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ターゲットはどこに?

10月26日の毎日新聞での第62回読書世論調査の中で『7割図書館利用しない』とありましたが、
その利用していない人の
1.42%「忙しくて利用する時間がない」
2.21%「図書館が近くにない」
3.17%「貸し出しや返却手続きが面倒」
4.10%「読みたい本や雑誌がない」
5. 4%「開館時間が不便」
だそうで、残り6%それ以外の理由なんでしょうか…その中身がちょっと気になります。

でも、こういう設問がないんですね。『図書館を利用したいと思っていますか?』
これで、利用しない7割の人々が、「図書館を前から利用したといとは常々思っているんですけど…」と思っているのなら、嬉しい限りなのですが、「図書館?あまり必要性感じないし」と思ってのアンケート回答であるとすると、どうなんだろうと。
というのも、もちろん本当に忙しくて休みの日もなく働いている方々もいるでしょうし、私用で忙しい人もいると思いますが、普通に考えると『土日にちょっと図書館に寄ってみる』とか『家族に借りてきてもらう』というのは可能なような気がしますし、貸出の登録をはじめ、利用券を持ち歩いて提示するのも面倒ってことはないんじゃないかと思ってみたりするのですが、どうなんでしょうね。

図書館側の対策としては、
a.貸出返却に利用できる場所を増やす。
b.魅力ある資料構成にする。
まぁ、これに尽きるんでしょうが、通常、予算と人員と資料の管理の都合で難しいんですよね。
よく「駅前返却ボックスを設置してください」とか「開館時間を延ばしてください」とかの要望をネットでも見ますし。
郵送貸出返却などもやっている図書館がありますが、この7割のほとんどは「そこまでして…」と思っているかもしれませんし、もしかすると「今の図書館はそういうシステムまであるんだ」と思ってくれるかもしれません。

郵送貸出などもそうですが、図書館の広報活動などをしてみて、常連の利用者さんでも「あれ?何冊まで借りられるっけ?」と尋ねたり、「来てみたら休館日だったんだよね…」と言われたりします。
おそらくどこの図書館でも利用登録時に説明はしているはずでしょうし、カウンターに知るすべがあったり、図書館カレンダーや館内のポスターだったりしていると思うのですが、目に入っているけど、認識・記憶されていないことが多々あるかと思います。
確かに職員に聞けばどこにそれが書いてあるか探すより早いし、それもコミュニケーションの1つだと思うので、良いのですが、常連さんでそうであれば、あまり利用していない人や、利用すらしようとしない人にとって、広報誌の広報記事などはあまり読まれていないような気がします。

図書館がどんどん情報発信をしていかなきゃいけないことや、そのための情報作成を頑張っていかなきゃならないことはわかっていますが、発信し放しではなく、どう受信してもらえるかもちゃんと考えないといけないでしょうね。
例えば、図書館のWebページを拝見すると、いくつかのパターンがあるように思えます。
1.画面もシンプル情報もシンプル
例えば、図書館の所在地と利用案内と蔵書検索のみのような…
2.画面はテクニカルだが情報がシンプル
例えば、画面構成や見た目がすばらしいが、内容が1とあまり大差ないような…
3.画面いっぱいに多くの情報盛りだくさん
例えば、ニュースや天気予報をはじめ、オススメ本や様々な情報があるような…
4.画面はシンプルっぽいが情報が奥深くある
例えば、トップ画面からリンクをどんどん辿っていくとたくさん情報があるような…
他には、そこそこの画面でそこそこの情報といったところでしょうか。

私自身は、トップ画面は比較的シンプルで、そこから飛ぶ画面に盛りだくさんの情報というパターンの方がいいんですけどね。個人的に。
(リンクが深くまであると迷うし、必要とする情報まで行くのが大変ですし、逆に最初の画面で情報いっぱいだと、必要な情報を探すのが大変で…)
ただ、どんな人がアクセス&来館するかわからないから、もう利用している人には必要のない利用券の作れる範囲云々の情報は必要になりますし、ヘビーユーザーではどんな資料がこれから入るかとか、どんなことができるようになるかとか、新しいサービスはどうこうといった情報がある必要がありますよね…。

そうそう、『情報いっぱい』で思い出しました。
ある利用者から言われたことなのですが、「図書館に本がいっぱいあるのはいいんだけど、この中から読みたい本を見つけるのがちょっと億劫なんだよね…」と。
確かに。笑
好きなジャンルや好きな作者などがあって、それ系を読み漁る式の人なら良いのですが、「なんか面白そうな本ないかなぁ」という人の場合、職員に聞いても「なんか」じゃ難しいですし、職員のオススメ本が必ずしもその利用者にビビビッとくるとは限りませんし…
そうすると、貸出履歴などからレコメンドするような機能が必要になるでしょうか…アマゾンの「この商品を買った人はこんな商品も買っています」のように「この本を借りたことのある人はこんな本も読んでいます」になるのでしょうか…
まぁ、市レベルならある程度そういうのも良いでしょうが、町村レベルだと「これは○○さんの履歴だな」ってわかったりするので、その辺をどうにか…例えば近隣市町村の貸出データもまとめちゃうとか…
(個人的には、『占い』という性格区分のジャンルがあるように、生年月日や生まれた場所から貸出履歴も似てこないかなどを調査してみたいですけどね…笑)

私がこの利用者の意見に妙に納得がいったのは、私自身がそうであるからかもしれません。
私が図書館職員でなく、昔のように一般利用していた時を考えると、なんとなくぶらぶらして、気になったタイトルを開いてみて、面白そうだったら借りてみるでしたからね…
背にはタイトルしかなく、内容がどんなのかは、OPACで調べるか、実際に見てみるかしかないですからね。図書館職員に聞くとかも面倒だと思っていましたし。笑
今だと、バーチャル書架にして、マウスカーソルを置くと内容紹介をポップアップするという手法も取れるのですけどね…

雰囲気的には闘病記ライブラリー(http://toubyoki.info/)みたいな書架画面で、こちらはクリック後の内容詳細だけど、オンマウスで簡単な内容紹介が見られればいいなぁと。
(画像ではないし、詳細はやはりクリック後ですが、奈良県立図書情報館(http://www.library.pref.nara.jp/index.html)の蔵書検索の『書架で回りの本を見る』という機能も面白いなぁと。)
来館時も同じようにできるためには、角川書店の本の背に付いているようなマイクロQRコードに資料番号データを含ませ、それを背ラベルにつけて、読み取り端末を貸出し、ピッとするとその内容紹介が見られるとかもできるといいなぁ…(別の話ですが背にバーコード類があると蔵書点検が楽だろうなぁと。資料番号程度であればマイクロQRコードで十分小さくできますし。)

7割が図書館を利用していない事実における利用者と利用者予備軍への必要とされる情報提供の難しさを考えると、発信しなきゃいけない情報もたくさんあって、一言図書館のPRといっても千差万別でしょう。

多くの図書館…いや、志が高くすごい熱意のある職員がいるか、人員に余裕がある図書館は除いて、ありとあらゆる利用者のための情報発信って内容的にも人材的にも難しいような気がします。(ちゃっちゃっと色々と創造できる方なら良いのですが、私は力量がないので時間がかかりますし。(もちろん情報作成&発信だけを仕事にして良いのなら喜んでやりますが。笑))

私は良いサービスをおこなっていれば、自ずと口コミなどで人は集まると思っていますから、いっそ利用している3割の人が3倍来たくなる図書館を目指すというのも良いかもしれません。
7割が利用しない理由を分析して対策を練るのも良いでしょうが、いくら「こんなことをやっているよ」とかPRしても関心がなければ、見えているけど記憶残らないポスター同様、その情報は届きません。
それに、人それぞれに価値観や思想が違いますから、「図書館なんて絶対に利用したくない」という人を強制して連れてくる必要はないし、その7割の人の中には「そんなに本を読まないし、図書館に行く必要はないかと思う」と思っている人がいるでしょうから、例えば野菜嫌いの人に「野菜は栄養があるから食べたらいいよ」と言うのと同様に本人が「図書館に行こうか」と思わない限り、あまり来ようと思わない人に対して悩む必要はないかなぁと。

もちろん「利用したいと思った時に利用してください」と門戸を開いて置く必要がありますし、利用したいと思っている人の要望は聞いてあげる必要がありますがね。
(現実には利用したいと思った時が休館日ということが多々ありますが。笑)

たくさんの情報から利用者の必要とされる情報を見つけ出すのが図書館司書の仕事であるならば、その司書に尋ねてもらわないと始まりません。
情報をどんどん発信しても、探そうとしてくれなかったり、伝わらなければ、見上げるまで見えない星のように、無駄なのかなぁ…と思うと、色々やって中途半端な情報になるよりは、ある程度ターゲットをしぼった情報をそのターゲットに受信できるようにした方が良いと思えてきました。
スパムメールみたいに伝わらないこと前提でどんどん送りつける手法もあるとは思いますが、図書館は人(利用者及び職員)あっての施設でしょうから、ターゲットとなる利用者達に「それならあの図書館に行けばいいよ」と口コミで広がるような図書館でありたいものです。

それにしても、7割の図書館を利用しない人は、開館時間が延びたら、休館日が少なくなったら、手続きが簡単になったら図書館を利用してくれるんでしょうか…どうも、図書館をほとんど利用していない人ほど、光熱費や人件費の対費用効果も考えずに発言している場合が多いような気がして…

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