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2008年9月の8件の記事

著作権法31条とその周辺

アクセスログを拝見すると、著作権法絡みで見に来ていただいている方が多く、とても恐縮しています。
専門的な人が多いためか、細かい表現のチェックが手厳しいなぁと、思ってみたり。(それはそれで勉強になりますから、いいのですけど。)
今回も、前回に引き続き、図書館にあるコピー機周りの話です。

判例検索システム(http://www.courts.go.jp/search/jhsp0010?action_id=first&hanreiSrchKbn=01)でふにふにと検索してみたら、こんな判例が出てきました。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/A78B418D57307DB549256A7600272B97.pdfおよびその控訴審http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/84AF6002BC8A907C49256A7600272B2E.pdf

(判例の文章がわかりにくいので外さないようにわかりやすく書いてみます)
利用者Aがある図書館である事典の複写請求をしたら「それだと著作物の全部だから出来ません」だと言われたので、その利用者は
1.著作権法31条1項に基づく複製権が自分にあること
2.その事典は公共的著作物(だと考えられるので)だから全部コピーしてもいいじゃないか
3.それに請求はその本の一部分の数ページなんだから自分に複製権があること
4.この事典は発行後14年経っているのだし、「発行後相当期間を経た定期刊行物」と同じような解釈できるでしょ?
5.だから著作権法上問題ないはずなのでコピーを交付してくれ
4.そして図書館は精神的苦痛分の10万円払ってくれ
と裁判にて要求。

図書館側は
1.利用者個人に複製権があるわけでない。
2.事典が公共的著作物ってわけではない。
3.その事典は、それぞれの項目に著者名が書かれているので、編集著作物であるけど、その請求部分は1人の人が書いているからそれで1著作物と考えられるので、その請求は全部になる。
4.定期刊行物と同じように解釈できるということはない。
5.各項目がそれぞれ1著作物なんだから、認められない。
と主張。

結果、
・著作権法第31条は一定の要件のもとに図書館で一定の範囲で複製することができると規定したもので、図書館に対して複製物の提供を義務付けたものではない。(私が前に書いた『図書館は著作権法に基づいた複写を必ず提供しなければいけないというわけでない』ってこと。)
・まして、利用者に複製権を与えるとか複製権を定めたってことではない。
・複製サービスのお知らせは行政サービスの周知であって複製物の交付契約や予約契約でもない。
他、図書館の主張が認められ、棄却されました。
で、控訴したけど、やっぱり却下。

少し補足。
著作権法で保護されるのは著作物全てってわけではありません。
憲法の条文や法律の条文とかは作った人がいて、著作物ではあるけど、著作権の権利の目的とならないものもあります。
そういうのがあるので、『公共的著作物』という言葉でその利用者が要求しているんでしょうが…少なくても13条(権利の目的とならない著作物)に事典の類っていう言葉はありません。
それと、各項目に著者名があると、百科事典などの小さな項目といえど、その項目1つで1著作物って判断になります。(まぁ、この判例が出たから特に。)
ただ、同じような百科事典でも、最後にまとめて執筆者一覧となっていれば、どの項目までが誰が書いたかわからないので、共同でって考えも可能なので、1冊の半分までは可能です。(たぶん)

と、前置きとして、前回の白黒はやはり、判例が出ていないとなんとも言えないってことをご理解していただければ。
この裁判を起こしてくれた利用者みたいな方が「最新の時刻表(番組表)をコピーさせてくれなかった」とか「スーパーの広告をコピーしたかったのに」とか裁判を起こしてくれれば、判例ができてそれを基準にできるのですけどねぇ。
逆に権利者が「図書館でそんなにコピーさせやがって」と裁判をしてくれるか…(著作権法は親告罪なので)
判例が増えると、利用者にも「そういう判例が出ているので、判例に従うとこういう判断になります」みたいに説明しやすいんですけどね。笑

ついでに、前回の補足気味に、少し書いて、今日の本題に入ろうと思います。
図書館と著作権法について考えると、31条の他に、これも以前書いた映像著作権の問題(DVDの補償金云々とか)とか、たくさん絡むことが多いです。やっぱり、本をはじめとして著作物がたくさん集まっているところだからでしょうか。

図書館には大昔に書かれた資料から、最新の雑誌やDVDなどがありますからね。
大昔…例えば江戸時代以前などに書かれたものなど貴重書の類になる資料は、実際的には著作権法上保護されないので、現行法上は複写することができますが、資料の保存の観点から複写を拒否できますし、青空文庫などであるような著作権保護期間の切れたものであれば、(たぶん)全部複写できますが、注とか編集著作物性が見受けられるところは、図書館の判断ということになります。

なので、「もうこの著者は亡くなって50年経ったかなぁ」とかちゃんとチェックしないといけないのですが、なかなか全員に徹底できなかったりします。(微妙な人の没年を調べるのがこれまた大変)
利用者側も、先にあげた裁判の利用者のように、「図書館にある資料はコピーして良いはずだ」式の人も確かにいますから、『「することができる」と「させなければいけない」は違うのです』と理解していただくまで丁寧に説明する必要があります。

さて、図書館に置かれている複写機の運用について考えてみると、この複写機は31条に基づいて設置しています。
なので、私物のコピーなどはできません。(と前にも書きましたけど、確認。)
ということは、30条の私的複写…

(私的使用のための複製)
第三十条  著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
一  公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製する場合
(以下略)

が、図書館という場所で公衆の使用に供している感じでも、できないのです。(一時期30条で複写させる図書館があって話題になりましたが。笑)
つまり、31条のためだけにあるって感じ。

そうすると、保護期間の切れた著作物の複写とか、42条(裁判手続等における複製)とかもできないんじゃないかと思ってみたりします。
逆に31条以外の複写が可能であれば、もちろん「30条でもやらせろ」って話も出てきますし…(この辺の話は『著作権法第31条と35条及び42条の関係について』という権利者側の話です)。
(これは去年の図書館大会での)「31条の存在が(42条の)複製物の提供を拒否する根拠にはなりえない」ってことになるんですけど、そうすると30条のみ拒否っていうのはもどかしい感じもしますね。
(話が複雑になるので省略したけど35条(学校その他の教育機関における複製等)の複写も生涯学習機関として図書館を考えると拒否しなくても良いかと)

手続き上は、うちの図書館の場合、『図書館運営規則』に基づいて、『図書館において、図書館資料の複写をしようとする者』(31条に基づきとは書いていない)が申し込み書を提出とあるので、複写申込書を記入してもらい、この規定で複写したら実費徴収という条項もあるので、あまり変わらないです。
(ちなみに、うちの館の複写機は通常電源OFFなので、申し込みを受けて初めて電源を入れるため、「著作権が切れているはずだから」とか「42条だから」って勝手にコピーできません。全て申請書を見て確認してからとなります。(30条における申請はもちろん拒否ですが))

で、30条でどうしてコピーできないのかは、(社)著作権情報センターのぺージ(http://www.cric.or.jp/qa/cs03/cs03_3_qa.html)で書かれていますように、『「文化的所産の公正な利用に留意」しつつ権利者の保護を図ることを目的とした著作権法を曲解している』ということらしいんです(曲げようが解釈は解釈?)が、逆にその後段が私はちょっとひっかります。
ようは公衆の使用に供する複写機での複写は本来であれば(附則5条の2(自動複製機器についての経過措置)がなくなれば)私的複製にも該当しなくなるってことなんですよね、そうすると私的複製機ではどうか…

というわけで、うまく次の話に持っていけます。笑
「じゃあ、誰でも使えるものでない、つまり私物の複製機なら30条でいいんでしょ?」と。
図書館でよくあるのが、携帯電話のカメラでパチリです。
他にもハンディスキャナを持ってきたりとか…図書館にある複写機ではないので、いいんじゃないかと。
著作権法上は、きっと大丈夫なんでしょうね。(30条は「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること」で『使用』に関して範囲を決めていて、複製場所については言及していないから。)

じゃあ、どこの図書館でも可能かと言えば、著作権法以外が実際にはひっかかってくるかと思います。
携帯電話のカメラだと音がするのでというのもありますが、館内における写真撮影禁止とあれば、音消ししたデジカメなども、管理運営上ご遠慮いただけると思います。
しかし、ハンディスキャナは…写真でないですよね。
当館では前述における『図書館において』を「図書館にある複写機」だけでなく「図書館という空間」として考えれば、図書館資料を利用する複写全てに申込書を書いてもらうことはもちろんOKで、不許可もできるとも考えられます。
(飲食物の持ち込みと一緒で、堂々とやっている人は見ないですが、見つけたとき、複写行為をご遠慮いただいて、それでもめそうだったら、この解釈で、とは思っています。今のところ、まだそこまでもめてはいないですけど。)

ただ、これらについて法的根拠があまりないので、なかなか難しいところでありますが、強いてあげれば、『所蔵者の有する所有権の行使』でしょうか…寺院とかの撮影禁止と一緒で。

図書館法的には複写サービスについては何もないので、後にも先にも著作権法第31条でしか図書館は判断できないですが、個人的には、グレーな部分のそういう問い合わせ機関を設立するとか、『図書館間協力で借り受けた図書の複製に関するガイドライン』『複製物の写り込みに関するガイドライン』(http://www.jla.or.jp/fukusya/index.html)のようなガイドラインか、その上のそれを含めた法律ができればなぁと思います。(別の意味で『著作権法第 31条の解釈・運用についてのガイドライン』を作ってと権利者側も言っていますけどね。(著作物の一部分の解釈の違い(20%にするように)とか、雑誌の発行後相当期間の運用(専門雑誌や文芸雑誌を除くように)とかそういう意味で…))
専門家のみなさんが法改正や法の設置まで辿り着くのはまだまだかかりそうなので、じゃんじゃん判例ができてくれた方が手っ取り早いですよね。
だから、権利者側のみなさんが、当事者会議で言うのならば、「図書館で半分コピーできるのはおかしい」とか訴えれば、それが判例になるのになぁと、期待しているのですけどね。
それと時間的・金銭的余裕がある人で、31条とか図書館と著作権法周りの判例を作ってくれる人がいると嬉しいなぁ。(仮に訴えられる方の図書館は、面食らうでしょうが、業界の共通認識のために犠牲になってください…(それならうちの館で??訴えられてみたい気もしますが、それはそれで大変そうだなぁ…))
でも、訴えられた図書館の論法によっては、一部分が20%になったり、現状よりマイナスになってしまうかもしれないとは危惧していますが、そうなったらなったで、従わざるを得ませんよね。
ただ、裁判所が解釈論に言及しない可能性も捨てきれないので、なんとも言えませんが。

それにしても、著作権法の附則5条の『自動複製機器についての経過措置』の当分の間はいつ終わるのでしょうかねぇ…コンビニから一斉にコピー機が消えたらそれはそれでビックリですが。笑
そうじゃないと、図書館で借りてコンビニでコピーがまかり通ってしまいますから…(じゃあ、図書館で貸すなって方向になるのでしょうか。確かに雑誌の最新号の貸出は著作権にかかる法的根拠ではなく、書店などの不利益を考慮してだと思いますし、それなら市販の本は?と権利者側に言われそうですけどね。)
どうも、著作権法について考えていくと、奥が深くて楽しいのですが、「あれはどうだろう?この場合は?」と難しい解釈論になってしまい、疲れてくることも多いです。やはり図書館が権利者でもなく、末端の利用者でもないからなんでしょうかねぇ…

ひとまず今日はこの辺で。(アクセスログを見て、このような長い駄文に色々な方が、最後まで(もちろん、ぱっと見て帰られる方もいるでしょうが)付き合っていただいているようなので、「いつも感謝しております」と一言添えさせていただきます。)

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いじわるな複写~著作権法の解釈の間で~

図書館における複写(コピー)サービスは著作権法31条で成り立っています。

(図書館等における複製)
第三十一条  図書、記録その他の資料を公衆の利用に供することを目的とする図書館その他の施設で政令で定めるもの(以下この条において「図書館等」という。)においては、次に掲げる場合には、その営利を目的としない事業として、図書館等の図書、記録その他の資料(以下この条において「図書館資料」という。)を用いて著作物を複製することができる。
一  図書館等の利用者の求めに応じ、その調査研究の用に供するために、公表された著作物の一部分(発行後相当期間を経過した定期刊行物に掲載された個個の著作物にあつては、その全部)の複製物を一人につき一部提供する場合
二  図書館資料の保存のため必要がある場合
三  他の図書館等の求めに応じ、絶版その他これに準ずる理由により一般に入手することが困難な図書館資料の複製物を提供する場合

ということで、利用者個人に絡むことでいうと、
1.「図書館資料でない(図書館で所蔵していない資料)のコピーはできない」
2.「営業目的の人はコピーさせてもらえない」
3.「発行後相当期間が経っていない定期刊行物は、全部コピーできない」
4.「全ページコピーなど一部とは思えない量のコピーはできない」
4.「友達の分や保存用としてもう一部のコピーはできない」
ということになるわけです。

具体例だと、
1は、「自分のノートや友人のノートのコピーなどが図書館のコピー機でコピーできない」とか、「インターネット端末で見たページの印刷は自由利用マークなどがない限りできない」とかです。
2は、「会議に使うからこのページが必要」とか、「営業でまわるからゼンリンの住宅地図のコピーをしたい」とかです。
(2009.7.26.追記:コメントにもありますが、営利企業の社員だからだめということはありません。企業の商品開発のための調査や、確定申告の事例調査などは可能な場合に含まれます。複製物の最終利用方法が営利か非営利かではなく、あくまで『それが調査研究の用か否か』ということです。)
3は、「最新号の雑誌の記事が1ページだからといってコピーできない」とか「今朝の新聞の記事のコピーができない」とかです。
4は、「全100ページの本で1~51ページのコピーができない」とか「全部で100ページだけど、25ページの短編が4つある本で、1つの短編丸ごとコピーができない」とかです。
5は、まぁ、すでに具体例ですけど…

補足説明が必要そうなところは、3。
定期刊行物とは週刊誌、月刊誌、季刊誌などの雑誌類や新聞などが主な対象です。
図書の多くは(短篇集とか作品集を除いて)1冊で1著作物が多いので『一部分=半分未満』という認識なのですが、雑誌については、それぞれの記者などが寄稿した著作物の集まりという考えなので、発行後相当期間が経っていない、つまり最新号は、例え全体で100ページあるうちの1ページであっても、それが1著作物(1つの完結する記事)であれば、1ページ丸々はできないということです。
だから、例えば、月刊誌の最新号を読んでいて、その記事が3ページあり、1ページだけコピーしたいのはOK(この場合2ページは×)って感じです。
逆に、発行後相当期間を経っていると考えられる次の号が出たときには、100ページあったらその3ページの記事でも、10ページの記事でもコピーできるということです。ただし、やはり全体で51ページのコピーはできませんが。

あ~、大前提を書きそびれていました。著作権法上、保護された著作物の場合っていうのと、『図書館は著作権法に基づいた複写を必ず提供しなければいけないというわけでない』ということです。
つまり、『著作物を複製することができる。』とあるので、『しなくてもよい』なのです。
具体的には、コピー機に耐えられないような貴重書のコピーなども拒否できますし、「最新号は記事の一部でもさせない」という判断も可能なのです。

ついでに、この複製行為の主体は図書館なんです。なので、利用者の複写申し込みを受けて、図書館職員(司書)がコピーするのが、正当な手順。
えっ?セルフコピーさせている図書館が多いって?
それは、申し込み時の複写可能チェックと、複写後のチェックは職員がやっていませんか?
そのチェックがあるので、著作権法上違反のない複写が行なわれていることを確認しているんです。
ので、申し込み書がなく、複写後のチェックもない図書館は、ちょっと危険かもしれません。笑

それを踏まえて、今日の話題。

貸出可能な資料は「こういうコピーは可能なのか?」と聞かないで、貸出手続きをして、コンビニへ…と内心思うこともよくあるのですが(笑)、聞かれたらちゃんと答えないといけません。
でも、その判断はもしかすると他の図書館では違うかもしれないし、解釈が異なれば違う判断になるかもしれません。あくまで以下は私の個人的な考えによるものですので、お間違えないよう!

まずは逐次刊行物、つまり雑誌や新聞から考えてみようかと。
最初に、よくある雑誌最新号の絡みから。
週刊誌などの記事が1つの著作物というのは、案外わかりやすいですが、「時刻表の最新号の1著作物の範囲は?」とか「TVガイドとかの番組表は?」とか悩ましいことが多いです。
時刻表は、欄外のミニコラムなどを除くと、列車の通過時刻が記載されているだけなので、時刻表の部分自体は大丈夫のような気がします。
が、見やすく編集されている点で創意工夫があるという意見もあります。
でも、そうすると、時刻表部分に関しては全体で1つの著作物と考えられるので、時刻表部分全体の半分まで最新号でも良いのではないかなぁと思っています。
そうすると、同様に電話帳なんかもそんな感じになるでしょうか…
では、TVガイドなどでは、番組記事はもちろんその個々の半分なのでしょうが、番組表自体は個々の番組だとかTV局ごとでなくても良さ気です。でも、その番組表を良く見て、ドラマ系だとあらすじが書いてあったりすると、そこはだめかなぁと。

他にも、囲碁などの雑誌付録に付いている名人戦棋譜集とか、料理のレシピ部分だとか、編み図だとか、なかなか難しいところが多いです。
個人的には、今例にあげたものでは、棋譜集の棋譜そのものは事実だから良いと思うけど、棋譜図や解説部分はそれぞれ1著作物って考えようと思うし、レシピ自体は「え~っこんなの入れるの!」ってくらい創意工夫があればだめでしょうが、著作物性が少ないように思えますので、『書き写すのは』良いかと。(たぶんにもれず、写真とかが写りこむような気がするので)
そして、編み図は、図なので、1つの著作物かなぁと思い、最新号だと図1つ1つでその半分にしています。

次に最新絡みで、新聞ですが、最新号は(「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」以外の記事は)その個々記事の半分となるので、新聞という性質上、ほぼ無意味な複写かと思います。
でも、「この記事の半分だけ複写」っていうのは可能ですし、新聞の見出しはあまり著作物性が認められないようなので、俳句や川柳っぽい見出しでなければ、複写できると思われます。
それと朝刊と夕刊はよく見ると同じ号数ですので、次の日になると、全体の半分はコピーできますが、本の上下巻で、上巻一冊丸ごと複写できないように、朝刊は朝刊、夕刊は夕刊でその半分となるんだろうと思います。

逐次刊行物ということで考えると、白書とかも最新号はやっぱり個々の記事の半分なのかなぁと思ったりしていますが、本の半分までってしている図書館が多いですね。

他には、「雑誌の最新号の目次は?」という例もあるのですが、目次を著作物だと思いたい私の気持ちとは裏腹に、どうも図書における目次は著作物性が少ないようで、同様に、雑誌も考えられそう。
でも、複写ということになると、人物の顔写真とか、特集を組んだ写真が目次ページにあることが多いので、複写はNGのパターンが多いかなぁと思います。

あと、付録類は本誌とは別に一つの著作物としてまた考えることになります。(最新号の場合はまたその中の個々の記事の半分)

ということで、逐次刊行物について考えるのは今日はこれくらいにして、次に、図書館で大半を占めるであろう図書。
で、図書で判断に困るのが、表紙のコピー。
読み聞かせのお知らせや図書館便りの図書紹介などで、よく使われる表紙のコピー、新書系だと表紙が単色で文字のみって場合が多いから(タイトルや著者名自体は著作物ではないので)コピーできるのはわかるけど、絵本だと絵ですし、最近の単行本だと写真も多いから、だめだろうなぁと。

でも、出版社に問い合わせると、案外、「そういう使い方なら良いですよ」って返事がもらえるので、大丈夫っぽい気もするんですが…要各社問い合わせですね。

図書では他に、途中に付いている折込地図のコピー(ページが付いていれば一枚裏表大丈夫だと思う)とか、取り外しても使えるようになっている旅行地図(これは付録扱いで付録の半分かなぁ)とか、先にあげた目次や索引のコピー(大勢はOKのよう)などが多くて悩まされることがあります。
ついで、複写ページ途中にある楽譜や歌詞(本来、楽譜・歌詞は一曲で一著作物なので、それぞれ半分)の著作権保護期間か否かの判断をしないといけないことなどがちょっと大変かなぁと。
(細かいの(コピー機の上に本の背を並べて、全部コピーする時、申込書と許可の出し方とか)をあげるときりがない。笑)

他の図書館資料の例をもう少しあげると、CDのジャケットの複写や、裏面の曲リスト、中の曲解説の複写の他、DVDのジャケットの複写とか、紙芝居の裏面(説明面)の複写なんかも悩まされます。

ジャケット自体はCDの場合、一枚なので、一枚物の写真や絵が同一性保護を理由に複写不可としていので、多くは写真があるので、不可(もちろん字しかないのはOK)ですが、曲リストがちょっと難しい。
CDケースの裏面をそのままだと写真が絡みそうであれば、中の曲解説の1ページ目に大抵あるのを目次の類としてOKかなと。

中の曲解説は歌詞部分はそれぞれの半分で、解説自体は、全体の半分までOKかなと。

DVDのジャケットってCDと同じに考えたいですが、「これって表・背・裏って一枚になっているよね?その半分って考えじゃだめ?」と言われると、ちょっと躊躇しますが、ケースに巻かれている状態では、表は表、背は背、裏は裏ですし、同じ理論が本のカバーにも言えるわけでして、写真などがあるならNGってことで。

紙芝居の裏面は、その作品が12場面だったら12場面で1つの著作物と考えると、1枚は図書の1ページみたいなものなので、この例だと6枚未満なら可ってところでしょうか?絵の面はやはり、同一性保持権ってこともあり、NGかなぁ。

最後に、あまり新聞の折り込み広告を閲覧できる状態にしている図書館は少ないかもしれませんが、その広告のコピー。

よくあるのが、求人広告のコピーなんですが、最新号(当日の広告)の場合、やはり各社の募集を1著作物と考えた方が良いかなぁと思います。(なので、その半分。)

スーパーの広告だと「きゅうり3本99円」のきゅうりの写真と値段が1著作物って考えられにくい(正確に書くと写真があれば1枚でも1著作物ですが…)ので、1ページの半分認めようかなぁ…と思ってみたり、でも、日替わり品は一つの記事かなぁと思ったり、あ~でも、裏表で一つの広告だと考えると表1ページとかOKかな?と思ってみたり、定まりません。でも、おそらく電話で聞いたら「全部しても良いですよ」と言われそうな…(相手は広告が周知され、中の商品が売れれば良いので、あまり考えていないかもしれませんし。笑)

こんな感じで、図書館司書は頭を悩ませていたりしています。(うちだけか??笑)
似たような絡みで、『図書館で私物のスキャナ(もしくはカメラ)使って良い?』(30条の絡み)とか『31条以外の複写は館内のコピー機で複写許可してよいか』とか、この辺も後々忘れなければ書きたいなぁと思いながら、今日は「世の中には変わったコピーのする人もいるんだ」と思っていただければ。

もちろん、図書館が許可する許可しないは前述のように図書館の運営によるので、「これにこう書いてあっから、複写させーや」とか、ちょっといじわるな複写はやめてくださいね…笑

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借りたものを返すのは難しい?

図書館に勤務していて、大変だなぁと思う業務の一つに、延滞資料の督促業務があります。

電話するにしても、通常開館時間中だと仕事などで相手はいないし、土日もなかなか連絡取れず、同時登録してある携帯電話にかけると「お客様の…」とか違う人にかかったり…

相手と連絡をつけるのだけでも何度もやらなきゃいけないのに、連絡付いてからも、「あ、いついつ返すつもりで…」とか「友達に貸しちゃって…」とか「返しに行ってくれると言ってたけど…」とか、何ヶ月も直接話ができなかった挙句に「いや、見つからないんですよ」と…。
電話を何度もしようとも、督促状を何度も送ろうとも、「返さなきゃ」と思ってくれない利用者…

借りに来れるのだから、返しにも来れると思うのですけどね。

じゃあ、督促を他の図書館はどうやっているんだろう?と疑問を持っていたら、以前ちょうど良い資料を入手。
中にある50数館の対応を見てみると、だいたい似たり寄ったり。まぁ、細かくは違いますが、次のような感じ。
・他の利用者の人の予約が入ったら、すぐ~2週間以内に電話等で連絡。
・月に1度~半年に1度くらいに督促ハガキ。
・2年から~5年ほど督促連絡して、だめ(回収不能)だったら、その資料は除籍。
・利用者ペナルティはないところもあるし、あるところでは貸出停止。(なかなか返さない人はたいてい図書館にさえ来ていないことが多いので。)
(最初は、統計にしようと思ったけど、記述がバラバラなので、概略だけ。)

一番厳しいところと思われるところでも、月一回の督促状が2回目に利用者宅に抜き打ち訪問ってのが、日中の時間帯ながらあるくらい。
(でも、なかなか利用者に会えることはないのですけどね。)

確かに、督促ハガキ1枚50円だとして、1冊1500円くらいの資料に対し、30ヶ月、つまり2年ちょっと送れば、督促状の方が高く付くというのはわかりますが、除籍して終わりというのは、個人的には納得いきません。

もちろん、1冊だけでなく、複数冊督促になっていれば、まだ効果はあるでしょうが、どちらにしても、泥棒に追い銭状態のような…

資料費だって公立図書館だと税金だし、督促状の郵送料や電話代だって税金でしょうに。

そんなことを考えていたら、これまた良いタイミングでCNNのニュース(http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200808220022.html:アメリカで図書館の本を返さないで、逮捕って話。(罰金命令っていうのが督促後にあるんですね。))がありました。

さて、このニュースで気になるのは、資料2冊の返却が遅れたときに生じた罰金30ドル。
資料2冊分の金額なのか、それとも、督促手数料分なのかいまいちわかりません。
たぶん、後者かなぁと思いますが、あまり海外事情に詳しくないので、もやもや中です。

それで、日本で、そういう方法って取れないか思案してみたのですが、いかんせん図書館に関係する主な法律はわかるのですが、わからないのが図書館で貸出した資料って、利用者とはどんな(契約)関係なんでしょう?
ちらっと見ると使用貸借(当事者の一方が無償で使用した後に返還をすることを約束して相手方からある物を受け取ること。)なんかが妥当なんでしょうかねぇ…
少なくても、「いついつまでに返す」ということで返却期限を決めて貸出しているはずので、そういう契約(?)には違反しているわけです。

それで、訴訟ということであれば、ひらめきでは少額訴訟ですが、1円~10万円の手数料が1000円…1冊、それも文庫本だと割に合わない…
少額訴訟で、貸出資料の返却または弁償料金と督促手数料と訴訟料金をまとめて請求ってできないのでしょうか…

やはり返却されていない資料代とは別に罰金などをいただかないと、だめなんでしょうね。
(というか、裁判所の支払い命令をも無視したらどうなるんだろ?やっぱり逮捕??)

大学図書館では、某大学で、借りた資料を返却しないと卒業させないってことがニュースになりましたが、公立図書館でのペナルティ…
公共施設で氏名等を晒すとか、行政区長さんや地区の班長さんに「あの人、全然返却しないんですよ」って言うわけにもいきませんし。笑
住民税が倍になるとか…
と、話がずれて行きそうなので、軌道修正をしまして、督促費用を利用者に請求していない現状からすると、ペナルティは貸出停止なのでしょうが、そういう利用者はおそらく借りにさえ来ていないでしょうから、無意味に近い。

そうすると、どうやって、期限内に返却してもらうかに尽きます。
期限が切れたら、返却されるまで毎時間自動電話とかだと、逆に迷惑行為になりそうですし、1日で最低240円かかる。

最近のICタグの応用で、期限が切れたら「ピッピッピッピ」と徐々に音量が大きく鳴り響くとか、異臭がするとか…そうすると返したくなるかな?
でも、誤作動があったらちょっとイヤだな。笑

極端ではない話として、自治地区の班レベル(例えばゴミステーションのある範囲)で返却場所があると、案外返してくれるでしょうか?(返却資料の回収はゴミ収集車の巡回に便乗するとか…)
総費用的に回収業者に依頼した方が安く確実になるでしょうか?

全国各地の図書館で「これは」という事例がないということは、図書館側としては打つ手なしということなのかなぁ…
そしておそらく、資料の切り抜きなどと一緒で、マナーの悪い一部利用者のために、マナー良く利用している人が迷惑するんだろうな。

CNNのニュースを見て、「返却しないと逮捕があり得るってなんかいいなぁ」と思い、雑多なつぶやきで書いてみました。

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図書館とDVDと著作権

図書館で、DVD関係で利用者からある要望が、「(この図書館にない)これこれのDVDをリクエストしたいのですが…」とか「前に買ったDVD、見飽きちゃったので図書館に寄附したいのですが…」とか「どこそこの図書館にあったDVDを取り寄せて欲しいのですが…」など。
これらはほとんど、「う~ん、ちょっと無理」って話。
著作権関連の細かい部分は以前、著作権の話題をしたときにコメントをいただいた、タイゾー様のサイト『ピリ辛著作権相談室』の『Q32:公立図書館から映画DVDを借りたいのですが…(http://urheberrecht.cocolog-nifty.com/blog/2008/08/q32dvd_c51e.html)』が参考になるかと思われます。
ようは、そこにありますように「著作権の関係から」…いや、正確には「著作権法に書かれている補償金の問題から」といったことが絡んできます。

著作権法上、「第38条 5 映画フィルムその他の視聴覚資料を公衆の利用に供することを目的とする視聴覚教育施設その他の施設(営利を目的として設置されているものを除く。)で政令で定めるものは、公表された映画の著作物を、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には、その複製物の貸与により頒布することができる。この場合において、当該頒布を行う者は、当該映画の著作物又は当該映画の著作物において複製されている著作物につき第二十六条に規定する権利を有する者(第二十八条の規定により第二十六条に規定する権利と同一の権利を有する者を含む。)に相当な額の補償金を支払わなければならない。 」ということで、「いくら営利を求めなく無料でも、貸与するんなら相当の補償金を支払ってね」って簡単に書くとそういうもんです。
では、『相当の補償金』っていくらなんでしょう?
現在は、図書館からすると相手の言い値。笑
せめて、定価の○%とか明記していれば、苦労はあまりないんですけどね。(まぁ、定価の300%・400%ってことなんでしょうが。笑)

本来であれば、書かれていないので、補償金額を「利用者に貸したい図書館」と「権利者」で折衝し、取り決めを交わすことによって、双方納得の『相当の補償金』とするのが良いのですが、人員不足で資料費も削られ、いちいち補償金の値引き交渉もやってられないですし、相手方もあちこちの図書館と毎回交渉していたら大変ということで、大抵カタログ販売。笑
つまり、「あ~、館内で見せたいのね?じゃあ、そういう利用ならこのくらいの補償金で」「え、貸出したいの?うちは販売もしているから、補償金はもうちょっと高めに設定しますよ」「上映もしたいって?家庭内で見るんじゃなく?それじゃ、もっと補償金を上乗せしてもらわないと」と言ったか言わないか知りませんが、16ミリフィルムとかもそうですが、大体、「館内利用」「館外貸出」「上映可能」の3パターンで補償金を上乗せした金額(ライブラリー価格)で、複製品(この場合はDVDなど)を販売し、それを図書館が「えー高いよ」と言いながら(?)購入しているんです。
法的にも『相当の補償金』としか書いていないので、「1つの補償金上乗せがされたら、貸そうが上映しようがOK」という世界ではなく、権利者に有利にできる解釈が可能なようです。

ただ、この補償金、どれだけてきとーかというと、出始めは1万6千円で館外貸出OK付を買わされたのに、数ヵ月後、バーゲンセールと称して、5千円くらいで館外貸出OK付が売られたり、「あれ?補償金はいらないの?」と思えるぐらい一般販売価格と変わらない値段で売られたりしていますし。
(ところで、日本図書館協会の映像事業部のページ(http://www.jlaeizo.jp/index_copyright.html)に、『著作権補償処理済ビデオを一般小売価格(一部を除く)で提供します。』とあるのですが、確かに安いと思われるものもありますが、それはこのルートでなくても安いことも多く、どちらかというと『一部を一般小売価格で』の間違いなんじゃ…笑)

ので、図書館で借りられるDVDは一般販売より時々…いや、そのほとんどはうんとお高いということはわかっていただけると思います。
(だから、下手に傷つけられたら困るから、中学生からとかの貸出にしているところも多々あるんですけどね。)

で、最初に戻って。
「DVDのリクエスト」は、正確に書くと受けることはできなくはありません。カタログになければ当事者同士で交渉して『(貸与方法における)相当の補償金』を決めて、図書館がそれを支払えば良いのですし。でも、例え16000円で決まったとしても、「1600円の本なら10冊買えるなぁ」というのが図書館員でしょうから、図書館で「本を10冊あきらめてもこれは買いだな」と思えなければ、先日書いたコミックの収集とかではないですが、『出来なくはないけど、時間的・人員的・予算的な面を考慮して優先順位的に無理』というのが実情。
そうすると、『利用者にリクエストだけを受けて貸出を実現できないのは不本意』ですから、不確定要素が強いので、「著作権法の(補償金支払いの)関係で、リクエストはお受けできません」となるわけです。

同様に、一般販売のDVDも、元々補償金が上乗せされていないものですから、図書館で所蔵するためには、権利者に補償金の支払いが生じるので、「寄贈を受けて、それによって万単位で支払いが生じる」って、図書館的にも困りますよね…
なので、「(そんな余計なお金を図書費を削ってでも支払おうと思わないから)受け取れません」となります。
もし、図書館として絶対に必要だと思われるものでそれに対し何万円も払っても良いと思うものであれば、きっと図書館はありがたく受け取って、権利者と交渉の上、所蔵すると思いますが…市販のだと、同時発売はないにしても、ある程度の期間後ライブラリー価格で販売されるものですからね。

最後の「他館にあるDVD」ですが、これは先に述べた利用条件によって補償金が異なるのに起因しています。
うちの図書館も個別に契約をして補償金を支払っているのではなく、「この条件で、補償金上乗せして、ズバリ○○円!」的なカタログ販売で購入していますから、細かい条件は取引業者と権利者の契約書などに書かれているので、詳しくはわからないのが現状です。
で、以前「上映権付」の『上映』って「利用者が別のところで上映しても良いの?」とか、「図書館主催であれば自治体内施設(例えば図書館から離れて文化センターとか)で上映してもいいの?」とい疑問があったときに、『上映権は図書館のみにあるけど、それも同一敷地内施設(とは言っても、敷地内にたくさん施設があっても、そういう場合はたぶん同一施設なんだろうなぁ)ということになっています。』と回答をいただきました。
ということで、「館外貸出権」というのも「その館の利用者への館外貸出」ということらしく、「相互貸借によって違う館では貸出せない」ようです。
じゃあ、他館からの貸出を一切受けられないかというと…

都道府県立図書館のDVDなら、その都道府県に在住・在勤者が対象ですから、地元図書館になく、そこの県立図書館が館外貸出OKの資料を所蔵していれば借りられるということになっています。
(もちろん、「同一自治体内での中央館と分館の間での相互貸借」は可能です。ので、上記上映も、中央館で所蔵しているDVDを分館で上映は大丈夫です。)
でも…県境の市町村立図書館は広域利用として県をまたいで貸出をしているところも多いですし、在住制限なしの図書館もちらほらありますが、その県在住・在勤者じゃないとその県内の市町村立図書館の利用者であっても借りられないことも正確にはあるんでしょうが、その辺はどうなんでしょう?

個人的には「現品以外に1点複製権付DVD」というのがあればいいなぁ。
おそらくもっと補償金は高くなりますが、本と違って少しの破損で利用できなくなることが多々あるので、原本保存で、その複製物を貸出用に…
それか、1枚ずつの補償金ではなく、「館内貸出可」「館外貸出可」「上映可」の権利を一度買っていれば、もし、破損して、一般販売品を購入しても同じタイトル(作品)であればOKとかにしてもらいたいなぁ。
どうしても、利用者の弁償で補償金上乗せで請求しても、手続きは図書館で代理購入して振込みという形にしなければ、一般の人は購入できないし。
もし、上の方法が可能であれば、「一般販売のでいいから破損させた弁償として買ってきてね」って言えるのですが。
(ただ、上の例のように、同一品が安く買えて、弁償金額が安くなるってことも多々ありますけど。(その時の図書館サイドは同金額なんでしょうか?)笑)

もっとも、『図書館法>著作権法』のような感じで、『著作権に関する規制や制限を緩和できる特別な施設であるかわりに、著作権の啓蒙などがきちんとでき、著作権法をきちんと理解しているる専門性の高い司書を必ず置いて、著作権に絡む問題に対応する』といったことができるようになれば、司書の専門性の向上などになるような気もしますが、無理だろうな。笑

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所蔵の少ないものを知る権利

日本文学、絵本などの児童書、病気に関する本、コンピュータの関連本、ビジネスに関する本…など、特定分野などに力を入れている図書館は多々ありますが、占いの本を積極的に収集したり、蔵書のほとんどがコミックという図書館ってまず見ません。アイドルの写真集だって、県内のどこも所蔵していない資料もありますし、新進気鋭のアーティストの作品集だってあまり所蔵していないのが公立図書館って感じです。

もちろん、蔵書構成だの予算などがあるので、実際にコミックが他よりたくさん置いてある図書館もありますし、某占い師の著作を購入している(たぶんリクエストなんだろうなぁ…)図書館だってあります。
例えば、有名な漫画家がその自治体の出身者だったりすると、コーナーとしてそのコミックを堂々と住民の理解のもとに収集できますし、作者から生原稿をいただいたりもできるのですけどねぇ…

ただ、コミックのうち、連載ものであると何十巻時には百冊を越えるコミックが続いているので、継続購入の問題もありますが、うちの図書館にあるアルプスの少女ハイジとかのDVDと同様、途中を借りていかれると後半がつかえてしまうことが多々あるような気がします。

やっぱり、一巻分飛ばして先を読むのはちょっと面白くないですし、挙句に利用者に汚破損だの紛失だの延滞だのされると、利用が渋滞してしまうわけで…
コミックを購入するとしたら、最近は買っていないので値段がいまいちわかりませんが、1冊540円くらいでしょうか、そして都内だと1万冊くらいあれば漫画喫茶と対等くらいになるでしょうか…

そうすると540万円…石ノ森章太郎萬画大全集でさえ、購入できないのに(定評があり、ちゃんと功績が認められ、長く漫画を描き続け、長く親しまれているので、うちの図書館の収集方針にも見合うのですが、予算的な制約があって却下されてしまいましたし。というか、県立とか県内どこも持っていないってどういうこと?)他のコミックもとなると予算的に難しいなぁ。

もちろん、漫画文化だって一つの文化を形成しているわけですし、最近はドラマの原作が漫画ということもあり、原作の漫画はどういうのだろうという知る権利をくすぐるようなものもあるのに、「図書館だからコミックはないです」というのもおかしな話かなぁと。
まぁ、普通の出版物でさえ、その100分の1や1000分の1しか収集できない場合が多々あるんですから、優先順位的には下がってしまうんですよねぇ…

ということで、予算と収集方針と蔵書構成、それによる優先順位と司書の選書というのがあるので、県内でどこも持っていないという事態が発生します。
じゃあ、県内で収集されない本はどうするんだ?と言いますと、購入リクエストしてもらうか、国立国会図書館から郵送料払ってその図書館に送ってもらい館内で読むかのどちらかになるかと思います。
で、購入リクエストしても(本来知る権利を保障する機関ということであれば、めちゃくちゃ高い本とか、極端に手に入りにくいものでなければ、購入努力をして保障してあげる必要があると思われるのに)『検討結果、購入できません』とさらっとお断り。笑
確かに、何でも購入ということになれば、通常の資料も購入できませんし、某宗教本とかじゃんじゃん購入リクエストが来て、それを揃えるのも問題ではありますが、若手アーティストが頑張って出した作品集などは購入しても良い思いますけどねぇ…

さて、この原因の一つは各自治体で図書館の運営を任されていることに尽きると思います。
例えば、先ほどあげた石ノ森章太郎萬画大全集、1期ごとであれば、5万円ちょっとなので、県内図書館が分担して購入すれば、県内の図書館で相互貸借しあうことによって、県内どこの図書館の利用者でも全ての情報にアクセスできることになるんですけどねぇ…

図書館の理念は、自治体・県域・国を越えたものであるのに、市町村立のような小さな単位でやっていこうというのはやはり無理があるような気がします。
逆に、行政側の方も「なんで、うちの自治体の税金で購入したものを、他の自治体の住民で他の図書館を利用している住民に貸さなきゃいけないんだ」と言う方もいます。(図書館に対する理解不足なんでしょうが、それなら住民の全需要をまかなえる位の予算をください…)
それなら、各自治体の運用というのをやめて、階層構造(ヒエラルキー)にして、できるだけ県レベル(今の県立がでなく、県全体という意味で)で8割くらいの出版物は守備範囲であるようにしてもらえると、すごくいいのに…で、その頂点は国立日本図書館!笑

このブログですでに書いたかどうだか、忘れてしまいましたが、図書館を図書館らしく運用していくためには、大局をつかめる施設が必要かと思います。

例えば、図書館の除籍本から一般住民の寄贈本や読み終わった本などをコミック本なども含めて…できれば雑誌も一手に集めるような施設。
同じような感じで寄贈ということであれば、矢祭町のもったいない図書館が一応成功しているようにも見えますが、2匹目のどじょうを狙ったところなどは、不要本が多かったり(『財政難図書館、不要本に埋まる 寄贈を募るが多くは廃棄』(http://book.asahi.com/news/TKY200807120078.html):図書館に持ち込まれる本が引越しの際の不要本で、図書館としてもほとんど不要って話。(ビニールコートなど寄贈されたものにもお金がかかるってこともあるわけですし))という話も聞くのですが、もしかするとそこの図書館では不要であっても、県内のどこかの図書館だと欲しいかもしれないし、県内でどこにも蔵書になっていない資料かもしれないし…

では、そういう資料をどこに集めるか…○○県立書庫って新設するのがベストですが、廃校した校舎(教室ごとに分類)やその体育館とか、合併後の旧庁舎とか…まぁ、分散しても把握していればOKということで。
そういう施設があれば、普通なら読み込まれて図書館ではやはり除籍するような本であっても、全部のページがだめになっているわけでもないものがあるので、利用頻度が高くいつのまにか落丁してしまった今は購入できない資料のページ補修や、落書きでだめになったページの差し替え用としても使える資料もあるでしょうし…
(そのページだけ売って下さいって出版社に言ったことはないですが、きっと無理でしょうから)
新古書店などで二束三文だったり、お金にならない引取り本だったりするのなら、有効に使ってくれるかもしれないと思って、そういう施設に寄附したいと思う人もたくさんいるでしょうしね。

逆に、このような施設でデメリットと言えば、もちろん、すぐに手狭になってしまうこと。これに尽きます。
矢祭町だって、40万冊もの大量の寄贈があり、急遽書庫を増築ってことになりましたし、1冊ずつ納本してもらって集めいる国立国会図書館の書庫でさえ、馬鹿でかいものになっていますから、1年間県内図書館での需要が見込めなく10冊以上あるものは保存状態の悪いものから順に、リサイクルフェア(図書館祭りとか呼ばれるもの)に出すことにするとかしないと難しいでしょうね。
ので、地下何階もある施設を作ろうとなると、やっぱり県ぐらいが率先して作ってもらわないと。笑

なんか、こう考えていくと、図書館ではあまり所蔵されない本は、どこぞの利用者が購入して不要になっている確率が高いものも多いと思われますが、それを比較的気軽に閲覧するには、なかなか大変のようです。
漫画喫茶などに行かずに、読みそびれたままの漫画の続きや、ドラマの原作漫画を図書館で読んでみたいというのはなかなか実現しないもんですねぇ。
なので、公立漫画館とかあれば、面白いですね。

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選書ってどうする?

前回に引き続き、選書関連。
うちの図書館で選書するときはメインに図書館流通センター(TRC)の『週刊新刊全点案内』を利用しています。
これが良い悪いは別にして、近くに大型書店のないうちの図書館では、かなり助かっているのは事実です。
例えばvol.1584号では1375冊の情報が載っているのですが、実際にうちの図書館で購入するのはその何十分の一になります。
そこで、私たち司書が予算や蔵書構成、需要などを考えて本を選んでいくのですが、少ない人数ということもあり、上記のようなまとめたものがなければ、全部に目を通すことは叶いません。
もちろん、この号が1375冊であって、毎週同じくらいの量が新刊として載っていますし、あまり流通に乗っていないものや、コミック類などは最初からこの手の本に載りませんから、他の新刊情報はインターネットを利用するとか新聞の書評を見るとか、アンテナを張り巡らせなければなりません。
そう考えると、選書ってなかなか大変な気が(実際にはやっていますが)します。

その選書の判断になるはずなのが、各図書館に成文化されているだろう「収集方針」や「収集基準」。
でも、インターネットなどで確認すると「…を広く収集する」とか「バランスを考慮しながら…」とか、ちょっと抽象的な感じもします。
おそらく外に出ていない内規みたいなものもある図書館もあるのでしょうが、抽象的であるが故、「図書館にそれはちょっと…」という購入リクエストや寄贈のお断りにも使われているような気もしますし、逆に付け入る隙でもあったりするのでしょう。
前回も書きましたが、知る権利的需要としては、「来年の運勢についてあの占い師はなんて書いているのだろう?」とか「あの漫画の最新巻を読みたいなぁ」というのもあるでしょう。
もちろん、実際に、リクエストを受けて購入している図書館もありますし、それはそれで、良いことだと思いますが、予算的にちょっときついかなぁ…
図書館としては、自分のところにない資料でも他館にあれば借り受けて利用者に貸出することができます。(それを相互貸借と呼んだりしているのですけど)
ただ、本来の定義的には「自館で購入努力をした上で、購入できなかったもの」を借り受けることになっているはずなのですが、最新刊を「貸してね」とFAXが届くことも多々ありますので、少ない予算を融通しあっているような感じですね。

話がちょっとそれましたが、「じゃあ、抽象的な収集基準からどうやって選んでいるか」です。
たぶん、経験と直感。笑
書誌情報と要旨くらいしか書かれていない『週刊新刊全点案内』などで、「あ~この本にはこういうことがあるのかなぁ」と想像し、時間があるときには書店に出向いて立ち読みし、購入しようかと会議なり話し合いをするのですが、時間がないときは想像&ディベートみたいな感じで同意を得て発注します。
時々、「あ~想像と違ったや」ということもあるのですが、慣れてくると想像通りってことが多くなります。
では、小さい図書館であまり経験のない司書が1人しかいないときに、適当に購入して大変なことになっているかいえば、そんなことはありません。
『週刊新刊全点案内』では★の数などでサポートしていることもありますし、有名な著者を抑えておければ、大きな間違いは少ないですし。
まぁ、それじゃまずいので、この著者はこういう関連の本を多く書いて定評があるんだとか、この著者はこの分野の権威だとか、この出版者(出版社)はこの分野に強いとか、そういう情報を仕入れ、覚えることによって、より図書館的(?)な選書ができるようになります。
いくら直感といっても、パッとページを開いて「これ買おう」はないでしょうから、選書する司書の頭には何らかのフローチャートのようなものがあると思われます。

ちょっと『図書館的』って言葉を使ったので、ついでですが、図書館は知る権利を満たすための機関だとして、理想は全資料を所蔵することなんでしょうが、まずそれは不可能なので、図書館ごとに分野のバランスってあると思います。
例えば、都市部では起業とかの需要があるからビジネス関連やコンピュータ関連の資料を増やすとか、こちらの町では園芸が盛んだから園芸書を増やすだとか、そういう特徴が各図書館にはあるのでしょうが、平均的なバランスってやはりあると思います。
もしかすると私の勉強不足かもしれませんが、○類が蔵書の○%だとか、理想的なバランスがすでに決まっているのであれば、まずはそれが新規図書館の指標になるでしょう。
それがきっと図書館的なんでしょうね。

話を戻して、そのベテラン司書の頭にある経験や直感にいたる経過を、明文化して、それをデータベースにまとめるとどうでしょう?
一点一点、これを購入しない理由…もちろん予算がないというのはわかりますが…をまとめていくとか、例えばAとBの似たような資料がある場合、「Aを発注する司書が○%いて、Bを発注する司書が△%いて、その理由はこれこれで…」といのをじゃんじゃんデータベース化したり、人工知能に学習させていくと、やがては『週刊新刊全点案内』などのデータを放り込むと、「ここの図書館で選ぶと良い資料は1位○○、97%…」というように、自動化できるのではないかなぁと。
もし、そういうことをすると、司書の専門性が改めて問われることになると思いますが、逆に、こういうデータ収集を続けていくとそれこそ「図書館的」とか「ベテラン司書らしい」選書方針が見つかるかもしれませんし、全部の資料が例えば「購入必要率33%」となるかもしれません…そうすると、どれ選んでも同じだろと。笑
しかしながら、『週刊新刊全点案内』の後方にベストランキングとかがありますから、よく図書館で買われる本というのがわかります。
そうすると、やはり、購入すべきか否かの判断がどこかにあるわけで、それを分析し、まとめておけば、ふらっと赴任した図書館職員でも選書がやはりできてしまうことになってしまいますね。

『週刊新刊全点案内』のこの1584号に、1563号のストックブック(在庫している本)の注文冊数の実績一覧が載っているのですが、一冊もその時点で注文されなかったものが5冊ありますけど、他はどこかの図書館が購入しているということになっています。(もちろんその時載っていた全点の一覧でないので、ストックブックでない本でも売れているものや売れていないものがあるんでしょうが…)
ので、データをいくら集めても、「これは購入数が多そうだ」などは傾向が出ますが、本を一冊取り出して「この本は入れるべきか否か」で○×というのは難しそうですね。(いや、理想的には全て○でしょうが)
半年前のデータになってしまいますが、後出しじゃんけんみたいに、今1563号のベスト100でも買えば、素人でも間違いのない選書ができるかもしれません。少しだけExcelなどでデータを加工すると、分野ごとのだってできるでしょうし。

とすると、司書の専門性としての選書の良さを考えると新しく出た資料をいち早く選び抜いて利用者に届けることってことでしょうかねぇ…
「司書不要」と言われないように、日々努力しているつもりですが、出た本全ての中身をゆっくり読んでいる時間もないので、『週刊新刊全点案内』の案内文に迷わされることもしばしばあり、「これ他館ではあまり選ばないかなぁ」と不安になることもあります。
その不安の相談相手を同僚に得ないとすれば、やはりそういう機械的判断も考慮することになるのでしょうか…というジレンマがあったりします。
自館の利用者のリクエストが多い時は「選書間違ったかなぁ」と思ったり、他館からの相互貸借依頼が多ければ「あ~需要はあるのね」と思ったり、選書に絶対の自信を得られるのはいつのことになるのやら。

予算がもうなくて、あと1冊しか購入できないとき、「赤川次郎と西村京太郎の新刊、どっちを買う?」と言われたら、う~む。笑
(知り合いの司書さんは、「図書館の予算で西村京太郎の本を買って、私は赤川次郎の本を自費で買って読み終わったら寄贈する」なんて言っていましたが…ちょっとずる。笑)

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図書館ツアー

司書の必要性について論議される時、よく司書の専門性とか専門的知識云々が論議されますが、逆に『司書資格を持っていなければできないこと』ってはっきりいってなんでしょうか?
いや、もちろん、私もどちらかというと、司書資格がない人を指導するよりは、司書資格がある人を指導した方が、基本の「き」から教えなくても良いので、楽ですけど、人は教えればちゃんとできるので、司書資格を持っていているだけの人と指導を受けた無資格者では後者の方ができる『可能性』があります。
この辺は、ブラックジャックみたいなもので、もちろん医師の免許の有無は法的にも不可欠なんでしょうが、手術が技術的にできるかどうかや医学知識があるかどうかは、医師免許の有無とは異なるのと一緒でしょう。
私だって、卒論が医学系だったこともあり、医学のある特定分野の一部であれば、本当の医者とちゃんと専門用語を使って話をできるぐらいの知識はありますし、その程度であれば、必死にその病気について勉強をする人であれば、誰でもできますよね。

話がそれましたが、私自身はちゃんと司書資格を持っています。現場では無資格のパートさん達に、指導する立場にあるため、時間をかけて、演習問題なども交えて、レファレンス演習とかやってもらったため、無資格であってもレファレンスは手順良く応対できますし…一通りの知識はちゃんと持っていると思います。
そう考えると、指定管理者制度導入などで下手に有資格者を配置するより、よっぽど無資格ながら今のパートさんの方が優秀な気もします。
そうすると、どこに司書の専門性を持ってくるかというと、今うちでパートさんにやらせていないのが、選書と除籍などですが、
もちろん、目録の作り方とかもあまり知らないと思いますけど、今の時代、システム化されていることが多いので1から作ることはあまりないですし、そのシステムで修正処理ができるのであれば、支障はないですし…確かに寄贈本とかの目録は目録屋にはないものもありますけど、似たものを修正するのは容易ですしねぇ…

まぁ、こんなのだから、「司書資格の人って必要なの?」と言われてしまうのは、手厳しいところなんですけどね。
無資格者の指導をちゃんとしないと、有資格者がいないと間違うことも多々あるでしょうから、ぴったり張り付いているわけにもいけませんし、指導をするのですが、そうすると「司書じゃなくても」が始まる…
いや、もちろん、無資格者と有資格者の仕事を完全に分けても、カウンターで聞かれた簡単なレファレンスとか「この本ありますか?」でも有資格者にまわすとなると、利用者的には「なんで、わざわざ他の人に聞くんだろう?」ってことを考えると思いますよね。
教員は生徒にとって1年目だろうと10年目だろうと教員であるように、利用者にとって図書館にいる人は無資格者だからここまでしか聞けないということもないですし…
確かに、こんなことを言うのなら、最初から有資格者をパートに入れれば良いのでしょうが、そんなこと言い始めたら、最初から館長を有資格者に、司書をたくさん常駐にすれば良い事になりますし。笑

さてさて、司書の専門性云々の話から始めましたが、今日はツアーの話。
図書館で行なうツアーと言っても、職員親睦旅行ではありません。(そりゃそうだ。)
近場から順に考えると、まず、利用者…特に小学生などを対象にした、図書館案内ツアーがあります。
書庫とかの見学や、図書館の使いかたを知る良い機会だと思います。うちはあまり古い資料はないですし、あるとしても明治時代の百科事典で、普通に開架に置いてありますし(もちろんちゃんと新しい百科事典もありますよ。)…利用者が行けないところは書庫くらい。なので、案内の中心はOPACの使いかたと分類の話になるのですが、まぁ、小学生であれば、「へぇ~」って聞いてくれます。
次のツアーとしては、近隣の図書館の視察。
主に、職員が中心になると思いますが、他の図書館を見て、自分の図書館を省みるっていう趣旨なんですが、そんなに目新しいものも最近はないので、「おお、自動貸出機いっぱいあるなぁ」とか「企画展示目立つ~」とか「こんなポップ作っているんだぁ」とか、少しは思いますが、図書館の実情はあまりどこも変わっていなかったり…

で、その次にメインに書こうと思っていたこと。選書ツアー。
うちでは選書ツアーなるものはやったことがありません。ので、おそらく憶測になるかもしれませんが、大きな間違いがあればご指摘を。
最初に司書の専門性の話をしたときに、「選書と除籍」とありましたが、選書ツアーって利用者を大型書店や某倉庫などに連れて行って、「こんな図書がうちの図書館にあったらいいのになぁ」という職員が行なう見計らいみたいな資料選びですよね。
これには賛否両論ありますけど、一方では利用者のニーズを知る機会であり、図書館の図書の選び方を知る良い機会ですし、他方、司書の専門性が失われかねないと考える考え方や、特定の人(ツアー参加者)のニーズでしかないという考え方も理解できます。

利用者ニーズと言われても、テレビで話題の芸能人が書いた本であったり、買って読むにはちょっとな某占い師の本であったり、真偽定かでない「必ず痩せる」だの「必ず治る」だの本だって、やはりある一定量の需要がありますし、需要があるからこそ、宣伝したり出版しているわけですし。
まぁ、予算的に全ては購入できないですし、図書館に収集方針があるでしょうが、知る権利的に言うと、それらも購入努力する必要もなくもないかと。
おそらく、選書ツアーの前に、「これこれこういう本をこんな感じで選んでいます」とかそういう説明の後、つまり有資格者や図書館職員の指導の後の選書ツアーだと思われますが、「それでも需要は大きいのだから」と思う利用者・選書ツアー参加者がいたときに、それは購入するのでしょうか?
私は自分でも書店に行ったときに、「あ、この本図書館にいいな」と思って職場に戻った時に検索したらすでに所蔵していたりするので、まだ自館の蔵書を全部が全部把握できていないのです。選書ツアーではおそらく一点ずつ調べてではなく、量が少なければメモでも良いですが、楽な方法としてはPOTとかの端末でISBNのバーコードをスキャンしてって方法のようですけど、集めた時点で所蔵のチェックをかけるのが効率的でしょう。
それで、ほとんどが所蔵資料であれば、「需要にあった良い本を選んでいる」ことになるでしょうし、一冊も一致しなければ「需要や利用者視点に立った選書になっていない」ということなのじゃないかと…とすると、普段から利用者と司書の間に意識の差があるということなんでしょうね。もしくは、専門性のある司書と専門性のない利用者とのギャップと言いましょうか…もちろん、図書館的に「ん…図書館で所蔵するにはちょっと…」というものであれば、その直前講習の効果があまりなかったということでもありますし、「普段の見る目がなかったのかなぁ」と思うと私だったらちょっと悲しくなりますね。
選書ツアー後、パターンとしてはいくつかあると思いますが、選書された資料の所蔵の有無をチェックして、その後司書が改めてその中から選ぶパターンだと、せっかくの選書ツアーは何だったんだろうかと思いますし、所蔵のないものは全て購入ということであれば、いくら司書に指導を受けたとはいえ、指導することが専門性ではないと思いますし、その辺はどうなんだろうとちょっと疑問。収集方針に沿わないものだけ除くといっても、やはりフィルターがかかるわけですから、収集方針の文面が理解しづらいものであるか、説明が下手だったかという問題が考えられるでしょう。
それと、逆に考えると、選書ツアーの時期によって、毎日のように本は出版されますから、書店で目に付く本も変わってしまいますし、連れて行くメンバーによっても大きく変わるものなので、それならば、どこかホールや館内または駐車場で「大見計らいデー」など催して、ある程度図書館の収集方針に沿ったもので、多くの資料を多くの利用者に見ていただくって方法もありなんじゃないでしょうかね。

他にツアーにしたいなぁと思うのは、例えば図書の装備工場などのツアー。
私自身も見に行きたいし、その会社方にも「いつでも見に来てください」と言われているのですが、なかなか実現ができません。
各地から発注される図書の装備を一箇所で流れ作業的にやっている様って壮観なんじゃないかと。
それと、物流部分の倉庫とかも見学してみたいですよね。
利用者的にも、図書館を支える裏方の仕事って興味がわくような気もしますが、どうなんでしょう?
小学校の工場見学の一環でもいいかなぁと思いますが、そういうのは受け入れているんでしょうかねぇ…
ただ、じゃあ、「図書館にいる図書館司書は結局何をやっているの?」と聞かれそうな気もしますがねぇ…笑

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スーパー司書。

時間遅れの話題ですが、「司書」という資格の上位資格「上級司書」「スーパー司書」に関すること。
上級司書という資格を作っても、「経験年数10年とかって今の図書館の現状でどうなの?(今からの人には無理じゃない?)」とか「上級司書を持っていたからって、自己満足や仲間内でしか通用しないんじゃないの?」とか、他の図書館系のブログなどで話題になっていたので、今さら、「上級司書」という資格は形骸化するだの、と言っても二番煎じ、三番煎じかと。

例えば、図書館を運営する時に「司書資格必須」は今となっては難しいので「上級司書必須」とでもなれば、需要もあるでしょうが、人事担当の行政側からすると「ふ~ん、上級司書ね…だから?」って程度でしょうし、「館長に司書有資格者を」というのも無理なんだから、今さらねぇ…
いっそ、今ある司書資格を更新制にすれば、ただ持っている人よりは十分有効な資格になるであろう反面、図書館に就職できない人も多々いるので、司書人口も減り、更新されなくなっていくかもしれませんね。笑
まぁ、上級司書の方は更新制になるようですが。

で、どんな人が取れるかというと、図書館職に長く勤められて、専門性及び見識が高い人。
上級司書の資格はメリットなさげなので、欲しいとは思いませんが、それを度外視しても、片田舎の図書館に勤めている私には無理!笑
まずは、10年とか勤められるかと言われると、指定管理者制度導入が考えられるため、導入されたら職場から撤退だから、先が見えないし、そもそも指定研修に行けるのかというと県外研修はまずもって認められないですし、あんまり現場を空けられませんし。
で、e-ラーニングになると確かにいいけど、今は家でもやれる時間がほとんどないし、第一、家のパソコンWindows Meだからなぁ…

人事的にも金銭的にもメリットがなく、名誉資格という感じなので、少なくても上級司書でなければできないことっていうのがあれば、資格の魅力は増しますが、「そんなのを取りに行っている時間があるんだったら、現場に尽力する方がいいな」と思っておられる、それこそ実力のある司書の方も多々いるような気がします。

さて、カテゴリが「雑多なつぶやき」になっているのは、この後の文が雑多だから。笑

上でちょこっと触れましたが、私は片田舎の図書館で司書をしています。
片田舎といっても、係1人職場ではなく、同僚も一応いますし、パートさんも複数名いますが、通常の図書館業務…貸出・返却・配架・レファレンス・選書・読み聞かせから、予算決算や伝票などの庶務に至るまで全てやっていますので、この図書館内のことは全てできますが、逆に私しかできない(もしくはしていない)ものもあり、突然の事故死とかする前に、マニュアルでも作っておかなきゃなぁと思う日々です。

例えば、Webページの作成は、作成経験者がいないため、私のみ携わっているのですが、メモ帳でタグ打ちということもあり、せめてタグの整理をしおいてあげないと初心者には難しいでしょう。
PC関係でいうと、サーバの管理やシステム機器の管理も私のみですし…もちろん、システム屋さんのバックアップもありますが、業務中に起きたエラーでわたわたしているのなら、連絡するより自分でみた方が早いし。(それに私が休みのときに起きたエラーを把握するのに、同僚の説明を聞いたけど、何がどうやって、どうエラーが出たのか、説明がわかりにくかったので、担当SEさんも分からなかっただろうなぁ…と。)
ICがいかれたとかだと、やはり無理ですが、線が切れたとかのハンダ付けとか、電気製品の修理もある程度はやってしまいます。
図書館に関するとことでいうと、ヘビやトカゲなどの動物の捕獲や殺虫、蛍光灯の交換もよく考えれば私だけだ…笑
レファレンスだって、レファレンス自体はチームプレイですが、パソコン操作に関する質問(レファレンスといえばレファレンスだけど…)は、利用者かもご指名で私だし…

そう考えると、私に限らず、小さな図書館職員は、様々なことをやっていける(というかやらないと困る)ので、(色々できるという意味での)スーパー司書なのかなぁ(つけるとしたら『マルチ司書』?)と、自画自賛。笑
(というか、『上級司書』も『スーパー司書』も名称が悪いよなぁ、「私は○○図書館の××司書のトーネコです」なんか言うだけ恥ずかしいし。だからと言って身近でないカタカナ名称などもイヤかなぁ…「何そのなんとかって?」って言われるし。でも私が考えると『司書+』とか『司書改』とか『司書α』とかおかしな方に進みそう…笑)

というか、そもそも『司書』だって立派な資格のはずなんだけど、「司書=図書館職員=図書館で働いている人」という一般認識からすると、有資格者でなくても「司書さん」だから、有資格者なのかどうかとかわかる「○○司書」っていう名称も必要かも。
そうすると、「あ~やっぱり有資格者は必要だよね」ってなるかもしれない。(ただ、有資格者の対応によっては「司書資格なんかいらなくない?」ってことにも…)

そういや、以前、県立の図書館司書の方と話をする機会があって、色々思うところを話しましたが、「トーネコさんの考え方って図書館的でないね」と言われてしまいました。
その場では流しましたが、「図書館的」考えってどんなもんでしょう?
きっと図書館的な考えをしていないと、専門って認められないんでしょうねぇ…なので上級司書は私には無理。笑

まとめとして、資格をどうこう作るよりも、現場で司書の正職員が増える方の努力をして欲しいですってこと(というか、口だけでそっちの方に進めないことを感じているから資格云々の増設をしようとしているのかも…)と、小さな図書館で一生懸命やっている司書or図書館職員は案外色々やれちゃう人が多いってことで、「便利屋司書」と呼んでみたり。
いや、バカにはしていませんよ。欲しい情報を難なく引き出し、「やっぱり一館に一人は便利屋司書よねぇ」と思われる司書になりたいと思っていますから。

最後に、図書館職員の専門性の究極として、カウンターに来た利用者の表情などから「あ、○○についてですね、それならここから△歩進んだ○番の書架の左から△列、上から○番目の棚の、左から△冊目の本の○ページにずばり探している情報があります」って言えるとすごいなぁと、想像したら、我ながら苦笑。笑

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