« 『図書館の自由に関する宣言』って… | トップページ | レファレンスを見直してみる »

著作権法31条2!

 どうもこのカテゴリーで、著作権法31条1について、法解釈とか別に現場の解釈的なことを書いていたら、最新号の複写とか時刻表の複写とかそういう検索で、拙ブログを見に来ていただいていることが多いので、嬉しい半面、「間違った解釈していないよな…」とちょっと不安になってみたり。あとで、31条1について自分なりにまとめたいなぁ…

 さて、今回は31条の2について、以前から気にしていたことについて文化審議会著作権分科会での報告案(http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/bunkakai/27/index.html)が出ていましたから、先にこっちを。

 また人様のブログを絡めてしまいますが、丸山高弘の日々是電網  The First. : 廃棄資料のデジタル化は違法/合法?(http://maru3.exblog.jp/7843542/)から、丸山高弘さんは、廃棄図書をデジタル化することについて何度か(廃棄図書のデジタル化...応用編(http://maru3.exblog.jp/7869934/)、やはり、いずれデジタル図書館ができるんじゃないかな。(http://maru3.exblog.jp/7888062/))書かれています。

 これには、基本的には賛成。もちろん、『過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会報告案』しか当時はなかったので、普通の図書館でも可能なのか協議が必要なのかはっきりしていませんでしたから、今回の報告案が出るまで、微妙な解釈でしたがね…(まぁ、出ても微妙な点はありますけど)

 もちろん、全て賛成というわけではありません。寄贈本を受けた先からというのはちょっと無謀な気もしますし、バックナンバーが手に入る状態の時は、そちらを手に入れる方がセオリーかなとも思います。(実際に図書館での保存ということであれば。)

 ちなみに、『過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会報告案』の注の60には『必ずしも廃棄は必要ない』旨の考え方もあるので、色々と考えないといけないことが多々ありますから、原本もデジタルも保存は悪いことではないように思います。

 そこまでいかなくても、今回の文化審議会著作権分科会報告書(案)で気になっていた部分だけサッと目を通すと、P192に国立国会図書館以外の図書館でのデジタル化が『二 図書館資料の保存のため必要がある場合』に当てはまる場合、『その所蔵する資料を複製することができる。』(ここまでは条文にあるんだから当たり前)とあり、その後段の『例えば、損傷、紛失の防止等のためデジタル化することも不可能でなく』と(媒体の旧式化)で『事実上閲覧が不可能となる場合において、新しい媒体への移替えのためにデジタル化することについても、同規定の解釈として不可能ではないと考えられる』が朗報かなぁ。

 もちろん、そのまた後段で『デジタル化された資料を館外に提供したり提示したりすることについては(中略)関係者間の協議によって議論を続けることが必要である。』とありますから、この解釈が微妙ですよね。この『提示』は通常であれば『館外に提示』なんでしょうが、『提示』だけだと館内閲覧もできなくなってしまうからね…

 ひとまず、図書館の所蔵資料で損傷・紛失防止の観点と資料保存の観点から、及び、再生機器が販売していない資料については、著作権保護期間内の資料のデジタル化はどこの図書館でもOKで、ただし、館外貸出などはまだする時期ではないという解釈で良いのでしょうかねぇ?

 とすると、丸山高弘さんほど極端ではないですが、次のことなら一応可能かなぁと。

・雑誌に関しては出版者品切れで重版未定な時点でデジタル化する。
(ただし、デジタル化した雑誌は館内閲覧のみ)
※図書も同様にしたいけど、図書だと数年後再刊とかあり得るし。

・利用回数が多くて、痛みが激しくなりつつある児童書をデジタル化しておく。
(ただし、閲覧・貸出は原本で。)
※複本があればページ紛失のときに複製を作っても良いようなのですが、複本がないので、1ページ抜けただけで利用不能になることもあるので、その場合にデジタル化したものからページ複製を作って修理するとか…

・16ミリフィルムやレーザーディスクのDVD・ブルーレイ化
※これは第一段階としては待望ですね。ただ、関係者と協議しないと館内閲覧しかできませんが…

 ただ、こうは書いたものの、損傷・紛失防止の観点からすると、最近話題の雑誌切抜き問題に応用もできるのではないかと思ったりするのですが…

 そうすると、丸山高弘さんではないですが、図書館の全資料をひとまずデジタル化するって考えにもなってしまいますね。もちろん、館外貸出はしませんよ。今のところ関係者の協議が必要ですし。

 もう少し、議論が煮詰まって、早めにわかり易い法改正に繋がればいいんですけどねぇ…ひとまず、たぶん他の人より遅いでしょうが速報的に比較的短めに書いてみました。笑

 これからゆっくり文化審議会著作権分科会報告書(案)を読んでみます。

|

« 『図書館の自由に関する宣言』って… | トップページ | レファレンスを見直してみる »

著作権考」カテゴリの記事

コメント

極端な丸山です(笑

こんにちは。

廃棄図書のデジタル化に対する発端は、逐次刊行物が保存期間を終了し廃棄される際に、「なんだかもったいないなぁ〜」と思ったのが始まりなんです。
で、実は調べてみたら、昨今の雑誌はだいぶデジタル化が進んでいて、fujisan.co.jpなどのような雑誌販売サイトでは、最初から[デジタル雑誌」を販売されている。こうした資料を購入することができれば、そもそも保存場所の問題で廃棄する対象にはならないんじゃないか...と思ったりもしてます。

またもう一方で、一般図書の廃棄については「廃棄図書のデジタル化受託業務」がビジネスとして成立するんじゃないか...って、思っていたりもします。例えば、複数館から同じ図書のデジタル化の依頼があったら、ひとつひとつ真面目にデジタル化することは、ビジネスとしては???ものですよね。そんな感じ。

また、寄らせていただきます。
では。

投稿: まる3 | 2009年2月 9日 (月) 01:16

> まる3さん
ご本人からコメントをいただくなんて、とても嬉しいです。ありがとうございます!

まる3さんのブログはいつも拝見させていただいておりますが、図書館に関して2歩先、3歩先…5歩先以上を見据えている感じで勉強になります。

逐次刊行物、特に通常の雑誌に関しては、永年保存をしたい自分の考えもありましたから、書庫の物理的容量の限界を見て、ゆうき図書館が羨ましく思ったりしました。(あそこは原則永年保存らしいので。書庫でかいし。)
なので、デジタル化の発想は、是非とも実現させたいことであります。

ちなみに、極端と書いたのは、寄贈本を在籍するか否かのうちにデジタル化の話についてで、その発想で行くと、「読み終わった本、デジタル化が終わったら返却するので、一旦寄贈してください」ってこともできちゃうかなぁと。そして矢祭町のように、寄贈をメインにして「未所蔵の資料大歓迎」となると…
究極には、所蔵のない本を他館から借りて、「一旦寄贈が過去にあった」ってことにすると、ない資料がない図書館が出来てしまうような…って私の妄想もあり、今の現状では行き過ぎかなぁと思い、この言葉を使わせてもらいました。
お気に障られたら謝りますが、私的には目指す方向の遙か先という感じです。

廃棄図書のデジタル事業ですか…Googleとかぶりそうな気もしますし、他館のもやると営利になりそうなので、儲かる前に著作権絡みでお金をがっぱり持って行かれそうな気も…

個人的には図書館の全資料をデジタル化した上で廃棄して、自治体施設および自治体スポットのどこでも端末から図書館を利用できるってのも近未来的で面白そうではありますが。笑

投稿: トーネコ | 2009年2月10日 (火) 02:19

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 『図書館の自由に関する宣言』って… | トップページ | レファレンスを見直してみる »