« 予約とリクエスト…ようはすぐに手に入らない資料のこと。 | トップページ | 図書館におけるインフルエンザ対策 »

低きに流れる??

先日の『県立図書館の行方』のエントリーで、色々なご意見をいただけました。同僚だとそういう話をしてもそういった意見が出ませんから、小さな図書館にいる私としては色々と勉強になりますし、とても嬉しく思います。個別にはお礼は難しいですし、トラックバックも今のところ受け付けていないですし、おそらく全てを拝見しているわけではないですが、戯言のようなこのブログを読んでくださっている皆様、ありがとうございます。

さて、その中でyoshim32さんの『読書ノートのつもり?なつれづれ日記』のエントリー(http://d.hatena.ne.jp/yoshim32/20090507/1241672714)でも、取り上げていただいて恐縮および感謝していると同時になるほどなぁと思った部分から話題を展開しようと思います。

都道府県立図書館と言っても、おそらく市町村立図書館のように『どこも同じ』ということはないでしょう。
なので、同様に、首長もしくは都道府県教育長の考え方次第で、いわゆる図書館行政が異なるかと思われます。
そうすると『県立図書館の行方』での極論である『市町村立図書館の県立化』をしてもyoshim32さんがおっしゃるように『県全体が停滞なんて可能性もあるよ。』は現実的な意見だと思います。

例にあげられている先進的町立図書館(A図書館)とそうでない図書館(B図書館)があって、合併したときに、A図書館がサービス低下し、B図書館が変わらないということは確かにあると思いますし、私も聞きます。

どうしてそんなことになるのか…
今日はそれについて思うことを書いてみようと思います。

『予約とリクエスト…ようはすぐに手に入らない資料のこと。』で書いたレベル云々で考えると、A図書館がレベル5-1で、B図書館がレベル2だとすると、レベル5の手法を2でやろうとしても、その需要すらないので、内部的には「需要もないし無駄なんじゃない?」となるでしょう。

なので、A図書館のメンバーがB図書館に行っても一気にはレベルは上がりません。
A図書館のレベルが下がるのは、おそらく、A図書館の主要メンバーがいなくなったということが考えられます。
感覚的にも館長もしくは副館長レベルが音頭取りをしている図書館は新しいことなどにも積極的です。
もちろん、その部下達だけが頑張っている図書館もあるのは知っていますが、特定の人が身を粉にして情熱的にやっている事が多いか、上司が大らか過ぎで、部下のやることに口を挟まないかというパターンかな?

どちらにしても、その中心の人がいなくなると、普通は一気にレベルが低下します。
今の例だと、A図書館に元B図書館の上司や年配者が上を占めていると、そういうことが簡単に起き得ます。

このレベル低下の理由は簡単です。
おそらくどこでもそうでしょうが、事務引継ぎというのがあるでしょう。
なので、事務は引き継がれますが、肝心の考え方やノウハウは実際には引き継がれていないことが多々あります。(ついでに書くと、事務引継ぎは細かい事務は引継ぎされていないことも多々あります。)
もっと言うと『志は引き継げていますか?』。

A図書館で、ちゃんとやっていることを引き継げていれば、事務的にでも現状と同じサービスはしばらくはできます。
でも、「なんでこんなことしているのかなぁ」って思いながらでは、新たなサービスなどは考えもつきませんし、「需要なさそうだし、近隣じゃやっていないし、やらなくていいか。」って消えることもあります。
A図書館で主要メンバーが残っていたら、異動してきた人は渋々ながらも付いて行こうということになり、おそらくサービス低下はほとんど見られないと思いますが、こういう合併後の人事って、私の知っている限りですが、良い図書館の中心的人物は能力を買われ異動するパターンが多い気が…。

B図書館では、若くなくても、異動先に行けば、異動前と同じ勝手ではできませんから、しばらく様子見するでしょう。(私は赴任初日から上司と些細な言い争いをしたのですけどね…笑)

で、B図書館はもれなく年功序列型・前例主義型でしょうから、B図書館で「いや、そんなことは今までしていないし、そういう需要もなかったから」と言われておしまいのような気がします。

そんな中、唯一目論見どおりに行く方法としては、A図書館の先進性が館長の音頭取りによるものである場合で、合併後、A図書館を中央図書館とし、B図書館の分館長は中央図書館長より下の立場におき、引き続きA町立図書館の館長が中央図書館長として君臨するパターン。
もう1つは、図書館に対する情熱の塊のような人がいて、館長などが一目を置いているパターン。

そういう成功パターンをあまり聞かないって…笑
そりゃそうでしょう、館長が音頭取して先進性を実現している図書館なんて数少ないですし、往々にして、市と町の合併でB図書館タイプの市立図書館とA図書館タイプの町立図書館という形が多いですもの。合併するとどうしてもB市立図書館が中央館になるでしょうし。
もう1つのパターンだと凡人の私なんかは真似できないほどパワフルな方がいる場合が時々ありますね。きっとその方が音頭取りとして機能しているのでしょう。

個人的には、図書館の特殊性から、市役所のような年功序列型の職場より、『上司1、あとは全員対等』型の職場の方が良いと思っています。意見も言いやすいですし、共通意識も持ちやすいですし。
もちろん、年功序列であっても、素晴らしい館長が音頭取りをしていれば、いいんですけどね。

で、B図書館型市立図書館、A図書館型町立図書館のような形が起きるのかと考えると、上司が出来た人でなければ、小さな図書館の方が『上司1、あとは全員対等』型になりやすいからで、大きくなればなるほど、年功序列・前例主義型の年配職員の圧力に負けてしまうパターンが多いのではないかと思います。
公立図書館の多くが各自治体で運営されているので、お役所意識の上司も多いですし『上司1、あとは全員対等』の実現は難しいです。
どちらかというと、教員集団(もっとも、先輩・後輩・ベテラン・若手の序列型の学校も多々ありますけど)が近いかなぁ。
教務主任・生徒指導主任・進路指導主任などがいますが、上司的なのは校長・教頭で、あとは平職員みたいな…
まぁ、どちらにしても、若手・ベテランの別なく意見を言い易い環境であれば、一番です。

それが難しいので、では、図書館的に素晴らしい館長およびそういう館長になれそうな人材はどのくらいいるでしょう?
そう考えると、リーダーシップを取れる素晴らしい館長なんて全自治体に配置できるほどはいないでしょうし、数が少ないのでしょうから、そういう人を都道府県立の館長に据えると、yoshim32さんの条件『リーダーシップを誰かがとらなければ』もクリアできます。

実際、そういう館長のいる図書館であれば、県立化など図書館合併しなくてもやれているんでしょうが、その影響力をその館だけでなく周辺図書館でも発揮できる状況になっていれば、人件費削減云々の指定管理者制度の時は「あそこの図書館でもやっているんだから」と鵜呑みにして強制をする割に「隣の自治体の図書館が何をしようが、うちはうちなんだ」と他館の状況を伝えても無視を決め込む行政職員がいたとしても、図書館としてはその館長下サービスを向上できることになります。

もっとも、素晴らしくない図書館長が、牛耳ってサービス低下するのも否めませんけどね。まぁ、『れば・たら』言っていたらいつまでも堂々巡りですけどさ。

ところで、私の勤めている館は小さいです。部下の話をちゃんと聞いてくれる上司であれば、私の意見がそのまま新サービスになります。
が、私という人間は1人ですから、あれもこれもやりたいけども、自分自身に無理をしないように考えれば、やれることは限定されます。
もし、私が能力の高い人間で仕事一筋の人間だったら、10やりたいことの8くらいはできるかもしれませんが、1人でやれる量は現状3~4かな?
で、せめて、5~6は実現したいときには、同僚などにお願いするという手法があります。
でも、同僚も何もしていないわけではないですし、能力いっぱいの仕事をしているのに、「あと2やってね」は難しいですし、思いついたのが私であれば、私に説明義務があって、作業手順から説明しますが、相手に「それがどうして必要なのか」「どういう効果があるのか」について疑問があるようであれば、やってくれても能率が悪いことになると思います。
そうなると、それを納得させる・やる気にさせるのにも私は尽力する必要が出てきます。それにも時間と労力を割かないといけないんですよね…

ついでに書くと、私自身、できるだけやり方をファイルに残そうとはしているので、倒れても誰かがやってくれると信じていますが、引継ぎでなく、万が一の時は、そのファイルの存在に気付かれないこともあるでしょうし、もし見つけてやってくれてもおそらく面倒なことはそのうちやってくれなくなるでしょう。そうすると倒れてもいられなくなりますね…笑
突然変なことを書きましたが…

低きに流れるのは人間ですから、楽な方へもちろん流れると思います。
ノウハウや志がどこに定着しているかが大問題なんじゃないかなぁ?
何度か書きましたが、ノウハウがその職員1人に定着しているのであれば、その人が不慮の事故でいなくなるとか、異動でいなくなると、また最初からになります。
志も受け継ぐ人がいなければ、例えばその館長が退職されたらもれなくサービス終了となります。
事務引継ぎって1度だけされたことがあるけど、書面が1枚程度でしたから、その人が経験してきたノウハウは受け継がれずに、私が最初から試行錯誤してきた反省もあるので、ノウハウなどの継承についてはとても気になります。

もちろん、運営ノウハウなどは図書館ノウハウとしてちゃんと蓄積され新しい職員にもちゃんと根付くようにしていくのも重要でしょう。
それと、住民や利用者にも「うちの図書館はこういう部分が自慢だ」とか「図書館サービスとはこのレベルなんだ」と、その志の種を蒔いておくと、低きに流れそうな時に、「それはこの図書館には相応しくないんだ。もっとこうしてくれ。」と意見が出てくるはずです。
(もちろん無視してくるB図書館的な人もいますけどね。)

最終的には、司書資格云々より、どうやって図書館を良くしていくか志の高い人が集まれば、自ずとサービスは向上するでしょうが、低きに流れるのは、職員が突出したサービス展開をしてしまい、利用者育成が付いていっていないか、情熱をたちどころに消してしまう、火消し上司がいるからなんじゃないかなぁと、まとめ。

空気が読めない職員も確かにいますが、図書館の醸し出す雰囲気…例えば、工夫を凝らした書架配置だの、お手製グッズだの、蓄積された公開情報やノウハウがあり、利用者が慣れた様子で今までどおりのサービスを要求している雰囲気を感じられるようにすれば、低きに流れるということはないんだろうな。

最後に、補足として全くの蛇足事で話を終えようと思いますが、かつてあった県立主導の中央図書館制度について。
当時の状況からすると、図書館としては黒歴史として封印したい面もあると思いますが、図書館令施行規則の7条の『(6)図書及図書館用品ノ共同購入ノ斡旋』ってちょっと魅力を感じるなぁ…
他は大体図書館法に引き継がれているのに、図書館用品の共同購入も残っていれば、良かったのに…笑

|

« 予約とリクエスト…ようはすぐに手に入らない資料のこと。 | トップページ | 図書館におけるインフルエンザ対策 »

私的視点」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 予約とリクエスト…ようはすぐに手に入らない資料のこと。 | トップページ | 図書館におけるインフルエンザ対策 »