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図書館の広告と新規顧客の集客

書きかけの内容があったのですが、次のブログを拝読して、「やっぱこっちで書こう」と思ったので、先にこっち。
『丸山高弘の日々是電網 The First.』(http://maru3.exblog.jp/)さんの以下の内容に端を発して
『来館者を増やす ~図書館広告のススメ~』(http://maru3.exblog.jp/8192530/
『新規顧客開拓(図書館の場合...)』(http://maru3.exblog.jp/8200114/

『読書ノートのつもり?なつれづれ日記』(http://d.hatena.ne.jp/yoshim32/)さんでも
『[図書館]新規顧客の開拓』(http://d.hatena.ne.jp/yoshim32/20090422/1240326882
と関連した内容について書かれておりました。
これらに触発されて今回のテーマで。

 まず図書館での広告って何かを考えてみると…『あなたの身近に図書館がありますので、利用しに来てください』って図書館の宣伝をし、新規利用者も含めて利用強化に繋がれば、全て広告なのでしょう。
 確かに、図書館の広告で中吊り広告やTVCMや新聞折込などは見たことがないですけど、広報の親戚みたいなものだと考えるとポスター(有名なところだと、日本図書館協会から委託を受けて作られた錨といるか社のポスター(http://www.iruka.net/fl/library_works/posters.html)でしょうかね。)あたりであれば、よく見かけますし、各図書館、広報誌や便りなどで宣伝はしていますものね。
 他にも図書館バッグにでかでかと『○○図書館』って書いているのも広告でしょう。高級ブランドを買ったときにもらえる紙手提げ袋みたいな素敵なステータスシンボルになる図書館バッグであれば、高い宣伝効果も得られるでしょうけどね。

 広告学(?)の専門でないので、どんな分類になるかわからないですが、媒体で分けるか効果で分けるかというところで考えると。
 紙媒体としては、広報誌、新聞雑誌広告、新聞折込、ポスター、DMなどが視覚に訴える広告。
 デジタル媒体としては、Webページ、YouTube、Eメール、DVD作成などが視覚時々聴覚に訴える広告。
 その他媒体として、中吊りや車体広告などの交通広告は視覚広告で、テレビ・ラジオなどによる放送広告は視聴覚広告で、屋外看板や図書館バッグなどの視覚広告とか、チンドン屋さんなどのパフォーマンス広告(視覚時々聴覚広告?)などでしょう。
 そういや、確か2年ほど前に『米オムニホテル スタバ・米紙と「香る」広告 リピート客増狙う』とか『“香る書店”読者誘う!? 日販、3カ月で効果検証』っていうのがありましたが、嗅覚広告ってのもありでしょうか。

 で、今挙げたものだけでも図書館広告としてどうかについて、考えると…
 広報誌や図書館便りはほとんどの図書館が行なっている広告というか広報ですが、その見せ方はだいたい似ています。で、見る人は見るし、見ない人はやはり見ないのですが、自治体の広報誌をじっくり読むという人は経験則であまりいないんじゃないかなぁと。

 ポスターも利用者から作品を公募して、イベントとして作成し賞を贈ったりする図書館もありますし、自館オリジナルで作って公共施設などに配布という図書館もありますね。
 某図書館を視察した時に、掲示物(飲食禁止とか)がたくさん貼られている掲示板を見て、「これじゃあ、書いてあるってだけで、効果ないんじゃないかなぁ」と思ったこともあり、ポスターは非常に目立つものでなければ掲示場に埋もれてしまっている感もありますから、ポスターを作製するのなら見せ方・掲示場所もちゃんと考えないとなぁといったところです。

 ポスターであれば、イベント的であったり、プレミアム的な方が集客には適しているんじゃないかなぁ?
 個人的には、図書館職員が自分の図書館のポスターを作る内輪部門と日本図書館協会のポスターみたいなものを一般公募する2パターンの『図書館ポスター大賞』なんかが大々的に開催されると良いなぁとは思いますが、ライブラリーオブザイヤーもそうですが、どうも一般認知は低い気がします。

 新聞雑誌広告や折込チラシについては、支出に見合う効果がない気がします。というのも、ポスターや掲示物などもそうですが、目に見えていてもその時の自分の関心が違うところにあれば、記憶に残らないという点で。
 というのも、図書館の利用券作成時の利用案内にも図書館カレンダーにも館内の入り口にも開館時間は説明し、見えているのですが、よく利用してくれる利用者でも「あれ?何時から開館だったっけ?」とサマータイムとかでずれたり曜日や季節によってずれることがないにも関わらず尋ねてくるケースがよくあるからです。

 DMはその形態であれば、先ほどの新聞雑誌広告や折込チラシに似ているのですが、自治体広報と一緒に図書館便りを送るというのが手法的に近いでしょう。
 公立図書館ですから、町内会の回覧にも載せてもらえることだってあるでしょう。
 地域住民への伝達というのは、各戸配布の手段も気軽に使えるので、図書館にとって案外楽なものかと思われます。(でも来ないんですよね?後段で書きますが。)

 Webページ広告なんかは自分の館のページを持っているのが中心かと思われますが、情報発信の仕方としてトップページにあらゆる情報を載せた方が良いのか、あまりリンクが深くならない程度でトップはシンプルな方が良いのかは以前考えて書きましたけど、広告としては、自館ページにアクセスされた時点で、すでに何かしらの宣伝効果によるものがあるので、純粋に広告となるようなものであれば、他ページへの掲載広告や検索結果ページの広告になるでしょう。

 で、例えば、お金を度外視して、所蔵資料の図書を普通にGoogleなどで検索した時に(例えば『ハリー・ポッターと賢者の石』と普通にGoogle検索した時に)、一番上の広告欄に「この本はうちの図書館にあります。読みたければクリック」と一館だけあれば、近隣の住民であればクリックする(広告効果あり)でしょうが、例にあげた本だと何百何千の図書館で所蔵しているのですから、ずらずら出てきても本当はただその本を買いたい人などにはいい迷惑ですし広告効果は薄いでしょう。

 YouTubeやDVDのように、図書館の宣伝動画の作成は内容としては各館でやると面白いですよね。
 ただ、業界的に面白いということで、それを見てくれる人ってどうなのでしょう?
 ふら~っとそこに辿り着いて、見て、「あ~この図書館に行きたいな」って思う確率を考えると…う~ん。

 ここまで考えると、広告って、埋もれちゃうと効果ないんだなぁと。当たり前だけど。
 そうすると、人の多いところで他のポスター掲示のない目立つところにポスターを貼ってもらうとか、白黒の回覧の中に突然カラーだとか、各戸配布物として配るのが、今のところ図書館の広告として有効そうなところ。あとは住民参加による図書館ポスターや標語云々が一部住民に偏りそうですが、小さなニュースにはなりそうなところかな?

 引き続き考えると、中吊り広告は、移動時間で暇な時、顔を上げるとあるイメージで、通勤時間が長い地域性のあるとことだと、大学入学案内みたいな感じで図書館案内というのもありでしょう。

 車体広告も、ラッピングバス程度大掛かりであれば、他のバスと差別化ということで、効果ありだと思いますし、どうせなら、「移動図書館車を目立つ車両にしちゃえ」って感じですね。

 テレビ・ラジオはローカルであればまぁまぁの効果は得られると思いますし、ラジオなら、ミニ局を作ってというのも面白いかなと。

 『香る書店』に対抗して、『香る図書館』だとかは広告というよりリピーター狙いなんでしょうね…BGMの流れる図書館があるように、香る図書館って面白いなぁと。逆に広告効果云々だとしたら、新刊本の香りとかインクの香りとかでしょうかねぇ?あくまでも黴臭い香りは嫌ですけど。笑

 色々考えていく中で、図書館における広告の位置づけを、『図書館自体の認知』『図書館サービスの認知』『新規利用者の開拓』『リピーターの集客』と考えてみると…
図書館そのものやサービスについてであれば、日図協あたりがTVの政府広告みたいなので、広告すると良いでしょう。
 あとは地域住民サービスが主なのですから、地元スーパーなどへの各館によるポスター掲示と各戸配布物が効果的広告になると思います。
 もちろん、やる気があれば、画一的な『行政文書』ではなく、手書きで思いを込めて「開館して○年、一度も利用されていないあなたに是非こういうサービスがあるので利用してもらいたい」とか「ここ何ヶ月かご利用いただいていないのを寂しく思います」的なお手紙を地域住民全員に送ると、素晴らしい広告効果になるような気がします。

 で、前段はこのくらいにして、タイトルの後段の新規顧客の集客について。(相変わらず長いです。笑)

 何度もこのブログで『第62回読書世論調査の中で『7割図書館利用しない』』って話(例えば『ターゲットはどこに?』(c-town.way-nifty.com/blog/2008/11/post-e283.html))をあげていますが、「広告によってその7割のどのくらいが来館することになるのだろう?」と少し懐疑的です。
 『ターゲットではどこに?』でも書きましたが、食わず嫌いはともかく、必要としない人をどうやって…と悩むより今来ている人が3倍来るような図書館にする方が、口コミ的に新規利用者を獲得できるような気がするのは変わりません。

 でも、それだと後段は『以上』になるので、別視点で。
 先ほど、地域住民への伝達において各戸配布がしやすいということを書きました。
地域住民の目には『○○図書館』という字は目に入っているでしょう。その中の何割かはパラパラとめくって読んでくれていると思います。

それでも来館者が増えないのは、
1.42%「忙しくて利用する時間がない」
2.21%「図書館が近くにない」
3.17%「貸し出しや返却手続きが面倒」
4.10%「読みたい本や雑誌がない」
5. 4%「開館時間が不便」
ということを実現されていないからというのも一理あります。

 でも、時間が出来たから、開館時間が延びたから利用が爆発的に増えたり、利用率9割になるかと考えると『ない』ですし、意識が『図書館は本を借りて読むところだ』で、良くて『レファレンスという調べ物を手伝ってくれるらしい』程度なのですから、「読みたい本がない」「インターネットで自分で調べるし」という人は来ないでしょう。
 そうすると、広告する部分としては、『うちの図書館なら、こんなことが出来ます』部分を目立たせる必要がありますね。

 一見さんでもひとまず来館者を増やすということで、有名人の講演やイベントを連発するのも悪いことではないと思います。でも、見ていると来館はしたもののそのイベントだけが目的で顧客(長期的利用者)にならない場合も多いような気がします。
 その時記念に利用券を作るけど、登録しただけで利用はない人もいるし…

 登録だけであれば、ブックスタート時でも良いのですが、出生届を受理した時に「おめでとうございます」って図書館利用券を…いやいや、母子手帳をもらうときにでも良いかもしれませんし、入園入学時でも…えっと、転入届が出されたときでも、利用券を配れば増えるでしょうね。
 その上を行くとすると、それこそ各戸配布的に利用券と案内を配布すれば余裕で100%!笑
 上の3番なんて、「行くのが面倒」ってのもあるけど「登録手続き(記入するの)が面倒」なのでしょうから、いっそ配布しちゃえば。(途中からだとやれ個人情報云々ということがあるから、未設置だったところに図書館が出来た時とか…)

 …と、当たらぬ鉄砲数打ちゃ当たる戦法を考えたら、ベストセラー大量購入並みに虚しくなりました。笑

 もちろん、他の付加価値を付けて利用促進という手も同様にあります。
 例えば、『利用冊数○冊ごとに1ポイント(エコポイント?(笑)まぁ、商工会のポイントとか)』とか『図書館利用券の提示で地元スーパー○%引き』だとか。
 元が無料サービスがほとんどですから、図書館広告のチラシに『無料レファレンスサービス券』(有料データベースで料金取るのなら有効かも?)とか『もれなく貸出期限1日延長券』や『もれなく貸出冊数1冊増量券』とかあっても、新規顧客向けにはあまり効果ないかもしれませんが、これらはリピーター促進には有効かもしれないですね。

 でも、やっぱり、私としては、純粋な図書館サービスで勝負したいですね…
 そうすると、病院図書室への図書の貸出とかそういうありきたりなところに落ち着いちゃうんですよね。

 そういや、カレントアウェアネス・ポータルで『OPACに、利用者と図書館員は何を求めるか?-OCLCが報告書を刊行』(http://current.ndl.go.jp/node/12684)って記事があって、
・その資料がニーズに合っているかどうかを決定する際、エンドユーザーにとて最も重要なのはメタデータの要素となる。
・適切な資料の特定を支援していくれるOPACがエンドユーザーに求められている。
・業務を支援してくれるようなOPACが図書館員に求められている。
という結果が出たそうですが…当たり前じゃん。

 利用者にとっては勘違い検索でも欲しい本に当たると良いですし、図書館員にとって「これこれについて書かれている本」ってだけで目的の本が出てくるとレファレンスが楽ですし…
問題はそれをどう実現するかなんですよね。

 OPACに限らず、図書館自体で「自分ニーズに合っている資料や情報を面倒なこと(例えば職員に説明することすらも)がなく手に入れられる」のは利用者の求めだろうし、そういう素晴らしいサービスができれば、小手先のことで悩まなくても口コミなどで新規利用者は増えると思われますがどうでしょうか??

 ということで、今日のまとめ。
 図書館の広告は、新規顧客を得るためには先進的に「あっこんなとこに広告が」という話題性を重視させるか、広告を作るというよりは「どう見せるか」に重点をおき、印象の残る広告にするとか、公のメリットを生かして各戸案内をするのが、「あ~図書館に行ってみようかな」と思わせる広告で、新規顧客を増やすためには、手書きの手紙を出すとかの心のこもった(?)営業努力も必要ですし、個人的には利用していない人が利用している友人に何かを相談したときに、「それなら図書館に行くと良いよ」って言ってもらえるようなサービスを行なうことによる口コミ効果を狙った方が良いんじゃないかなぁと思った次第。

 と、ここまで書いてから、『丸山高弘の日々是電網 The First.』を再び拝見すると、『図書館歌』(http://maru3.exblog.jp/8207444/)ってタイトルがありました。
で、書き漏らしていた広告に気付きました。
歌の広告です。
CMソングで頭からこびりついて離れないものってありますよね。
スーパーなどで流れていた『おさかな天国』とかも歌が印象に残る効果がありますので、図書館の歌で印象に残るものができれば、立派な広告・広報になるでしょう。

図書館の歌といえば、『地上の星』の替え歌バージョンが思い出されるのですが…笑
(知っている前提で、ここでやめようと思ったけど、気になって夜も眠れない人がいるかもしれないから、一応何に載っているか書き留めておきます。『図書館人としての誇りと信念』(伊藤昭治古稀記念論集刊行会/編 ,出版ニュース社,2004.2,4-7852-0110-X)の中の『図書館員の心意気』(二井治美 著)をご覧ください。読んだ当時、私自身大ウケしていたので…笑)

いっそサブリミナル効果付きの図書館歌を流すってのもありかなぁ…(笑)

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