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2009年2月の4件の記事

図書館における複写(コピー)の私的まとめ(著作権法31条1について)

 時々アクセスログを見ていると、統計的に『いじわるな複写~著作権法の解釈の間で~』(http://c-town.way-nifty.com/blog/2008/09/post-057e.html)が(拙ブログの中では)一番読まれているらしい…
 ということで、私なりの見解をちょっとまとめてみようかと…もちろん、私の解釈が絶対ってわけではありません。(あくまで図書館司書の一人の立場ということで)

まず、著作権法の図書館の複写に関する条項を改めて確認。

著作権法31条
図書、記録その他の資料を公衆の利用に供することを目的とする図書館その他の施設で政令で定めるもの(以下この条において「図書館等」という。)においては、次に掲げる場合には、その営利を目的としない事業として、図書館等の図書、記録その他の資料(以下この条において「図書館資料」という。)を用いて著作物を複製することができる。
一  図書館等の利用者の求めに応じ、その調査研究の用に供するために、公表された著作物の一部分(発行後相当期間を経過した定期刊行物に掲載された個個の著作物にあつては、その全部)の複製物を一人につき一部提供する場合
二  図書館資料の保存のため必要がある場合
三  他の図書館等の求めに応じ、絶版その他これに準ずる理由により一般に入手することが困難な図書館資料の複製物を提供する場合 』

と、わかりきったのを載せることからはじめてみました。
で、解釈や説明を全て文章にすると相変わらずダラダラ書いてしまうので箇条書きにする…ように努力します。笑

<大前提>
 この条文、図書館が主体となって『複製することができる』ですから、図書館は『複写させなければいけない』とはないので、『複写させなくても良い』なんです。利用者に複製権はないんです。
 ついでに、コイン式でセルフっぽく見えますが、司書がチェック(複写申し込み時の可否の決定等)をすることによって、主体の図書館の手足となって利用者がコピー作業をしている解釈となります。
 また、これがあるので、複写できるのは図書館の資料で、図書館の資料以外である私物は複写できなく、1人につき1部なので友人の分はできません。
(ただし、申し合わせにより他館から借受した『図書』のみ同様に複写できます。(他館で借りてきたではないし、雑誌はだめですし、相手館がNoと言っている資料もだめですけどね。))

<複写可能施設>
 この条文で著作物を複製…つまり、コピーをして良いのは『資料を公衆の利用に供することを目的とする図書館その他の施設で政令で定めるもの』とありますがこの点は…

著作権法施行令
(図書館資料の複製が認められる図書館等)
第1条の3 法第31条(法第86条第1項及び第102条第1項において準用する場合を含む。)の政令で定める図書館その他の施設は、国立国会図書館及び次に掲げる施設で図書館法(昭和25年法律第118号)第4条第1項の司書又はこれに相当する職員として文部科学省令で定める職員が置かれているものとする。
1.図書館法第2条第1項の図書館
2.学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条の大学又は高等専門学校(次号において「大学等」という。)に設置された図書館及びこれに類する施設
3.大学等における教育に類する教育を行う教育機関で当該教育を行うにつき学校教育法以外の法律に特別の規定があるものに設置された図書館
4.図書、記録その他著作物の原作品又は複製物を収集し、整理し、保存して一般公衆の利用に供する業務を主として行う施設で法令の規定によつて設置されたもの
5.学術の研究を目的とする研究所、試験所その他の施設で法令の規定によつて設置されたもののうち、その保存する図書、記録その他の資料を一般公衆の利用に供する業務を行うもの
6.前各号に掲げるもののほか、国、地方公共団体又は一般社団法人若しくは一般財団法人その他の営利を目的としない法人(次条から第3条までにおいて「一般社団法人等」という。)が設置する施設で前2号に掲げる施設と同種のもののうち、文化庁長官が指定するもの

ですから、小中高の学校図書室(館)や企業の図書室、ついでに公民館図書室もできません。
ただし、公民館図書室を条例上、公立図書館の分館とした場合は可能です。

<条文の解釈問題>
発行後相当期間を経過していない定期刊行物について
1.経過していなくても公表された著作物なんだから、一部分は可能
2.わざわざ後に『発行後相当期間を経過した定期刊行物』とあるのだから、一部分も不可能
と2種類考えられているかもしれません。
私は1の解釈で良いと思うのですがねぇ…
「じゃあ、雑誌の最新号の複写不可ってのは?」という質問には「図書館の運営上、最新号を複写させていないってだけ」と答えたいです。

ついでに、『発行後相当期間』は、著作権者の中には「専門誌のバックナンバーなどは普通に買えるのだから次号が出たらという理論はおかしいのじゃないか」とおっしゃる方もおりますが、図書館的には「次号が出るまで」がほとんどです。(ちなみに、地方だとなかなかバックナンバーを置いている書店って少ないです…)

 でも、日刊・週刊・月刊あたりはわかるにしても、1年に1回しか出ないものは…この場合、発行後3ヶ月経つか次号の出るまでってしている図書館が多いでしょうかねぇ…

<複写範囲の問題>(本日のメイン!笑)
 著作権者の中には「一部分というのは半分ってことではない。20%くらいが妥当じゃないか。」と考える方もおられますが、図書館業界的には「半分まで」って解釈が多数派です。
 さて、可能と思われる最大限について個別に考えてみると…

1.図書
原則は目次、前書き、後書きを除いた本文の半分まで。
目次や索引はその全部。(どんなに工夫を凝らした目次や索引でも、どうも大勢は著作物でないよう。)
本文以外の前書き・後書き・解説等はそれぞれ半分まで。

・一冊完結もの…本文の半分まで
・複数冊もの(上下巻、シリーズもの等)…各冊の半分まで
・全集・短編集等…収録されている個々の著作物の半分まで(ただし、同一紙面に複数の著作物がある場合は楽譜、地図、写真集・画集を除き、写り込みを許容する。(申し合わせより))
※この辺は普通に複写取扱い要領みたいなのでも普通にありますよね…
※なので、本来であれば、俳句は17文字の半分までが本当の解釈なのですが、写り込みの申し合わせが出来たので、見た目、一句全部できます。

・本体から分離した付録…その付録を独立した著作物と見なし、その半分まで
・表紙・背表紙・裏表紙…著作権法で保護されている写真・絵画・カットが含まれるものでなければOK?
※よく、図書館便りに表紙を載せたいとかあるのですが、新書などじゃない限り、大抵、絵や写真があるので、本来であれば、イラストレーターや写真家に著作権があるので(著作権の帰属は出版者になっているかもしれませんがどちらにしても)、だめでしょう。
が、著作権法を厳密に解釈するとだめですが、出版者に本の紹介で図書館便りに載せたい旨を伝えると、案外OKをくれることが多いです。もちろん、OKになるだろうと思って勝手にやると、いい気はしないでしょうから、その辺はビジネスマナーって感じですかねぇ…

・辞書類…各項目で著作者表示をされているものは、その項目の半分まで。それ以外の場合は他の項目同様に本文の半分まで。
※各項目著作者表示ってたまにあるんですよね…

2.定期刊行物
・雑誌の最新号…個々の記事の半分まで
※「じゃあ、個々の記事って?」ってのが問題になります。
 厳密に解釈すると、法的には1著作物ですから、記事の中にあるグラフや図・表なんかも1著作物と言えばそうなのでしょうが、記事を構成する要素とも解釈できるので、悩ましいところです。
 まぁ、内容に応じてでしょう、こういう場合。(わかりやすい例は左ページに写真、右に記事の文字があったら、記事部分は半分で、写真は複写不可となるけど、記事内に「表1のグラフによると…」とあって表が1ページを占めてなければ、そのグラフが記事の半分内の複写時に含まれるのであればOKみたいな。)

※料理のレシピ自体は特殊な食材を加えているとしてもレシピそのもの(文字情報的)には著作物性が薄いですから、レシピ部分は大丈夫でしょうが、1つの料理が完成するまでの手順は完成までが1つの記事なんでしょうから、手順は半分までとなるでしょうね。もちろん、厳密に言えば、手順の1写真ごとに著作物性がありますから、一概にYes or Noってわけにはいきません。

※時刻表について…考え方としては、いくつかあって…
1.「誰が作っても何時発・何時着は同じなんだから、全体で1つの著作物」と考え、『時刻表部分全体の半分まで』
2.もし目次を作る場合、「○○線上り」「○○線下り」っなるから『その該当線の上り・下り別でその半分まで』
3.1列車、つまり6時18分発の列車はその終着までを1つの記事なので、『1列車ごとに半分まで』
と考えられます。
 もちろん、マナー良くその出版者に問い合わせると「時刻表部分の半分まで良いですよ」(太っ腹!)とか「(複写予定範囲を伝えたら)そのくらいなら大丈夫です」とか答えてくれるので、やはり原則問い合わせですね。

 私も問い合わせたら、太っ腹な回答『最大時刻表部分全体の半分まで』を得られましたが、全ての時刻表の出版者ではないので、各自問い合わせてみてください。

※テレビガイド系については、これも「1日ごと」「1局ごと」「1番組ごと」とありますが、周囲にあらすじや番組内容紹介がなければ、1日で記事が完結していると思いますが、これも類似出版物が多く、それぞれの出版者があるので、それぞれ問い合わせですね…

※ぴあ系のコンサートや映画の案内については、小さくても1つの記事だと考えられますから、複写するとしたら、その半分でしょう。まぁ、日時・場所・問い合わせ電話番号くらいでしょうから、複写しないでメモ推奨ですが。笑

※もちろん、近所の図書館が「最新号複写不可!」とか言っても、私の論法を持ち出して対抗しようとしないでくださいね。最初の方で書きましたが、『最新号を複写させる・させない』は図書館が決めて良いのですから。

・発行後相当期間を経過した雑誌… 1冊の半分まで
・年鑑・白書・新聞縮刷版…図書扱いで本文の半分まで
・新聞の最新号…個々の記事の半分まで
※まぁ、雑誌と同じ考え。ちなみに、見出しは全部OK。ただ、新聞の写真は自社報道カメラマンでないこともあるので、後に出てくる1枚物の写真と同様に同一性保持権から不可だろうな。

・発行後相当期間を経過した新聞…全面広告を除く本紙全体の半分まで
※ちなみに、発行後相当期間を次号とすると、朝刊・夕刊は同じ号なので、次の日の朝刊が(新聞休刊日ならその日の夕刊かその次の日の朝刊、要するに次の号になるもの)が届いたらOKということに。
※ただし、朝刊と夕刊は別なので、図書の上下巻などと一緒で、それぞれに半分までを適応。
※なので、夕刊が出たからと言って、その日の朝刊はまだ最新号なのです。

3.地図
・一枚物…原則その半分までで、製作機関の承認を必要とするものは承認がなければ複写不可
・住宅地図…見開きの半分までで、全体の半分を超えない範囲
※ゼンリンさんの主張が見開きの区分図が1著作物と言っているのだから、他の地図帳とは異なり、見開きの半分までとなります。
※図書館で困るのがどこかの営業さんが来て、全区分図の右ページばかり、別の営業さんが左ページばかり複写するとき。もちろん、図書館的には『調査研究』でないような気がしますが『調査研究結果を提示しなくてはいけない』とかの規定もありませんし、本人が「調査研究だ」と言われればどうにも手出しが…。もちろん、これは図書館ではどうにもなりませんが、その両ページを合わせて持った時点でその会社やその営業さん達が著作権法違反になります。

・その他の地図帳…図書と同じ扱い
・資料中の説明地図…全部分可
※厳密には地図って1著作物なんだから、るるぶなどの旅行誌にある1ページより小さな地図もその半分って解釈もなくはないけど、最近はそこまで厳密に解釈しない場合が多いと思うので、図書なら図書扱い、雑誌なら雑誌扱いでやっているところが多いんでしょうね。

4.楽譜・楽譜集・歌詞・歌詞集等
著作権の保護期間内のものであれば一曲の半分まで。
※基本はそうなんですが、もちろん保護期間内のものです。あと、組曲は曲目ごとの半分までというのは良いと思いますけど、歌詞、3番まである曲は1番は丸々複写可能かどうか…おそらくOKでしょうね、全部で1曲なんですから。たまに、1曲=1アルバムだと思っている方がおりますが…笑

5.写真・絵画・図表・カット
・一枚物…複写不可
・写真集・画集・カット集…複写不可(ただし、複写目的で作られたカット集は図書扱いとし、その場合は一冊の半分まで。)
※「え~写真集とかって半分までじゃないの?」ってよく言われますが、写真や絵はそれ全体で1つの作品とされているので、同一性保持権に反すると思われますので、複写不可になるかと。

・資料中の説明写真… 全部分可
※地図の説明と一緒

6.AV資料に付属している表紙・裏表紙・ジャケット・地図・説明資料等
原則として上の各項目と同様の扱い…
ようは、ジャケットの表紙はほとんどが写真でしょうから、5の一枚物の写真と同じ解釈。
裏は写真類がなければ、曲目なんでしょうから、目次と同じ解釈。
説明資料の中の歌詞は上にあるように1曲の半分まで。
説明文章はその全容量の半分まで。

7.紙芝居
全部の半分まで
※意外とこの検索フレーズで見られているのは理解できます。だって実はとても悩ましいんですよね、これ。
 というのも、片面は絵1枚だし、裏はほとんどが文字。とすると絵ばかり全面複写しても良いのか逆に裏の文字を全部複写して良いのかってことにもなりますし、1枚1枚が独立しているっていう点もね…
 ただ、類似したものから考えると、右ページにテキスト・左ページに絵という絵本でテキストのみ・絵のみの複写も可能ですし、加除式の資料だとバラバラにもできますが、資料としては1資料扱いなので、本文の半分でしょうから、紙芝居はその全場面で1つの著作物なんですから、私の見解では全場面の裏表合わせた量の半分までって考えが妥当かなと。
 1枚の絵っていうのも気になりましたが、その1枚で完結した作品というわけでもないですしね…

8.折り込み広告
・最新号…求人広告のようなものは各会社で1記事とみなして、ぴあ系と同様それの半分。なので、メモ推奨。その他の広告は掲載写真(人参や胡瓜の写真)も1著作物ではあるのでしょうが、人参や胡瓜を(もちろん新鮮そうに美味しそうに撮っているのでしょうけど)それ1つの作品として撮っていないのでしょうから、広告全体を1著作物とも考えられるし…これもメモ推奨ではありますが、一面はその半分、表裏あるものは(両面で1つとも考えられなくはないでしょうが)各面半分まででしょう。
・バックナンバー…各面の半分まで
※バックナンバーは確かに定期的に発行される求人広告やスーパーのチラシもあるので、定期刊行物だから全部可と言いたいところですが、微妙だなぁ…
※よくあるのは求人広告の複写ではありますがね…。普通のスーパーの広告なんかは、問い合わせしてみると、「全部コピー可」って言われることも多いと思いますよ。元々、広告を保護するよりは品物を売りたいのでしょうから。事例がなかったから聞いたことがないけど。

9.付録物
雑誌や図書等にある付録…本誌・本体と別なものなので、それぞれ独立して考えます。新聞の朝刊・夕刊や図書の上下巻といっしょで、単体それぞれで、本文の半分のような感じです。

…検索フレーズで最近あったものに一応答えてみたつもりですが…何か抜けているかな?

<勝手に複写の問題>
 実際、メモ用紙に書き写したり、住宅地図を紙にトレースしたりするのは、複製していることなのですが、自分でやっている分には30条の私的複製だと考えられます。
同様に、携帯電話のカメラやデジカメで写したり、ハンディースキャナでスキャンしたりするのも30条で出来そうです。
 以前も書きましたが『個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること」で『使用』に関して範囲を決めていて、複製場所については言及していない』というのもありますし、31条も図書館が図書館資料を複製することができるとあるので、図書館空間における複製行為全般を制限できるかや、『複写機器』についての言及もありません。

 で、それがダメだと言われるのは…以前書いたのですが…
・館内撮影禁止もしくは撮影制限がされている場合…私的複製による複写目的でもカメラな以上制限できますし、音が出るのなら、なおさら運営上注意してやめさせることができます。
・ハンディスキャナ…電子メモみたいなものなので、手書きメモも許さないのであれば、不許可で良いですし、電源を使われるのであれば、それは運営上使うなと言えますし、上と同様音がうるさければやめるように主張できますが、音も静かで電池式の携帯ハンディスキャナは、資料を痛めるような使い方をしていない限り、認めざるを得ないと思います。
もし、条文の『図書館等において』を『図書館にある複写機』だけでなく『図書館という空間』として考えているのであれば、認められない複製行為(図書館は複製のために複写機を設置しているのでという論法)として、許可しないということも考えられなくはないですが、ちょっと論拠が弱いかもしれません。この辺はもう少し判例が欲しいところです。

 なので、著作権法上は辛いけども、神社仏閣が撮影禁止に出来ているのと同様に『所蔵者の有する所有権の行使』ということで、資料が写真やスキャナに写し取られるのを制限するという考えも…でも、厳しいな。笑

<CD・DVDの複製の問題>
 そもそも図書館にこれらを複製する機器を置いていることは皆無とは思いますが、法的には『その他の資料』も含まれていますから、CDだったら歌詞・楽譜同様に1曲の半分まで、DVDは映画の半分まで可能だとは思います。機器があったとしても半分の判定が面倒でしょうが。笑
 上映についてや映画会、補償金云々についてはまた日を改めて。(過去にも多少言及していますので、そちらを参照してください。)

<拡大問題>
 今日は第31条1の問題まとめのつもりなので、第38条(営利を目的としない上演等)は後回しなんですが…書画カメラ(OHC)などで、単に大きくして写すのであれば、拡大読書機と同様にOKなのですけど、OHPやパワーポイントにすると、複製権がOHPシートやスキャナによるデジタル化が絡むので、やるとしたら31条1で半分までってことですね…

<半分の複写は?>
 判例等により「半分を超えたら一部分とは言えない」という考えから、最大『半分○○』と図書館界では解釈しています。
 なんで○○にしたかと言うと、『半分以下』と『半分未満』という考えがあり、「以下」なら『半分』が入ります。
 100ページあって49ページなら『一部』表現できますが、50ページだと言葉的には『半分』って使う気もするので微妙です。
 なので「複写範囲をXとすると、X>半分 だと一部分でない」って発言なのか、イコールが入るのか判断が分かれるところのような気がしますね。

今日は、こういった感じなのですが、思ったより長くなっちゃいましたね…全部読んでくれたみなさま、お疲れ様でした。そしてどうもありがとうございます。

 ところで、最近出された『著作権法コンメンタール2 23条~90条の3』(半田正夫・松田政行/編,勁草書房,2009.1,978-4-326-40253-3)を持っている方(もしくは図書館の方)、31条関係の記述はどの程度のものなんでしょう?(図書館だとまだ入っていないところが多いかな?)
 とても気になるのですが、近隣の書店に置いていなし、うちの館では購入しないことが決まったので…まぁ、9千円(税抜き)だから、必要なら購入するのも良いのですが…

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レファレンスを見直してみる(その2)

 勝手に引き続き、レファレンス周りの話。

 『ライブラリー・アカデミー』の受講生のみなさんの課題である日々の疑問が徐々に出てきていて、「ほうほう、そういう疑問をお持ちなのですね…」と受講生の疑問達にどこまでうちの図書館が回答し得るかと閉館後の薄暗い図書館でちまちま調べている今日この頃です。もちろん、見つかるものもあるし、見つからないものあるし…
 まぁ、受講生のみなさんは優秀なので、その後ちゃんと自分で回答を見つけて来るとは思いますが、「これが真相のようです」みたいなのはUPされないのかなぁ?
ただ、疑問出したけど、誰も回答してくれなかった疑問はどうなるんだろうと思ってみたり…自分だったらちょっと悲しいなぁ…

 そういや、この課題では、自館もしくは近隣館を利用して、どのように回答に導くかは、課題ではないのですね…

 課題の中に『自分でも調べてみる』とか『市町村立と県立にレファレンスしてみる』などがあると、より一層、レファレンスの問題点や課題が見えてくるような気もしますが…

 いっそ、色々な図書館に同じ質問を投げかけてみると、図書館による癖とかわかるかもしれませんね。

 えっと、レファレンス、まぁ、リファレンスと言っている人もおりますが、リポートをレポートと呼ぶが如く、日本語特有の事情なんでしょうね。発音記号からすると、リポートをレポートにする方がものすごく不自然ではありますが。

 それはさておき、レファレンスを『調べ物の手伝い』として考えると、事項調査のみならず、図書館の利用の仕方から本の所在、どう調べて良いかの相談や、道案内に至るまで、『知りたいことに答える』という意味ではレファレンスですよね。

 なかなか、それが浸透しないのか、図書館調査で見られるレファレンス件数に異常なバラつきが見られます。うちの館の職員同士でも見解が違うので、少なくても満場一致した事項調査類をレファレンス統計に出しているので、近隣に比べてちょっと少ないような感じです。

 最近のレファレンスの傾向としては、うちの館だけなのかもしれませんが、「○○について書いてある本があるか」式で、他の本から部分的に集めてくるのではなく、そのものの本を欲しがるケース(もちろん、そんな本がある確率は低いですが)や、自分で調べる努力をしていただけないケースも多く(そうすると調べ物の手伝いというより代行ですね。)、プレサーチインタビュー(レファレンスインタビュー)をしても「○○の何について」の絞込みが利用者自身も出来ていないケースもある(「いや、何と言われても○○について書かれていれば何でも」って答えが返ってくる始末…)ので、その辺は図書館による利用指導なども必要なのかなぁと実感。

 ああ、あと、回答は全て数分のうちに出てくると思っていらっしゃる方も多いかなぁ…もちろん逆に「回答はいつでも良いので」と無期限ってのもやりにくいんですが(特に見つからない場合)。なので、個人的には5分レファレンスである程度目処を立てて経過報告し、そこまでで良いか、後で連絡か選択してもらうようにしています。
まぁ、インタビュー内で、どのくらいのボリュームが必要かとか期限はどのくらいなのかも聞きますけどね。(語の意味だけ知りたい人に出典の資料を探したり、「提供できますが?」って言っても、「意味がわかれば十分です」って言われますので、捜索前にやるインタビューはほんと重要ですね。)

 他に気になる最近の傾向だと、5分レファレンスで途中経過報告をしたとき目処が立とうが立たなくても「ああ、そこまででいいです、どうもありがとう」と結論まで行く前に強制終了されちゃう場合があって、私としては不完全燃焼で、勝手に継続して調べたりしています。
これの理由は様々で、本音は『(質問を)あきらめた』のか『(時間的に)待てない』のか『(図書館を)見限った』のかわかりませんが、「こんな質問に時間かけてもらうなんて悪いし…」とか、「その後は自分で調べるんで…」とか言われるのですが、今日中とかでなければ、せめて1日は調べさせてもらいたいなぁと。

 もちろん、調べて何かわかった場合、次回来館したときに「先日の質問ですが、~ってことまであの後わかりましたよ」って話すと、喜ばれることも多いのですがね。
うちは小さな図書館なので、以前書いたワンストップサービスではありませんが、カウンターは1つで全て対応しています。
全般的に誰が受けても私が絡むようにしているのですが、私自身全てが得意分野ってわけでないので、時々遠回りになる気もしますが、なんとかやれています。(まぁ、小さいから。)

 でも、人員がたくさんいれば、「○○さんは××分野の担当ね」と、基本はどんな分野でもレファレンスを受ける形にしますが、それぞれ得意分野を十進分類のように配置すると、そりゃあきっと回答もスムーズでしょう。でも、大抵無理なので、レフェラルサービス(たらい回し(笑)…いや、専門機関紹介&照会サービス)的に、自治体内で得意分野の専門員リストを作って、回答の補強をしてもらう人を登録していくとか、近隣のレファレンス担当者と常に連携して相互レファレンスをするとかをして行きたいですね。

 さて、「レファレンスを見直してみる」とは言ったものの、チーム戦(1人で抱え込んで回答するわけでなくって意味)を個人戦にするつもりはありませんし、レファレンス手順も、『質問を受ける→インタビューする→レファレンス開始→途中経過報告→継続調査→最終回答』ってのは変えられないです。

 見直す部分としては、他のところはやっているのでしょうが、うちの館ではレファレンスのもう一つの行為である『レファレンスしやすいリストの作成』とかはしなきゃいけないなぁと思ったり、上にも書きましたが、住民や他館との連携を取れるシステム作り(言うなれば『知るシステム』(笑))をしていくことなどでしょうか…

 他にレファレンスに関係する時間的効率化を図らないといけないとか、そのためのナビゲーションシステムの充実とか、多々やらないといけないことがありますが、一番は『図書館で何でも聞ける体制作り』が一番難しくも効果的なんじゃないでしょうか。『気軽に聞ける』って状況であれば心理的負担も少ないでしょうし…

 例えば、「今晩のおかず何にしよう?」ってのも立派なレファレンスで、インタビュー的には「最近出したおかず」「冷蔵庫にあるもの」「家族の好み」…etc.を聞いて「この資料のこのページにある料理なんかどうでしょう?」って資料ごと紹介するなんて、図書館的にはできますが、それを図書館で聞いてみようとする人は皆無でしょう?

 知識検索サービスを図書館で(最初は利用者限定ででも)やったっていいんですし、最初から「○○の××について調べて欲しい」的な質問が書かれていたら、「やっぱり図書館的な質問をしなきゃだめかなぁ」と思いますが、そこはちょっとサクラを入れて、「今晩のおかず」でも「仲直りの仕方」でも質問があがっていると、「ああ、こんな質問もして良いんだ」ってなると思うのですが…

 まぁ、レファレンスという言葉にとらわれていると難しく考えちゃいそうですが、調べることだけが利用者の知りたいことではないので、『図書館は何でも相談できます』で良いような気もします。

 そうするとビジネス支援だ何だと言っても、相談ではあるんですし、レフェラルサービスという他機関の紹介およびそこへの照会だって今までやっているのですし、「こちらの資料にはこのように書かれていますし、こちらにはこうですね」みたいな解答の無い回答をするのも今までやっているんですから、病気の相談があればその病気の詳細の書かれた資料の提示と専門病院の紹介ってのもできるし、悩み相談だって、同じような悩みの資料と相談室の電話番号を提示できるし、言うなれば図書館に相談すれば相談先を教えてくれるだけでなくもれなく資料も付いてくるみたいな、一見抱合せ販売(笑)みたいなことも可能でしょう。
そうなるとライブラリーカウンセラーとでも言うのでしょうか。笑

 話が突飛な方向へ向かいましたが、レファレンスの見直しは、まず味方、つまり図書館員がレファレンスという認識をかなり広く持つような意識改革と、それを大いにPRするというのが必要ですし、従来のレファレンスを発展させた色々な人からも回答をもらえる環境作りが必要なんだろうなぁと思います。
見直しによって今後は質問も回答もマルチレファレンスってところでしょうか…

レファレンスってカテゴリー作ろうかなぁ…

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レファレンスを見直してみる

 先日も勝手に横槍的に乗ってみた『ライブラリー・アカデミー』で、今度はレファレンスに関する課題が出たようですね。受講できる人たちがちょっと羨ましいです。

今回出たのはこんな課題のよう。
 1.日々の疑問(知りたくなったこと)を書きとめる。
 2.他の参加者の疑問(複数が望ましい)に対して、以下の両方から、回答にふさわしいデータを探し、リンク集をつくる。
  1.レファレンス協同データベース
  2.知識検索サービス
 3.その上で、あなたが考える「これからのレファレンスのあり方」を具体的に述べる。

 私は実際に参加していないから、わからないのですが、1で書かれた他の受講生の疑問を2で答えるとなると、まず受講生に疑問を出してもらわないと答えられないし、最初にUPした人は2が出来ないままUPして、後から他の人が最初にUPした人の疑問に対し2を記述した時に最初の人が2を…これでみんなが、牽制しあっていたら、誰も回答できない…まぁ、そんなことはないと思いますが。講義中に疑問の出し合いもあったかもしれないし…

 今日の話題に入る前振りとして、また勝手に課題を使わせてもらいます。(すみません…)
1.<日々の疑問>
a.今頭の中で廻っている♪ターララー、ターターター、ターラタータター…って音楽。何て曲でしょう?
b.絵を描くので、二匹の錦鯉が滝を仲良く昇っている写真が載っているものが欲しい。
c.ドラゴンクエスト9のラスボスの名前は?
d.電線に風が当たって、音楽が流れる…ってたぶん昔読んだ絵本のタイトルは?
e.ある図書館システムを作ろうと思って作っているんだけど、このプログラムどこが間違っているんだろう?
f.永久機関ってどんなものが実在するんだろう?

2.<回答に相応しいデータ>
レファレンス協同データベースでは該当するものがなく、知識検索サービスでは、eに関して足がかりとなるものが得られた。(でも回答に相応しいとは言えない)

2.5.<実際に得られた補足と回答>

 a.に関して。
 これは、私が昔持っていた疑問で、実はもう解決済みなんです。知り合いの音楽関係の人に無謀にも口ずさんだら、「それってこれじゃない?」って弾いてくれた。うん、そうそう、私が音痴なので音がだいぶずれていたが、確かに頭の中でイメージどおりの旋律でした。

 b.に関して。
 これは、実際にあったレファレンス。ネット上では『夫婦鯉滝のぼり』辺りの絵はあるのですが、うちの図書館には写真がなかったです。そもそもそういう写真があるのかなぁ?と今も時間があるときに捜索中。(レファレンス協同データベースに登録していないので、出ませんし、未解決だし。笑)

 c.に関して。
 これは、図書館に来ていた児童が「なんて名前なんだろうね」って話していたとこから。おそらくスクウェアエニックスの関係者ならわかるでしょうし、設定資料という文書はあるんでしょうが、社外秘でしょうしねぇ。1の時代からやっていた私にとっても、確かに知りたいねぇ…。発売されたらわかるこですけどね。

 d.に関して。
 これは、某県立図書館のあらすじレファレンスの未解決事項から。利用者には記憶の断片としてあって、その絵本(?)も過去に存在したものなのでしょうが、いくつか似たような絵本を列挙しても違ったようです。こういうのを知識検索サービスに載せると…まぁたまたまその質問を見た人がその本を覚えていれば解決するでしょうね。もちろん、質問が埋もれてしまうおそれも多々ありますが。

 e.に関して。
 これは、私がよくぶち当たる壁。サイトによっては、短いプログラムであればそのまま載せるとアドバイスをいただけることもあるし、中にはメールに添付して送ったら適切なアドバイスと修正方法を教えていただけることもあります。図書館だとせいぜい、このプログラムに関する本の紹介くらいかなぁ…

 f.に関して。
 これも、実際にあったレファレンス。小学生の質問だったのですが、「永久機関なんて実在しない」ではちょっと可哀想でした。どんな永久機関が考えられたかなどの話は知っていたようで、「実在しないことが証明された」ことしか伝えられなかったのですが、可能であれば「将来、永久機関を実現できるようになりたい」とか、その子の将来に希望が持てる回答したかったなぁと。アニメの設定などではあるんですけどね。笑

 3に入る前に、少し書かせていただくと、図書館でのレファレンスはありとあらゆる疑問に答えたいというのもあります。だけど、『ゆで卵の作り方』や『日本の首相の名前』は資料を探さなくてもクイックレファレンスで即答できますが、じゃあ『核兵器の作り方』は同じようなクイックレファレンスとはできません。
 また、全てが書籍となって・図書館資料となって世に出されているわけでもなく、まして自分の図書館にはなかったりすることも多々あります。
 ついでに、aのような音のレファレンスやbのような利用者のイメージにピッタリな写真を探したりするものや、eのようなプログラムチェックは、図書館では意外と大変な部類になるかと思います。
 だからと言って、知識検索サービスなどでは、典拠が載っているものも少なく、文字に変換したときに、落ちてしまう背景やニュアンスによって誤解された回答だったり、少し調べれば間違いだとわかるものが評価された回答になっていたりしています。それに、質問が埋もれてしまって付かないこともありますからねぇ…急いでいる時に限って埋もれちゃうし。
 ということで、図書館でレファレンスするにしてもネット上で聞いてみるにしても、一長一短がありますね。どんな質問でもクイックレファレンスのように即答ってわけにはいかないんですよねぇ…

 疑問に対して知識検索サービスで回答してくれる人の多くは善意で回答してくれています。わざわざそんなサービスを使わなくても、友人知人に聞いてみたりする場合も善意で、その人の知識や経験を元に回答やアドバイスが出されます。手近な人に聞く場合は人間関係などに左右されますが、知識検索サービスによるインターネット上の自由回答のうち、中には、誰でも善意によって正確な回答をしてくれているわけではないような回答も多々あります。
 そう考えると、図書館職員なら、責務としても誠意を持って回答してもらえるかと思いますが、実際はそうでもなかったり、人によるんですよね…笑

 現場的には、レファレンスを受けるのは個人だとしても1人の知識や経験には限度がありますから、チーム戦のようにできるだけみんなで取り組むようにしています。が、うちのチームでも穴のある分野がありますし、小さな図書館ですから、回答になるはずのことが書かれている資料が図書館になかったりしています。

 なので、そのチームを大きくして、つまり、全国の図書館と連携してレファレンスにあたりたいのですが、どうもそういう仕組みにはなっていないですし…なので、県立に「そういう仕組みを作ってよ」と要望したのですが、「予算がないから」って却下。確かに県立図書館には手詰まりの時にレファレンス依頼していますが、実は隣の図書館にある資料に載っているということもあると思うのですけどね。なので、レファレンス協同データベースが出来た時に、私が期待したのは、知識検索サービスも含むこと。知識検索サービスとかぶるのですが、その回答者が全て全国の図書館員だったら、ちゃんと典拠付きだろうし、精度も高いかなぁと。

 一方、視点を変えて、利用者的に、どういう順序で図書館のレファレンスに至るかというと…
 一般的には、まず自分で調べる。次に周りに聞く。それでもわからないのが気になるなら、図書館に行ってみる…でしょうか?
 確かに、この流れで来館される方もおられますし、第一段階や第二段階でわからない場合に、図書館にわざわざ行くということを考えない人もいます。疑問に持ったことすら、なかったことにするように。もちろん、「図書館で調べたり聞くほどのことではない」とか「どうせわからない(もしくは答えられない)」とか、そういう理由もあるかもしれません。(悲しいのは図書館でそういう調べ物ができるかもしれないと思ってもらえないことかも。)
 でも、実際のレファレンスでは「○○って意味を知りたいんだけど」と、普通に辞書をひけばわかるようなことを聞いてくる方もおりました。で、わざわざこの例をあげたのは理由があって、うちの図書館を利用している人ではなく、たまたま車で通ったら図書館があったので、手帳にメモった諺の意味を調べに立ち寄ったという方でした。
 逆に、同じような辞書を引けば感覚のレファレンスでは「子供に聞かれたんだけど」とその親だろう方が来館し、「おそらくこの辞書に載っていると思うのですが…」と差し出したら「いや、辞書の引き方知らないんで、見つけてもらえませんか?」と。その項目を見つけて提供したら、喜んでいましたけど、辞書の引き方のレファレンスもついでにしちゃいました。これは最近の児童でも似ていて、質問しに来て、「どこまで調べたの?」と聞くと「調べてない」で、どうやっても回答そのものを出してもらうまで持ってきた資料もめくろうともせず、そこにずっと立ち尽くすような子も案外多くて、少し困ったりもしました。

 えっと、話が逸れかけましたが、疑問を持った時の初手であろう『自分で調べる』や『周りに聞く』という習慣のない人も多く、疑問をそのまま置き去りにしちゃう、一方向的な授業の弊害のような人が多くなっていて、調べたかと思うとGoogleに一語だけで検索とか、口語文章で検索とか、効率の悪い調べ方しかしていない場合も多いかなぁというのが実感で、例にあげた立ち寄った利用者のように、図書館を身近に感じている人ほど、周りにいる人に聞く感覚で、図書館に聞きに来るような感じもします。

 もちろん、図書館に行ったら何かを聞いて欲しいってわけでもなく、自分で調べられるのであれば、結構なことでしょう。私自身も疑問を持ったら自分で調べて自己レファレンスで終了してしまいますからね。自分の疑問に他館のレファレンスなんて利用したことないし…いや、これは言い過ぎで、実際は、非公式に他館の司書に聞いたりしていますけどね。笑
 レファレンスが『調べ物のお手伝いをすること』とよく言われますが、もし究極的に調べ方の指導が行き届いた状態では、図書館員も利用者も調べる手順が同じになるし、データベースも究極的に完備しているのなら、レファレンスっていう業務自体がなくなるか、手伝えることとしたら「この本に○○っていう語は何個書かれている?」みたいな人海戦術やしらみつぶしみたいなものにしかならないのかなぁと、ちょっと危惧していますが。笑

 さて、ようやく3です。『これからのレファレンスのあり方』とのことですが、どこに視点を置くかによって、書くことが変わっちゃいますが…

 一図書館司書としてレファレンスを考えると、レファレンスは個人戦でなくてチーム戦なので、各チームの能力アップはもちろんのこと、より大きなチームにし、そこの所蔵資料だけに頼らない協力と回答をしていく必要があるだろうし、もちろん、図書館員だけでは、やはり心もとない部分(不得意分野など)もあるし、県内所蔵なし資料をはじめ、穴が多々あるので、あらゆる分野の専門家とも連携できる必要があるんじゃないかと。
 ということで、一図書館司書としては、回答の正確性と未解決事例の減少のために、自分の図書館だけからの回答だけにならないような協力と多重回答ができるようなシステム的環境の構築が不可欠ではなかろうかと思います。

 利用者側からだと、図書館で聞いて欲しいと言われても、「こんな質問に手を煩わせるのは悪いなぁ」と思っちゃったり、いざ質問しても、妙に時間がかかったりして待ってられないし、待ちに待った回答が希望するものじゃなかったり未解決になるとガッカリすることもあると思うし、だからといって、インターネットで調べるにもどうもうまく調べられないことも多いようなので、そんなに大事なことではないし、まぁいいかなぁって気にもなるのではないかなぁ。それに、知識検索サービスも利用しても、場所によって回答が異なり、どれが本当にそうなのか疑問も出ることがある気も…
 ということで、利用者側からすると、知識検索サービスのような気楽さを持ちつつ、正確で早い回答を得られる仕組みができると良いのではないかと。

 実際、某県立図書館でのレファレンスは減っているそうで、知識検索サービスに流れているのか、期待にそぐわない回答が多かったのか、そもそも疑問すら持たなくなってきてるのかわかりませんが、確かにレファレンスのあり方は少し変容しているかもしれませんね。

 ということで、私のこれからのレファレンスのあり方としては、究極は以前からも書いているレファレンスマシーンなのですが、調べ方の手順とノウハウおよび資料データをどんどん詰め込み、利用者が自分で調べられるようになる方向、つまりレファレンスという業務が必要なくなる方向で考えていければなぁとは思うのですが、それはそれで突飛なので…

 個人的な『これからのレファレンスのあり方』として、上にも書いたけど、他館連携を強めて大きなチームとして対応していくようにし、図書館的には、十進分類の如く、各分野の専門機関を把握するようにしていきながら、正確で詳細な回答を出せるようにするのが1つ。
 ついで、気軽さ、即答性を満たすために、必ずしも図書館でないと回答できないわけでもないものもあるので、図書館でも知識検索サービスのようなサービスを開始する。回答は一般の人もするが、図書館でも確実に回答するようにする。

 イメージ的には、次のような感じ。

1.ちょっと疑問があったので、ある県のレファレンスポータルサイトにアクセスする。
2.よく利用する図書館とその疑問の入力とその説明、回答期限、回答レベルなどを設定して、送信。
3.しばらくすると、その図書館より先に、隣の市の利用者がさっそく回答をくれた。
4.続いて、その図書館からも回答が入力された。
5.でも、ちょっと足りない気もしたので、補足説明とレベルをもう少し上げた設定にしてみた。
6.最初の図書館からの補足回答と、近隣図書館や県立図書館からの回答が日を追うごとに出てきた。
7.しばらくすると、図書館でない専門機関からの回答も出てきた。
8.その専門機関の回答にあった資料を近くの図書館に請求すると、県内になかったので隣県から取り寄せてくれた。
9.疑問が解決してすっきり。

 この問題点としては、質問者とのコミュニケーションが取れない点。
 もちろん、補足説明とかがあるのでしょうが、質問者がちゃんと的確な質問ができる場合でなければ成り立たない点。それはちょっと酷だなぁ…
 ただ、これからは、たぶん、気軽に早くて正確なレファレンスが望まれるんじゃないかなぁと。
 まぁ、今日はそんなところで。

 えっ、「課題は前振りって書いていたのに、本題は?」ですって?
 一応、言いたかったことが書けちゃったみたいだから、書き終えようと思っていたのですが…今回書きたかったことは…

・図書館でのレファレンスでは苦手なものがある。(音やイメージの検索)
 イメージ検索ってGoogleでもあるけど、あれはその文字列の近くにある画像(もしくはタイトルのある画像)を検索しているので、「右上に太陽があって左下に貝があって、真ん中の砂浜に赤いリボンの麦藁帽子の落ちている写真」とかは検索できないし…
 音のレファレンスも、色々ツールはあるけど、鼻歌検索とかはまだちょっと微妙かなぁ…

・1つの図書館ではレファレンスに限界がある。(職員知識や蔵書量の限界)
 可能であれば、図書館員専用でもいいから、大規模なレファレンスサイトが欲しい。回答者は全てどこかの図書館員みたいな。

・知識検索サービスにも一長一短があって回答を鵜呑みに出来ない。
 回答者が誰でも参加可というのは回答に玉石混合が出てくる場合が多い。もちろん、図書館の図書でも玉石混合(必ずしも図書館にある図書だから正しいわけではない)でしょうが。
 メリットとしては、本当にその手の専門家(例だとSEとか)がちゃんと回答してくれると図書館より得るものが大きいこともある。

・疑問を持っても回答まで行き着かないままスルーされることもある。
 教育の問題なのか、それとも、個人的性格の問題なのか、はたまた、調べ方がわかっていないからなのか…もちろん、気にするほどでもないと忘れちゃう疑問も多々あるんでしょうが。
ってことを絡めて書きたかったんです。

 こんな感じで受講生でない分、好き勝手書いていますが、旧データベース検索技術者2級を合格して(1級は不合格…笑)、サーチャーと呼ばれたいなぁと思いながら、図書館で調べたりレファレンスを受ける仕事に魅力を感じている人間なので、レファレンスについて考える課題でしたので、横槍を入れてみました。

 そういや、うろ覚えですが、「レファレンスとは利用者が調べて見つける喜びを代わりに図書館員が感じること」って感じのことを誰か書いていたなぁ…ずっと昔に見て、「これは名言だ!」とウケる前に感動しました。ただ、最近は「この楽しみを利用者にも知ってもらいたいなぁ」と思うこともなきにしもあらず。笑

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著作権法31条2!

 どうもこのカテゴリーで、著作権法31条1について、法解釈とか別に現場の解釈的なことを書いていたら、最新号の複写とか時刻表の複写とかそういう検索で、拙ブログを見に来ていただいていることが多いので、嬉しい半面、「間違った解釈していないよな…」とちょっと不安になってみたり。あとで、31条1について自分なりにまとめたいなぁ…

 さて、今回は31条の2について、以前から気にしていたことについて文化審議会著作権分科会での報告案(http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/bunkakai/27/index.html)が出ていましたから、先にこっちを。

 また人様のブログを絡めてしまいますが、丸山高弘の日々是電網  The First. : 廃棄資料のデジタル化は違法/合法?(http://maru3.exblog.jp/7843542/)から、丸山高弘さんは、廃棄図書をデジタル化することについて何度か(廃棄図書のデジタル化...応用編(http://maru3.exblog.jp/7869934/)、やはり、いずれデジタル図書館ができるんじゃないかな。(http://maru3.exblog.jp/7888062/))書かれています。

 これには、基本的には賛成。もちろん、『過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会報告案』しか当時はなかったので、普通の図書館でも可能なのか協議が必要なのかはっきりしていませんでしたから、今回の報告案が出るまで、微妙な解釈でしたがね…(まぁ、出ても微妙な点はありますけど)

 もちろん、全て賛成というわけではありません。寄贈本を受けた先からというのはちょっと無謀な気もしますし、バックナンバーが手に入る状態の時は、そちらを手に入れる方がセオリーかなとも思います。(実際に図書館での保存ということであれば。)

 ちなみに、『過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会報告案』の注の60には『必ずしも廃棄は必要ない』旨の考え方もあるので、色々と考えないといけないことが多々ありますから、原本もデジタルも保存は悪いことではないように思います。

 そこまでいかなくても、今回の文化審議会著作権分科会報告書(案)で気になっていた部分だけサッと目を通すと、P192に国立国会図書館以外の図書館でのデジタル化が『二 図書館資料の保存のため必要がある場合』に当てはまる場合、『その所蔵する資料を複製することができる。』(ここまでは条文にあるんだから当たり前)とあり、その後段の『例えば、損傷、紛失の防止等のためデジタル化することも不可能でなく』と(媒体の旧式化)で『事実上閲覧が不可能となる場合において、新しい媒体への移替えのためにデジタル化することについても、同規定の解釈として不可能ではないと考えられる』が朗報かなぁ。

 もちろん、そのまた後段で『デジタル化された資料を館外に提供したり提示したりすることについては(中略)関係者間の協議によって議論を続けることが必要である。』とありますから、この解釈が微妙ですよね。この『提示』は通常であれば『館外に提示』なんでしょうが、『提示』だけだと館内閲覧もできなくなってしまうからね…

 ひとまず、図書館の所蔵資料で損傷・紛失防止の観点と資料保存の観点から、及び、再生機器が販売していない資料については、著作権保護期間内の資料のデジタル化はどこの図書館でもOKで、ただし、館外貸出などはまだする時期ではないという解釈で良いのでしょうかねぇ?

 とすると、丸山高弘さんほど極端ではないですが、次のことなら一応可能かなぁと。

・雑誌に関しては出版者品切れで重版未定な時点でデジタル化する。
(ただし、デジタル化した雑誌は館内閲覧のみ)
※図書も同様にしたいけど、図書だと数年後再刊とかあり得るし。

・利用回数が多くて、痛みが激しくなりつつある児童書をデジタル化しておく。
(ただし、閲覧・貸出は原本で。)
※複本があればページ紛失のときに複製を作っても良いようなのですが、複本がないので、1ページ抜けただけで利用不能になることもあるので、その場合にデジタル化したものからページ複製を作って修理するとか…

・16ミリフィルムやレーザーディスクのDVD・ブルーレイ化
※これは第一段階としては待望ですね。ただ、関係者と協議しないと館内閲覧しかできませんが…

 ただ、こうは書いたものの、損傷・紛失防止の観点からすると、最近話題の雑誌切抜き問題に応用もできるのではないかと思ったりするのですが…

 そうすると、丸山高弘さんではないですが、図書館の全資料をひとまずデジタル化するって考えにもなってしまいますね。もちろん、館外貸出はしませんよ。今のところ関係者の協議が必要ですし。

 もう少し、議論が煮詰まって、早めにわかり易い法改正に繋がればいいんですけどねぇ…ひとまず、たぶん他の人より遅いでしょうが速報的に比較的短めに書いてみました。笑

 これからゆっくり文化審議会著作権分科会報告書(案)を読んでみます。

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