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2008年11月の2件の記事

ターゲットはどこに?

10月26日の毎日新聞での第62回読書世論調査の中で『7割図書館利用しない』とありましたが、
その利用していない人の
1.42%「忙しくて利用する時間がない」
2.21%「図書館が近くにない」
3.17%「貸し出しや返却手続きが面倒」
4.10%「読みたい本や雑誌がない」
5. 4%「開館時間が不便」
だそうで、残り6%それ以外の理由なんでしょうか…その中身がちょっと気になります。

でも、こういう設問がないんですね。『図書館を利用したいと思っていますか?』
これで、利用しない7割の人々が、「図書館を前から利用したといとは常々思っているんですけど…」と思っているのなら、嬉しい限りなのですが、「図書館?あまり必要性感じないし」と思ってのアンケート回答であるとすると、どうなんだろうと。
というのも、もちろん本当に忙しくて休みの日もなく働いている方々もいるでしょうし、私用で忙しい人もいると思いますが、普通に考えると『土日にちょっと図書館に寄ってみる』とか『家族に借りてきてもらう』というのは可能なような気がしますし、貸出の登録をはじめ、利用券を持ち歩いて提示するのも面倒ってことはないんじゃないかと思ってみたりするのですが、どうなんでしょうね。

図書館側の対策としては、
a.貸出返却に利用できる場所を増やす。
b.魅力ある資料構成にする。
まぁ、これに尽きるんでしょうが、通常、予算と人員と資料の管理の都合で難しいんですよね。
よく「駅前返却ボックスを設置してください」とか「開館時間を延ばしてください」とかの要望をネットでも見ますし。
郵送貸出返却などもやっている図書館がありますが、この7割のほとんどは「そこまでして…」と思っているかもしれませんし、もしかすると「今の図書館はそういうシステムまであるんだ」と思ってくれるかもしれません。

郵送貸出などもそうですが、図書館の広報活動などをしてみて、常連の利用者さんでも「あれ?何冊まで借りられるっけ?」と尋ねたり、「来てみたら休館日だったんだよね…」と言われたりします。
おそらくどこの図書館でも利用登録時に説明はしているはずでしょうし、カウンターに知るすべがあったり、図書館カレンダーや館内のポスターだったりしていると思うのですが、目に入っているけど、認識・記憶されていないことが多々あるかと思います。
確かに職員に聞けばどこにそれが書いてあるか探すより早いし、それもコミュニケーションの1つだと思うので、良いのですが、常連さんでそうであれば、あまり利用していない人や、利用すらしようとしない人にとって、広報誌の広報記事などはあまり読まれていないような気がします。

図書館がどんどん情報発信をしていかなきゃいけないことや、そのための情報作成を頑張っていかなきゃならないことはわかっていますが、発信し放しではなく、どう受信してもらえるかもちゃんと考えないといけないでしょうね。
例えば、図書館のWebページを拝見すると、いくつかのパターンがあるように思えます。
1.画面もシンプル情報もシンプル
例えば、図書館の所在地と利用案内と蔵書検索のみのような…
2.画面はテクニカルだが情報がシンプル
例えば、画面構成や見た目がすばらしいが、内容が1とあまり大差ないような…
3.画面いっぱいに多くの情報盛りだくさん
例えば、ニュースや天気予報をはじめ、オススメ本や様々な情報があるような…
4.画面はシンプルっぽいが情報が奥深くある
例えば、トップ画面からリンクをどんどん辿っていくとたくさん情報があるような…
他には、そこそこの画面でそこそこの情報といったところでしょうか。

私自身は、トップ画面は比較的シンプルで、そこから飛ぶ画面に盛りだくさんの情報というパターンの方がいいんですけどね。個人的に。
(リンクが深くまであると迷うし、必要とする情報まで行くのが大変ですし、逆に最初の画面で情報いっぱいだと、必要な情報を探すのが大変で…)
ただ、どんな人がアクセス&来館するかわからないから、もう利用している人には必要のない利用券の作れる範囲云々の情報は必要になりますし、ヘビーユーザーではどんな資料がこれから入るかとか、どんなことができるようになるかとか、新しいサービスはどうこうといった情報がある必要がありますよね…。

そうそう、『情報いっぱい』で思い出しました。
ある利用者から言われたことなのですが、「図書館に本がいっぱいあるのはいいんだけど、この中から読みたい本を見つけるのがちょっと億劫なんだよね…」と。
確かに。笑
好きなジャンルや好きな作者などがあって、それ系を読み漁る式の人なら良いのですが、「なんか面白そうな本ないかなぁ」という人の場合、職員に聞いても「なんか」じゃ難しいですし、職員のオススメ本が必ずしもその利用者にビビビッとくるとは限りませんし…
そうすると、貸出履歴などからレコメンドするような機能が必要になるでしょうか…アマゾンの「この商品を買った人はこんな商品も買っています」のように「この本を借りたことのある人はこんな本も読んでいます」になるのでしょうか…
まぁ、市レベルならある程度そういうのも良いでしょうが、町村レベルだと「これは○○さんの履歴だな」ってわかったりするので、その辺をどうにか…例えば近隣市町村の貸出データもまとめちゃうとか…
(個人的には、『占い』という性格区分のジャンルがあるように、生年月日や生まれた場所から貸出履歴も似てこないかなどを調査してみたいですけどね…笑)

私がこの利用者の意見に妙に納得がいったのは、私自身がそうであるからかもしれません。
私が図書館職員でなく、昔のように一般利用していた時を考えると、なんとなくぶらぶらして、気になったタイトルを開いてみて、面白そうだったら借りてみるでしたからね…
背にはタイトルしかなく、内容がどんなのかは、OPACで調べるか、実際に見てみるかしかないですからね。図書館職員に聞くとかも面倒だと思っていましたし。笑
今だと、バーチャル書架にして、マウスカーソルを置くと内容紹介をポップアップするという手法も取れるのですけどね…

雰囲気的には闘病記ライブラリー(http://toubyoki.info/)みたいな書架画面で、こちらはクリック後の内容詳細だけど、オンマウスで簡単な内容紹介が見られればいいなぁと。
(画像ではないし、詳細はやはりクリック後ですが、奈良県立図書情報館(http://www.library.pref.nara.jp/index.html)の蔵書検索の『書架で回りの本を見る』という機能も面白いなぁと。)
来館時も同じようにできるためには、角川書店の本の背に付いているようなマイクロQRコードに資料番号データを含ませ、それを背ラベルにつけて、読み取り端末を貸出し、ピッとするとその内容紹介が見られるとかもできるといいなぁ…(別の話ですが背にバーコード類があると蔵書点検が楽だろうなぁと。資料番号程度であればマイクロQRコードで十分小さくできますし。)

7割が図書館を利用していない事実における利用者と利用者予備軍への必要とされる情報提供の難しさを考えると、発信しなきゃいけない情報もたくさんあって、一言図書館のPRといっても千差万別でしょう。

多くの図書館…いや、志が高くすごい熱意のある職員がいるか、人員に余裕がある図書館は除いて、ありとあらゆる利用者のための情報発信って内容的にも人材的にも難しいような気がします。(ちゃっちゃっと色々と創造できる方なら良いのですが、私は力量がないので時間がかかりますし。(もちろん情報作成&発信だけを仕事にして良いのなら喜んでやりますが。笑))

私は良いサービスをおこなっていれば、自ずと口コミなどで人は集まると思っていますから、いっそ利用している3割の人が3倍来たくなる図書館を目指すというのも良いかもしれません。
7割が利用しない理由を分析して対策を練るのも良いでしょうが、いくら「こんなことをやっているよ」とかPRしても関心がなければ、見えているけど記憶残らないポスター同様、その情報は届きません。
それに、人それぞれに価値観や思想が違いますから、「図書館なんて絶対に利用したくない」という人を強制して連れてくる必要はないし、その7割の人の中には「そんなに本を読まないし、図書館に行く必要はないかと思う」と思っている人がいるでしょうから、例えば野菜嫌いの人に「野菜は栄養があるから食べたらいいよ」と言うのと同様に本人が「図書館に行こうか」と思わない限り、あまり来ようと思わない人に対して悩む必要はないかなぁと。

もちろん「利用したいと思った時に利用してください」と門戸を開いて置く必要がありますし、利用したいと思っている人の要望は聞いてあげる必要がありますがね。
(現実には利用したいと思った時が休館日ということが多々ありますが。笑)

たくさんの情報から利用者の必要とされる情報を見つけ出すのが図書館司書の仕事であるならば、その司書に尋ねてもらわないと始まりません。
情報をどんどん発信しても、探そうとしてくれなかったり、伝わらなければ、見上げるまで見えない星のように、無駄なのかなぁ…と思うと、色々やって中途半端な情報になるよりは、ある程度ターゲットをしぼった情報をそのターゲットに受信できるようにした方が良いと思えてきました。
スパムメールみたいに伝わらないこと前提でどんどん送りつける手法もあるとは思いますが、図書館は人(利用者及び職員)あっての施設でしょうから、ターゲットとなる利用者達に「それならあの図書館に行けばいいよ」と口コミで広がるような図書館でありたいものです。

それにしても、7割の図書館を利用しない人は、開館時間が延びたら、休館日が少なくなったら、手続きが簡単になったら図書館を利用してくれるんでしょうか…どうも、図書館をほとんど利用していない人ほど、光熱費や人件費の対費用効果も考えずに発言している場合が多いような気がして…

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図書館の収入源

来年度の予算要求をするに踏まえて、図書館の収支を考えると、支出が多くて収入がないなぁと、改めて思ってみたりしています。そうすると財政難に名を借りて今年も資料費削減か…。
そこで無料の原則を踏まえつつ、図書館の独立採算制ってどうなんだろう…と、色々考えてみました。

例えば、24時間開店で50席、1時間500円の漫画喫茶で考えてみると…
・人件費…時給1000円×24時間×受付2人×30日=144万円
・光熱費…80万円
・テナント料…100万円
・その他雑費…50万円
だとして、(まぁ、他にも色々かかるでしょうが)合計374万円くらいだとします。
そして、収入は常に満席ってわけにもいかないでしょうから、平均25%だとして…
1時間500円×24時間×12.5席×30日=450万円
その差76万円!オーナーがそこから50万円もらっても月26万円設備投資に回せます。
もちろん、初期投資がありますから、1000万円かけたら3年以上返済に追われるので、すぐに利益とはならないでしょうし、細かい経営論とかを話すときりがないのですけどね。
ということで、漫画喫茶が乱立する理由としては、潰れそうで潰れないハンコ屋や自転車が成り立つ理由がそれなりにあるのと一緒ですね。

図書館での収入源を考えると…
講座の受講料、会議室使用料、自動販売機の手数料、図書館作成資料の販売がメインでしょうか。
喫茶コーナーでの売り上げや物品販売なども含まれる図書館もあると思いますが、多角経営的な要素はいかがなものかと…
他にもネット喫茶みたいにインターネットをする場合の料金は取れますよね。元々所蔵資料ではないので(印刷もさせていないわけですし)、『図書館資料』ではないのですから…
(まぁ、そんなこと言い始めると、予約取置きの手数料を取ったりもできますけどね。)

支出を考えると…
人件費、施設管理費、資料費、システム費、光熱費…まぁ、やっぱりたくさんあります。

図書館の規模にもよるのでしょうが、支出>>>>収入になること間違いない感じです。
例えば、人件費をボランティアで、施設管理もボランティアで、資料は寄贈で…と考える方もいると思いますが、ボランティア頼りでは先が思いやられますし、資料も矢祭町の2匹目のドジョウを狙った自治体はどこかの新聞にありましたが、(古いものや使えない資料などが多く)ほとんど廃棄することになってしまっているようですし…

もちろん、最初から収入を見越して図書館を建設するのなら、10人入る会議室を2室作るより、10人分の個室学習室と5人分のインターネット個室スペースと、5人分の個室居心地の良いAVブースを作って1時間あたりの料金を取った方が儲かるでしょう。(もちろん、開架閲覧席の学習席や開架のAVブースも作ったとしても。)
1時間300円の会議室×1日平均4時間×2室×30日=72000円
で、
1時間50円の個室学習室×1日平均4時間×10室×30日=60000円
1時間100円のインターネット個室×1日平均4時間×5室×30日=60000円
1時間200円のAVブース×1日平均2時間×5室×30日=60000円
という感じで。(料金や平均利用時間は適当ですけど、利用時間や利用率が増えればもっと儲かりますね)

うちの県内のそれぞれの総数を図書館数(中央+分館の合計)で割った平均的な図書館を考えてみると…
延べ床面積1231平方メートル、職員数9人、蔵書数11万冊、図書館費年間2300万円(うち図書費800万円)、貸出数19万冊という感じです。
うちの図書館とかなり近い大きさなので、町立図書館クラスが平均ということですね。そうすると人口規模的には2~3万人前後というところでしょうか。
なので、当面の目標は人件費も含め5500万円の収入を得ること。

もし、図書館が12時間開館で上記個室が常に満室だったら年間864万で資料費くらいにはなりますから5倍の料金設定で…という感じにはならないでしょうし、常に満室ということは絶対有り得ないので、規模的にせいぜい200万円程度でしょうか。
これに会議室やホールとかスタジオみたいな音楽室とかがあると、もう少し収入が得られますね。

細かい出費については、レシートプリンタの紙やコピー用紙は、レシート裏もしくは表の広告表示でお金をいただいたり、タダコピの原理でコピー用紙裏の全面広告にすれば大丈夫でしょうからどうにでもなります。
(ちなみに、タダコピで利用者から料金を徴収しないのと、著作権法31条絡みの複写申込書による許可とは違いますので、問題ないはずなんですが、時々問題ありとおっしゃる方がいたりするのですけど…。)
電気代は太陽光発電を組み入れれば少しはましかなぁ…スポーツジム併設で器具を動かすと発電する仕組みとか…笑

もちろん、便利さを犠牲にするならば、昔ながらのカード目録の方が、PCを何台もつけっ放しよりはランニングコストが安いでしょうし、私の出身地の図書館では最近…とはいっても、5~6年前まで借りた利用者が書架に返却していましたし(それが普通でしたからそんなに問題なかったかと)…。
それに時代に逆行するようですが、開館時間は日没までとかにすると光熱費が浮くと思いますが…
ついでに、閉架式にすれば、必要な時だけ電気をつければ良いのだし…
と、どんどん逆行していきそうです。笑

さてさて、そういう色々な個室のある施設であっても、公民館みたいな安い料金設定ではやっていけません。だからといって、公立図書館ですので、民間並みに高くもしていられないし…
などと考えるとネームライツ(命名権)とかも考えたくなりますね。
図書館の命名権はもとより、書架やコーナーごとに命名権を設定したり、企業の寄付金で○○文庫式にしてみたり、雑誌にスポンサー(例えば自動車会社なら車関係の雑誌を寄贈してもらう)をつけたりすると、いいかも?

けど…図書館の立場としては、資料収集の公平性が必要ですから、もし命名した企業の批判をしている図書類は躊躇するだろうなぁ…とか余計な心配も大きくなります。
図書館としては、都市も地方も同じように情報にアクセスできる環境が望ましいのですよね。でも、都市部ではある程度の入館者数が見込めるので、広告などの収入などスポンサーも付きやすいですが、そんな町立レベルの図書館にそんなに色々スポンサーが付くかどうか…

以前書いたと思う書店併設案でも、「書店の総売上高 経常利益率」(http://www.1book.co.jp/002118.html)を見ると、1冊分の利益を得るのに100冊以上売らないといけないということは…やはり地方では無理のような…

(色々喚いてみたものの)結局はそういう施設や環境にない図書館でないとやっていけないので、これから作る場合は良いにしても、今ある図書館を指定管理者等で受け持った場合にどうするかということになります。
とすると、やっぱり一銭も自治体からもらわないで…というのは難しいのでしょうね。
(もしそういうのがありならば、私なんかが考えるより先に誰かが実践していますよね。)

一番図書館らしい収入とするのなら、職員が自分たちで本を出版してその収入を得る!(個人収入でなく図書館名でね。)
ようは会社で研究開発された製品が会社の収入になるようなものです。(一部特許云々でもめた事例もありますけど)
図書館で研究開発された新作絵本などが出されるのは面白いと思うのですけど…資料をよく知っているからこそ資料になるような新しい資料が作れるんじゃないかと。
なんて簡単に書きますが、それこそ難しいのは百も承知です。
でも、出ている資料から利用者が利用しやすい新たな資料を作り出したり、地域情報をまとめた資料を作って売るくらいから始めると、良いかもしれません。
図書館要覧なども売っても良いと思うんですけどねぇ…

ということで、わかりきっていたことですが、『ビジネス支援』とかを言う前に、自分たちの『図書館支援』の方法を考えたり、支援してくれるところ(ようはお金を出してくれるとこ)を見つけないといけないと思います。
図書館は、様々な情報から新たな組み合わせの情報を作ったり、創意工夫やアイデアを出せても、お金は別の所に出してもらわないとやっていけないので、現状のままでは衰退しそうです。
やはり図書館は人(住民や職員)ありきでないとね…予算要求を前にちょっとモチベーションが下がりつつある私でした。
どこかで『図書館支援』やっていませんか?笑

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