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全自動図書館

 はてなブックマークでも同じ風に思った人がいて安心したのですが、1月8日の毎日新聞地方版の記事『三鷹市立図書館:全5館、全サービスを自動化 きょうリニューアルオープン /東京』(http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20090108ddlk13040322000c.html)では、三鷹市立図書館が貸出・返却・予約・資料検索の全てを自動化したとの内容だったのですが、『サービスのすべてを自動化した図書館』ということで、この新聞によると図書館のサービスはそれらだけのようです。笑

 まぁ、一般認識的にもこれに近いものがあるでしょうが、この記事を書いた人がそんな認識なのか、三鷹市の記事提供者(図書館長ってことはないでしょうが)が「全ての図書館サービスを自動化した」と言ったのか…

 ただ、実際に三鷹市立図書館に行ったことがないのですが、自動貸出機は最近見るところも多いですけど、自動返却機はさいたま市さんでも見ました。さいたま市さんの場合は、返却された資料をある程度仕分けしてくれるのですが、三鷹市さんの場合は配架までされるんでしょうか??たぶん同じような感じだと思うんですけどね…

予約と資料検索の自動化って、館内のOPACを使っての予約や検索はよく聞きます(うちでもそれならできる)が、自動化…どこまでできるんだろう?
普通ならば、OPACでタイトルやキーワードで検索(手動)→所蔵資料が貸出中なら予約ボタン(手動)→利用者番号とパスワードを入力またはカード差込で予約完了(手動)なんですけど…
検索して貸出中の資料を手当たり次第に予約をかけられてもなぁ…そもそも資料検索も自動化しているんでしょ?
利用者がタイトルを頭に描いただけで検索して予約が完了とか?笑

 と、導入でふざけたことを書きましたが、以前のブログで無人図書館について書いた(http://c-town.way-nifty.com/blog/2008/08/post_9a6b.html)ときに自動販売機や無人コンビニ風なことを述べたましたけど、あそこまでやると今の時代なら自動と呼んでもいいですよね。
 『自動』がどこまでかの定義が難しい気がします。『自動車』は(将来的にはできるでしょうが)目的地を告げれば勝手に走ってくれるものではなく、人の操作を受け付けて、機械の力で走る車ですし、『自動販売機』はお客を見つけて自分から売りに行くものではなく、お客が来てお金を払い、商品を選んだら出てくるものですし、『全自動洗濯機』も部屋に脱ぎ捨てている服を回収して洗濯し干して畳んでしまってくれるものではないですからねぇ…

 図書館だと、どこまで自動化が可能でしょうか?

 貸出は自動貸出機という名称があるように、ICタグによって貸出が可能です。利用券を手のひら静脈認証にすると利用券を取り出す一手間が削減されますね。
 返却は返却処理だけならICタグで簡単に自動化できていますよね。問題は返却された資料の配架。無人図書館の例などにあるように、ある一定範囲の場所にその本を並べるのはきっと可能でしょうが、棚の貸出された資料の部分は詰めて、返却されたらその間に入れるといった現在の運用風なのは、もちろんそういう仕組みを作ればできないことはないのでしょうが、今のところ仕分け程度なのかなぁ。前回書いたように自動返却機の仕分け条件を細かくして、床下もしくは天井ベルトコンベアで入れるべき書架に移動させるのは今でも可能でしょう。それか、貸出されたらその部分はその幅で空きスペースにするか(返却時にそこに入ればいい)…でもそうすると書誌情報に厚さの項目作らないとね。

 配架に関連して、利用者が適当に取り出して読んで別のところに置いた場合はどうしよう…まぁ、棚アンテナで誤配架くらいの情報はできるでしょうが、それを取り出して、元の場所へ…並のコンピュータならパンクしそう…常時正しい場所にあるかチェックしないといけないですからねぇ…

 そうすると利用者に現物を触れさせないでブラウジングさせる方法を考えなくてはいけませんね…ブラウジングさせないってわけにはいけないですし。
 その対策として一つは、バーチャル書架みたいな(拙ブログ『ターゲットはどこに』(http://c-town.way-nifty.com/blog/2008/11/post-e283.html)参照)感じで、画面の中の本の背をクリックまたは触ると内容の概略表示をするという方法。でも、これだと、「この章にあるだろう図が自分が必要としているものかどうか」は実際に請求しないといけないでしょうし…それなら、拡大読書機のように実際に書架にある資料(貸出していない資料)をマニピュレーターを操作して見るという方法もできなくはない…(著作権法的にも同一構内(つまり館内)での送信だから公衆送信権は引っかからないだろうし…(著作権法第2条7の2))。

 もちろん複製物で電子ファイルにできるのならそれでもいいんですが、著作権法が大幅に改正されないといけないですから望みなしですから、このくらいかなぁ…そう考えると実際に手に取れる方がいいですね。
 そうすると、違う場所に置くとピーピーなるとか…そこらじゅうからピーピー鳴っていそう…笑
 そうなると、無人図書館で書いたように自販機みたいにケースに1冊ずつ入っていて指定したものを取り出し、借りなければ回収装置に入れる感じが妥当かな。

 まぁ、ここまでは考えたことの再確認ですから、その他のサービス。

 まず、レファレンスサービス。
 私の無人図書館での考えでは、テレビ電話型のレファレンスなので、まだ自動ではありません。

 そこで自動レファレンス機!

 機械操作が苦手な方でも自動レファレンス機の前で音声入力なら可能でしょう。
 OPACや読書案内もこいつに任せちゃいましょう。
 一番難しい技術面は放っておくので、実際は不可能なんですが…

 資料検索の場合は、処理が早ければ、自販機のようにガタンと出てくればいいですね。タイトルや著者名からリストを提示していく方式であれば、今の技術でも可能かな?音声認識や文節変換が難しいですし、『切羽へ』(井上荒野/著,新潮社,2008.05)(きりはへ)を「せっぱへ」と言われた場合など検索が難しいですけど。あいまい検索か…

 読書案内の場合は、貸出履歴などのデータがあると利用者の傾向がわかり、オススメはよりしやすいのですが、新規の利用者とかいつもの利用と違うジャンルなどの場合は、心理テストや生年月日や血液型で「こういう本があります」でもいいかなぁ?まぁ、私自身も実際に案内して「この本良かったよ~」と言われる時と「僕的にはもう少しこういう方が…」と言われる時がありますから、多少ブレがあっても面白いかもしれませんね。

 事項調査の場合は、一番難しいんでしょうが、レファレンスインタービューのような質問を繰り返し、フローチャートで絞り込む方法で質問を確定し、索引のない資料にも索引をデータベース的に付与することで、所蔵資料の情報を把握し、同時にパスファインダーやレファレンス協同データベースの検索のように、類似したものがないか照合していく作業を経て、提供資料を決定する方法ですかねぇ…

 要は、一つの資料からどれだけ情報を整理・データベース化して置いておけるかによるのでしょうが、機械ですから、レファレンスカウンターで利用者が鼻歌や歌い出しても、その音程からそれに近いCDのパターンからヒットする(あまりにも下手だったら難しいか…笑)のも可能ですし。

 自動レファレンス機でうまく調べられないものに関しては、フィードバックしてデータを色々と追加すればいいでしょうね。

 次に、複写サービス。
 資料を複写機の横の入り口に入れて、ページ指定で複写。ICタグにより総ページ数や目次情報などの資料情報と付け合せ(短篇集などもあるので)をして、ページ数が半分を超えない形で。

 加えて、住宅地図は見開きの半分までなので、プレビュー画面上で半分未満になるように利用者が選択して、その部分だけが印刷される方法で(四角や多角形の範囲指定でなくても渦巻き型だろうと飛び地であろうと見開きの半分までの指定が可能。)。

 雑誌の最新号なんかは複写不可もいいけど、目次情報などからその記事の半分までは可能にできるし…。

 問題は新聞なんでしょうが、タグを付ければまぁ成り立つけど、費用がねぇ…そうすると、新聞は自動ブラウジングの応用で、可能かな。

 他にも、予約資料宅配サービスも今の工場からの製品発送みたいに予約本を箱詰めして発送手配みたいにできるでしょうし…
 障害者サービスは上記ブラウジングにズーム機能があれば拡大読書機ですし、OCRみたいなのと組み合わせると朗読だって…(今なら認識に問題ありですけど)

 普通の利用者サービスはこんな感じでなんとか…

 で、全自動ですから、職員の業務も自動化したいなぁ…
 選書は以前も書いたような気がしますが、ベテラン司書の選書方法をフローチャート化したもので代用(実際には一般流通していない資料とかも選び出せると、なお可なんですけどね…)。

 新刊の受入れやおはなし会も上記の各種方法でなんとかなりそう。

 書架整理や蔵書点検なども最初の設定がICタグと精度の高い棚アンテナがあって逐一資料の場所を把握できる図書館ですから問題ないですし。

 資料の保守が自動化には向かないような…ページ取れの保守程度ならなんとかなりそうですが、汚破損のチェックとかは難しいか。

 相互貸借資料の貸出依頼や受入もシステムからメール等で依頼し、届いた箱から奥付等でタイトルを確認して、借受処理を施して貸出はできそうですし…

 他にもたくさんあるけど、技術的なことを除くと出来なさそうなのはないかなぁ…

 寄贈受入と装備も自動化できるかなぁ?書誌情報があるものなら良いけど、書誌情報を作るとなると…OCR的手法でなんとかなるか。でも分類とか内容把握が難しいなぁ…

 ペーパーレス時代に突入と言われつつも、電子ペーパーという技術が出てきても、電子雑誌などもありながらも、まだまだ紙ベースの本が出ている現代、50年程度先ならまだ出版物として本はあるでしょう。でも、このくらい自動化する図書館も出てきても良いかなぁと。

 そりゃあ、全ての書籍が電子データになっているんだったら、配架や汚破損の対策を考えないでも良いので、全自動な図書館は簡単でしょうけどね。

 その頃も司書って…『図書館のシステムを保守するSEみたいな人』になっているでしょうか。レファレンスのフローチャートなどもフィードバックして組み替えないと、使えない司書と同じですし。

 今の技術を駆使して、これに近いことをする図書館を建築するとすると…いくらくらいでできるかなぁ…
 全図書の索引付加とかのデータベース化に莫大な人件費とかかかりそうですけどね。
 そんな現実逃避をする今日この頃です。笑

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