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図書館における重み付け<その1>

最近思うことを1つにまとめて
・貸出とレファレンス
・常連と未利用者
・正職員と非正職員
のそれぞれについて、『重み付け』ということで考えてみようかなぁと。
(追記。長くなったので<その1><その2><その3>わけます。)

ということで、その1として「貸出とレファレンスについて」いつものようにあちへふらふらこっちへふらふらしながら、ダーッと書きます。

<貸出とレファレンス>
 『貸出とレファレンス』が『図書館の両輪』という話も聞きますが、両輪って…片方を外したら成り立たないものを言うんじゃ…例えば『利用者と資料』とか…利用者に直接貸出していない図書館だってありますし、レファレンスを期待されていない図書館だって(笑)。

 おそらく、図書館の定義はそれぞれでしょうから、異論はあるでしょうが、一切貸出をしなくても図書館は成り立つでしょうし、狭義のレファレンス(事項調査)などが自館でやらなくても図書館は成り立つと思います。

 この『貸出とレファレンス』については、私なんかより、多くの先輩・諸先生方がすでに論じているでしょうから、私が論じる隙間などないでしょう。なので、論点をぼかしつつ…いや、論点はそのままに、自分なりの解釈で言いたいことだけわめきます。

 実際、貸出もレファレンスも情報を利用者に与える点では一緒のことだと思いますけどねぇ…強いて分けるなら与え方の違い?

 今さらながらですが、貸出云々の極端な例として『貸出至上主義』という言葉があって、「図書館は貸出してなんぼ」みたいな風潮があったり、あったり…。
 私の図書館でも利用者が「え~そんなに待つの?ベストセラーをたくさん買えばいいんじゃない」と申していたのですが、『貸出至上主義』=『貸出数をあらゆる手段で増やす』と解釈し、これに反論するときによく出てくるのが『ベストセラー多量買い』ですね。

 もちろん、うちのような小さな図書館でベストセラー本を100冊も買ったら、それは問題でしょうし、そんなことをしたら「そのまま80冊くらいは書架に並ぶよな」って状況ですから(笑)うちではしませんが、大都市で何千件も予約があって1冊ってわけにはいかないでしょ。

 確かにその市に1冊あれば情報はいつか受けられますが、数千番目の予約の方がその情報を受けられるのは果たして何年後?
 レファレンスに例えると、小学生の頃レファレンスとして受けた回答を成人したら回答して説明するようなものかなぁ?と。質問した本人もビックリでしょうね。逆に「覚えていてくれたんだ…」って感激されるかも?
 いくら「図書館は無料の貸し本屋じゃない」とわめいても、実際の利用者の中には確実に「家計節約のため」とか「買うまでもないけど読みたい」とか思っている人もいることですし、先にあげたような考えの利用者だっていますし、そもそも何千件の予約が入ることだって、PR不足だけでは言い切れません。それが一概に悪いとは思いませんが…

 何度も書いていますが、そういう利用者も含めて3割しか図書館を1年間に利用したことがないようですから、図書館のPR不足云々言う前に貸出偏重傾向は一般の図書館認識として大きいような気もします。
 そして本庁的には「無駄が多い」だの「金食い虫」だの、その挙句「受益者負担にできないのか」などと言われ、図書資料費が削減され、新刊やリクエスト本も購入できず、貸出数が減っていく…って状況。
 それを逆手に「予算の減少と貸出数の低下は相関関係がある」と主張もあったりしますけどね。…でも、本当に相関関係があるとしたら、同規模の予算の図書館は貸出数が同じかと言われると…そうでもないような気が…やっぱり一番は図書館の営業努力によるのかも?

 レファレンスに特化した図書館があるのなら、真逆の貸出に特化した図書館もあっても良いのではないかと…
『安い人件費に支えられ、調べる必要のある質問には一切答えず、利用者が持ってきた資料を自動貸出機が無言で貸出をする。』
『図書館に高価なレファレンスツールである調べ物をする資料は一切置かず、その分ひたすら複本に回す。』
『書架に1ヶ月以上置かれてあるものは、すぐに身売りに出し、複本の足しにする。』
『リクエストや予約があればすぐに発注する。その前に、選書って作業すらない。』
もちろん、これをすると利用者が増えれば増えるだけ財政難になることは明白です。そこで…
『図書館のある地域の人しか貸出ができない』
としてみるとか…
他にも『期限が切れたら恐い人が直接取り立て』とか…笑

 おかしいと言っちゃ確かにおかしい気もしますが、蔵書の9割以上が貸出中って状態であれば、施設は大きくなくて良いのですし、建設費の何十億を全て資料費に回せば「あと10年はやってける!」って状態かなぁ。

 まぁ、そういう図書館が出ていない以上、極端に特化されるとおかしいのでしょう。
 逆にレファレンス特化だとしても、都立中央図書館だと個人への直接貸出はしていないくても、協力貸出で他館経由でなら借りられますから、それもしない図書館って公立図書館だと聞きませんし…(私が知らないだけ?)

話が妄想に近くなりつつあるので修正。
ということで(どういうことで?)、図書館創成期(?)ならば、「まずは貸出で人を呼んで」「図書館とは知識の宝庫で便利だと知ってもらい」「国民に賢くなってもらおう」で良かったのですが、どうもそのまま次に進めないで、統計の取りやすい貸出数を図書館の指標として考える人が多いままになっているんだろうなぁ。

某店のオープン時サクラの行列ができる店や自社製品強制買いの会社ではないですが、職員が毎日自館資料を借りて行って、貸出数を伸ばすとかも不可能ではないですがねぇ…笑

 そこで、貸出ばっかりじゃまずいんじゃないかと思い、資料費も減ってきたことだし、それをカバーするように現れたのが、レファレンスの一部だったものが特化されたビジネス支援やなんたら支援。
 わざわざ銘打っただけあり、最近はもてはやされますが、ビジネス支援ってレファレンスじゃないの?「起業するにはどうすればいい?」とか「特許の取り方を知りたい」とか…
レファレンスって各種情報支援のはずですよね?どうも名前が付くことによって別物と化しているような…

 まぁ、ニュース記事によると、そもそも図書館のレファレンス自体『珍しいサービス』だそうで(笑:参照(http://www.tonichi.net/news.php?mode=view&id=27051&categoryid=1))、疑問を持っても図書館で調べることはあっても調べてもらうまでには意識がいかないようです。

 冗談はさておき、レファレンスに関して、レファレンス1件の重みが数値化されていない現状では、簡単なクイックレファレンスも、何週間もかかるような事項調査も、1件は1件。
ついでに書くと、それに掛かる職員の人件費を考えると、レファレンス事例が難しくなればなるほど、1件にかかる費用は大きいです。
 職業的にサーチャーであればそれなりの対価はもらうのでしょうが、図書館職員はその利用者に「ありがとう」の評価はもらえますが、人事的には1件のレファレンスですし、特別手当が出るわけでもないですからねぇ…本来お給料はそれも含めてなんでしょうが。

 もちろん、口コミで「わからないことがあるって?あの図書館のあの司書に尋ねればわかるよ」って評価まで付けば、一番なんですけどね。(これ理想!)

 レファレンスを数値で実績を出すにあたって、これも数値を増やすのはそう難しいことではないような気もします。
「この本どこですか」はよくある話ですが、これだって『一緒にその書架まで調べに行く(またはその書架の案内をする)』ということで、
「ここに行きたいんですけど」という道案内や「午後から雨なんですね」という話しかけにも「○○新聞の予報によればそのように書かれています」も答えれば、いや、クイックで持てる知識から「そうですね」というのも、立派なレファレンスになっちゃうし…定義を狭めるから少ないままなんでしょうが、広くすれば良いのじゃないかと。
以前書いたように、「今夜のおかずの相談も乗ります!」にしたら、増えるかと。

 それと平行して、パスファインダーなり、レファレンスのデータベース化なり、利用者が調べやすいような下準備も着々と図書館で進められています。
しかし、これって、実際には利用者教育が進めばレファレンス自体が無用の長物になるわけです。
つまり、図書館職員に尋ねなくても自分で発見できるのに、わざわざ尋ねることもなくなるということ。
「今計算してみたが、レファレンス数はパスファインダーの充実数に反比例して落ちる。 職員の頑張り過ぎだ!」って言われかねない…笑

 ベストセラーの貸出にしても、レファレンスにしても、予算上の制限がありますから、どうしても限界が出てきます。
 その予算も減ってきている状況ですから、「もう少し借りたい要求に応えてあげたい」とか「この資料があれば回答できたのに」とか思ってもままならないことが多々あります。
じゃあ、どうするか?
1つは、己の不幸を呪って、「予算が云々」と愚痴をこぼし、ない物ねだりをする。
1つは、最大限の工夫を凝らして、貸出とレファレンスを増やす。
1つは、「まぁ、こんなもんでしょ」と現状で満足する。
1つは、見限って、恵まれた図書館に転職する。
まぁ、こんな風に書いたら2つめの工夫しかないのですが…いや、世の中にはもう1つ「根性で自分館を立て直す」っていう人もいますね。
その立て直す気力を維持したまま、館長職などに就く人がいると、その図書館は大きく変わります。
平だとどうも愚痴で終わってしまうような気も…

 話を戻して、貸出における昔からある図書館の工夫に相互貸借があります。
本来であれば、『購入努力をしてすでに購入するのが難しい資料』をお互いに貸し借りしましょうという前提が根底にはあったと思われますが、最近では「予算がないからあるところから借りちゃおう」と横断検索の努力(?)だけして、「県立の巡回車で持ってきてもらおう」という図書館も多いようです。(巡回しているところは。県立の費用は膨大(話によると1千万円以上かかるところも)なので…)
それによって、少なくなった資料費をカバーするのに相互貸借をフル回転させて、できるだけ利用者の要求する資料を用意して貸出をするって手法です。

もちろん、「貸して!貸して!」ばかりだと、「またかよ…」陰口を叩かれることもありますが…それに借りられる館の方でも「広域はまだ良いとしても、どうして地域住民でない人に貸すんだ」って行政のクレームも出てきます。

もう一方のレファレンスでの協力体制を考えると、レファレンスで他館のレファレンスを回答するってこと、県立以外ではあまりないんじゃないかなぁ…
以前も書いた気がしますが、自館の資料やスタッフでは難しくても、県立じゃなくお隣の図書館で某氏に聞けば実は余裕ってこともあるような気がします。
相互レファレンスってあまり聞かない…
業界用語的には図書館協力とか図書館ネットワークとか相互協力なんでしょうか?

これも確立すると「教えて!教えて!」ばかりでレファレンスしない図書館も出てくるかも…

最近のよくある工夫としては「IT化で便利に」となるのですが、以前「(上司が言うように)IT化・機械化が進めば良いってもんじゃない」と、公立図書館でIT化が進んでいる某図書館の人に言われてちょっとショックなんですが、使える人にはより便利になっていることは確かです。(逆に苦手意識のある人は置いてけぼり…)
この苦手意識のある人にどうこの便利を使ってもらうかが次の課題ですね。
最近のOPACだとタッチパネルや見やすいように改良されつつあるけど、ある人曰く、「職員に聞いたほうが早いし楽」。苦手は苦手なんですね…

他にも先に挙げたビジネス支援など新サービスと称した特化型工夫もありますし、パスファインダーの作成やPOPなども取り入れているところも増えてきています。

 ただ、他の図書館が始めたから、うちもやってみよう式では、やれる用意はあっても実績は少ないとか、ニーズに合っていないってこともしばしばあるような気がします。
 もちろん、しっかりした準備と住民全体への周知がされていれば、使ってみようと思う利用者がいると思いますが、まずは図書館がちゃんと認知されないことにはねぇ…
 図書館ってアピール下手な面があると思いますが、ポスター掲示や広報などでは目に入っても記憶に残らないことが多く、必要に駆られない限り、図書館って思い出されないような…

 そう考えると、図書館ってその地域ごとの図書館の発展段階によってやらなきゃいけないことが違うんじゃないかと。
 まずは、図書館を知ってもらう段階、次に図書館を利用してもらう段階、そして、図書館を作り上げる段階みたいに。(中で細かい段階分けがあるつもり)
ある程度、業界的には当たり前だと思われているサービスや業務もされていない図書館だって多くあります。そういうところが指定管理者になると、低い方で普通じゃなかった図書館が普通になるんですから、利用者にとっては良くなるのは当たり前かと。
 いきなり、『ビジネス支援』をやってみようとしても、利用者レベルも図書館レベルもまだなところでは、やはりずれたニーズになりそうですしね。

 例えば貸出至上主義的な運営している図書館の利用者が、「もっと調べられる資料を」という声を出してくれれば、いくらなんでも「調べられる資料は貸せないので」と断固拒否するわけはないでしょうし…(甘い?)そんな感じで、一歩ずつ段階を上げる必要があるんじゃないかと。
 この問題点としては、利用者も「図書館とはこんなもんだ」と思い込んで、その先があるとか別のサービスがあるなんて思いもしないことが多々あり、うちの利用者でも「へぇ~ここの図書館はそういうこともやっているんですね」と言われた(まぁ、時々逆もあり)ことがあるので、そういう状態になったら結局変わらないなぁとも思いますが、利用者側がまだそういう段階にいるということで…

 しかしながら、貸出からレファレンスという順番だと、貸出は資料を貸せば良いので、出来ないってことはないのでしょうが、もし貸出の次にレファレンスがあったとして、「ちゃんとどの図書館も出来ているか?」と考えると、「訊ねにくい」とか「聞いても『わからない』ばかり」とか、他館の利用者からそういう声もちらほら聞きます。

 もちろん、レファレンスでは調べるノウハウの他にも調べられる資料がないと始まりません。(予算もないからある資料でまかなわないといけません。)
で、以前もノウハウについて、ベテラン司書が持つものではなく、その地域の図書館が持つようにする旨を書いたと思いますが、レファレンス担当職員やベテラン司書だけにレファレンスのノウハウがある図書館は、その人が異動したり退職するとノウハウがなくなってしまいます。

 そうすると、指定管理云々というときに出てくる、直営でのノウハウ自体揺らいできます。
若い人に引き継ごうにも、その人も異動があるでしょうし、非常勤なら辞めてしまう可能性もありますから、「私がいなくなったらちゃんと継続できるんだろうか」と疑問を持って、万が一の事故だってあるんでしょうから、ノウハウを図書館のPCにでも溜め込んでいく必要があるでしょう。
 この蓄積されたノウハウが公開されると図書館全体の発展にも繋がると思うんですけどね。レファレンスに限らず、スタッフマニュアルとか、業務手続とか…

 結局、貸出もレファレンスも元を正せば『選書』に行き着きます。
図書館に必要な資料としてベストセラーの複本を選ぶのも、調べられるだろう高価なレファレンスツールを選ぶのも、『選書』です。
 じゃあ、選書はどうやってするかというと、収集方針などがその元です。
本来であれば収集方針はできるだけ具体的にあった方が良いと思いますが、どうも「広く収集する」とか抽象的なような…
 選書ノウハウもまとまってくるとシステマチックに選書が可能になるんですがねぇ。(選書が機械的になると司書いらなくなりそうですが…笑)

 さてさて、いつも通り、長くなるのでまとめに入りますが、『貸出とレファレンス』を論じるとどうもV.S.モードになっているような。
他にも例えば、
「利用者要求に応じたベストセラー複本論v.s.流行過ぎれば書架の肥やし論」
「今は使われなくてもいつか日の目を見るだろう資料購入論v.s.手にとって読まれなければただの死蔵資料論」
「POPを作って貸出を増やそう論v.s.1冊しかない本のPOPを作ったってしょうがない論」
とか、小さなことでも、それぞれ対立する考えが平行線のように言われます。
選書が大事だと思って「10年先、20年先に使える資料を選ぼう」としますがこれだって、「今使われないのが10年後使われる保障はない」と言われますし…

 レファレンスをやれる人材もやれるノウハウも資料もないから、貸出を頑張るのか、数字を取りたいから頑張るのか、その方が楽だから甘んじているのかわかりませんが、表面的に「貸出してなんぼ」というのは根深くあると思います。
 貸出統計じゃなく、資料の手に取られ統計が取れると、貸出偏重にならなくても良いと思いますが、合理化とか作業効率を考えるとね。
 「ならば、今すぐ利用者すべてに叡智をさずけてみせろ!」と言われても無理なんでしょうから、各図書館が段階を踏んで、変化していく時期になってきているんじゃないでしょうか。
図書館と利用者のレベルを表す方法がないものでしょうか?貸出し数が何件だとかそういう数値ではなく、「利用者がこの段階に来たので、図書館としてもレベルアップの必要性が出てきた」みたいな。

 最後に、貸出とレファレンスのその先ってなんだろう…
 貸出以前は、資料があることに意義があって、貸出がバックヤードで人は介在しているかもしれないけど、資料に重みがあり、レファレンスがバックヤードで資料が必要だけど人に重みがある…そう考えると、資料と人の重みの比率が変わってきているのであれば、資料依存が少なく人が中心となるのでしょうか。

 その図書館が貸出重視であろうがレファレンス重視であろうが、利用者が聞きたいことを気軽に聞けて、それを快く答えられる職員がいて、利用者が(わがままでない)言いたいことを気軽に言えて、それを改善しようとできる職員がいれば、きっとその図書館は全く問題がないのですよね。
 シーンと静まり返って質問もしづらい図書館から、多少話し声があっても地域のコミュニティとして気軽に利用できて集まれる図書館という感じでしょうか…
それは来館者数とか数値だけじゃないものなので、それをどうするかが問題で永遠のテーマなんだろうな。

 当たり前のように本を借りられて、当たり前のように調べることが出来て、当たり前のように発展する…そんな図書館でありたいものです。

(上手にまとめられない私ですが、いつも長い文章を読んでくれてありがとうございます。)

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