとなると、外れは引きたくないから、図書館で読んでみて買うか、図書館で読んだから買わないになるか、買ってみて外れだったから中古書店になるか、千差万別十人十色ですが、売り上げにはどのみち貢献しないと思われます。

ということであれば、今や文庫も300円じゃあまり買えない時代になりましたが、そのくらいであれば、図書館だと2週間は回ってこない場合が多いですから、自分で買っちゃう人も増えるでしょうね。
まぁ、そもそも、図書館を利用している人は3割ですから、そこに目くじら立てるより、残り7割に売りつければ良いのでしょうが。

最後に、図書館が電子書籍に対応し切れていない現状であれば、図書館での貸出が気になる作家さんは電子書籍で販売すれば良いとも思いますが、まだ過渡期なので、不正コピーが蔓延ってしまい、デジタル化しやすかったCDに似た状況になるのではないかと思っています。
現状でも、最近は書籍を電子化するのも比較的楽になってきて、自炊云々が問題になってきていますし。
不景気になったら新刊の出版点数が上がるのは、見てのとおりなのですが、その中から利益をあげるために、本の内容の良し悪しに関わらずメディア戦略が重要となっていくことでしょう。
今も、メディアに取り上げられれば内容はどうであれ、売り上げが高く、図書館での予約も殺到するのは多くあります。
将来的には、図書の内容ではなくその特典を目的とさせるような戦略的な販売をするケース(雑誌やCDなどで見られていますけど)もあったり、多作家1作品や同じような本の大量投入とかも出てくると、図書館側としても一層の苦労をしそうです。

ある時は卵を産む鶏に、ある時はナスや胡瓜を作る農家に例えられている作家さんなのですが、まぁ、あながち悪い例ではないなって思うこともあります。
ブロイラーで卵を産み続けさせられて、産まなくなったら処分される鶏も見ますし、規格通りの真っ直ぐな胡瓜などを生産し、より安い野菜に太刀打ちできなくなってやめていく農家の方々も見ます。
もちろん、丹精込めて育てられ、質の良い卵を産む鶏や美味しい野菜を作る農家の方々もいて、多少高くてもそれを購入するお客もたくさんいます。
その例えでいうと、図書館は農協でしょうか?でも、売っちゃいないから、品評会とか見本市とか試食会ですかねぇ?
いずれにしても、個人的には、読み続けられるものを置いていきたいものです。

色々な調査からも、買わない人は絶対に買わないのですから、お金を出して買ってでも読みたいという図書が少なくなっているのか、買われている本は図書館の有無にかかわらず買われていますから、「図書館が貸すから云々」という作家さんは単に負け犬の遠吠えなのかわかりませんが、共存共栄は表面的であっても望まれていることなのですから、図書館を利用しない7割の人に文学の面白みを伝えてもらえれば、図書館利用の3割を目の敵にするより、利用しない7割をターゲットにすれば利益は大きいですし、図書館側もその7割が本読みたい状況になってくれると利用も促進できるので良いのですけどね…

また長くなった…泣

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貸出猶予はする?しない?

テレビでやっていた替え歌が気分転換に面白かったので、自分でも作ってみようと…図書館の歌を作ってみたのですが、替え歌の歌詞は、基本的に著作権の保護期間にあるものは、同一性保持権にひっかかりますから、一般の人がカラオケなどでその場でおふざけで歌う分には良いのでしょうけど、公開するには著作権者の許諾が必要なのですよね…著作権についてあーだこーだ言っている私のブログにはもちろん載せられません。笑

今回の震災で、図書などが入手できない被災地に限ってレファレンスの回答のページをFAX可能にするなど、一時的・条件付きではあっても、著作権の保護を制限可能にする申し合わせが迅速に進行されたことは喜ばしいことです。
もう少し可能であれば、被災地の図書館に限って、予想されるレファレンスの情報を掲示板に貼ることが出来たりすれば、良かったのに…と思ったりしています。
まぁ、ネットで読み聞かせをしたいなどの動きもあったようですけど、もし可能になってもネットに接続できる環境で、プロジェクターも利用できるとなると電気がないとそもそも難しいですよね。(それと同じで、被災地の図書館だと複写機も動かないか…)
図書館が開館できない状況で読み聞かせをする場合は、避難所内に押しかけずに、避難所外の空きスペースにシートやござを敷いて青空読み聞かせなんかも良いかもしれませんね。

さて、この震災直前に著作権法との兼ね合いで物議を醸すようなことがありました。
著者が「一定期間図書館では貸さないで」と書いてある例の件です。
著作権法などで認められているので無視するか、著作者の主張を配慮するか…
だいぶあちこちで議論されているようですが、その図書館職員の考え方によってそもそも平行線になるような話です。
結論は非常に難解でしょう。

『全ての人に本を読む機会を提供する図書館の公共性』は、雑誌の最新号や参考資料、新聞など貸出していない資料はたくさんありますから、貸出でなく、閲覧だって良いわけです。
その著者の言っているのは、貸し出しの猶予であって、閲覧や所蔵もやめろとは言っていないようですし。
もちろん、図書館側が心配している『主張が増えた場合が心配』ってのは切実です。
今回は半年ですが、3年間とかいっそ所蔵するなとか、貸出回数に制限をするとか、好きなことが書かれると、それを全部チェックして管理するのは予算も人員も減らされている状況では無理です。
また、こっちはすぐ貸出でOKだけど、これはダメとか、システム上や資料管理が難しいものになってしまいます。カスタマイズするお金なんて出て来はしません。

一方で、1Q84などベストセラーに見られるように、「買いたくないから1年でも2年でも待つ」って人はとても多くいます。
その反面、「数か月待ちになります」って言う職員に対し、「俺は税金払っているんだからたくさん買って早く回るようにすれ」ってクレームを言う利用者もいます。
統計上正確なデータではないのですが、複本をどうするかという件は図書館だってきちんと考えているのに、「あの館は○冊も所蔵している」ってセンセーショナルに報道されたりしますが、大体計算すると10~20人くらいの予約につき1冊というパターンが多いような気がします。
100万人人口のところと1万人人口の図書館で複本所蔵数は違うのは当たり前なのですが、こういう場合には十把一絡げで『図書館』ですからねぇ…小さな図書館だと精々2冊くらいです。
複本を買わずに済むのであれば、図書館としては良い点もあります。他の資料にまわせるんだし。
もっと極論すれば、相互貸借で借りられるのだから、県内1冊でまかなうってことだって、国内1冊でいい…って書くと、「あれ?」って違和感も出て来ます。

多くの問題が複雑に絡んでいるので、それを1つずつ言及していくと、ただでさえいつも長いと言われるエントリーがますます長く…笑
(ひとまず書いてみたけど…自分でも長すぎだと。なので途中端折ることに。笑)
図書館の理念や理想は今回は置いておいて(だって知る権利云々や利用の対価の利用はどこまでかにも言及の必要があるから)、

1.利用者の行動と言い分(もちろん全てでない)
・『節約本にあるように』気になる本は買わずに図書館にリクエスト
・『税金で運営している図書館なんだから』図書館はあまり読まれない本よりニーズある本を買うべき
・お金は使いたくないから『一応予約しておく』
・予約キャンセルは待ちくたびれたからだけど『定価で買いたくはないから古本屋で』

2.行政上のプレッシャー
・数値化できて図書館をよく知らない首脳陣でもわかる『成果指標が貸出数くらい』しかない
・利用者満足度でも1で『満たされない利用者の図書館評価は低くその数が多い』
・首長への手紙や議員(の知り合い)から「1年以上も借りられない」という話があるので対応せよ

ってことがあるから、あまりどうかなぁと思う図書でもマスコミで話題になった本がリクエストが殺到するので対応せざるを得ないですし、予約一定数で複本というのも妥協点を見出してのことだと思います。(何も10件予約があって10冊買っているわけでない。)
1の最後は案外重要なことで、経験則での話です。
キャンセルの理由を知る機会はあまりないのですが、本屋で買ったからという人より古本屋で買った人の方が多いです。
(別の話だけど、弁償本でも本屋で注文すればすぐ手に入るのに「古本屋で探したけどなかったのでもう少し待ってもらえますか?」って言われたことありますし。)

という現状でこの件をどうするか各図書館で話し合われたと思うのですが、高崎市立図書館さんのように(http://lib.city.takasaki.gunma.jp/contents/files/20110414.pdf)明示している館は少ないと思います。良くも悪くもちゃんと表明するということは素晴らしいです!
そんな中、隣の館はどうなんだろう?ということもあり、横断検索が近年は充実してきていますから、サクッと確認すると、とある県では1/3が『さらば雑司ケ谷』を所蔵していて、その1/3が『雑司ケ谷R.I.P.』を所蔵していて、その1/3が貸出を止めているという状況のようです。
こう書くと多くの図書館が著者の主張を認めているように見えますが、1/27…つまり3~4%なので、そう多くは感じません。
全国調べるのは大変なので、おそらく著者の方自身はチェックされているかもしれませんけど、通常続刊は購入する館が多いと思いますが、今のところまだ様子見のままという館も多いのではないかと思います。
個人的には、その期限が過ぎた後の売れ行きが気になるところではありますが…ただ、その時期には絶版ってことも考えられなくはないですが。

それらを踏まえて、今回の件での私の意見は、『貸出猶予は構わないが、ちゃんと条件と環境を整備すべき』です。
その考えられる条件と環境というのは…

A.貸出猶予は○か月と決めて表紙に大きく明示する
・新刊を十把一絡げに6か月などとすると、作家さんによっては考えが異なることもあるでしょうし、だからといって、どこぞやの約款みたいに小さい字や後書きのどこにあるかわからないというより、図書館側も利用者もわかりやすいように表紙に明示してあれば、図書館としても利用者の「なんで貸さないんだ」ってのにも説明しやすいですし。

B.再販売価格維持制度の改変
・1つ目は貸出猶予期間後は2割ほど安く買えるように、2つ目は古本屋から著者が収入を得られるようにするなど、改正すれば、図書館としても「安く新刊が買えるから猶予期間後でもいいかな」って思う館も増えるかも…

C.いつでもその本が買えるように
・一見、貸出猶予と関係なさそうですが、絶版を考えて複本を買うこともないですし、貸出猶予期間が長いとどうするか考えているうちに絶版ってこともありますので、その仕組みは出版界で是非作って欲しいです。

D.図書館システムの改変に出資を
・貸出猶予期間がまちまちの場合、Aのようにわかりやすくなっていれば、商用MARCなどでタグを作るのは可能なはず。でも、それをシステムに反映できるようにするためには、システム屋のカスタマイズが必要なのですが、図書館側にはその費用負担は無理ですので。

短くしたら、ちょっと誤解を生みそうな表現になったところもありますが、まとめたらこんな感じになりました。
所蔵猶予や閲覧猶予っていうのなら、また問題は違うと思うんですけどね。所蔵猶予であれば参考図書など図書館所蔵向けなどの図書が困ることになりますからね。

雑誌の複写の一定期間云々の話も似ているところがあるのですが、権利者の一部は一部の情報が全てだと思って、主張したいことを主張して、だからといって、それで困る人のことは知っちゃことないっていうのはどうもなぁ…(DVDの補償金もそう。ちゃんと機関ができれば色々な問題が解決するのに作りやしない)

ということで、今回の件は、貸出のみ猶予ということのようなので、わからなくはないし、考える余地はあると思いますが、仕組みが整わないのに、個別にやられるのは図書館側の人間としては問題があると思います。

ただ、ベストセラーって売上が多いものですよね、図書館の購入数がそれにどれだけ反映されているかと考えると、買う人はちゃんと買っているわけです。他は古本屋で買う人もいるし、図書館で何か月待っても予約しておく人もいます。

古本屋で買う人はおそらくその定価では買いたくない人でしょうし、予約待ちの人はいつまでも(図書館に文句を言いながらも)待つでしょうから、あまり意味がないかもしれません。

仕組みが確立していない状況で貸出猶予を主張したのは今回まだ1人なので、統計上の信頼性は少ないでしょうが、あれだけ大々的に記事になりましたから、その説明責任として、最初の巻の売れ行きと比べて、増えたのか減ったのか、発売から半年間の各月と半年後の1か月の売れた数を公表する必要があると思っています。
最初の巻から増えていれば、話題になったことと、最初の巻を図書館で読んで買った人が増えたということで、減ったら、図書館で買っていた分が買われなかったことになるでしょう。
また、本って発売後話題になるとかならなければ売れ行きが伸びていくものでもないでしょうから、発売後1か月目~半年目の各月の数値変化から見て半年後に急にあがったら図書館のせいでしょうし…
まぁ、「半年間売った合計数<半年後1か月で売った数」なんてことはないと思いますが、あったら笑えちゃいますね。
私も覚えていたら、同じとこの横断検索をしてみて、続刊として最初の巻と購入されたか確認してみますが…半年後は他の資料を買うことに気が行って、結局図書館で買い控えに終わる可能性もなくもないですけど。

あれ?この件に関して図書館の某団体は声明とか出したんだろうか?バタバタしていて確認してないや。

もしなんなら、図書館員大賞の話ではないですが、文芸書は図書館に置かないってのも面白いと思ったりしますが…一応文学という文化があるので、それは極論でしょうけどね。
ので、私の立ち位置としては条件付き賛成ということで。

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震災と図書館

今回の震災で、図書館の中の人として、色々と思うことがありましたので、その覚え書きとしてキータッチの進むままに書いていこうと思います。

東北各地の図書館の被災状況を聞いていますと、数千冊の資料が落下したぐらいではどうも被災したとはちょっと思えない自分がいる一方で、資料が1冊落下したって被災は被災なのかなぁと思ったりしています。(その辺の話は後述)

私の立場上、図書館の中の人である以上に、公務員ですから、震災当日は落下した資料に後ろ髪をひかれつつも、避難所の開設などの業務に携わっていました。
まぁ、私のいる所はそう長期戦になるようなところではなかったので、次の日には資料を棚に戻す作業をして、その翌日には通常開館となりましたが…

さて、当日の話。
避難所開設に動員されるまでに、利用者から一本の電話が。「図書館、今日、やってますか?」と。
こちらとしては、資料が数千冊落ちなければ、開館してあげたいとこなんですが、安全も確認されていない状態で停電で照明もシステムも停止した状態でどうすれと…
もちろん、地震は日中でしたから、まだ本は読めます。システムだって、先日蔵書点検でPOT(ハンディーターミナル)で電池を交換したので、貸出は可能なはず。
でも、足の踏み場のない書架間があったり、書架のゆがみとかのチェックも終わっていない状態で、開けるのはちょっと無謀でしたし…
(まぁ、次の日も別の方から「え、なんで図書館休館なの?○○図書館はやっているって言っていたよ?そこ(○○図書館より)より小さいでしょ?」ってクレームの電話があったりしたんですが…)

ひとまず、館長などの判断で、当日は臨時休館。次の日も元に戻す作業で臨時休館ということが決まりました。

一方、避難所開設するために、避難所となっている小学校へ駆けつけましたが、夕方まで私のいる避難所に避難される方はいませんでした。
日が落ちる頃、ポツポツ避難される方が来ましたが、自治体内が停電ということもあり、自家発電機が用意されていないこともあり、真っ暗なので「まぁ、いいや帰ります」って方も。

自治体内放送は聞き取りにくいし、情報収集に使っていた携帯電話は電池切れという状況の中、東北が大変なことになっているということがわかったのがもう少し先の話になってしまいました。(避難所だったけどラジオもなかった…泣)

避難所の話は置いておいて、その日感じたのが、情報収集手段が断たれた時の様々な段取りの悪さや、FAX対応電話が(電源がないと回線は無事でも)使えないってことと、岩手県広聴広報課のTwitter(http://twitter.com/#!/pref_iwate)など、自治体内サーバがダウンした時に情報発信手段を日ごろから持っていることの素晴らしさですかねぇ…

最後の部分は重要。
というのも、東北各地の自治体や図書館は自前等のサーバを用意してWebサイトを公開しているわけなのですが、そのWebサーバが長期停電等でだめになった時、その自治体内の人は市役所に行くか回線が無事なら電話するしか情報取得の手段がありません。
急きょ、別のサイトで開設することも可能ですが、その広報は時間もかかりますし、そんなすぐにはGoogleにも載りませんし。
私の友人の安否確認もお互い携帯の電池切れで連絡が数日つかなかったし、その図書館のサイト自体が見えない状態だったので、停電等でダウンなのか津波でだめになったのか非常に心配していたとこでしたからね…。

図書館の話に戻して…
うちの図書館は数千冊資料が落下したのは前述の通りなのですが、落ち方に特徴がありました。
書架は低めに設計してあるのですが、一番上の棚と天板に載せていた資料がことごとく落ちました。
別の高書架にあった新聞の縮刷版はもっと大変な状態でしたが…
しかし、その一方で児童コーナーの方は立て掛けていた数冊の資料がパタンと倒れて落ちただけで、それは普段でもたまに倒れますから無傷と言っても良い程度でした。
他の図書館の人の話でも、「本震の時にはなんともなかったけど、余震の時にバタバタ落ちた」って話は聞きますから、揺れの向きなどもあるんだろうなぁと。
実際、ブックエンドとかで押さえていると落ちにくいって話もありますが、ブックエンドごとまとめて引っ張り落とされたような箇所もあり、止めていないところでは確かに落ちているところもありましたが、落ちないで横に流れただけの感じなところもありました。
キチキチに詰まっていた棚では、湾曲に資料が飛び出て真ん中辺は半分以上飛び出たところがあり、「これもうちょっと(時間が長く)揺れたらここの棚全部落ちたよね…」ってところもありました。
ということは、まず揺れの向きや揺れる時間、書架の高さや棚の滑りやすさが関係しているのかなぁと。

落ちた資料を見て、思ったのが、どうやったら被害を少なくできるか…(いやもちろん想定外の揺れには対応できないでしょうけど)
まず、資料落下手前でバーがあるような落下防止装置。
日本ファイリングさんのブックキーパー(http://www.nipponfiling.co.jp/products/library/bookshelf/book_keeper.html)なんかがそういう感じなのですが、例えばうちの館で落下したような新聞の縮刷版10カ月分くらいの本が同時に落ちようとするのを支えるのはかなりの強度が必要で、資料の大きさや揺れのリズムによってはバー乗り越えちゃったり、その棚にある資料の重さによっては落ちる時の力でバーが変形したりするかも?と思ったりしています。
次に、資料落下防止の滑り止め。
でも、摩擦係数が大きくなるほど、棚から本が抜きにくくなるんじゃないか…ちょっと加減が難しいか。端に松脂みたいなのを塗るとか…。キハラさんですでに安全安心シート(http://www.kihara-lib.co.jp/anshin.htm)というシート状の滑り止めが販売されていて、研究の成果のような良い塩梅なのでしょうが、全棚付けると財政難の公共図書館には痛い出費か…もちろん落ちやすい上部の棚だけという手もあるけど…と思ってみたり。
それなら、全棚少し内側に傾斜なんてどうかな…
どうせ、揺れが大きければどんな対策であっても、落ちるんだし、ほぼ水平に見えるんだけど、ビー玉をのせると内側に転がっていくようなほんの数度の傾斜が内側向きにあると、少しは軽減されるかも?
確かに傾斜棚っていうのはブックトラックとかも含めてありますが、あんなに傾斜するのではなく、どのくらいの傾斜でどのくらいの効果があるのかどこかで実験してくれないかなぁ…きっと数度違うだけでだいぶ違うと思うんだが。その程度であれば傾斜書架みたいに幅を取らないで済むと思うし。

いっそ、逆転の発想で、どうやって安全に資料を落とすかと考えるのも面白そうなのですが、棚がスイングしてきたりしたら、すごく危ないなぁ…と。

そんな事を考えながら、落下した資料をどうやって効率的に並べ直すか少し思案して…
まず、床にある資料を順番どうでも良いから、背ラベルが見えるようにそのまま床に並べる。
次に、書架に並べるときに請求記号の順番に直すという手順にすることにしました。落下なので、だいたい同じような位置に落ちていますからね。
Picasaで被害状況と復旧状況を公開していたゆうき図書館さんのページ(https://picasaweb.google.com/118182004366193053491)を見たら、同じような手順でしたね…

そんなこんなで、CDケースの修理などが残りましたが、ひとまず安全確認と落下資料の復旧が1日で終了し、展示コーナーの資料も集めて次の日からの開館に備えました。

震災から2日目。
まぁ、やっぱり「今日はやっていますか?」って電話があり、「はい、開館しています」って言えるのは開館しようにもできない図書館には悪いなぁと思いつつも、嬉しいものです。
来館者から、「図書館は大丈夫だったの?」訊かれたので、展示コーナーに掲示していた自館の被害状況の写真を案内して、「やっぱり大変だったんだねぇ」と言われましたが、「2日目には開館できたんですから、(被害状況は)軽いもんです」って気分でした。(その時、利用者には「そうですねぇ…」ってごまかし笑いしていたと思いますけど)

で、3日目は月曜日ですから休館でしたけど、4日目の話。
東京電力の計画停電の情報は1週間も経ったら広く知れ渡ったと思いますが、その日は計画停電2日目。
東京電力のページに載っていた情報をわかりやすく自治体内の部分だけ抜き出して大きく掲示しておきました。
それから数日間、その掲示版を(掲示版が低かったこともあり)しゃがんで見たり、携帯電話で写真を撮っている利用者がたくさんいました。
そんな中、印象深かったのが、「あの掲示板にある情報、どこから見つけてきたんだい?」と聞かれたこと。
その頃には、自治体のページでもグループ分けなどがアップされていたと思いましたが、「東京電力のWebページと自治体のページの情報からです」と返答。
その利用者曰く、「自分の住んでいるところの自治体ではこういう大事なことを広報しないし、自分の所が何グループかわからない」と。
計画停電発動すぐならともかく、その頃になっても広報しない自治体ってないような気がしましたが、知りたいというレファレンスでしたので、東京電力の該当ページを見せながら、たまたまその方の住んでいる場所は2グループに分かれた場所だったのでその追加説明も加えて、説明したら、とても感謝されました。
「仕事中に(調べてくれて)悪いね」と言われたので、咄嗟に「情報を見つけるのが仕事ですから」なんてある意味すごいことを言ったような気がします。笑

それでも、しばらくは掲示板を撮影する人が絶えなかったですから、必要なWeb情報に触れられない人ってどんだけ多いことか…って痛感しました。

話は変わって、各図書館の図書館の被害状況や必要な支援について有志の手によって立ち上げられたWebページ(http://savemlak.jp/wiki/saveMLAK)があります。
先日も記事になっていたようですが、(当初のページはこっち(http://www45.atwiki.jp/savelibrary/)ですが)
しかしながら、Twitterでそういうことをやっているという情報があったので、私も編集に参加しようか迷いましたが、やめておきました。

というのも、前述のように、どの館がどのくらい資料が落下したか、天井が剥がれたか、書架にダメージがあったかなどの情報はある程度把握していたのですが、そんな数日のうちに復旧し通常開館している館の情報って必要だろうか?被災と言えば確かに被災なのでしょうが、そういう図書館の利用者から見ると、自分の行きたい図書館が今日やっているか否かの情報が(特に計画停電絡みの臨時休館など)必要なんじゃないかなぁと思ったことと(加えて、一般利用者はそういうサイトがあることも知らないので、最寄りの図書館のサイトにつなげてみて「あれ?出ない」ってことで電話ってパターンだろうし)、東北のとある図書館職員の話では「今、図書館でなく避難所にいて避難者の対応をしなければならないので、自館の状況把握どころじゃない」と言われたことも心にひっかかっていたということもあります。

また、原発問題で避難せざるを得なかった図書館職員からは「地震で避難した後に立ち入り制限になったから中がどうなっているか把握できてない」って話も聞きました。
私の友人の図書館職員が勤めている館の情報は被害が把握しきれなかったからか、なかなか情報が出てませんでしたし、停電が長期にわたった地域などでは、ネットにつなぐこともままならない状況でもありましたので、どういう情報伝達手段が有効か考えさせられることも多々ありました。
(各市町村立図書館自身もバタバタした状況で、うちの館も県立から来たメールにすぐ気付かなかったですし、電話回線ズタズタであればFAXも電話もできませんからねぇ…ほんと電気と電話回線がだめだと、動きが取れないことを痛感しました。)

もちろん、こうやってすぐに動ける有志の方々は素晴らしいと思っていますし、少しずつライフラインが復旧し始めた今はこれからどうするかということを知ることができる点で、とても重要だと思いますが、逆に今となったら、「数百~数千の資料の落下について追記する意味あるかなぁ?」とやっぱり書けず仕舞いだったりしますけど。

で、改めてこのサイトを拝見すると、被災情報が上書きされている部分(例えば以前は「○○のため△△日まで閉館中」だったのが「□□日から開館」など)もあり、前述のようにそこを見た利用者のために現在を知るというのも良いのですが、過去と現在を分けたら良いのではないかと思ったりします。
急に立ち上げられたことや多人数による編集ということもあり、細かいところでは「○○日」という表記があってそれが今見ると3月なのか4月なのか5月なのかわからないなど、なかなか難しい部分があるなぁと感じました。

先日テレビで見た図書館はまだまだ復旧の「ふ」の字もままならない状況でしたので、改めてショックを受けましたが、落ち着いて通常開館に戻った図書館から順に「あの時はこんな状況だった」と書く館が増えても良いんじゃないかなぁとちょっと惜しい気もします。

他にも、有志といえば、絵本の読み聞かせや避難所への図書の寄贈などの話も早々に出ていたようですが、一方で「そんな(図書)の置く場所なんかない」とか「(体を休めたいとか絵本の読み聞かせなんか聞きたくないなどで)その間どけって言うのか」って話も出ることもあるようですので、押し付けにならないように、他の避難者も考慮しながら活動するのって難しいなぁと思いながら今日に至っています。

話は二転しまして、生きることに一生懸命な時って心に余裕が全くないから、今でこそ音楽などが心に染みいるという話がありますけど、おそらく震災1週間くらいは難しかったんだろうなぁと思っていた矢先、某所から元気の出る本って何かないかって話が。
個人的には「えーこの時期って難しいなぁ」と悩みましたが、「いくらなんでも不遇な状態から立身出世した時代小説や長編小説なんか、元気のない人は読む気にもならないだろう」ってことで、できるだけスッと読める詩的なものや、大人が読んでもちょっと笑顔になれる絵本など、そんな感じのものをチョイスしたのですが、果たしてその評価は…笑(聞きに来た人のそのまた向こうですから…)
自分でも「この時期でなくて、例えば、あと半年後とかなら、また別の本を紹介するんだろうな…」って思う今日この頃です。

ってことで、だらだら書いた感じですが、まとめると…
・日ごろから自治体や図書館は手元でない別サーバの公式情報発信手段を持った方が良い
・Web情報はまだまだ見られていない人が多いし、長期停電の時は特に考える必要がある
・図書館資料や図書館が機能しなくても、情報を色々と収集してその状況に応じた発信を考えよう
・どのタイミングで何をするのかよく考えないと、良かれが自己満足になりかねないことも
ってことでしょうか…

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光そそがれない交付金

もう2月になっているのに、ようやくブログを書き始めたり、今年も更新率悪そう…
さて、実は昨年最後のエントリーの続きとして、次のようなことを書き終わっていたのですが、結局UPしませんでした。

図書館の収集する『図書、記録その他必要な資料』の『記録その他必要な資料』ってなんだろう?って話から、「利用者は資料のどの部分を必要な情報としているか」ってことで、館名バーコードに隠れる絵や写真の話で、QRコードやカラーコードについて書いたのですが…
ICタグを付けている館がバーコードもやっぱり付けている意味合いの部分で煮詰まった感があったので、やめました。

 で、今日は遅ればせながら、『住民生活に光をそそぐ交付金』の話。
昨年の暮れに「光そそぐ交付金」の話題が取り上げられ、図書館の資料費などに使われる話が出ていました。

 普通なら、通常資料費にプラスして、交付金を充ててもらい、資料の買い替えや重点収集資料の買い増しなどをして、今まで光の当たっていない部分に…
って考えられますが、ぽつぽつ聞くところによると、図書館によっては、次年度に繰り越しの手続きをされて、その交付金分の資料費が削られた状態で次年度予算を組んでいる所も少なからずあるようです。

それじゃあ、いくら交付金が付いても意味ないじゃん。

 わざわざ説明するまでもないことですが、毎年少しずつ減されている資料費をまるごと交付金にされると、交付金の名目上、どんな利用をされたか資料を作らなくてはいけません。
 図書館としては、毎年の資料費と変わらないですから、普通に資料を購入したいところですが、『交付金でいつも通り購入しました』よりは『交付金で学校支援をするための資料を購入しました』とか外向けのアピールを余儀なくされることも考えられます。
 そうすると、買わなきゃいけないけど、優先順位が低くなってしまったものを上げることで、通常の新刊購入が控えられたりするわけです。
 ついでに、計画書や報告書を作ったりする業務もただ増えるだけですし。

 最近の新聞記事では、資料費を削減され資料の購入もままならない図書館というのも目にしますので、図書館自ら「交付金分をいただける分、資料費を減らして下さい」ということは考えられません。

 そうすると、各自治体の首長や財政当局の判断とも考えられます。
 もちろん、「資料費を数百万削る予定だったけど、その分を交付金で充てるから」ということも考えられます。

 本来の順番であれば、図書館側が「こういう資料を購入したいので、交付金を申請します」というものが出されて、自治体内で調整され、国に申請されると思います。
 なので、こうなった理由の考え方の1つとしては、図書館側が計画を立てそびれたので、財政当局側で「じゃあ、資料費として次年度に繰り越すから、考えておいて」と棚ぼた式に自治体に交付されるお金をこれ幸いとしてしまったパターン。
 ただ、普通の図書館であれば、数百万円分の図書館に欲しい図書リストなんかすぐ出せるはずですから、これは当てはまらないはず。
 そうすると、順序が逆で、財政当局が「図書館の割り当てはこれだけで、次年度に繰り越すから、その分資料費減ね」と決められてから、図書館に計画を出させるパターン。
 まぁ、聞きかじる話ではこのパターンが多いかな?

 抵抗するとしたら、「それじゃあ計画書を出さない」という手もありますが、基本的には公務員は上司の指示に従う義務がありますので、館長などのレベルで反対してもずっと上の人(首長や教育長など)から「計画書出すように」って指示が来ると出さざるを得ません。
 このパターンになると、いくら図書館側がああだこうだ理論武装しようとも、(以前書きましたが、図書館をよく利用する首長なんて聞いたことがありませんから)財政当局か首長レベルで、「財政難なんだから、資料費がちゃんと付いたんだし、あきらめろよ」って言われるのがオチでしょう。

 そもそも、いくら年度末に付いた交付金だからといって、次年度に繰り越せるというのが間違っていたのかもしれません。
 いや、もちろん、他の場合は確かに繰り越せないといけないこともあるのでしょうが、図書館資料費は繰り越せない方が、このような悲劇にならないで都合が良かった気がします。

 その上、もしかすると今年限りの交付金になるかもしれませんので、来年度は繰越された交付金で普通に資料費があったけど、再来年度は資料費大幅減のままということもあると思います。
 この時、図書館側は猛反発しないといけないのですが、あまり図書館を重要視していない首長のいる自治体では、「元々減らす予定だったし」とか「予算上は昨年よりプラスだし(交付金分は別なんだから)」とか言われるのではないかと…
 例え再来年度の口約束(「ちゃんと通常年度の資料費に戻すから」とか)があっても、再来年度には首長や財政当局の担当者が変わっていることも十分考えられるご時世ですから、来年の今の時期の方が怖いかも?
 いくら、それなら来年度ももらえるようにしようとか、もらえたとしても通常資料費に充てるのはまずいとわかっても、そもそも、来年度もくれる保証はないですし、まずいとわかっても、もう遅いってことになりかねません。

 それにしても、そういう図書館格差が(通常資料費にプラスされるところもありますから)一層大きくなるかもしれない事態なのに、都道府県立図書館や日本図書館協会で調査や声明を出さないのはなんでだろうなぁと。
 全くそんな事になっているなんて知らないということはないと思いますけど、内偵調査して、各館アンケート調査とかしているうちに、予算が確定され、調査がまとまった時には、再来年度の予算が大変なことになっていた…なんてことがあると思うんですけどね…

 せめて、大臣や省の通達などで首長辺りに釘をさせると良いのでしょうが、こういうことは各自治体でちゃんと考える事だと思っているかもしれませんし、そんなことになっているとは、あれだけ「図書館」「図書館」と連呼してくれた大臣も思っていないかもしれません。(誰も伝えていないかもしれませんし。某氏のように「そういうことに疎くて…」と。笑)

 今の時期、手っ取り早いのは各自治体の議員さんから「おかしいんじゃないか?」って質問がどんどん出されることなのですが、そこまで図書館を考えてくれる人ってあまり多くいないだろうなぁと。(たくさんいれば、もっと図書館は良くなっているはずですものね。)
 それに、逆に質問があったとしても、「図書館には数百万円交付金を充当しました。それで読書活動の推進に役立てる資料を云々」って答弁され、その部分だけ見ると、納得しちゃうパターンも出て、図書館としては、通常資料以外の資料を買う羽目になるおそれもありますね…

 たまたま私が聞きかじった図書館がたまたまそうなのか、それとも、こういう予算組しているのは全国的なのかわかりませんが、ただでさえ資料費を毎年削減されているのに、通常の資料費を削って交付金を充てては、そそがれるはずの光も当たりはしませんって。

 都道府県立図書館でそういう調査はやっていないのですかねぇ…どのくらいの割合がこんなおかしな交付金の使い方になっているのかとても知りたい今日この頃です。

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雑誌の袋とじと付録

 明石市立西部図書館における袋とじのニュースの記事が
毎日新聞(http://mainichi.jp/area/hyogo/news/20101209ddlk28040342000c.html
神戸新聞(http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0003663168.shtml
Jcastニュース(http://www.j-cast.com/2010/12/09083067.html
で流れていましたが、個人的に不思議なのは『月刊誌「小説すばる7月号」(集英社)』って書かれていること。
 今年の記事なので、2010年7月号なのでしょうけど、実は小説すばるで初の袋とじは、同じ企画で2009年7月号にもあったんですけど、それはスルーってことなんでしょうか…。

 実際、明石市立西部図書館にどちらの資料もあるわけでして、2010年7月号だけ話題になったのは、たまたま議会で質問があったからなんでしょうが、2009年の時はどうしていたのでしょう?
 もし2009年のが普通に配架されているのであれば、2010年のも配架するはずですし、2009年のも外されていたら、1年間は何も言われなかったはず(もしくは言われたけど、拒否して利用者が引き下がったか)なので、その時に館としてどう対応するべきかくらいは検討していると思うんですけどね…
 今回、外したのは去年の号の扱いを知らなかったってことなのでしょうか…
 私は外の人なので、どんな風な発言だったのかは新聞しか情報源がなく、後で議事録をみないとなんともいえませんけどね。

 さて、今回はいきなり去年の話を差し置いて、今年の小説すばるの袋とじが話題になりましたが、よく図書館で購入されるan・an、アサヒカメラ、婦人公論、などや美術系の雑誌などで、性を取り扱った号があったりして、配架するか否か、よく悩まされます。
 いくらなんでも、図書館で大人ゾーン・子供ゾーンってわけにもいきませんから、教育的配慮も必要かなぁとは思いますし。(雑誌の場合、最新号の表紙を見えるようにして置いていることが多いですしね…)

 うちの場合は、以前、アサヒカメラの特集の時に、切り取りが数回発生したので、それを理由にして、この手の特集があった場合、最新号はカウンター取り置き、バックナンバーは(カウンターに置きたいけど手狭なので)ひとまず書庫出納行きとなっています。

 でも、隠しっぱなしではなく、万人が手に取るようになっていないだけなので、利用者は、予約または書庫出納の申し出でそれらの本を借りることができます。
 もちろん、小学生が借りたいと言えば、貸します。笑(いいかどうかは別ですが、図書館としては貸出します。)

 まぁ、この記事のように「知る権利」云々をわざわざ議会で発言する前に、図書館で問いただせば良いだけのことかと思うんですけどね…何か裏があるのかなぁと勘ぐってみたくもなります。

 で、Jcastニュースの中段も気になりました。
『最近の雑誌の付録にはバッグや傘などが付いていたりして、利用者が付録を無断で持って行くことがあるからだという。』
 私の読解力では、『本誌にバックや傘などの付録を付けると無断で持っていく利用者がいたので、(そういう事例があるから)付けないようにした』と解釈したのですが、その先に『以前はバックや傘も一緒に置いていたんだけど、なくなったので』なのか『単にそう思うから付録は一切付けていない』なのか…普通はバックや傘は付けようと思わないんじゃないかと。

 というのも、確かに、本誌についている付録で、レシピ集などは本誌の後ろの方に袋を作っていれたり、本誌の後ろにくっつけたりしても、時々不明になってしまいますから、付録はカウンターに置いて、貸出時に付録をつけて貸出する方式で、本誌しか書架には出していません。
 もし、明石市立西部図書館が、付録という付録を一切貸していないのであれば、話は終わってしまいますが、うちと同じような方式だった場合、バックや傘も貸出している(もしくは貸出していた)ってことなのかなぁ?と思って気になりました。

 それに加えて…『出版物に関して図書館側が手を加えることは禁止事項のため』ってのは、次回エントリー予定の話にもなりますが、雑誌装備のバーコードを貼ったり、館外貸出ができないDVDを外す作業もだめってことになるかと…禁止事項っていつ決めたの?笑
 同様に、神戸新聞の方にも『「図書館の自由に関する宣言」では、正当な理由なく資料に手を加えることを禁じている。』とありますが、正確に報道するのであれば『資料の内容に手を加えたり』です。あくまで『内容』であって、資料そのものではないのですけど…
 そりゃあ、もちろん、提供すべき記事を黒塗りにしたり、切り取ったりというのはもってのほかというのは、図書館の中では当たり前なんですけどね。
 でも、『内容』という意味で、ひねくれた考えをするのであれば、袋とじを開くのは袋とじとしてあるべき(閉じられているべき)内容が開かれることによって機能しなくなるわけだから、それはどうなの?とか…笑

 冗談はさておき、そこで、思ったことは、雑誌付録の提供範囲って他の館はどうなんでしょう?
 私の周りでは、いくら付録といえど、「付録のバックも付けて貸出しましょうか?」とか(バックならついでに借りた資料を入れられるので借りたい利用者いるかもしれないか?)、化粧品だったり、万年筆だったり、食品サンプルなども付録ですが、いちいち貸す時に確認したり、すでに付録としてくっついている図書館ってどのくらいあるんでしょうか?

 とある調査を見ると、雑誌の付録として付かないものは、貸出許可の下りなかったDVD・化粧品サンプル・カレンダー・家計簿・ポスター・クリアファイル・立体的なもの・手帳等書き込めるもの・シール等が付かない主なものだったります。
 もちろん、それらの付録は利用者が見たいというのであれば、貸出するしないに関わらず出して見せられるようにしている館が多いようでしたし、うちも雑誌を除籍するまではできるだけこれらも整理してありますけど、意外とかさばるんですよね…最近の付録は特に。それはどの図書館でも悩み所なんでしょうか。

 基本的には、閲覧利用されるような冊子は付けて貸出しているみたいですけど、悩むのが、書き込み式の手帳やカレンダーやダイエット日記など。
 情報があるなしで考えると、情報はある(カレンダーだと写真の情報とか手帳などでは一口コラムとか)と言えばあるのでしょうが、取り置いていても開館以来全く要望はないので、外したまま数年の保存期間を経て廃棄だったりします。

 図書館によっては、貸出をする冊子付録以外はイベントの景品にしたりして、利用者に提供したり、リサイクルフェアなどで提供したりしていたりするようですが、カレンダー系だと、除籍時にはカレンダーとして機能はしない(まぁ、絵や写真の情報ではあるので保存してましたけど)ですし…
 でも、有効活用として、使えるうちにあげるのでは、利用者に(早い者勝ちだと)不公平感などもあるし、実際に雑誌本誌を見て「付録を見たいのですがありますか?」っていう利用者もいますから、やはり本誌がある間はあげるわけにもいかないし、難しいところです。(化粧品サンプルとか消費期限が切れていそうである意味危ないけど、付録ではなく広告であれば、廃棄しちゃって良いのか…)

 雑誌付き付録…いやいや、付録付き雑誌は確かに近年増えていますが、『知る権利』云々をやはりおっしゃる方はいますから、多くの館では、そんな対応になるんだろうなぁ…と。
 ある書店の雑誌コーナーはさながらバック屋さんなのか書店なのかわからない状態だったりしますから、図書館としても最初から展示というのもなぁ…と思う今日この頃です。

 ところで、デジタル雑誌というのが、今後増えるということで、日本雑誌協会等でデジタル雑誌配信の権利処理ガイドライン(http://www.j-magazine.or.jp/information_006.html)が作成されたようで、図書館はこれに噛んでいないのですが、図書館でデジタル雑誌を扱うことになると、気を付けないといけなくなるのかなぁと、思ったりしています。
 というのも、今後の話ですから、どういう方式になるかわかりませんが、雑誌の中の写真等は基本的に数カ月の間、雑誌出版社に権利委託のような形で預けられ、その期間が過ぎたら、基本的にはガイドライン外の話になるため、新たな契約などが必要になるようです。(もちろん包括契約などになるでしょうけど)

 となると、事と次第によっては、図書館で契約している雑誌のバックナンバーのうち、元の著作権者が権利を取り戻して配信を認めない部分に関しては、最初は見られてもその後その部分は削除されたものを閲覧となりかねないような気もしますので、動向をちゃんと見ておかないとなぁと。

 で、思ったことは、デジタル雑誌に付録は付くのだろうか?と。
ダウンロード形式のデジタル雑誌は見かけない(もしくは私が知らない)ですが、その性質上、付録もデジタルってことになるのかなぁ?
契約者向け特典プログラムダウンロードとか、追加レシピ集デジタル版とか、カレンダースクリーンセーバーとか、そんな感じ?
 そう考えると、インストール物だと、業務的にちょっと嫌かな。それを起動して見せるとかになるわけですし。

 そうそう、今回雑誌付録の話でしたから、ついでに少し前の話。
 DVDが付いていた雑誌があったので、「本誌が貸出可能になったら、一緒に貸出してもよいですか?」って問い合わせの電話を入れました。
 で、不思議な返答が…「次号が出るまではDVDを貸出しても良いですが、次号が出たら貸出すのをやめてください」と。
 言い間違えたのかなぁ?と思って確認すると、やはりそうだと言うので、電話を切りましたが、おそらくDVDの中身に関する出版者の頒布権とか何かのせいなのかなぁ?と良心的に解釈しておくことにしました。
 他にもCDは基本的に雑誌についているものは許諾なしに貸出しても良いはずなのですが、確か付録CDにわざわざ「図書館で貸し出さないでください」というような事が明記されているものが…一応、権利者の尊重をして貸出はやめましたが、なんか腑に落ちませんでしたよ。はい。

 袋とじの話から始まって、雑誌の付録について考えてみましたが、なかなか妙案は浮かばないですね。
 まだ保存期限が切れない雑誌の付録や今年もカレンダー類が段ボールにいっぱいあったりしますが、日の目を見ずに捨てられる付録も多々あるんだろうなぁと、年の瀬になって思いました。

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ガイドラインは、どんな感じなの?

ちょっと忙しかったり、油断していると、いつの間にか世の中変わっていて、「あれ?こうじゃなかったっけ?」ってこともある現代、同じ様な話が立て続けに出て、某所で話をしていたら、「それは今年の初めに…こうなったよ」って言われ、「えーっ、そうなん?」ってことが最近ありました。

図書館司書って、いつ何時もアンテナを十分張り巡らせていないといけないのに…今年は特に本業に忙殺され、アンテナが途中で故障しているダメダメなトーネコです。
某氏のようにブログ文章書きのリハビリを兼ねて、連日UP…っていうのも、私には無理ですが、無事同僚も復帰したことだし、アンテナを修理して磨こうと思ったりしている今日この頃です。

さて、最近思うのは、ブログの記事の事。
世の中色々変わりますから、その記述当時はそうだったけど、今は変わっているとか、案外あります。
世の中以外にも、自分の意見はこうだったけど、それと違う意見が出て討論しているうちにとか、年数を重ねてうまくいかないので、軌道修正の必要があったりとかして、見解が変わった場合もあると思います。
ブログの場合、消したり修正しない限りは、当時の文のまま残っていますし、でも、検索では案外古い記事もヒットしちゃうということもあるので、その記事だけ読まれると間違った情報を与えかねないこともあったりします。
そういうのって、みなさんはどうしているんでしょうかねぇ?
変わったの気付いたら、古い記事を消す(非公開にする)という方法が1つあります。
他にも、その記事に<追記>として変更を記述するって方法もあります。
おそらく、後者の方が検索から来た一見さんなどに有効で優しいのですが、過去のエントリーを世の中変わるごとに再チェックというのは、私には難しいので、似たような記事があれば最新のものを見ていただくということで、よろしくお願いします。


で、まず最初は、前述の私が気付いていなかった話。
以前、2009年10月29日の『取りとめもない研修会の話』(http://c-town.way-nifty.com/blog/2009/10/post-3590.html)のエントリーで、著作権法第三十七条、第三十七の二の『ただし書き』に一言(?)文句を書いていました。
要は、活字を音声で、と言っても朗読と音訳は違うし、販売予定だって言われれば躊躇せざるを得ないじゃないか…ということでした。
でも、今年の2月に『図書館の障害者サービスにおける著作権法第37条第3項に基づく著作物の複製等に関するガイドライン』(http://www.jla.or.jp/20100218.html)ってことで、ガイドラインできていたんですね。
もちろん、これで全てがOKではないところが、悲しい現実ですが、ちゃんと一歩は進んでいるんだなぁと思いました。

さてさて、これによると、9の『市販される資料との関係』において、『録音資料において,朗読する者が演劇のように読んだり,個々の独特の表現方法で読んでいるもの』や『利用者の要求がデイジー形式の場合,それ以外の方式によるもの』は似て非なるものなので、以前言及しましたが、無事『著作権法第37条第3項ただし書に該当しないもの』の例に明文化されました。

公衆への提供又は提示に関しても、『販売予定の場合,販売予告提示からその販売予定日が1か月以内までのものを「提供または提示された資料」として扱う。ただし,予定販売日を1か月超えても販売されていない場合は,図書館は第6項に示す複製(等)を開始することができる。』ということで、『図書館が視覚障害者等用資料の複製(等)を開始した後に販売情報が出された場合であっても,図書館は引き続き当該複製(等)を継続し,かつ複製物の提供を行うことができる。ただし,自動公衆送信は中止する。』というただし書き条件は少しついたのですが、自動公衆送信が中止されるだけで、提供は可能なので、同方式で発売されていることも考えると、仕方ないかといったところでしょう。
…なのですが、販売予定日が1か月を超えて延期になった場合は、『予定販売日を1か月超えても販売されていない場合』に含まれるか否かということを疑ってかかってしまいます。
最初の時点では作れなく、「よし、1か月出なかった」と思ったら販売予告が1か月以内に再びなることもありますし…考えすぎ?
また、ただし書に該当しないものとして、『インターネットのみでの販売などで,視覚障害者等が入手しにくい状態にあるもの(ただし,当面の間に限る。また,図書館が入手し障害者等に提供できるものはこの限りでない。)』は一般入手条件のようなものですが、遠くの実在店舗or会社事務所で売っている場合『インターネット販売のみ』ではない判断も可能になっていますし、図書館は『インターネット販売のみ』でも、頑張って入手しないといけませんからねぇ…

まぁ、不安要素は少しずつ潰していかないと、安心して活動しづらいですけどね。

で、全く同じようなただし書きがある第三十七条の二に関しては、まだガイドラインないようですけど…
権利者団体が映像関係なので、難航しているということでしょうか?
そういう途中経過を可能であれば、日図協のページで見られると、多少は見直す人もいるんじゃないかなぁ…

ところで、2009年2月4日の『著作権法31条2!』(http://c-town.way-nifty.com/blog/2009/02/post-180f.html)のエントリーで、丸山氏のブログを引き合いに出して、図書館資料の保存のため必要がある場合の複製として、廃棄資料のデジタル化などの可能性を話題にしたのですが、なかなか実施に移す図書館が見られません。

著作権法改正時の報告書(http://www.bunka.go.jp/chosakuken/pdf/21_houkaisei_houkokusho.pdf)の192ページにも、
『国立国会図書館以外の図書館等の行うアーカイブ活動については、前述のとおり現行第31 条第2 号の規定に該当するのであれば、その所蔵する資料を
複製することができる。例えば、損傷、紛失の防止等のためにデジタル化することも不可能でなく、また、記録のための技術・媒体の旧式化により媒体の内容
を再生するために必要な機器が市場で入手困難となり、事実上閲覧が不可能となる場合において、新しい媒体への移替えのためにデジタル化をすることについ
ても、同規定の解釈として不可能ではないと考えられる。』
とあり、文面では『国立国会図書館<以外>の図書館』とありますし、問題ないと思っていますが、やはり動きは見られません。

例えば古くからある図書館が所蔵している16ミリフィルムのDVD化とか、もっと進んで良いと思うんですけどね…

もちろん『図書館資料の保存のため必要がある場合』がどの程度まで許されるのか、微妙な範囲ではあります。
「資料として保存したいが、書庫がいっぱいなので、原資料を廃棄する代わりにデジタル化」ということで、マイクロフィルム・マイクロフィッシュがデジタル情報になったような感覚が可能なのか(もちろんデジタル化した資料は館内閲覧ということになるのでしょうけど)、「ページ売りはしてもらえないので、損傷する前にデジタル化しておいて、ページが紛失したらそのデータからページを複製」が可能かどうかなど、判例がない分、解釈的には可能だと思われることが多くあります。

また、著作権法31条3にしても、『絶版その他これに準ずる理由により一般に入手することが困難な図書館資料の複製物を提供』の一般に入手することが困難とはどこまで言うのか…ってことは以前も言及したような気もしますが、デジタル化と併せて考えると…
「A図書館にある保存のためにデジタル化して複製した絶版資料BをC図書館が31条3でデジタル化された複製物としてもらいうける」ってことも可能なんじゃないか?と思ったりします。
そうすると、絶版資料BはA図書館でデジタル化されているので、A図書館は求められればどの図書館にもすぐあげることが出来ることに。
いや、もちろん、メールで送信とかは公衆送信権がひっかかりますから、デジタルデータをCD-Rに焼いて郵送ることにしないといけませんが。笑

そういうことを考えていると、マイクロフィルムなどを多く作成している県立図書館なんかでは、カメラがデジタルに変わっただけですから、ノウハウは持っていることでしょう。
絶版資料をどんどん『保存のために』デジタル化し、市町村立図書館の求めに応じて、まとめてください!って要望が増えても良いはずです。

もちろん、A図書館がデジタル化するのに手間と費用がかかっていることもあるでしょう。
それをただでもらおうなんて…と、思わなくもないですが、各館できるだけ重複しないように、デジタル化すれば、相互貸借ならぬ相互提供によって、貸出可能資料は数万冊の図書館でも、デジタル化されて他館から提供された館内閲覧可能な資料が数十万冊ってこともあり得ませんか?

ただ、デジタル化する手間はやはり大変なものです。
デジカメと撮影台があれば、できなくはありませんが、1ページずつめくるのってやはり大変です。
某社の自動ページめくり機能付き撮影機がお安く手に入るようであれば、あったに越したことはないですが、それは無理でしょう。
そうなると、パートさんとかを集めて人海戦術ができるところに、委託外注することも考えないといけないと思います。

もちろん委託を受ける企業は自ら「廃棄資料のデジタル化やります」ってことは大っぴらには言えません。第31条はあくまで図書館がですからね。
第31条に絡んで、図書館が委託するという形であれば可能かなぁと。
それならばビジネスになり得ます。出版界などの権利者団体を敵に回すかもしれませんけど。笑
でも、図書館の依頼で(一応面倒だけど)やるんですから、大丈夫かもしれません。
どう、権利者団体が動くかわからないのが、予想を難しくしています。

実際、第31条2を利用して、報告書の意味合いで、デジタル化していくと、きっと権利者団体からのアプローチがあり、時には裁判になるかもしれません。
でも、そのおかげで、判例が確立するので、良くも悪くも白黒付ける意味では良いかもしれません。

第31条は図書館における複写の生命線でありますが、今ならかなり有効に使えそうです。
というのも、前段の第37条絡みの『ただし、当該視覚著作物について云々』のようなただし書きもありませんし、第35条の『ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。』のようなただし書きもありません。

上述式の複製をやっていたら、権利者サイドに目を付けられて「第31条はなくせ」とか「『ただし、当該電子著作物について云々』や『著作権者の利益を不当に害する云々』のただし書きを追加せよ」ってことになると、首を絞めそうで怖いといっちゃ怖いですし、「法に問題なければやっちゃえ」はGoogleさんみたいな感じもしますが、各図書館はそれほど体力ないですからねぇ…
図書館界が一枚岩として、断固として、第31条を有効的に最大限活用すると、行動をうつせれば良いのですけどね…ただでさえ、バラバラな方向を向いていることが多いので難しいか。

今日はそんなところで☆

…いやね、今日のこういう話題をしたのは、最近、確か全国公共図書館協議会の当事者会での話として第31条の権利の制限の制限について権利者団体さんから意見があったらしく、それに対する意見聴取があったわけですよ。
以前も同じ様な意見聴取があって意見を提出したのですが、結局図書館側として、どうまとまった意見として権利者側に伝えたのか、それを伝えてどういう答えがあったのか全く見えてきませんが、再び戻ってきた権利者団体さんから意見は同じようなものだったわけなんです。

そうなると、以前の意見はどうなったんだろう?話は進んでいるか平行線になったのかわかりませんよね?そんな不満があった時に、私の周りの数か所で、第31条とデジタル化の話がありました。
で、第37条に絡む話もしていたら、これは私が知らなかっただけなのですが、いつの間にかガイドラインが出来ていたということもあり、もっと関連団体は意見のやり取りなどを見える化して欲しいなぁと思いました。

また、その意見聴取では、同時に、電子書籍の扱いの意見も聴取されたんですけど、電子書籍は各社出されてフォーマットが定まらないとか、媒体変換が難しいようであれば、課題も多いよなぁと思ったりしていましたが、第31条2や3に絡めてデジタル化したり媒体変換が報告書の中では可能なようなので、うまくやれるかな?と思ってみたりでしたので、今日の話題となりました☆

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図書館業務研修はソフトにできる?

最近は同僚が1人ダウンして忙しさが増し、現実逃避しているトーネコです。
たぶん、実のある話にはならないと思いますが…ちなみに、タイトルのソフトは研修ソフトのことで、何も研修が鬼教官がやっているハードなものってわけではありません。笑

みなさんの館では新しい職員やパートさんやスタッフなどが入ってきた時どうしているでしょう?
操作マニュアルやスタッフマニュアルをドンと手渡し、「これ、図書館の仕事の全部だから、読んで明日からバリバリやってね」っていうわけにはなかなかいきませんよね?
ある程度カウンターやフロア上で受け答えができるようになるまで、軽く1カ月はかかるでしょうか…

先日『東京都:20年以上「臨時職員」 2カ月ごとに契約更新』(http://mainichi.jp/select/today/news/20100929k0000m040147000c.html)って記事があり、よくある話だなぁと思いましたが、最近は厳しくなっているようで、おそらく労働基準法第14条とか労働契約法とかその辺(すごくアバウト…笑)があることから、1年や3年や5年で、契約しない期間を作って実質継続雇用などしているところも見られます。(その是非はさておき…)

そうなると、スタッフ人員に余裕がある図書館ってあまりないですから、その契約期間が終わったスタッフに変わって短期間、次の人が見つかるまで…というか、元の人と改めて契約したくなる(笑)まで、新しい人を雇うことになるのでしょうが、その新しい人がちょっとはましになるまで、1カ月はかかり、その指導にチーフや正職員が労力を割かれるのは、ただでさえきつい人員配置なのに、図書館サービスに向けられなくなっている図書館も多いかと思います。

経験上…とは言っても、色々な館をまわっているわけでないから、私の独断と偏見かもしれませんが、司書資格持ちと司書資格なしの差ってNDC分類から説明しなきゃいけないかどうか、図書館の自由に関する宣言を聞いたことがあるか否かぐらいのような気がしてなりません。

図書館でバイトしたことのある人でも、「システムが使っていたのと違うし…」ってシステムの使い方を教えるのは変わらないし、配架場所なんか、来たばかりのスタッフより図書館利用者の方がよく知っていることだってあるわけですし…
もちろん寄贈資料を受け入れる時に読みの分かちとか、分類記号や件名の付与とかは司書資格を持っている人であれば、演習などでやったことあると思うので、やり方はわかると思いますが、新しい職員・スタッフがいきなりそういう仕事をするってことも普通はないでしょうし、有資格正職員でも「やったことない」という人がいるくらい市販のMARCが充実し、インターネット上で他館の情報を検索できることによって、悩みながら取り組むってことが少なくなってきているような気がします。

どこぞやに火に油を注ぐようですが、司書資格を持っている人だって、それ以前は持っていなかったわけですし、取得難易度が高いわけでもないですから、研修を充実させれば、少なくてもぽっと出の有資格者より十分即戦力になり得るのだと思います。
もちろん、医者などの免許は無免許だと法律違反になり罰せられますが、司書資格は持っていなかったら図書館運営ができないというわけでもない現状があるわけですから…とはいっても、職員全員が持っていなければ複写サービスができない支障(正確には「文化庁長官が定める著作権に関する講習を修了したもの」がいれば良いのですけど)もありますが、複写サービス自体はしないことも可能ではあるので、やはり支障にはならない…図書館法などで、全職員有資格者であることとかに加えて罰則でもないと、改善されないでしょ。ほんと。

確かに、有資格者であれば、図書館運営の背景などを知っている分、図書館運営が図書館らしくできますが、例えば館長の有資格者率ってどれくらいでしょう?大きい所は高いでしょうが、小さい所は低いような気がします。2割いれば良い方でしょうか??
図書館関連団体が、長年、やれ有資格者採用だの、やれ図書館法改正だの声をあげているのはよく聞きますが、何か変わったでしょうかね?
(あ~話が脱線しそう。)

さて、資格の有無についてなどは別議論に任せておいて、今回は職員・スタッフ研修の話で思うことなぞを。

そういや、先月、全国図書館大会があり、FLU40も規模を拡大しておこなわれたようですが、FLU40にのみ参加で公費出張って人はほとんどいないでしょうが、全国図書館大会に公費出張できている人ってどのくらいなんでしょうかね?(何か統計ありましたっけ??)
あっ、私は以前1度だけ近隣で開催された時に公費出張でしたけどね。当時の案件の情報収集として。

まぁ、公費だろうと自腹だろうと各館・個人の事ですから、構わないのですけど、移動も含めて数日現場を空けても支障がないと言ったら語弊がありますけど、それをサポートしてくれる職員がいてこそ、空けられるんですよね。なので、そこは良い職場環境にあるということでしょう。
そういう機会に恵まれたのですから、どうやって現場にフィードバックさせるかが本来の意味での視察や研修の成果の持ち帰りなんだと思います。

では、どういうフィードバックの仕方があるか…出張であれば型にはまった復命書とか、報告書とか、「勉強になったよ」「楽しかったよ」ではなく、詳細を話したり、レポート作成してあげることによって、行けなかった人にも経験値(知?)を分けてあげる必要があると思います。1人だけ積極的に参加して自己向上しているだけでは、図書館として向上されないと思いますし。
それでも、1人職場だったり、図書館業務に精通していない館長と一緒だったりという図書館は分館なども含めると少なくありません。つまりは空けられないんです。
私もそう大きくないとこですが、現在同僚が長期ダウンということで、代わりもいませんから、空けたらその日の業務停滞になるので、行きたくても行けないことがあります。

(言葉が混乱しそうですが)パートさん(臨時職員さん)などは、公開研修会であれば、自費参加している人もいるのでしょうが、あまり県立図書館などの主催している研修で参加しているのを見たことがありません。
他自治体図書館のパートさん同士の交流っていうのも私の周りでは聞きません(ついでに自治体内他館もですが…笑)。

で、以前、eラーニングの話も触れたことがあったと思いますけど、まだ大がかりっぽいものはTRCなど(http://www.dnp.co.jp/news/1210016_2482.html)のくらいのようですし、図書館機関リポジトリみたいなのもあれば良いんですけどね。
個々人で図書館視察のレポートを写真付きでブログ等でやったりしていますが、それらがそういうリポジトリの中にあるようにできれば、探し回らないでも良いので、助かるなぁと思いますし、図書館雑誌とか云々とかの論文ではないけど、各図書館での現状分析とか、簡単な論文があると、さらにまとめて論文が新たにできそうな気もしますし、以前も書きましたが、使っているひな形やら、研修に使った資料やら、スタッフマニュアルなども色々な館のものを参考にできると、勉強にもなるし、効率もあがるんじゃないかと。

レファ協みたいに、公開範囲を指定するとか…登録館職員のみとか非公開とかでも大人の事情もあるでしょうからね…大きなところで音頭取りしてくれないと、例えば私がそういう場所を作ってみてもあくまで個人ってなるわけですから、そんな場所があると良いんですけどね。

さてさて、実務レベルの向上であれば、そんなのがあると便利ですが、じゃあ、新しい人が来たから「そこを見てね」とか「『知っておきたい図書館の仕事』(http://www.bk1.jp/product/2363159)を読んでね」だけではきっとわかりません。
「新・図書館の達人」「図書館の達人 司書実務編」とかだともう少しスッと入るかな?とも思いますが、ちょっと情報が古い気もしますし、解説が流れていく感じですしね…
ってもやもや考えていたら、「日本マクドナルドでDSを使ったバイトの研修」って記事が3~4月でしたっけ?ありましたね。
自分で考えながらやれて、職場における研修時間も節約できるとなると、そういうのが図書館の新人研修に使えるといいなぁと思いましたけど、その記事では、アルバイト研修方法に掛かる費用は、ソフト開発費を除いて約2億円ってありましたから、今の図書館では無理ですね。笑

で、そういうのを作ってみたいと思っても、どうも今個人でできる環境としてはマジコンあたりを使う方法しかないので、どうもイメージが悪い。
RPGツクールみたいな研修ツクールがあると便利なんですけどね…そうでなくても、正規DS用個人プログラム作成ソフトなんか任天堂さんで(昔のファミリーベーシックみたいの?笑)出してくれれば…いいなぁ。

ちょっとDSでは手が出せなくても、携帯アプリとか、疑似的にWebページを作るのなら、研修ソフトって作れそうじゃないですか。
でも、見たことがないから、きっと誰も作ってない?それとも私が知らない?
で、ないことを前提になぜないのか、どうすれば良いかを列挙。

1.システムに違いがある。
 図書館システムが色々異なるのは知っていますが、貸出時に利用者を認識(利用券のバーコードスキャンや手のひら認証など)しないで貸すことはないでしょうし、返却だってなんらかの返却処理を資料にして書架に戻すでしょう。
 図書館システムの基本機能で同じようなことはたくさんありますから、例えば、手元の資料をスキャンする時にちゃんとされているか画面でも見るとかも細かいけど、新しい人はミスることが多いですし、検索だって検索項目は各社似ていて気を付けなきゃいけないのは例えば「50歳~」を「五十歳」と入力したら検索できないとか「ごじゅっさい」では出てこないこともあるとかなので、 他にも、警告メッセージを消さないと先に進まないとか、画面遷移は色々あるかもしれないけど、注意しないといけない点は新人研修の時点では同じような気がします。

2.均一なルーチンワークではない。
 はい、注文を受けて同一手順でその作業だけをやるのであれば、確かに簡単です。
 書架整理の並べ替えなどはそれこそゲーム的にできるでしょう。
 貸出時に、利用券を忘れた人などのイレギュラーパターンもある程度は予想できます。
 レファレンスとかは発想力が必要になることもありますけど、応用編ではないのですから、どうやって相手から情報を引き出すかとか、検索までの流れがわかれば良いのですから、推理ゲームみたいな手法でやれなくもない。
 フロアで「○○について知りたい」と聞かれたら、先入観で行動せずにレファレンスインタビューをすると○で、回り道になると減点とか、そんなのも盛り込めそうです。
 イベント処理で、クレーム対応とかもあると面白いとは思いますが…
 まぁ、研修ソフトということであれば、それぞれの業務を選択して、注意点を確認しながら操作っていうので良いと思いますけどね。笑

3.ちゃんと引き継げているから。
 そういう恵まれた職場環境ですと、確かにいりませんね。
 そういう館は引き継ぎ書類などを公開してくれると非常に助かるんですけど…
 以前、引き継ぎ書を見せてもらったことがありますが、その時は非常にアバウトでした。「○○に配慮しながら選定する」とか、「ニーズに応じた対応」とか、それをどうするかがわからないんですけどね。

4.運用が違うから。
 確かに、相互貸借1つとっても、メールで連絡するところもあれば、FAXだったり、細かく見れば連絡方法も違いますし、仮装備の方法も自館バーコードべた貼りだったり相互貸借用のカバーだったり、細かく見るとやはり違います。
 順序はどうであれ、相手館に連絡する、仮データを作る、仮装備するということは一緒だと思いますし…
 相互貸借の配送も、県などが協力車など配送車をまわしているところもあれば、業者が配達方式のもありますし…でも、そこは「他館からの資料が届いた」って事実があれば良いでしょうか…
 図書館システムのパラメータではないですが、延滞中の資料があると貸出できないとか、図書館システムにあるようなパラメータは研修ソフトでもあると良いかとは思いますけどね。

5.作る時間がない。作る意味がない。
 もっともなご意見。
 図書館研修用プログラムだとしても、図書館業務ゲームだとしても、イメージを持っている人はたくさんいるでしょうし、私もプログラミング知識もさることながら、確かに時間がありません。
 作る意味は、新人研修に割かれる時間を少し減らすとか、楽しそうだからでしょうか?
 同じ説明を何度もするのは大変ですし。
 じゃあ、動画にしてDVDとかにするというのも一興ですが、実際に何か自分でアクションしながら学習するのと、視聴するだけの場合、身に付きやすいのは前者だと思いますけどね…

ということで、ゲームをしながら研修ができるとか、真面目に研修をできるソフトってあると、説明量が減って良いなぁと思ったりしています。
(色々業務1つ1つに考えられるパターンを考えていたら、それを動的に作るとソフトができるんじゃないかと思ったり…ひとまずコミックメーカーとかで作ってみるかな?)

もし、そういうのを一般公開したら、「図書館ってそういう風にできているんだ」ってアピールにもなるし…(そういや、図書館経営のゲームを云々ってツイート最近見たな…ザ・コンビニシリーズみたいなのって。同じような考えの方もおられるということなんでしょうか。)

図書館はその地域住民の窓口として国民の知る権利を保障する機関としてあるのだから、地域館だけでなく、図書館界全体として色々なことを共有していく必要があるんじゃないかと思いますけど、個人ネットワークや地域ネットワークレベルで落ち着いちゃうのはどうしてなんでしょうね…
やはり、国立国会図書館や日本図書館協会などで大々的にやってもらわないと、ゲリラ戦略だと拡散は難しいかなぁ。

最初に書いたように、正職員のレベルアップ研修資料などは、機関リポジトリ的で良いと思うのですが、職員の6割以上になっている臨時職員のための研修や主な窓口・フロア業務で知っておいてもらいたいことなどは、もう少しまとまってどっかにあると良いかな?と。ただ、図書館業務が初めてだと、文章を読むだけだとなかなか実感がわかないから、研修ソフトがあるといいなぁ…と思うことがちょくちょくあったので、今日の話題でした。
もちろん、一方でマニュアル化し過ぎると柔軟性にかけるので、どの程度のものがあれば良いかが課題と言えば課題ですけど。

どうも私が研修ソフトを作り始めると、図書館ゲームになってしまいそうですけど、ゲームならゲームで突発イベントとしてWebサーバが落ちるとか、切り抜き発生とか、台風で床下浸水とかあってもいいですよね?現代らしく。笑
どっかにありませんかねぇ…『ザ・コンビニ』みたいなものを作れるソフト。
といったところで、アドベンチャーゲーム的な方が簡単だな、と思う今日この頃です。

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図書館員のシステム関連知識ってどの程度?

 「岡崎市中央図書館の問題について何か書かないの?」って知人に言われたので、今さらながら何か書いてみます。

 まぁ、この拙ブログを読んでいただいている人で、「何かあったの?」っていう人はいないでしょうから端折りますが…
 まだよくわからないのであれば、杉田智宏氏の『岡崎市立中央図書館事件 議論と検証のまとめ』の時系列(http://www26.atwiki.jp/librahack/pages/16.html)を読むと一目瞭然だったりします。
 で、その後、図書館側の公式発表はあくまで大量アクセスのせいとして、どうも他人事のような発表に、火に油を注いでいる感じになったところで、最近の盛り上がりとなっているかと…

 これについて、ほとんど議論は出尽くされているような気がしますので、何を今さらなのですが、私としては日図協がいまだに沈黙しているのが気にいりません。(週明けとかに何か発表されるといいなぁレベルではありますが、期待するだけ無駄かも?)
 まぁ、表紙掲載云々の話だって、公式に発表はしていませんが、一応調査はしていたようですけど、発表はする気がない感じですし、きっとこの件も動いていると信じたいんですけどね…せめて、「現在情報収集中です」とか動いているのなら「動いているよ~」って発表をしてくれないと、私みたいに「何もやっていない」と思う人も多いかと…何もやっていないのかもしれませんが。

 さて、この件の図書館サイドの問題としては、
1.IT系の知識が足りないんじゃないの?
2.システム屋に任せきりでいいの?
3.アクセスログの提出は図書館の自由に関する宣言に抵触するんじゃない?
4.なんで火に油を注ぐ発表するの?
といったところでしょうか。

 まず、1の「IT系の知識が足りないんじゃないの?」について。
この問題が出たころ、「1秒間に1回程度のアクセス」という表記に対し、「その程度で落ちるサーバって…」と思う人と「そんなにアクセスしていたんだ…」って思う人がいたのだと思います。
 私自身は普通に考えると「それのどこが大量アクセスなんだい?」って気がしますが、後者の考えの人だって世の中にはたくさんいます。
 確かに、図書館システムを利用し、Webサイトを構築して蔵書検索を提供しているところのシステム担当者が後者の知識ではまずいとは思いますけど、実際には普通にいますよ、この業界。
名ばかりシステム担当というか、ただ単にシステム屋SEとの連絡係な担当。

 図書館におけるシステム担当者以外の図書館職員にいたっては、「こんな田舎のサーバを狙う人がいるの?」とか「DOS攻撃?今Windowsだよね?」とかの発言に見られるように、唖然とする発言が返ってきたりします。

 あっ、もちろん、ちゃんと独学も含めてしっかりした知識を持っている方もたくさんいますから、「図書館職員って何年前のIT知識なんだ?」と思わないでくださいね。
一括りにされると私としても困ります。

 でも、Web公開しているのだから、前述の発言ではありませんが、田舎の図書館のサーバだろうと、都会の大企業のサーバだろうと、同じ程度外からの脅威にはさらされています。
 じゃあ、その大企業のシステム担当のようなシステム担当が各図書館に置けるか?というと、絶対に無理です。
 じゃあ、Web公開をやめるか?となると、それはそれで「不便だ」と上からも下からも突かれたりします。
 そんな感じなので、Webサーバはシステム屋さんのデータセンターみたいなところに置いて「管理は任せた!」ってパターンが増えているような…

 Web公開する以上、一定の知識を有する職員は1人は必要だと思うのですが、ただでさえ人員不足なのに、どうやって確保するのか、妙案はありません。
 だって、最新のWeb事情について学んだ上で司書資格を与えたとしても、その新司書が各図書館に配属される可能性なんて正採用が絶滅危惧種になりつつある現在においてはほとんどないわけですし…

 可能であれば、以前もどこかに書いたと思いますが、春先の調査ものの中にでも、図書館員がどの程度、最新図書館情勢やIT絡みの知識があるかのアンケートを取ってくれると、危機的状況だということがわかると思うんですが…

 ひとまず、自館にあるであろう…なければ相互貸借で借りてでも、『ネットワークセキュリティ』関連の本を数冊で良いから、どの館でも読むようにすると、少しはましになるのじゃないかと思うとともに、所蔵資料の把握にも一役買うでしょ?これなら。
(最初は、わからなくても良いんです、そのわからない人がわかるようになったら、その本はきっとわかりやすい本で、利用者にもおすすめできる本なんでしょうから。)

 それと、よく相互貸借業務の担当者会とか、児童奉仕担当者会とか都道府県立図書館主催の『○○担当者会』ってあるのですが、どうして『システム担当者会』ってないのでしょうか?
 もちろん、システム屋さんのシステムが絡むことではあるのですが、セキュリティ関係の情報交換でも良いでしょうし、大抵、同じ系列システムが使用されたりしていますから、「違うシステムではこう動くのか…」ということを知る機会になったりして良いと思うんですけどね、「あそこの図書館はこんな仕組みだそうから、うちのシステムに導入できるようにしてくれ」とか意見も言えるようになるでしょうし。

 まっ、でも、都道府県立図書館のシステム担当者自体が各社SEを凌駕する知識や技能があるわけでもないですから、図書館のシステム担当者の独学に任せているという現状が、大きな問題なんじゃないかと。


 次に、2の「システム屋に任せきりでいいの?」について。
 全員が全員とは言いませんが、図書館のイメージ的には文系な人が多い(私は理系な人ですけど)のが一般的でしょう。
 比率的に何か調査があったような気もしますが、憶測でも文系な人の方が多いと思います。
 そうすると、1でも書きましたが例えば担当のSEさんに「ログを見ると1秒間に1回<も>アクセスが…」とか「1か月に10数万回もアクセスがあって」なんか言われたら、知らない人ならなおさら「そんなにあるんですか…」って納得しちゃう人も多いような気がします。
(もちろん文系だからIT知識が少ないというわけではありませんよ。)

 『餅は餅屋』的に考えて、システムについて、「意見を述べるべきではない」とか「あっちが専門家なんだし」と、知る努力を怠っているような人もいます。

 私なんかは「ここにこんなフラグ付けてこんな風にしてみてよ」とか簡単にはいかないようなことも気軽に言ってしまう方なのですが、以前は担当SEの独断と技量だけでカスタマイズしてもらえたりしていたことも、最近では「社の商品としてバージョンアップでなら対応できるのですが…」と万が一カスタマイズした部分が不具合が出た時の問題意識から、昔みたいにはいかないなぁと思う今日この頃だったりします。

 また、システム屋さん的には、生半可な知識で大事な部分を消されたり、問題を起こされても困る(図書館側が原因で起きた問題も自分たちのせいにされることもあるので)という意識もあるので、「不具合があったら連絡ください」でおしまいということもあるようです。
例えば、こういう問題が起きた時には、まずログの確認とかをすると思うのですが、ファイアウォールやサーバのadminのパスワードを知らされていないという館もあったりしますから、(たぶん言えばシステム担当者に教えてくれると思うけど)基礎知識や危機意識を持たない図書館だと、図書館システムはブラックボックスのため、自然に任せきりになってしまうんじゃないかと。

 本来では、資料と同様、図書館システム…特にWebサイトなんかは、利用者に提供しているものなんですから、『資料を把握』しなさい同様に『システムを把握』していないといけないと思うですけどね。
 30年前はコンピュータ化も本格的ではないですから『図書館における情報の提供≒資料の貸出による提供』であっても良かったのでしょうけど、今は『図書館における情報の提供⊃資料の貸出による提供+Webにおける提供+…』と提供の方法や種類が増えているにも関わらず、提供しているWeb情報やシステムについての把握努力が足りない(逆に言うと資料貸出のみに特化か??)のかなぁと思います。

 で、そんな感じですから、図書館は急速なIT化に取り残された感じで、Googleだと多少の間違いで入力し検索しても「もしかしてこれ?」ってしてくれたりするのに、図書館のOPACでは一語一句かつ新旧漢字も別に検索しないとあるはずのものがヒットしないという状況にもなっています。
 最近では『餅は餅屋』だけでは、使いやすいシステムは手に入れられないということで、自分たちで構築しよう的なProject Next-Lをはじめとする動きも見られます。
 人によっては「できる人たちが何か難しいことをやっている」と思っている人もいますし、確かに多少の敷居の高さは感じますが、独学であろうとシステムに関心を持つことは今の図書館員には必要だと思います。

 でも、そうとは思っていない人も多いから、システム担当が不具合連絡係になってしまっていることもあり、実質任せきりになっている現状がありますし、前述のように勝手にいじられたくないシステム屋さん側制限(特にデータセンターにWebサーバを置いている場合では特に)があるので、任せきりというより「任せざるを得ない」状況なんだろうなと。

 そんな中、今回の問題が起きたのですが、システム屋さんの担当SEも餅屋なんでしょうけど、図書館側に説明もしていなかったようですし、図書館側も理解できなかったようですし…
 あっ、そういや、うちの現在の図書館システム屋さんではないですが、とある業者に電話で管理者権限のパスワードを聞かされたことがありましよ…(電話で「管理者権限が必要なので無理そうなんですが…」って言ったら「IDは、これこれでパスワードは…」って言われたんです。私だから良いものでしょうが、無関係な悪意のある人がかけても言うんじゃないか…と思うとびっくりしません??)
そういうことを考えると、餅屋さんでもうまい餅屋とまずい餅屋がいるわけです。

 そうするとやはり自衛しないといけないわけですから、やっぱりシステム担当者会は必要だなぁ。
 システムに関して何も言えないから、システム屋さんでも改善はされないわけでして、高額なお金を払っているのですから、もっと色々言えるようにならないとね。

 もちろん、某携帯電話のシステムとか出てすぐに不具合といったような感じで図書館システムだってリリース直後の導入はバグのオンパレードだったりしますから、システム屋任せは非常に危ないのは自明なんでしょうけど、館長以上の人に特にそういう危機感も少ないような…


 そして、3の「アクセスログの提出は図書館の自由に関する宣言に抵触するんじゃない?」について。
 図書館の自由に関する宣言の『第3図書館は利用者の秘密を守る』の2『図書館は、読書記録以外の図書館の利用事実に関しても、利用者のプライバシーを侵さない。』は図書館としては非常に大事にされていることだと思います。
 Webサイトも図書館で提供しているものですから、それのアクセスログというのは、そこにアクセスした情報ですから、図書館で「○○さん(またはうちの子)、今日来ました?」とかを言わないのと同様、令状が届く前に伝えてはまずいだろ、という考えですね。
はい、それについては私もまずいなぁと思います。

 ただ、ログをどのように提供したかは知りませんが、図書館側は結果的に間違っていたとしても「サーバ停止の被害を受けた」と思っていたわけですし、その犯行(だと思っている)に使われたIPはどこそこので、何回アクセスがあったということを令状が届くまで報告してはいけないのか…と思うとどうなんでしょう?

 令状ってどのくらいのスピードで用意されるかわかりませんが、本気で攻撃されて、令状に応じてアクセスログを提供したときには、犯人は証拠隠滅してすでにいなかったとか、もう少し早ければ個人情報流出までの被害はなかったのに、令状がくるまで放っておいた…ってことはないんでしょうかねぇ?

 これも極端な話ですが、利用者同士のケンカがあって通報したけれど、外に持ち越しているので、名前は知っているけど秘密だから「こんな人とこんな人が…」って話しかできず、そのうちに一方の人が殺されたとか、図書館で利用者が病気で倒れ救急車を呼んだけどその利用者の家族には利用の秘密だから伝えなかったので、その家族が死に目に会えなかったとか…
ある意味ふざけた解釈かもしれませんが、厳格すぎるとおかしなこともあり得ると…

 それに、もうひとつこの部分に疑問があって、3の1は『利用者の読書事実』は但し書きで令状特例がありますが、3の2は『利用者のプライバシーを侵さない。』なので、令状があっても拒否する方向に解釈も可能な気がするんですけど…どうなんでしょう?

 さて、今回の件は、事件誤認していた図書館ということもありますし、おそらく生ログ全部提出したのでしょうから、「秘密は守れよ」という立場なのですが、緊急性があった場合に、必要な部分だけの提供(不要な部分は黒塗りするとか)が可能な道もある良いんじゃないかと若干思ったりしています。

 しかしながら、アクセスログの提出を下っ端の職員や担当SEが勝手にするとは考えられないですし、「アクセスログを提出してよいか伺います」的な決裁または館長の判断というのがあったと思うのですが、じゃあ、『図書館の自由に関する宣言』に抵触すると誰も考えなかったのかと考えると、ちょっと怖い気がします。
 逆に、そういう話が出て確信犯的であれば、ちょっとびっくりではあるんですが…

 不幸にもこういう問題が出たのを機に、「最終判断のできる館長は司書資格を持っている人」とかの流れになると、こちらとしても嬉しいのですが…ないですかねぇ?

 というか、これについて日図協、何にも言わないんですね…ドラマとかのチェックはよくしているのに。


 最後に5の「なんで火に油を注ぐ発表するの?」について。
 『岡崎市立中央図書館のホームページへの大量アクセスによる障害について』というページ(http://www.library.okazaki.aichi.jp/tosho/about/files/20100901.html)がそうなのですけど、全国紙にも載り、これだけ話題になっておきながら、なおも大量アクセスと言い張るなんて…って、てっきり公式発表なしでほとぼりが冷めるのを待っているのかと思ったんですけどね。

 他の方同様、岡崎市立中央図書館のWebサイトは素敵なのに、Wordでこのページは作られているとか、『短時間に大量のアクセスが行われている』ってまだ言っているとか、『一般利用とは異なり』と書いてあるけど、どういうのが一般利用か明記されていないとか、『起訴猶予処分となっているとのことです。』と他人事みたいだとか、平成17年にだってクローラーはあるぞとか、突っ込みどころ満載のページではあるんですけど、やはり『利用者の方におかれましては、情報収集のために使われる手段が、他の利用者に迷惑をかけていないかどうかについて、ご配慮をお願いいたします。』はちょっとびっくりです。

 例えば、今回はシステムの不具合によるものが大きいと思われるのですけど、そんなのは外の人間にはわかりませんし、これだけ話題になっているのですから、接続して「あ~遅いなぁ…止まっているのかなぁ」とリロードカチカチやっていたら本当に止まってしまい、警察に逮捕って冗談めいて書いていた人がいましたが、それが現実になるおそれも…

 可能であれば、もうあちこちに保存されまくっていると思いますが、反省すべくところは反省した文章ものに変更していただきたいなぁと思ったりしていますが…いつまでおかしなものを晒しておくつもりなんでしょう!


 さてさて、こうだらだらといつものように書いていますが、要は無知×無知×無知は大きな問題になるという今回の問題なのですが、振り返ってみると、多くの館で起こりうることがあるのじゃないかと思いました。
 自前でサーバがある館もこの昨今は多いですが、「アクセスログの取り方は知っていますか?」「IPやアクセスログ解析で、おおよその相手を追えるのは知っていますか?」という投げかけをしたときに、「さあ?」がどのくらい返ってくるでしょうか?
 また、こういうことが起きた時、どんな対処法があるかシステム担当者も、担当者不在の場合でも理解しているか?と考えると現場から見ると微妙な館も多いような気がします。
で、それらの判断を仰がれた時の館長級以上の人は状況を理解して適切な判断をどのくらいの%の館長ができるか…怖い数字が出てきそうです。

 資料の貸出による提供以外にも、現在はWebサイトとして蔵書情報などの情報を提供していますから、Web OPACの癖も含めて、提供するシステムについて、よく理解し、情報提供ができないといけないはずです。
 もちろん、ブラックボックス化させるシステム屋さんの影響もなくはないと思いますが、自分の使っているシステムについては、自分の図書館同様、よく把握しなければならないのに、ついていけていないなぁと思うため、システム屋さん任せになってきていることが多いと思います。

 最低限、自分の図書館システムは知るべきですし、自館オリジナルっていうところは少ないでしょうから、同じシステムを使っているシステム担当同士の情報交換や、前述のように意見交換しやすいシステム担当者会などを参加しやすい県単位・地域単位で開催することによって、図書館界全体の底上げをしないといけないんじゃなかろうかと思います。

 どこにでも起こり得るかもしれないことが、岡崎市立中央図書館で起きたという認識で私はいますが、これを機に各図書館の職員はシステムを知る機会とし、Web情報を提供するからにはそれに伴う知識を持つように心がけて欲しいと思います。
 また、せっかく高額で図書館システムを導入しているのですから、どんどん意見を言えるようにならいないともったいないじゃないですか、お金は払うけど口は出せないじゃ、その金額がどの程度適切かなんかも知らないままなんじゃないかと今の現状を危惧しています。
 それと、せっかく今回の件で、図書館とシステム屋の関係の問題や図書館の姿勢の問題が表に出たのですから、好機ととらえて変えていく心意気があると良いですね。

 それにしても、岡崎市立中央図書館のWebサイト、洒落ていて好きな部類なのですが、こんなことで話題になるなんてもったいないなぁ…

※追記(9/15)
『図書館システムの現状に関するアンケート』(http://www.mri.co.jp/NEWS/press/2010/2021657_1395.html)が参考になると思いますが、システム担当者がいないってのも案外普通なんですよね…

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職場体験等の研修生受入について思うこと

 夏休み中、中高生の職場体験や、教職員の年次研修&社会体験研修(場所によって色々名称は異なるのでしょうけど)、司書課程生の図書館実習など、7月末から8月末にかけて研修生の受け入れをしている図書館も多いことでしょう。

 私のところも、例年通り+α+βくらいの勢いで、研修生を受け入れて、ようやく今日で夏休み期間中最後の研修生(次は秋に予定が入ってます。)の指導が終わりました。やれやれです。

 図書館の利用者も多くの図書館ではこの8月をピークとして山型の利用者数になっていることだと思いますから、このピークに研修を詰め込むのはご遠慮くださいって言いたいところだったりします。

 さて、毎年のように研修生を受け入れて、その準備のために毎年のように悩んだりしていることがあり、特にこのブログでも細かくは触れていなかったような気がしますから、今回はその話題。

 ある程度大きな図書館であれば、各担当による持ち回りで、研修生の指導ってできるのでしょうが、うちのような小さな館では、色々兼務な担当ですし、基本的には『全部担当』(主か副かしか違わない)なので、ようは一人で全研修生指導です。

 研修生の種別(?笑)や研修日数によって、内容も異なることでしょうし、その研修内容について情報交換ってあまりしたことがないので、ここに書いたこと以外にもやっている図書館もたくさんあると思いますけど、大きく分けたら次のような感じでしょうか…
1.貸出・返却・配架
2.カウンター業務
3.展示・資料紹介
4.レファレンス
5.おはなし会
6.Web関連
7.装備
8.雑用

ということで、これらについてひとつずつ考えてみてみます。

1.貸出・返却・配架
 どの研修生にも図書館の自由に関する宣言や守秘義務は説明するのですが、研修生の多くは地元の学生だったり地元の学校の先生だったりするわけで、図書館の利用者にとっても近所の子であったり子供の担任だったりすることも多いはずです。

 もちろん、研修に限らず、普段だって、ご近所の奥さんがパートだったりするのですが、図書館としては、貸出業務はどうだろうか?ということがいつも悩みの種だったりします。
 ある図書館では「職場体験中です。気にされない方は貸出業務体験のご協力をお願いします。」と専用カウンターを作っている館もありますし、その方法は良いなぁと思っていますけど、ある図書館に行ったとき、ポツンとその専用カウンターに座らされて、他のスタッフはバタバタと忙しそうに動いているのを見ていると、「ちょっとなぁ」って気がしました。

 研修生はあくまで研修生なので、いきなり「図書館業務のカウンターにおける全てに対して対応せよ」っていうのは無理ですから、仕方ないのでしょうが、端末を1つつぶして、増えた利用者に対応するとなると、結局邪魔扱いっぽく見えるんですよ。はい。

 となると、夏休みで返却資料も多いですから、「じゃ、配架に行って来て~」だったりします。
 で、配架だって実際には図書館の資料を把握してもらうのに、欠かせないことなんですけど、研修生のほとんどは、図書館ヘビーユーザーってことはまずないので、「この資料はどこに??」って案内図を見ながら、時間をかけて配架に追われていたりします。(ので、あまり資料を見ていない。)

 中高生であれば、フロアで利用者に声をかけられることは(知り合いにというのならありますけど)ほとんどないのですが、教員の研修生はフロアで時々質問を受けているようです。
 でも、答えられませんから、職員を探しに来て「かくかくしかじかで」ってバトンタッチとなります。その「かくかくしかじか」も時々要領を得ないこともあるので、改めて利用者に尋ねてみるってことになるので、ネームプレートに「研修中」ではわからないようなので、いっそ背中に「研修生です。声をかけないでください」とか「質問は職員に仲介します」とか…笑

 まぁ、実際は人によりますが、聞かれたら「自分が聞かれたのだから、自分で解決しなくては」と思ったのか、利用者と一緒に資料を探し始める方もおられ、それはそれで良いと思いますけど、時間のかかる方法をしてしまいがちなので、ひとまずさせておいて、こっちで資料を集めて渡し、「そういうときはこんな感じでさがすと良いんですよ~」って後で指導タイムになったりします。(私は図書館はチームプレイだと思っていますから、時間がかかりそうなら「聞いてよ」って思っているんですけど。)

 ということで、忙しくても放っておいたり目が離せないのが研修生だったりします。

 また、カウンターに研修生がいて準備万端でスタッフも数人いる時には、あまり利用者が来ないで、配架や利用者対応をしたり、「ちょっとお手洗いに…」って感じで、人が少なくなったら突然わさわさとカウンターが混むことになり、よくわかっていない研修生は立ちつくし、私はてんてこ舞いってこともあるのですが、それって普通なんでしょうかねぇ…笑

 ところで、さっきの疑問、「貸出業務体験」って他の図書館はどうしているんでしょうか?  
 自分で本を借りて自分で処理ってのは、もちろんいつでもできますし、教員には元々守秘義務がありますから、学生の研修生にはさせないけど、教員の場合はさせるって館もありますが…


2.カウンター業務
 貸出・返却だってカウンター業務ではあるんですが…
 一応、一通りの説明はしていますけど、研修生に臨機応変さを求めるのも酷ですから、特定業務を静々とやってもらったりしています。
 ただ、登録とか利用者検索とかの操作って、やはり個人情報を扱う部分ですから、利用券を持っていなければ自分の登録をしてもらうのはしますが、カウンターでそういうことを考慮すると、雑誌登録や資料の検索くらいしかないんですよね…


3.展示・資料紹介
 いくら図書館の繁忙期だからといっても、前述のようにふとした瞬間、カウンターにほとんど利用者が来ない時間があったりします。
 そういう時は、せっかくの研修ですから、ぼーっと突っ立たせるのももったいないですし、うちの館だと飾り付けの作品(折り紙や切り紙)を作らせてみたりしています。
 あとは企画展示に利用するテーマにあった本を選んできてもらったり、そのPOPを作ってもらったりする場合もあるようです(うちの館ではやってない)が、どうなんでしょう?

 うちの館での飾り付け作品作りは、なんか楽しんでやっているようで、良いっちゃ良いのですが、熱中し始める人もいて、なかなかカウンターに戻ってこないので「お~い」ってことも。
 普段は、空き時間を利用して他の業務もやりながら、少しずつなんですが、研修生にいたっては、ひとまず仕上がるまでって感じですから、果たしてこれが研修になっているのかどうか…

 他でも聞くので、テーマ本やPOPもやらせようとは思ってはいるのですが、テーマ本はどちらかというと「この資料を集めて来て」ってリストを渡すことになりそうですし、POPは描き方から教えないといけないかなぁと思うと、研修は研修なのですが、研修後の実りとしては使えるか?と思うと、どうもなぁ…と思ったり。
 もちろん、図書館らしさという面では、図書館らしいのですし、普段のセンスとは違う感じなので、こちらも学ぶところが出てくるかもしれませんが。


4.レファレンス
 私自身、研修の受け入れで一番力を入れている部分なのですが、その準備がなかなか大変だったりします。
 研修生が来ている時に、タイミング良く研修生でもできそうなレファレンスが発生することもまずないので、通常は過去に受けたレファレンスの改造した演習問題的なことをやってもらっています。
 最近は『調べる』ということに対し、「図書館で」が第一に浮かぶ人は少なくなっているような気がしますし、辞書や事典の引き方を知らない高校生や大学生までいる始末ということもあるんでねぇ…

 うちの館としての出題傾向としては、
 a.理科年表など一般の人には気付きにくいを使用するもの
 b.インターネットで目途を付けて新聞縮刷版などをあたるもの
 c.回答が複数出てくるもの
 d.目次や索引を使わないと答えられないもの
 e.最新ではなく古い情報を利用するもの
 f.百科事典や国語辞典のコラムを利用するもの
 g.発想を必要とするもの
 h.質問自体が間違っているもの
 これらを織り交ぜて、問題を作っています。
 私個人としては「図書館にこんな本もあるんだ」という発見を研修成果として持ち帰ってもらうことを第一に考えていますので。

 例えば、h.の質問自体が間違っているなんて、ちょっと意地悪なのですが、利用者の覚え違いで質問されることも多いですからねぇ…レファレンスインタビューの重要性や質問に対する頭の中での考え方などを解説するのにはもってこいだったりしますし。

 あと、案外研修生を悩ませるのが、電話帳を使うと実は簡単という設問。
 図書館によるかもしれませんが、全国の電話帳を完備している図書館って多いかと思います。
 毎回、館内案内するときに、「ここに全国の電話帳が置いてあります」ってわざわざ伏線を作っているのですが、地図帳類とにらめっこしている研修生も多いんです。(どうも「インターネットと『館内にあるもの』で調べて」って言っているのに、参考資料で調べないといけないと思ったり、図書以外で調べようとしなかったり…)

 また、インターネットでの検索もしながら、資料を探す手法も説明しているのですが、設問そのものを検索したり、検索キーワードが足りなかったり、案外苦戦する人も多いなぁというのが、実感です。(二語は入れようね…)
 ついでに、この解説のとき、Google検索と図書館システムの癖の違いの説明もするので、良いのですけど。

 で、先生方が研修生でレファレンス演習をさせる時に、私が絶対言うことは「問題はいつも生徒に言っていると思いますが、できるところからやってくださいね☆」と「考え方も知りたいので途中経過も書いてくださいね」です。
 1問目は大抵、頭を悩ます問題になっていますから、途中に経過を見に行ったら、まだ1問目で悩んでいたってこともありましたので。


5.おはなし会
 平日におはなし会を開催している図書館などでは、読み聞かせの基本手法を教えて、練習してきてもらい、本番でやってみるというところもあると聞きます。
 うちの館では残念ながら開催が土日限定なので、研修生は基本的に平日というのがほとんどですからね…
 普段やっていないのに突然平日に特別開催ってのも広報が不十分だし。
 でも「研修生によるおはなし会」ってのも面白そうだな。来年は取り入れてみるか。


6.Web関連
 教員や学生の研修って1日~4日間くらいが多いです。
 Web関連の研修したことって、長期で他の自治体職員を受け入れた(その自治体で図書館が開館するので、その準備として2週間程度の研修)時くらいなのですが、本当は長期でない人にもやってもらいたいなぁと思ったりしています。
 1日研修の場合はほとんど『説明→実演→実習→お昼休み→レファレンス演習→まとめ』って感じなので、入る隙間がないって感じです。

 短いと、説明した手順に追われて、「やってみた」ってだけで、研修の実りってほとんどないんじゃないかと思ったりするんですけどね…(4日間の研修生が「ようやく覚えたかなぁと思ったら最終日でした」と言っていましたし。)

 もし、1週間程度時間のある研修であれば、最後に研修でやったことや感想などのページを作ってもらうとか、2に近い感じで、気になった資料や役に立った資料を紹介するページを作ってもらうとかも研修内容としてはいいなぁと。

 もちろん、ブログやTwitterで情報発信をしてみようっていう研修も楽しくできるかもしれませんね。
 おそらく研修生が持っている昔ながらの図書館というイメージを崩すのには良いような気がしますし、研修後も使えると思うのですが、基本図書館業務(?)も色々と体験してもらいたいですし…悩むところです。


7.装備
 装備は雑誌の装備であれば、多少のミスでも修正もききますが、図書装備の失敗は大きいので、自分で本を持ってきてもらうか、リサイクルコーナーにある本で行うと良いかなぁと思っています。
 まぁ、練習何冊かやって、本番というのももちろん良いでしょうが。

 この装備実習での話ですが、表紙が付いているもので、よく研修生は表紙を開いてブックコートを貼るのですが、そうすると、表紙が閉まらなくなる(突っ張った状態になる)ので、それはそれで後の研修生のために、「こうするとこういう失敗になる」という実例として受け継がれていたりします。
 よく図書館の講座みたいな企画でブックコート体験というものがありますように、ある程度説明すれば、研修生上手い下手は人それぞれですができるので、良いんだと思います。


8.雑用
 繁忙期ということもあり、保存期限の切れた新聞や雑誌を書庫から搬出してまとめる作業とか、雑用的に研修生を利用していただいたりするんですが(聞くところによると草刈りなどの作業などもやってもらう館もあるらしいですし)、基本的に裏での作業になりますから、「そういう面倒なこともやっているんだなぁ」と思ってもらう点は申し分ないけども、そればかりだと、研修意義も薄れる気も…
 要はバランスなんでしょうけどね、誰でもすぐ取りかかれる点はいいんですけど。


ということを考えながら、研修生を受け入れているんですが、他の図書館だとどんな意識をしてどんなことをやっているのか、とても気になるところです。なかなかそういう情報って出てこない感じがします。

 うちの館に来た研修生ではないのですが、某図書館で受け入れた研修生が図書館での研修を希望した理由に「貸出返却を見て楽そうだったから」と言っていた輩がいたそうですけど、外から見るとやはりそういう人もいるだなぁって思いましたし、逆に、そういう人が来たら「あ~図書館って大変だった」って思わせたくなりますね。笑

 私は、研修生に

『図書館は意外と体力も使うし、頭(発想力)も使う』
『色々調べる方法があり、資料を把握することが大事』
『表から見えない裏方作業によって利用しやすさが変わる』

ということを感じ、気付いてもらって、『図書館って面白い』って思ってもらえると良いなぁと思いながら、研修計画を立てています。

 特に先生方の研修の時は、研修で学んだことの児童・生徒へのフィードバックも期待できるので、熱が入るのですが、よく同僚に「説明多すぎ」とか「色々詰め過ぎ」って言われますけど。笑

 ただ、研修を受け入れるのは意義もありますから、否定しませんが、研修生って基本的に図書館業務初体験なので、1度説明してわかったようでも、やらせると失敗することも多いし(例えば、新刊を分類順に左から右に並べると言ったのに逆に並べるとか)、色々同時にはできませんから、やりやすいようにちゃんとお膳立てしてあげないといけない面倒さがあります。
 そして、最初に書いたように、うちの館のような図書館では人員的に一人で全部指導で、研修中はちゃんと付いていてあげないと思わぬミスをされ(必要データを上書きとか…)ることもあるので、付きっきりになります。(研修日もずれると同じ事を毎回話さないといけませんし。)
 そうすると、本業部分は他の職員やスタッフに任せられますが、研修指導以外の自分の仕事が残ってしまうため、それをやるのは研修生が帰った後となり、私の場合、この時期はいつも大変です。

 毎年、研修生を受け入れて、毎回指導担当なんですけど、他の図書館が研修生を受け入れるときに、どんなことをどんな風にやっているか、いつも気になっていて、「こんな研修のやり方で良いのだろうか」と悩んでいるのですが、何はともあれ、今日は一段落ついて、ホッと一息☆

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図書館ネットワークと相互貸借について説明した時の話。

え~、先日…というか、数ヶ月前、県立主催の図書館新任職員研修で小1時間ほど人前でしゃべってきました。
私は人前でしゃべるのは非常に不得手ですし、16ミリ映写機講習以来の久しぶりのことだったのですが、「こういうチャンスはあんまりないことだし」と二つ返事でやらせていただきました。
内容は『図書館ネットワーク』についてと『相互貸借』について。

で、それからはレジュメを作ったりしてい思ったことですが…
・「図書館新任職員とは言っても私より年齢が上の方も多いだろうなぁ」
・「研修講義って案外眠っちゃう人が多いし…」
・「相互貸借の担当者ではない人もたくさんいるだろうし…」
ということで、『できるだけ当たり前のようなこともわかりやすく、レジュメを読み返せばわかるレジュメ』(この時点でレジュメではなくなっているんですけど…笑)と思い、パワーポイントやOpen Officeなんかを使いちまちまとレジュメ兼スライドを作りました。
そうなると、以前講師をした時みたいな1時間なのにスライド70枚とかふざけたことになったりしますので、書きたいことを圧縮圧縮…それでも30枚…笑
まぁ、明らかに「そのスライドの部分は後で読んでね」的なとこも多いんですけどね。

さて、話の展開としては、図書館ネットワークという言葉と内容とその歴史(県内を中心に)について触れ、その中の相互貸借についてしっかり説明し、相互貸借で図書館資料の物流が中心の説明になったわけだから、あとは図書館員同士のネットワークの話や情報の共有化などを取り混ぜて説明して、まとめってことにしました。
『図書館ネットワーク』、書くと簡単なのですが、実際にこれを説明しようとすると長い長い。
図書館協力の話から始まったとして、その内容を説明し始めると、『資料の相互貸借』『複写』『資料の収集・提供・保存』『図書館の相互利用』『所蔵資料目録の作成』『レファレンスサービス』などそれ1つでも1時間くらいは軽く話せるんじゃないかというものの総称ですから、そこは細かく説明しないで、『図書館同士の助け合い』だよってことと、『人と物と情報をつなぐもの』だよってことを押さえてもらうことにしました。

その歴史については、以前、自分の所属している委員会で作成したものをそのまま流用…しようとしたらおかしな点を発見。で、県立の人に頼んで、その点を確認してもらったら該当データの根拠となる資料が見つからなかったため、その部分は断念した上で、ほぼ流用。(作成したのは私ですし、実際に研修の講師依頼はその委員会にですから、流用しても問題はないです。はい。(念のため))

で、相互貸借の説明では、まずは相互貸借要領などのポイントを説明。
「容易に入手できる資料は貸借の対象としない。」という大原則(?)を一応説明したのですが、半ばスルー。
後の方で、問題意識を持ってもらうために、改めて説明することにしました。

次に大きく全国ではどんな方法でやっているかということを説明。
搬送方法が
・巡回車 72%
・宅配便 13%
・併用  15%

経費負担が
・県が全額 70%
・大半は県 17%
・相互負担 13%

というアンケート調査の資料を県立の人からもらっていたので、それを説明。(それにプラスして「搬送資料が県立の資料のみ36%・市町村立の資料も64%」ってのもあったんですけどね…今回は盛り込みませんでした。)

で、うちの県では巡回車に資料が乗ってきているのでそれについては十分説明ができますが、宅配便を利用して県が全額負担しているところなどの説明はできません。
それでも「こういう風に考えてやっているところもあるんだよ」っていうことで、色々な考え方で相互貸借が行われていることを話したかったのですが、他の都府県(北海道の事は知っていたのですが)の事例は知らなかったので、「どうしよう」と困っていました。

そうしたら、『読書ノートのつもり?なつれづれ日記』(http://d.hatena.ne.jp/yoshim32/)のyoshim32さんから、メールをいただき、丁寧な説明をいただきましたので、その点も無事に盛り込むことができました。感謝です!
で、せっかく実体験として「twitterなどを介した繋がり」ができたのですから、そのことも後半の『人のネットワーク』という話に盛り込ませていただきました。

それから、図書館ネットワークの歴史のパネルを作った時に作成した利用者サイドからみた相互貸借の流れ(のパネルに書かれていたもの)を別紙資料にして、実務的な流れを説明しました。
フローチャート式にしたのですが、実務担当者には当たり前のことだろうからなぁ…と思いつつ、横断検索の仕方とかの実演もしながらの説明をしました。(ので、時間が一気になくなってしまった…泣)

で、この次が自分で『これが相互貸借について説明するときの大きな山』と思っていて説明に力をいれていた点です。

『 問題意識を持って相互貸借を考える』
 予算がないから借りる?
 所蔵したくないから借りる?
 県内に1冊あれば良い?
 他館の資料が届くのは当たり前?

ただ、力は入れたのですが、私自身、解決策があるというわけではないですし、「これがベストな方法」という事例があるわけでもないですから、新任職員のみなさんに「相互貸借1つとっても、考えて行動しようよ」ということを言いたかったのと、「頭の片隅にでもこのような問題意識を持ってもらえれば良いのではないか」と思ったので話したのですが、果たして新任職員のみなさんはどれだけわかってくれたのか…

さてさて、最初の『予算がないから借りる?』っていうのは、今の図書館だと「予算削減なんだから仕方ないじゃん」というのが多いのかなぁと思います。
でも、相互貸借要領の但し書きに『ただし、容易に入手できる資料は貸借の対象としない。』とあることと、ある種の矛盾があったりしますよね…
他の都道府県にある図書館はどうしているんでしょう?新刊の相互貸借…

で、それに関係して、予算がないけど、利用者のリクエストに一生懸命応えようとすると「貸して貸して館」に見られるし、借りられる方の図書館は業務が増えるし不満も出るということもあり、それ故『新刊は○カ月相互貸借依頼するのは自粛しましょう』って話も出てくるし、自粛したからといって結局購入しないまま利用者を待たせることになる場合も多いし…といった話を織り交ぜて、「予算がないのはわかるけど、せめて容易に購入できるんだから購入検討はしようよ」って話に持っていきました。
「『容易に入手できる資料は貸借の対象としない。』のだから、買えなきゃリクエストに応えられなくても…」って話にしようか迷ったんですけどね…

次の『所蔵したくないから借りる?』は、「あまり図書館で購入したくないなぁ…」っていう図書に関して「購入はしないけど、他の館が持っていたら(購入したら)相互貸借で借りて提供しますよ」っていうスタンスについてどう思うか?ということを説明しました。
自分の館では購入したくないからしないけど、借りてそれを利用者に貸すってことは、利用者から見ればその館から借りているわけだから、いっそ「そういう本は購入もしませんし提供もしません」の方が潔いのではないか?という考えもあるでしょう。
利用者に提供するのは図書館の義務だっていう意識との葛藤もあるので、これも非常に難しい問題だと思います。
「全部が全部買えるわけではないのは当たり前なんだから、図書館として提供するのなら少しは購入してみるとかも考えようよ」ってことで、不時着してみましたが。

続いての『県内に1冊あれば良い?』も上2つの似たような感じなのですが、「利用者に提供できさえすればいつまで待たせても仕方ない」とか「あまり利用はされないと思うからどっか買わないかなぁ」とかそういう意識が蔓延すると、「相互貸借があるから県に1冊あればいつか提供できるさ」ってことになってしまう問題点について説明しました。
迅速に提供したいと思っても「予算が…」とか「買いたくないし…」というネガティブ兄弟に苛まれてしまって、自己矛盾を起こしかねない…
ということで、この件は選書で買われない図書と同じような問題も含んでいますが「提供速度や所蔵することの意義をもう一度考えてみよう」って話にまとめました。

最後の『他館の資料が届くのは当たり前?』は、相互貸借はとても便利だけども、その裏には県立による物流などもあるからこそ成り立っているわけで、その予算も削減されているわけですから、いつか「市町村立図書館は相互費用負担でやってください」ってことになるでしょうし、相殺で…となると、あまり借りないで貸す方が多い持てる図書館の不満がMAXになるでしょうから、「他館の好意にあぐらをかかないようにすることが自分の首を絞めなくても済む」って話でまとめました。

ということで、相互貸借という図書館の協力体制は非常に便利で有意義なのですが、古くからある理想と現実とのギャップがあるため、図書館員は余計な葛藤をしなければいけないので、もうそろそろ意識改革をしなければ、せっかくの有意義なシステムも「(自分の館は自分のとこの利用者のリクエストに購入で応えるので)他館から借りませんから他館に貸しません」なんて持てる図書館が出てきたら、一気に瓦解するんじゃないかという面もあるため、新任職員のうちにそういう問題点を持って欲しいなぁと思った私なりのテーマでしたが…失敗だったかなぁ?

この相互貸借の説明の後は、県内に所蔵が少ない資料の保存について多摩の事例などを織り交ぜての話をして、情報と情報をつなぐという面、人と人とをつなぐという面、人と情報をつなぐという面から、ゆうき図書館や野田市立図書館、成田市立図書館などの他県の(!)事例や、レファ協の話とか、カーリルの話をして、twitterやGoogleグループやSNSなどを使ったコミュニケーションネットワークの話などをして、U40 - Future Librarianや全国図書館大会や研修などに積極的に参加して自分のネットワークも広げていこうって話でまとめました。
この辺の部分はほんと一気に、でも図書館の事例は一応動かしてみて、説明をしてみました。

今なら図書館ネットワークの事例の1つとして、図書館員同士が共同で資料紹介ブログを立ち上げた『Yonde ! - ウェブリブ』なども入れたいなぁと思っていますが、来年度もやらせてもらえるかなぁ…そっちの方が心配だったり。笑

さてさて、そんな久しぶりの講師の当日談・後日談を最後に、今日の話題はおしまいにしましょう。

講師当日、普通に会場に出向いたところ、入口で「研修の方はあちらへ」と案内されました。
「いやいや、講師で来たんですけど…」と私。
でも、講師控室に行かなければいけないので、研修の受付に行ったところ、「所属とお名前は…」と聞かれたので素直に答えたら受付名簿を探しているし…
ということで、その後数回(計5回ほど)研修を受ける方だと思われるくらい、威厳さがない自分に苦笑いしましたよ。はい。

それで、本番。
やっぱり、少し年配の方もいらっしゃり、予想通り。
司書資格を持っている人も半分ちょっとで、相互貸借担当者も1/3切れるくらいはいました。
見ていたら、特に寝ている人もおられなくて安心しましたが、インターネットをつながるように設定しておいてもらった講師端末がたまにエラーが出たりで、気付いたら時間が迫って来て一気に話したりで、あっという間の1時間でした。

で、後日、受講生のアンケートの集計をいただきました。
おほめの言葉もあり嬉しかったのですが、「資料以外の話を説明してほしい」とか「実務は承知しているので通常では思いつかない方法等を教えてほしい」とか「効率的な実務方法について教えてほしい」とか「相互貸借にもう少し踏み込んだ説明がほしかった」などの意見も頂戴しました。

最初の2つは、これまた予想通りで、メモを取らなくても後で確認できるような資料を作りましたし、実務担当者には当たり前のことだろうなぁと相互貸借について全く知らない人にもわかりやすくと思って作っていたのでね…後の2つは確かに実務担当者であれば物足りない相互貸借の説明だったでしょうし、相互貸借に踏み込みすぎると自己矛盾を起こしそうな面もあったりするので、なかなか…といった感じです。

「画面が見づらい」(たぶん、インターネットでの実例の部分などでしょう。)とかそういう面に対しては、自分の端末を持っていくなど工夫しなきゃいけないかなぁと思ったりしますし、自分でも100点とは思っていません(60点くらい?)から、もし次回というのがあれば、『図書館ネットワーク』で1時間、『相互貸借』で1時間とかもらえるといいなぁと思ったり、会場や設備面でやりやすい所が良いなぁと思いつつも、自分自身より良い説明ができるようにしたいなぁと思っています。

図書館ネットワークの説明をしつつも、自分自身、色々な人に支えられて、かつ受講生にもしっかり聞いてもらえたおかげで、無事本番が終わってほんと良かったなぁと思いましたよ。はい。

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表紙掲載は可能かどうか考える追記

改めて書きますが、私は一介の図書館司書ですし、法は判例が出るまで「絶対この解釈が正しい」とは言えないのですが、ひとまず、公立図書館が本の表紙を自由に使えるか否かについて、自己矛盾しそうな感じで、自分でもしっくりきていない部分もあるので、メモ的考察。


1.表紙は誰の著作物か?

およそ図書にはタイトルがあり、表紙・背表紙・裏表紙があり、前文やあとがきがあり、目次や索引があり、大元として本文があります。
もちろん、ないのもあるんですが、あるないを言いたいのではなく、以前も例に挙げた判例(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/A78B418D57307DB549256A7600272B97.pdf)によると、同じ人が1つの図書に記述しても内容が異なる項目ごとに著作権があり、複数人が関わる図書でそれぞれの著作物が明示されていると、各人の寄与を分離して個別的に利用することができるので、やはり異なる著作物ということですから…
前文やあとがきと本文は大抵同じ著作者によって書かれることが多いのでしょうが、その著作者はそれぞれに著作権を有しているという理解でよろしいでしょうかねぇ?
まぁ、「よくない」という方はおそらく「異なる著者が書いたならまだしも、1つの図書にその著者が関わって、本文につながるプロローグとしての前文で、本文を受けてのエピローグとしてのあとがきなんだから、それらは合わせて1著作物だ」という意見なのでしょう。
それはそれで、私は否定する気はありません。解釈論の1つですから。(ただ、その解釈の一貫性を持たせるのであれば、「○○○○文・絵」という絵本の表紙は1つの著作物なのだから、1ページ分にあたる表紙の複写は問題ないことになってしまいますし、内容紹介の書評文の一部として引用したって構わないことになってしまいますね。)
で、私は前文と本文とあとがきはばらばらに著作物と思っていますから、例え同じ人が中身と表紙を作成したとしても、表紙は表紙だし、中身は中身なので、それぞれ別々の著作物という考えでいます。

もちろん、異なる人が表紙を作成したのであれば、それだけで、表紙は独立した著作物というのは問題ないでしょう。
また、明示されていないけど、表紙に絵や写真があれば、著作者かそれとも別の人かが作成した著作物であることは明らかでしょうから、絵や写真が利用されている表紙は少なくても誰かの著作物であって、1つの著作物の1部ではないと、私は考えています。


2.表紙は何の著作物か?

著作権法をもう一度確認すると…
(著作物の例示)
第十条  この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
一  小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
二  音楽の著作物
三  舞踊又は無言劇の著作物
四  絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
五  建築の著作物
六  地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
七  映画の著作物
八  写真の著作物
九  プログラムの著作物

とあります。
表紙と本文を別の著作物という考えに立つと、表紙に著作物性を認めるのなら、四か八になります。
タイトルはフォントなどを工夫したとしても、新聞見出し文でさえ、著作物性が乏しいとされたので、やはり文字だけのものは保護されないでしょう。
目次や索引も私としては工夫を凝らしたものをあるので、個人的には著作物性を大いに認めてあげたいのですが、どうも同様に著作物性は乏しいという見解がよく見られます。

で、話は戻して、表紙は絵画、版画とは言えないようなものもなくはないのですが、著作物性がないとしないのなら、当てはめる必要もありますし、絵本などでは、よく原画展とか普通に見られますから、やはり美術の著作物でしょう。
そうすると、著作権法四十七条の二で書かれている『美術の著作物又は写真の著作物の原作品又は複製物』の中で、市販されている絵本の表紙は著作物(原画)の複製物なので、間違いはないと思われます。
逆に『美術の著作物又は写真の著作物の原作品又は複製物』ではないのであれば、著作物性に乏しいということなので、普通に表紙を載せて構わないという論法が成り立つことと思います。

また、図書館便りや図書館サイトに載せる載せないに関わらず、もし、みなさんの図書館の利用者が「表紙をコピーしたいんですけど…」と複写申込書に書いて提出したら、どういう対応をするでしょうか?
「表紙の複写?どうぞ」というのであれば、著作物性を考えていない(もしくは表紙はその図書の一部として考えて)ということで、利用者には認めて、自分たちは疑問があるから使えるか否か悩むというのはナンセンスな話かなぁ?と。
私のところでは、利用者に「根拠は?」と言われることを想定して、「絵や写真のある表紙は美術の著作物」として判断していますから、同一性保持権云々も考慮すると一部分だけというのもなんですし、だからといって表紙の全部というわけにもいきませんから、『ご遠慮ください』となることが多いなぁと。

もちろん、美術の著作物であるか、著作物性の乏しい表紙であるかの判断は難しいところではありますが、文字の配置・大きさ以外の要素は誰でも同じということはまずないですからね…

ちなみに、先日、南江堂が勝訴した表紙の訴訟(http://www.47news.jp/CN/201007/CN2010070801001187.html)では、表紙のデザインを参考にしたかしないかを争ってくれなかったようなので、私としては残念ではありますが、このくらい似ていたら(http://www.nankodo.co.jp/wasyo/html/nyumon.html)『翻案物にあたる』っていう事例も考えると、「ただの図形の羅列だから著作物性はないよね」っていうのも言えないのだろうなぁと思ったりしました。


3.表紙を載せるのは何のため?
表紙を載せるのは、何も図書館司書が書評や紹介の字数を減らすため(笑)ではなくて、「こんな本ですよ~」的なイメージを読み手に持たせることや、利用促進のため、というのもあるでしょう。
書誌情報や配架場所などを明示しておけば、基本的には利用者に提供できますから、なきゃないで構わないといえば構わないでしょう。
でも、そもそも、載せなくて良いのなら、悩む必要もないのですけどねぇ…

また、利用者が表紙のイメージだけを覚えていることがレファレンスを受けているとよくあります。
なので、表紙というのは他の図書と区別するためにも載せるのはやはり良いでしょう。

それに図書館で資料を面置きされていると、書店でもそうであるように、『売れている』・『良書である』・『おすすめである』・『視覚的情報量が増えている』ということで、手に取られることが多いと思います。
その効果を考えると、本の紹介に表紙はあった方が良いんじゃないかと、私は思います。

では、表紙を見せることによる利用促進効果はあると思いますけど、『利用促進=貸出』でしょうか?
この条項を当てはめるためには、少なくても『貸与』でなければならないので、皮肉にも貸出至上主義の考えであれば文句なく適用できることになるんじゃないかと思います。

逆に、そうなると、前のエントリーに書いたように『貸与』しない(絵や写真がある)表紙は載せられないんじゃないかと思います。


4.何を貸し出すのか?
表紙の原画のレプリカを載せてそのレプリカを貸出するというのであれば、「うん、適用されるんじゃない?」と言う人は増えるでしょう。
画像を載せたことによってその表紙を貸出するんではなく、図書館司書としては、その紹介文の中身によって、その図書の中身に興味を持ってもらい、その結果として、貸し出されるという順番だと思います。
簡単に言うと表紙が綺麗だから載せているわけではないということです。

一応図書として、出版されているわけですから、基本的には中身が主で、表紙はその付属品のようなものという考えも可能です。
もちろん、そんなことをいうと、表紙を作成した著作者には失礼ですが。

おそらく、私もそうですが、「これの適用って無理があるんじゃない?」と思う部分としては、ここが問題なんだろうと思います。
表紙を貸すために載せて、たまたまその表紙に面白そうな中身がついてくるというわけでもないということ。

ただ、図書館便りによっては、『新しく入った本』ということで書誌情報が羅列しているだけのものもありますし、おそらく許諾を得たものの表紙と書誌情報だけというのもあります。
もし、そういう図書館便りを見て、利用者が面白そうか否かを判断する基準としては、書誌情報羅列の方は、『タイトルが面白そうか』『好きな著者がいるか』でしょうし、表紙画像がある方は、『視覚的に面白そうと感じるか否か(タイトル・著者名込みで)』でしょう。
絵本に至っては『好みの画風の絵本かどうか』の判断にもなります。

中身の紹介がちゃんとあるものであれば、その紹介文によってということもあるのでしょうが、表紙+書誌情報という場合であれば、書店で本を手に取るのと一緒(買うかどうかは中身をぱらぱら見ますが)で、『表紙「を」』借りる』というより『表紙「で」借りる』という流れもあると思います。

また、絵本などでは、中身は読んでないからわからないけど、好きな画風の絵なので、借りてみるというのも案外あったりしますから、「表紙が気にいって借りたら中身も面白かった」ということだって少なからずあるかと思います。

では、1・2で、表紙は個別に作成者の著作物であり、美術の著作物という考えが良いとしたとき、「表紙付き中身」か「中身付き表紙」なのかが適用の可否を考える上でネックだという話になりますが、その個別に分けられた著作物としての表紙だけでみるとどうでしょう?
表紙自身は中身(本文)と一緒に借りられる貸与対象です。
表紙を貸したいと思っていようがいまいが、著作物カウントでいうと「その表紙と前文と本文とあとがきがある図書を借りる」わけで、表紙自身はついでにでも借りられちゃったですし、もれなく貸与されてしまったことになるという解釈も可能かと思われます。

表紙が出ていたから借りたいという利用者もいるので、私は表紙が主だろうと従であろうと、借りていかれるのには変わりないのだから、目的はいずれにしても「貸与しようとする場合」であるというのはアリだと思います。


5.貸与権との関係は?
著作者が自分の著作物の複製物を貸与により公衆に提供する権利を専有するのが、貸与権なのですが、図書館は前回書いたように非営利無償の場合なので、その複製物の貸与により公衆に提供することができるわけです。
これは、非営利無償であれば貸与できるよと言っているだけで、貸与権自体はなくなっているわけではない気もします。
つまり、非営利無償でない場合は、貸与権というのが発動しますから、消えていないわけです。
となると、貸与権を害しているか否かというよりは、貸与権に関わらない貸与をしているわけでして、表紙を載せることで貸与権が害されたとはもちろん考えにくいのですが、条文を考えるとちょっとひっかかったもので。


ということで、やはり、4の解釈がこの適用の可否を考えるネックになるんだと思います。
ただ、条文には『譲渡し、又は貸与しようとする場合』としか書いておらず、『それ自身の貸与を目的として貸与しようとする場合』という解釈と『結果的にそれが貸与されるので、それを貸与しようとする場合』という解釈が成り立つので、一つの解釈論として提起されているのではないかと思います。

逆に、この条項が適用ということであれば、実際には前エントリーなどにあるように、貸与しない資料は逆に載せられないとか考えなくてはいけませんから、私としては解釈論がどうこうという状態のものを適用するより、図書館法だろうと著作権法だろうと、「図書館は自館の所蔵する資料の利用に供するため資料の書影について、複製又は公衆送信を行うことができる(以下その条件)」とかになってほしいものですし、法が難しいのであれば、出版界との申し合わせでも良いので、もう少し簡単にわかりやすくなってほしいなぁ思います。
もちろん、無断でやってよいからといって、許諾を取ってはいけないというわけでもないし、法的には無断で使えるけど、「使わせてね」って一言あった方が、なんか感じは良いような気がします。

可能であれば、「表紙掲載はもちろん貸出数UPのためにやっているんだ!貸出してなんぼの世界だ!」っていう図書館にでも、率先してこの条項を適用の解釈をしてもらって、それを快く思わない出版社が挑発されて判例になってくれると嬉しいのですが、図書館側も出版社側もなかなか裁判までしようとしてくれませんし、裁判になったとしても、前述の南江堂の訴訟のように、論点がずらされてしまうこともあるので、そうはならないように頑張ってほしいものです。

日図協の著作権委員会でもきっと…おそらく…たぶん…お願いだから…検討されていることと思いますが、伝家の宝刀(?)「各図書館を指導する立場にはないので、各館の判断にまかせます」と言わないでほしいなぁと思ったりしている今日この頃です。

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図書館における表紙掲載論争の終焉?

タイゾーさんの『ピリ辛著作権相談室』の中の『Q43:公立図書館で貸し出す本の表紙をコピーしたり、ウェブにアップしたいんだけど…』(http://urheberrecht.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/43-1eed.html)のエントリーでわかりやすく記述してあるので、私なんぞの出る幕はないのですが、私なりのメモ的考察。

みなさん御存じのように著作権法が改正され、図書館にとって恩恵を得たり、サービス向上になりそうだったりするところもありますし、見た目は「おお~良くなるんだな」と思ってよく読むと「ただし~…」となっていて結局微妙だったりな今回の改正ですが…

今回の話に出てくるのは、著作権法第四十七条の二。

(美術の著作物等の譲渡等の申出に伴う複製等)
第四十七条の二  美術の著作物又は写真の著作物の原作品又は複製物の所有者その他のこれらの譲渡又は貸与の権原を有する者が、第二十六条の二第一項又は第二十六条の三に規定する権利を害することなく、その原作品又は複製物を譲渡し、又は貸与しようとする場合には、当該権原を有する者又はその委託を受けた者は、その申出の用に供するため、これらの著作物について、複製又は公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)(当該複製により作成される複製物を用いて行うこれらの著作物の複製又は当該公衆送信を受信して行うこれらの著作物の複製を防止し、又は抑止するための措置その他の著作権者の利益を不当に害しないための措置として政令で定める措置を講じて行うものに限る。)を行うことができる。


 私もこの条項は読んでいたのですが、普通に「オークションサイトなどでのサムネイル画像とかのことだったよな…」と先入観(文化庁のページの概説(http://www.bunka.go.jp/chosakuken/21_houkaisei.html)に『インターネット販売等での美術品等の画像掲載に係る権利制限』と書いてありましたし…)で読んでいたので、やっぱりまだまだ奥が深いなぁと。
ちなみに、第二十六条の二第一項又は第二十六条の三は譲渡権と貸与権のことです。

 ピリ辛著作権相談室のQ43によると、表紙はテキストベースのようなものは元から大丈夫だし、絵や写真が使われている表紙は『著作権法コンメンタール別冊 平成21年改正解説』(池村聡著,勁草書房,2010.05.)により今回の改正で適用されるとのこと。
なので、普通の図書館は貸与権はクリア(正確に書くと第二十六条の三の貸与権というよりは、第三十八条4より営利を目的としないから公衆に貸与できるなんですが…(そのためクリアとしない解釈もありか??))しているわけだし、政令、省令にある条件を満たせばOKということになります。

で、逆に、図書館の資料で当てはまらなさそうなものを…とひねくれて考えてみると…
タイトルが俳句とか詩になっていると、もちろんその作品自体は言語の著作物として保護を受けるのでしょうが、タイトルとしても機能しているので、その辺は問題ないかと思われます。
 でも、参考資料とか貸出禁止資料はどうでしょう?条文上は『複製物を譲渡し、又は貸与しようとする場合』とあるので、最初から閲覧のみで貸与ではない資料は当てはまらないかもしれません。(広辞苑とかは基本表紙は字だから良いでしょうけどね。)
 もちろん、館内閲覧も貸与だとしてしまうと、雑誌付録DVDの閲覧としてブースで視聴させる行為が貸与になってしまいすから、どっちをとるか…
 要はやっぱり解釈論になるといったところでしょうか?
 それとも、「貸与しようとすればできる資料だけど、図書館運営上貸与しないことを決めた資料なので…」と解釈順序なんか考え出すと、より混乱しちゃいます。笑

 以前の著作権法では基本的に許諾を得てからでしたが(もちろん、引用という解釈もなくはなかったのですが、その書評なり紹介に表紙画像は本当に必要か(書評は本の表紙の評論でなく中身のなんだし。)と言われると、どうでしょう?と考える人もいて、微妙でしたけど。)、今後はできる方の解釈で定着すると良いなぁと思います。

 さて、この場合の条件としてあがっている政令と省令をそのまま表示すると長いので、上記文化庁のページを参照してもらうことにして、それぞれについて見てみると…

 著作権法施行令の一部を改正する政令の第七条の二では、『表示の大きさ又は精度が文部科学省令で定める基準に適合するものとなるようにすること。』ということが書いてあり、著作権法施行規則の一部を改正する省令の第四条の二で、詳しく書いてあります。
印刷物とデジタル方式に分けられ、印刷物では『表示の大きさが五十平方センチメートル以下』つまり、大体7cm×7cmくらい。ということは、A4用紙が210mm×294mmだから、案外大きいかも?

 で、デジタル方式で普通に何の処理もしない画像として載せる場合は、『画素数が三万二千四百以下であること。』なので、180ピクセル×180ピクセル…案外小さいかも?でも、Google Booksで出てくる表紙のサムネイル画像は54~55ピクセル×80ピクセルだからその倍はOKということなんでしょう。
コピーガードとか画像にかけてある場合は『画素数が九万以下であること。』とあるので、300ピクセル×300ピクセル…ちょうどAmazonでの画像(サムネイル画像ではなく)くらいのサイズ。

 さてさて、美術品のカタログ掲載などの問題で裁判というのはたまに見ますが、本の表紙画像を載せたから裁判って話は聞きませんから、判例がない、つまりは明確な回答というのが難しいってことです。
(例によっての発言ですが、例えば日図協あたりで、『表紙を載せるのは著作権法上も大丈夫!』って明記することによって、出版社が「それは困る」とでも裁判になってくれると判例が出るのですが、出版社側が「まぁ、図書館で紹介されたら一応宣伝になるし…」と裁判をしないとかが普通でしょうか。まぁ、日図協もそんな明記の仕方はしないで、「各館の判断で…」なんでしょうけど。)

 今回の条件については、取引の態様その他の事情に照らして、必要と認められる限度のもので、公正な慣行に合致すると認められるものであることが前提なのですが、基本的に図書館で「この図書は絶対買ってはいけない」とかズタボロに書くということはないでしょうし、最近は黙認という状態ですから、黙認≠OKではないのですが、公正な慣行に近いものがあるんじゃないかなぁと。

 また、CRICのケーススタディ著作権第3集のQ11でも、図書館での表紙利用について記述があります(http://www.cric.or.jp/qa/cs03/cs03_11_qa.html)。
 個人的には『最近は「図書館だより」などで新刊紹介の際に、表紙を使うことについて、無断でもよいのでは、という見解が示されており、筆者もほぼこの見解に賛成です。』という意見がちょっとびっくりなのですが…いや、賛成してくれる分には良いのですが、以前CRICに著作権に絡む相談をした時に、紋切型で、予想通りの堅い回答しかもらえなくて、がっかりしたことがあったのでね…
 ただ、今回の著作権法改正は前述の通り、『貸与』の目的がある資料についてなので、『お話会・読み聞かせ団体等による著作物の利用について』は図書館ではない団体と考えるわけですから、今回の改正で話は分ける必要があるんじゃないかと思ってみたりしています。(次期改訂くらいに記述が増えるかな?)

 これで、前述の貸出しない資料で表紙が著作物のものの掲載はどう考えるかというのと、今まで普通に許諾をもらっていても、許諾してくれなかった某出版社がどう出るかという部分は考えどころですが、条件さえ満たしていれば、図書館で作成する印刷物にもWebページにも載せられそうです。

 ということで、条件付きながら、図書館における表紙掲載問題という長年の論争の終焉ような感じ(細かい論争はありそうではありますが。)で、ほっとしたのも束の間、今後は電子書籍と図書館と著作権の問題が大きな悩みになっていくような気がしています。
 電子書籍のフォーマット形式のコンバート可能性とか、館内閲覧のみになるのか、貸出方法はどうなるのか(というかそもそも可能かどうか)とか、不透明な部分が多いので難しいところですが、早い図書館だとその対応を考え始めていますし、しばらく傍観しようとしている図書館もありますし、もちろん何も考えていない図書館だってあったりします。笑
 また、このことを考える上では、いつもながら著作権法が時代にそぐわないので、図書館職員の悩みは尽きないんでしょうね。

 例えば『「図書館内での電子書籍端末の貸し出し」は違法である可能性大、米法律系ブログが指摘』(http://hon.jp/news/modules/rsnavi/showarticle.php?id=1608)とあるのですが、この記事のことが正しいとすれば『ユーザー規約』に中のソフト(電子書籍含む)の貸出禁止がうたわれているそうで、DVDの補償金問題と同様に著作権法では大丈夫であっても、契約のしばりが優先されるようなものですから、貸出を考えたい図書館員は早々に行動を起こして、規約を改正してもらう必要があるでしょうね。
 図書館界で意見をちゃんと言わないと、図書館で電子書籍の閲覧すらままならない状況になるんじゃないかと危惧している今日この頃だったりします。

 図書館の中の私としては、タイゾーさんより先に図書館の人がそういう指摘をしていて欲しかったなぁと思ったり、逆に図書館員はこの改正でこの解釈をすでに当たり前に思っているのならすごいなぁと思ってみたりしているのですが、もう少し、色々な方の判断や解釈を見てみたいところです。

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図書館はどこを向くか?子供の都合と大人の事情。笑

え~、なんかものすごく放置していたみたいですが、トーネコは今のところまだ図書館界で生きています。
そんな放置的なブログなのに、アクセス数は増えているので、ありがたいことです。

年度末から年度初めにかけて、現在進行形で、異動はなかったけども、業務のやり方やシステムがガラッと変わってしまい、システム変更初日からエラーが続発しててんやわんやなどあり、未だに業務のやり方、考え方の変更に慣れていない今日この頃です。

やはり、2月の時も思いましたが、図書館は利用者と一緒になって形成していくところなのですが、結局は職員側の…いや、意思決定機関というか、要は上層部の考えひとつで大きく変わってしまうものなんだなぁと。
以前も低きに流れる話を書いたと思いますが、合併の話にしても人事異動の話にしても、その図書館としての志が伝達されていなかったり、志を猛アピールしても、合併などで「そんなん知らん」と一蹴されると、一気にサービス低下になりますし、アピールする職員を異動させてしまえば、上層部の考え次第ということに…。

特殊な例なのかもしれませんが、「言うことを聞かないと懲戒だぞ」って言われた場合、「パワハラだ」だの、「不当懲戒だ」だの、体力・気力のある人ってどのくらいいるでしょう?
もちろん、本当におかしな命令であれば、従わないということもありなのでしょうが、やはり公務員だと『職員は、その職務を遂行するに当って、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、かつ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。』があって、それが権限ある上司から発せられる命令で、上司の職務権限内の事項であって、実行可能だと従う必要が出てくるわけですからねぇ…
実行可能性で「利用者のサービス低下につながるのでやりたくありません」では、実行不可能という理由にはならないでしょうし。

そうなると、上層部には『図書館に関してよくわかっていて、理解を示してくれる人を』となるのでしょうが、全ての都道府県市区町村図書館でというのは無理な話ですよね…
少なくても館長あたりは図書館とその利用者の方を見ていて欲しいのですが…どうして旧図書館法から『公立図書館の館長となる者は、司書となる資格を有する者でなければならない。』などが消えたんでしょうね?もちろん、資格があるからよく理解しているかと問われれば、そうでもないことが多々あるので、その辺もネックなんだろうなぁ。

うちの図書館も館長は何人か変わりましたが、資格がなかろうが、「(一般行政から来て)図書館のことはよくわかっていないが、現場の司書の良いと思うことを(もちろん上司である私への報告はしてほしいが)じゃんじゃんやってくれ、責任は俺がとるから」的な人の下だと、新しいことがやりやすく、「図書館とはこうだ」と先入観のある人の下だとやりにくいですよね…

そんなことをあれこれ考えると、財政面…というか、資料費などの図書館費だけをどうにかできれば、独立行政法人『日本図書館』みたいにして、各自治体にある図書館を1つの組織にできると、システム経費の問題も(複数のサーバをまとめられる)、総合目録問題も(全所蔵情報が集積される)、相互貸借問題も(支部館(?)での物流になる)、ノウハウの蓄積問題も(1つの組織なので容易)…と、様々な問題が解決してしまう(と思う)のですけど…

どこぞやで、「法で定められているとか明記されていないのなら、やらない(しない方向で)」という話も聞きますから、強制力のある図書館法でもできないと無理なんでしょうけど。
まぁ、強制力のある図書館法に『自治体収入の○%を図書館費にあてる』とか、図書館税なんかあると…(笑)

で、『図書館がもし1つの組織だったら』と考えて、それを肯定的にみると、ものすごく図書館が向上するように思えるのですが、否定的にみると、組織が大きすぎて変革が滞るとか、口をはさむだけの大御所が多くて『無料の貸本屋一直線!』だったりする可能性も大きいかなぁ?と。
もちろん、根底に「図書館をなくしたい」とか「図書館をだめにしたい」とか思う人は図書館界内にはいないのでしょうが、結果的にだめになったり、首が回らなくなったり、時代にそぐわなくなったりということも多々あると思うので、一つの組織になったとしても、そういう人が幅を利かすとアウトなのですが、今でも周りの諫言があっても自分の理想論を振りかざす人が多い関係組織もあるので、今の発展形での1つの組織化はやはり難しいですかね。

さて、私の勝手な妄想は置いておいて、1つの組織で2つの方式ということはおかしな話ですから、どちらかに統一しなきゃいけないという話はよく聞きます。
特に最近の市町村合併とかでもなかなか決まらないという話も聞ききます。

最近は図書館系のブログのチェックや関係者のTwitterのチェックがあまりできなかったので、久々に一気に見てみたら、次のエントリーを見つけました。
TRCサポートBOOK【本】部ログ『絵本の並べ方、いろいろ。』(http://d.hatena.ne.jp/trcsupport143/20100519/1274293665)を読んで、いつぞやに出席した会議で、合併をした館の話として、「合併時に統一しようと話が出たけど、今でも並べ方を変えないでやっている」と話を聞いたのを思い出しました。

確かに、図書館の多くは、『画家or著者名順』または『タイトル順』ってのが多いですよね。
どちらもメリット・デメリットはあると思いますし、全部の絵本の表紙を見えるように置くことができると問題はないのですが、通常は不可能でしょう。

このエントリーを読むと少し混乱するところがあって、たぶん私の理解力の問題なのですが、
・目録的には画家順が自然
・タイトル順→画家順で並びかえられた図書館の話
と話が進み、
・画家順に変えるのは、利用者の目線からすれば『図書館の都合』
とあり、
・『どんなレベルの人でも平均的に案内できる並び順はどれかと考えると「タイトル順」の方がやりやすい』
とあるのに、
・『これまでの「タイトル順」が図書館の都合であった』
・『「タイトル順」は即ち、図書館の都合で便宜的に並べ方を変えていたということでは?』
となっています。

で、後段で『小さな子ども』の絵本選びについて絵本の表紙を見せた並びについて書いてあることから、おそらく「選び手は絵を重視するのだから、画家順が自然で、タイトル順はやりやすさを求めた図書館の都合でしかないが、だからといって並び方を急に変えるのはこれも図書館の都合でしかない」と、私は解釈したのですが、どうなんでしょうねぇ?

私も、1つの図書館でよほどのことがない限りは並べ方を変えるのはどうだろうか?とは思います。
でも、『「タイトル順」が図書館の都合』というのは、ちょっとひっかかります。
いや、確かに、図書館での仕様を決定するときに利用者に「画家順が良いですか?タイトル順が良いですか?それともテーマ順が良いですか?」などと聞いて決めた図書館の話はまず聞きませんから、ある意味図書館の都合なんでしょうけど…
このエントリーでは『「司書」であれば、例えば『おばかさんのペチューニア』ならばデュボアサンの「デ」で分類されていることは検索するまでもなく結びつく筈です。』とある後に、先の『どんなレベルの人でも~やりやすい』とあるので、きっと、この方は「タイトル順って図書館としてどうだろうか?」と思われているのかなぁと。
というか、きっと前提(子供の読みたい本を司書が案内するとか)が違うのだろうなぁとも。

タイトル順の非常に大きなデメリットとして、同一作者や同一シリーズが分散するというのがあります。
これはなかなか痛いデメリットで、「この著者の絵本」とか「このシリーズの本」というのは絵本書架ぐるりと回ることになりますものね。
ただ、『どんなレベルの人でも平均的に案内できる並び順』ということは、逆に利用者(小さな子)と一緒に来ているだろう親にとってもわかりやすい並び順なんじゃないかと思います。

司書の専門性なら造作もないことなんでしょうが、「ねぇ、ママ、前に借りたがちょうさんの絵本また借りたい」で親が「デ」をすぐ思いつくかと考えると「が(ちょう)」と考える場合が多いような気がします。(改訂版では『がちょうのぺチューニア』ですから、当たりやすいかも…)

実際、自分の親に「私が子供のころ家に『こすずめのぼうけん』ってあったよね?」という話を振ったとき、『タイトル』と『内容』は覚えていましたが画家名は出てきませんでしたし。
また、ある親子の会話で(子)「幼稚園にあったねずみくんシリーズ読みたい」(親)「じゃあねずみだから『ね』のところ探してきたら?」って【その館が画家順なのに】話していたのを聞くと、ほんとどっちが良いんだろうと思いますね。

もちろん、タイトル順、画家順のどちらにしても、行き慣れた図書館であれば、大体どの本がどこにあるかはわかりますから、画家順で「デ」のところから取ってきたかタイトル順で「お」のところから取ってきたかの状況記憶から探す場合というのも多いのでしょうけど…

私が小学校などで『3びきのかわいいオオカミ』の絵本をよく紹介するのですが、その時はちゃんと著者名など伝えているのだけれども、子供達は図書館に来てタイトルのみを話します。今まで「ヘレン・オクセンバリーの3びきの…」と言う子はいないので、タイトルの印象が強いんでしょうね。

話は少し変わって、絵本でなく、一般の小説でタイトル順という図書館は見かけません。
でも、先日、ラ行の著者の付近で何か探している利用者に声をかけたら『流星の絆』を探しているとのことでした。他の分類がタイトル順なので、小説もタイトル順だと思ったようで…
ということも考えると、小説も絵本もタイトル順だって必ずしも変ではないかなぁと思ってみたりします。

だからと言って、タイトル順が良いかと言われれば、やはりそうでもなく…
結局は場合によるんでしょうね。
絵本の画家順、小説の著者順は、「この人の絵が好き」「この作家が好き」的な選び方をする利用者にとっては良いでしょうし、レオ・レオニ生誕百周年の展示とかする場合も楽ですね。
タイトル順は「このタイトルの本」とか「以前読んだ○○という本」という場合に力を発揮しますし、私個人的には何よりもその絵本の隣の本は別作者の可能性が高いので、「へぇ~こんな本あるんだ」と子供と一緒に新しい発見ができるというのが嬉しいかなと思ったりしています。

で、話をちょっと戻して。
小さな子が絵本を選ぶときについてですが、年齢によってやはり違いますよね?
先の例でないですが、OPACのフリーワードに「ねずみくん」と入力する幼稚園生もいますし、それより前の年齢だと、確かに『絵』なんですが、実際は「その画家の絵」ではなく、「その絵本の絵」なんですよね。
1人の画家でも画風を変える人もいますし、例えばレオ・レオニだと、『あおくんときいろちゃん』は好きだけど、他はそうでもないという子供もたくさんいます。
うちの子の場合、『きんぎょがにげた』がものすごく好きで何度も読んでとせがまれましたが、他の五味さんの本はあまり興味を示さなかったですし…
子供の場合、好きな恐竜が出ていれば何でも良いという子もいますしね…
そういや、3歳くらいの子が「ママ~これ読んで」と持ってきた本に「そんな難しい本、わからないでしょ?」と拒否する親を見たときに、「あ~この子はこの本の何かに惹かれて持ってきたんだなぁ。でも、わからないにしても、面白くないにしても開いて見てあげると、この子にとってどんな絵本が自分に面白いのかを見つける経験(面白くない絵本を選んだ失敗経験として)になるのに…」と思ったりしましたけど、他人様の判断ですからねぇ。

『小さな子ども』の対象をどのくらいで考えるかにもよるんですが、「その絵の雰囲気が好き」で選ぶ子もいれば、「その絵のここが好き」と恐竜だったり、乗り物だったり、生き物だったりの子もいますので、一概には言えないなぁと。

このエントリーの絵本の表紙を見せようというのは大賛成です。
で、どうやったらそんなこと実現できるか考えてみると、『図書館にある絵本一覧』とカラー印刷かWebで一枚(1ページ)で全表紙が見れると面白いなぁとか思ったりもします。
図書館の床いっぱいに絵本の表紙のカラー印刷を並べるのとかも面白いかも。

一方で、例えば、『サリーのこけももつみ』など殿堂入り的な本の隣に原色系の明るい本があると、子供はどっちを取るかなぁ?と考えたとき、色が飛び込んでくる方を選ぶ率が高いんじゃないかと思ったりもします(内容はもちろん読まないとわからないけど、興味を持つのはという意味で)。
そうすると、モノクロ調絵本だの、ピンクっぽい絵本、赤っぽい絵本、恐竜が出てくる絵本、乗り物が出てくる絵本…といった感じで、それこそ子供の都合に合わせて、図書館は児童コーナーを『児童書が置いてあるコーナー』ではなく『児童のための図書コーナー』にする必要があるんだろうな。
どなたかがおっしゃっていましたが、「名作は名作で殿堂入り的なんだけど、子供の興味を引くものは年代によって変わってきているんだから、その今いる対象(子供)をよく知ることが必要」と。

ということを色々考えると、この方がおっしゃるように、『小さな子ども』の都合に合っていないというのは、図書館全体に言えることなのかもしれません。
で、その図書館が「タイトル順」から「画家順」に変わったのは、もちろんその館の人間ではないのでわかりませんが、きっと『大人の事情』でしょう。
だって、何もなくて急に変える図書館なんてありませんから、MARCが変わったとか、合併したとか、大きなクレームがあったとか…
図書館現場だったとしても、新館ならまだしも、ある程度の館であれば、何万冊もある絵本の並びを変え、背ラベルを貼り替える作業だって途方もない作業になるはずですよね。

タイトル順でずっと来た図書館で急に画家順になると利用者だけでなく配架要員までパニックになりますから、私ならやりたくないですね。
例え、新刊絵本の背ラベルとデータを(画家順で来たものをタイトル順に)直す方を選びます。
それか、基本的にはタイトル順にして、ある程度著名な人やシリーズ絵本はコーナー的にまとめておくとか、過渡期を作って、最終的に画家順にするにしても徐々にとかしないとなぁと。

現場の大変さと利用者の不便を考えないで変更するということは、結局はよくわかっていない上層部の事情だったりするんでしょうけどね。
ということで、うまく最初の話につながりました。笑


…ちなみに、このエントリーとはたぶん別の館だとは思うのですが、合併で画家順がタイトル順に変更された図書館もあったりするんですけど…過渡期対策が思いつかない…どうすんだろ?


思いつきの追記。
著作権に絡んで、絵本の表紙の許諾を検索語にして訪れてくれる方も多いのですけど、やはりケースバイケースとしか言えないんですよね…で、このエントリーを書いていて、ひとつの組織になれば、共通見解も出来、いいよなぁと。
以前も書いた気がしますが、日図協あたりに、火中の栗を拾ってもらい、(複写させるか否かの判断はもちろん各館だけど)「図書館でここまでは最大限複写が可能」とか(本の紹介をしたいとか、床中壁中に表紙のカラーコピーを貼りたいとかの時に困るので)「こういう場合は表紙の複製物を使える」とか明記してくれて、ついでに訴訟になって判例が出ると、助かる図書館職員はいるだろうなぁ、と。

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