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○ストップサービス

 前々回に続いて、毎日新聞の1月8日の記事『都立中央図書館 新装開館に未来の姿を探る』(http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20090108ddlk13040287000c.html)より。
 都立中央図書館は過去に1度だけ研修で行ったことがありますが、ようは全部レファレンス室みたいな感じでしたね。新装オープンしたようなので、また行ってみたいところではありますが…

 この記事で気になったのは、『ワンストップサービス』についての図書館関係者という人のコメント「司書が培ってきた経験の蓄積や専門性が崩れかねない」という懸念はどうなんでしょ?
 たぶん、前々回のように、本当に図書館関係者がそう言ったのであれば、話の大事なところが抜けているのじゃないかなぁと。

 私自身は、『ワンストップサービス』は賛成です。ようは、窓口が1箇所で、そこに行けば用事が済むってことですよね?
 利用者が「○○について調べたいんだけど」と言われて、「それなら△階のレファレンス担当者へ…」と誘導され、そこでのレファレンスインタビューで、「それでしたら○階の方が良いかと思いますので…」とたらい回しにされるよりはずっと良いかと。(もちろん旧都立中央がそんなことはしていないと思いますがね。)

 で、抜けているかもしれないことは、図書館関係者であれば、想像が付くと思いますが…
・ワンストップサービスをして窓口を減らす。
  ↓
・窓口が減った分、常勤司書の数を減らす。
  ↓
・司書数が減った分、利用者対応の時間が減る。
  ↓
・充分な専門性を発揮できない。
  ↓
・窓口で利用者渋滞が起きる。
 ということであれば、懸念でも反対でもいいんですが、そうなるのかならないか、記事だけではわかりません。

 私は、人を減らさない前提であれば、大いにワンストップで良いかと思います。

 市町村立図書館などで満遍なくレファレンスを受けている人ならわかるでしょうが、利用者の求めている部分が分野の境界領域であったり、レファレンスインタビューをしていくと、最初の想定の分野と違うことが多々あります。
 それならば、利用者がレファレンスに来た時に1つの窓口で対応すれば、「いや、こっちの分野も見たらいいんじゃないか?」とアドバイスもすぐ出てくると思うんですが…
 なので、ワンストップサービスのイメージだと、1つのカウンターで1人が対応する小さなイメージの人もあるんでしょうが、各分野のレファレンスのプロフェッショナルが窓口のすぐそばにいるというのは、逆に心強いような…

 ついでにですが、『司書が培ってきた経験の蓄積や専門性』とありましたが、あるベテラン司書には経験の蓄積があるので、レファレンスを聞くのがOKで、新規採用された常勤の新人司書君に聞くのは間違いってことは、普通はないでしょう。

 まぁ、もちろん、新人君が一人でやろうとして、誰も助けない構図があるんであれば、新人に聞くのは回答に繋がらないかもしれませんけどね。

 私はいつも思うのですが、確かに経験は経験した人にしか蓄積できないのですが、それを共有化できないと、一人のベテラン司書だけがどんどん能力アップし、新人君は『見て真似べ』をモットーに頑張っても、なかなか能力アップに繋がらないということに…

 この記事の最後の方に『20代の司書は1人もおらず、人的なサービス水準の維持』が課題だとありましたが、経験の蓄積論で進むと、「ベテランさんが辞めたら20代がいても結局水準落ちるじゃん」と思うし、それを打開するためには、やはり、図書館職員が持てる知識や技術を共有して、経験も擬似的に共有できれば良いのではないでしょうか。

 1年目だろうと40年目だろうと、利用者にとっては『図書館司書』なんだし、人によって違う水準というのは、ちょっと可哀想かなぁ。1年目から同じレベルでやれというはやはり無理な話ですが、ベテラン司書は経験の少ない人をちゃんと後ろでサポートして、自分の経験を受け継ぐ人をちゃんと育てる必要がありますし、受け継ぐ人がいない場合は、誰が来ても受け継げるようなノートなり、データなりを作成しておくべきだと思います。

 だから、培ってきた経験を蓄積するのは、司書個人でなく、図書館の方にすべきだと思うんですけどねぇ…そのことによって、誰が管理者になっても同じレベルでその図書館を使えるのですがねぇ…まぁ、図書館に限らず、出来ていないんでしょうけどね、200○年問題とかベテラン職員の退職であたふたする会社も多いようですし。

 同様に、専門性も確かに各階にその分野のエキスパートがいると心強いですが、本来司書の専門性って分野特化ではないでしょうから、満遍なくレベルを上げて行くのも良いと思います。もちろん、苦手な分野はあるでしょうが、それこそ、図書館内の職員やその他の知識・経験を総動員して解決に導く…それが本来の図書館でしょうし、ワンストップサービスの本来の姿はそんな感じでしょうね。

 ただ、指定管理者制度云々のときもそうでしたが、どうも人減らし・人件費削減系に進むので、このワンストップサービスも上記のように窓口が減ったからという理由で人も減らされるのかなぁと。

 で、『ワンストップ』があるのなら『ノンストップ』もあるんじゃないかと思ったら、言葉的にはあるんですね。『ノンストップサービス』。笑(そういう常識的なとこが抜けている私。)

 用語解説によると「インターネットなどで、24時間いつでも、利用者の都合の良いときに利用できるような形態でサービスを提供できる仕組み」ということで、窓口に止まる意味のワンストップとは違い、24時間停止しないという意味でなんですね…

 貸出ロッカーを利用した24時間貸し出しサービスはちらほら聞きますし、ブックポストで24時間返却も可能ですが、24時間開館は今のところ聞いたことがありません。

 この『ノンストップサービス』の定義に従えば、来館ということはないのでしょう。ということは、館そのものを『開館』する必要はないんでしょうね。

 24時間お客様相談センターみたいに、電話による24時間レファレンスサービスなら、実現可能性が高いですね。
 まぁ、24時間本の出前サービスは人員的にちょっと難しいですけど。(配達くらいであれば、非常勤でも充分でしょうが…。)

 図書館は開館時間が長ければ良いというものではないと思っていますから、24時間365日オープンというのは関心しませんが、ニーズ的には0ではないですし、来館なしの24時間利用可ってどうなるんだろうと考えると面白いかもしれません。

 『ノンストップサービス』と聞いて、端末で借りたい本を指定すると車から降りなくても本が借りられる某ハンバーガー屋のドライブスルー型(実際にはワンストップサービスだけどさ)や、借りたい本を持ってゲートをくぐれば自動的に貸出になる(おそらく今の技術的にはICタグで可能でしょう。)サービスを空想していました。

 まぁ、小さな時間的でなく、サービスを止めないという意味であれば、図書館は継続が力になるものですから、『ノンストップサービス』というか「図書館サービスを止めるな」なんでしょうがねぇ…お後がよろしいようで。笑

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