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2009年12月の2件の記事

あらゆる資料要求にこたえ…れる?

Imamuraさんのブログの『図書館はリクエストがあっても新刊しか購入しない?』(http://d.hatena.ne.jp/Imamura/20091220/library)というエントリーが気になったので、いつもながら、私の長い一言。

まず、前提として、この出てきた図書館を擁護する気はありません。
でも、そういう話はよくあるなぁと。
実際に、その図書館の人間ではないので、その館の内情はわかりませんけど、私の持っていた疑問とも符合する問題なので、とても興味深く読ませていただきました。

図書館側のリクエスト提供不可理由はこの記述によると、
A.県内で所蔵していない
B.発行から2~3ヶ月以上経っている
C.自費出版だから

で、Imamuraさんの疑問は
a.1年半前の出版物だし、県内にないからこそ買うべきでは?
b.自費出版に対する差別では?
c.市民のリクエストに対し図書館が一律に判断することではないのでは?

この状況から判断すると、私の予想ではこんな流れだったんじゃないかと。

1.Imamuraさんからリクエストを受けた。
2.自館には所蔵がなかった。
3.県内他館から相互貸借で…と検索。なかった。
4.一応購入検討をしてみる。
5.でも1年半前に出ているし。(1年半どこの図書館でも購入してないし。)
6.一般流通してなさそうだし。
7.うちの館で需要は多くなさそうだし。
8.なので、提供不能ということで。

1と2はいいですね。
3はおそらく県内で相互貸借資料運送車が動いているのかもしれません。なので、利用者の送料負担を軽減しようかと、まず県内図書館を横断検索などしたかと思います。
4はその図書館の規模によって違うでしょうが、選書委員会とか、購入選定会議とかで俎上にあげます。
5は1年半前ということは、逆にImamuraさんがリクエストするまで、1年半県内のどこの図書館でも購入されなかったということです。
6は自費出版と図書館が言っているので、図書館側ではそう感じたんでしょう。でも、実際、このリクエストされた資料は例えばTRCの新刊全点案内でも1567号に載っていますので、一般流通はしているものでしょう。
7はImamuraさんという需要はあったのですが、おそらく図書館側の思考的には「なんかコンピュータ系の専門書っぽいよな…」があったんじゃないかと思われます。
で、8という残念なお知らせがImamuraさんに届いたのかと。

『図書館』という理想というか理念的には、国民の知る権利を保障する機関だとかありますけど、現実論としては、予算をはじめ様々なしがらみ(?)があって、実は保障もままならない状況であったりします。

多くの図書館のリクエストサービスの項を読んでみるとわかりますが、「ただし、提供できない場合もあります」的な書き方をしているところもあるのは周知の事実です。
もちろん、今回の例ではなく、絶版本で買えないとか貴重書で相手館から借りられないとか、そういうことが本来の意味ではあります。

でも、本来と異なっていることはたくさんあります。
例えば、先に挙げた他館との相互貸借。
本来は「自館で購入検討し、購入ができない場合に所蔵する館に申し込む」という原則が本来です。
でも、実際、「出版後○ヶ月は相互貸借に回しません」という制限がない(つまりその図書館が受け入れたら、他館はその図書館利用者が借りていなければすぐにでも相互貸借依頼を出せる)図書館に、出たばかりの話題の本やライトノベルをはじめ、高くもない新書など、どんどん相互貸借依頼が届くのが現状です。(うちの県内だけか??)

もう1つ実際の話。
他の県の県立職員さんとそこまで話をしたことがないのでわからないのが申し訳ないですが、私の所蔵している県立図書館での対応ですけど、市町村立図書館から購入リクエストを送ることができます。
市町村立図書館で「うちの館だと購入はちょっとなぁ」となったのであろう図書があげられるんでしょうけど、(うちも何回かリクエストしましたが)「県立図書館では検討結果これこれこういう理由で購入は見送ります」と回答が返ってきます。
そういうことがどこかの県立図書館であることを知ったら、Imamuraさんは憤慨するでしょうね。「県立図書館なのに」と。
もちろん、その例に挙がった図書館とは違い、県立図書館の回答はもっともらしい回答です。でも、うちであげたのも、実は出版されて2~3ヶ月の新進気鋭の芸術家の画集だったり、有害図書指定された『完全自殺マニュアル』ではないですが、危ない香りのするものだったりするのですけど…(何も図書館に入れちゃいけないというわけではないです。そこは誤解なきよう。)

で、それを踏まえて、Imamuraさんの疑問に対し、私の考え。
bは、その図書館の答え方がおかしいと思いますので、賛同します。
購入するしないは別にして、うちみたいな小さな図書館でも、入手手段と内容検討をして、良ければ買います。
もちろん、聞いた話だと、自分の書いた本をわざわざ購入リクエストする方も世の中にはおられるようですけど、内容如何かなぁと思います。
ただ、実際問題がいくつかあって、例えば、自治体の規則で「購入は登録業者から」とか「図書館の図書は地元書店で」とかルールがあることがあります。
となると、本当の意味で自費出版の資料は著者に自治体への登録してもらってとか、一般流通していないので、書店さんが個人的に購入してもらって、とか、ちょっと一手間かかることがあります。
それをクリアしても、送料を価格に含めるか、別に送料分の請求書を送ってもらうかとか、請求書の書式はこのようにとか、個人で買うより案外わずらわしいこともありますから、難しい顔をする図書館はあります。(でも、書いたように、良いなと思ったら買うところも多々あるはずです。)

cは、図書館業界としては、…そうですねぇ~、『図書館の自由に関する宣言』でも『国民のあらゆる資料要求にこたえなければならない。』とありますもの。
そこが私の疑問でもあり、図書館員のジレンマも少なからずあるかと思います。
限りある少ない予算を1年掛けてどうやりくりするかという命題がまずあります。
図書館は『国民のあらゆる資料要求にこたえなければならない。』ということから、自治体住民のリクエストをどんどん購入すると、パンクするのは目に見えていますし、そう簡単に予算は増やしてもらえません。
逆に、BL問題なんか「図書館は『国民のあらゆる資料要求にこたえなければならない。』なんだから、問題ないんだ!」って業界的には思うのでしょうから、そんな発生しないはずなのに、別の住民の声などで、上の方からバタバタして(下は上司に従う義務が公務員にはありますし。)問題となってしまうこともあるということを考えると、私も疑問を抱いてしまいます。
また、図書館の選書は、一言で書くと難しい(私も結論が書けなかったし)のですが、色々なことを考慮して行っているため、リクエストに対しても、蔵書構成やら何やらを考えると、購入しないことを選択する図書館もあるだろうな…
(どこぞやの図書館ではリクエストは何人かリクエストがない限り、購入しないとしているみたいですし…)
それらを考えると、『一律に』判断するのは確かに変なところもあると思いますけど、『判断』はリクエストに対し図書館はしている現状がありますね…。

で、a。
言うなれば、県立図書館に購入リクエストを送って、断られたうちの館の気持ちと一緒なんでしょうね。私も「県内にないんだし、県立だろ?」と思わなかったかと言えば嘘になりますし。
でも、極端な例だと、自治体内のある医者が図書館に専門書をリクエストして、値段もそんなに高くなく、出版されて1ヶ月もしていない場合、市町村立図書館でどのくらいの館が買うでしょうか?
図書館は「専門書だし、それを読むのはその医者くらいだなぁ」と思って、買わない図書館は案外少なからずあると思います。
また、コンピュータ系で、それほどマニアックでない資料だとしても、県内で1~2館しか所蔵がないものがたくさんありますから、少しUNIX系となると、ある種壊滅的所蔵割合だったりします。
そんなことを考えると、うちでそのリクエストが来た時、どうかなぁと悩みますね、たぶん。
どこぞの図書館でないですが「リクエスト対象本を図書館購入検討会議で所蔵しないと決定したため」という理由が付いて購入しないかもしれません。


さて、じゃあ、その図書館の対応が悪くなかったかという面で考えると、私の考えは、「もっと努力しましょう」です。

今、上記で書いたのは、どうして購入できないのか、という側面。
購入するかしないかは図書館の収集方針などもあるので、それはそれ。
うちも購入しない確率は低くないと思いますし。
でも、購入しないから提供できないは、ちょっと違うんじゃないかなぁと。

おそらく、その図書館は、県内の所蔵しか調べていなかったんじゃないかなぁと。
実際、国立国会図書館では所蔵していますし。
うちの県でも所蔵はなかったのですけど(え~もしかして、うちの県内の図書館じゃあるまいな。笑)、他では墨田区立図書館などで見つかりました。(県立で持っていないとこも多いことは実感。)

となると、対応的には、「送料負担になりますけど、県外や国立国会図書館からお取り寄せできますが?」(図書館によるけど、うちは借受館が往復送料負担することになると思う(そこまでの需要がないので県外借受の実績なし)ので、うちの場合は利用者にその送料を負担してもらう予定))というのがなかったのがすごく残念。
まぁ、所蔵してる相手館が「県外の図書館への貸出規定がないので」と断るパターンもあるでしょうけど、新刊で4000円かかるよりは安く済むでしょうからね…

残念ながら購入できなくても、提供可能性くらいは提示しようよ、と思った次第。

それにしても、普通に紀伊国屋書店などでも買える本が自費出版…って、もしかして、検索できなかったのかねぇ???

ところで、これに関連するけど、全くの別件2つ。
・この例にあがった資料、DVD-ROM付きだけど、動画となるものはない?アニメーションGifも。
・TRCの新刊全点案内ではストックブックではありませんでした。なので、その数ヵ月後に出るストックブックの購入数一覧には載っていなかったような…(見落とさなければ)
(で、TRCに提案、載せてあるもの全ての買われた数を載せて欲しい、もっと言えば、これは不可能でしょうが、購入した図書館がわかるといいなぁ…例えばTooliで所蔵館が見れたら、県外の横断検索とかやる手間少し減るし(もちろんTRC以外もあるから必要なら横断検索しますけど))

最後に、うちで県立への購入リクエストが通らなかった本のその後ですが、やはりうちでも購入しませんでしたが、所蔵してる県外の図書館を紹介したら、「今度その図書館の近くに行くから」って言われましたので、利用者的にはベストでないけどベターな状態で応じられたんじゃないかと…はい。

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この2ヶ月の中で一番興味を引いたこと(『図書館員大賞』始動か?笑)

約2ヶ月も書いていませんでしたね…久々の更新。
正確に書くと数本書くには書いたけど、気分的にネガティブな文面(愚痴とも言う?)でしたので、まぁ、そんなのは読みたくはないわな、この年の瀬押し迫っている時に。

10月末から12月にかけて、図書館の変革になり得るかなぁということが多くあり、これから来年度に向けてどう変わっていくのか興味が尽きないところですが、私自身は未だにどちらかというと現実逃避…笑
そういや、『Future Librarian 全国図書館大会U40プレミアセッション』にて全国12都市の会場の参加者数が公表されていましたが、参加者の都道府県別はないかなぁ?と。
というのも、私の周りだと、「へぇ~そういうのがあったんだ」と、『あ~知っていたら参加したのに』という感じではなく、どちらかというとスルー気味の人も多く、なんとなくモヤっと。
たまたま私の周りがそうなのか、わかりませんけどね。

他にもリポジトリの話とかnext-lのEnjuの話とかしても「何それ?初めて聞いた」って人も多く、私の説明の仕方が悪いのも多々あると思うのですが、どうも「ふ~ん」程度。
だからといって、百歩譲ってシステムとかコンピュータの話を抜きにしても、「あの館でそういうことをやっているのなら、うちもやってみよう」的な関心が低い人も多いなぁという実感。
もちろん、自治体の行政職員で図書館に異動してきた人だったり、その館でずっといるパートさんだったり、諸事情が違うとは思いますがね…
そういうのを考えると、「平均的図書館員(眼鏡をしていてエプロンして…って格好ではなくて)ってどうなんだろう?」
終いには、「平均的図書館ってどんななんだろう?」と考えてみるのも面白いんだろうな…と。

ということで、最近は現実で直面している面白くない問題からの逃避で空想にふけったり、ちまちまとプログラムを打ったりしています。

ほんとこの約2ヶ月は全国図書館大会やら、図書館総合展やら、イベントもたくさんあり、著作権法的なとこでは著作権法施行規則改正関連のパブリックコメント募集がひっそり出され、あっと言う間の締め切りだったり、話題に事欠かない2ヶ月だったなぁと。
なのに何も書けなかったのは失敗だったかも?

気にしていたイトーヨーカドーの子ども図書館も沼津で(子ども図書館:「イトーヨーカドー沼津店」内、閉館 市がJR駅近くで再開へ /静岡(http://mainichi.jp/area/shizuoka/news/20091217ddlk22100196000c.html))再開が決まったようですし、他の地域も続けばいいなぁと。

で、この2ヶ月の間で私個人として一番ヒットしたのは、この期間では、G.C.W.さんの「愚智提衡而立治之至也」の『やっぱりやろうよ「図書館員大賞」』というエントリー。
本屋大賞ならぬ『図書館員大賞』をやろうということなのですが、それだけ書くと「本屋大賞の二番煎じ」に見えますが、エントリーを読んでいただければわかりますように、『ただし文学を除く』です。ついでに『児童文学・絵本も外したい』です。
これは本当に面白そうな試みなのですが、来年には是非実現して欲しいなぁと。

ということで、影響力の全くない私がこれに関して、何点か思ったことを勝手につらつらと…。

『本屋大賞とは』(http://www.hontai.or.jp/about/index.html)をご覧になるとわかりますが、2010年の実施要項を見ると、ご存知『本屋大賞』の他に『発掘部門』(ジャンルを問わず、2008年12月1日以前に刊行された作品で、既刊本市場の活性化を狙ったもので、過去に出版された本のなかで、時代を超えて残る本や、今読み返しても面白いと書店員が思った本)、『特別企画オレ本大賞(仮)』(「俺(私)はこの本を売りたい!」と思う本をひとり3作まで熱いレコメンドとともに)というのがあるようです。
『発掘部門』がジャンルを問わずですが、本屋大賞である日本の小説に寄るのか否かがとても興味深く、どういう結果が出てくるか気になるところですけど、その年以外の本に目を向けるという点ではG.C.W.さんの意見にもありましたから、かぶらなきゃいいなぁと。

手っ取り早く部門を作るのであれば、「0類~8類の各部門」なのですが、G.C.W.さんの『古今東西の膨大な書籍の中から,その年にふさわしい書籍を選び出す』というのが、「今年の漢字」ではないですけど、その年の出来事によって毎年変化があるのか、定評のある本が毎年圧勝してしまうのか…やってみなきゃわかりませんが、「ある年に賞を取る」→「図書館員が改めて読む」→「良い本だったので書評付きで次の年に応募する」→「次の年も賞を取る」っていう流れにならないで欲しいなぁと。

個人的には「今年部門」は今年出版されたものの再確認的にもやはり欲しいところですし、過去の本であれば、「今年読むのに最適な本」というパターンか、「○年前(10年とか20年とか)に出たけれど」的に区切り年のパターンかのどちらかなのかなぁと。

ただ、私の考えだと、例えば『各類部門賞をベスト3』×『今年、10年前、20年前、無制限』だと9×3×4で108タイトル出るのですが、賞を増やすと広報力が薄れる心配があるので、『今年出版の各類部門賞をベスト1+次点』と『今年に似合う本(最低5年以上前の本で)ベスト3+次点』であれば、全22タイトル…次点を出さなければ全12タイトル、こっちの方がいいな。
類が違う本をどうやって比較するのか悩むところですが、それらから今年の大賞を出す感じでしょうか…

しかしながら『求められる/試されるのは,巷の図書館員の知性と教養と情報感度』とG.C.W.さんはおっしゃっていますが、前述の状況を見ると、「じゃあ、最先端の部類はわからないけど、資料の把握はばっちりだよね?」とも言えないような気もしてきました。怖いものです。
そうすると、知性と教養と情報感度が高い図書館員だけが積極的に2000字書評付き投票を行い、温度の低いところでは「あ~そんなのよくやるねぇ…」とのギャップが…
もちろん、そのようなギャップはない方が良いのですけど、温度の低い図書館員もいるのは現実ですから、まずは、一次投票は図書館として100文字コメントを添えて、候補リストを各部門(最終的に何部門?笑)上位10作品をノミネート本として(前述の例だとちょうど100タイトル)リストアップし、その中から図書館員として個人として投票行動、もちろん2000字書評付きで。笑

賞はそんな感じで進めてもらい、最終的には成果物として、全国の図書館のコメント付き投票一覧と、各賞を取った図書への投票書評を載せた冊子をつくり、全国図書館に配布。(全書評を載せたらどれだけのページ数になるんだ?)
そうすりゃ、回答なしとかなんかテキトーなコメントの図書館はわかるわけで…まぁ、わかられたところで屁とも感じないこともあるでしょうけどね。

いや、ある種の人達だと「図書館がベストだの大賞だのと言うのはおかしい」とか言い始めるかもしれませんが、売れている本を押しているわけでもないし、その分野の読書案内として図書館が自信を持って紹介できる本のうちの1冊と考えると良いと思うんですが…

可能であれば、プレ版というか第-1(マイナス1)回または第0回として、一部の人達でも良いからどんな風になるかやってみると面白いと思うのですけどね…
本番は2000字書評で良いでしょうが、第一次選考を飛ばすと票が分散する傾向もあるでしょうから、個人100字コメント→リストアップ→個人1200字書評とかで。

G.C.W.さんのエントリーで『続くかも.』とあるので、是非是非実現に向けて続けて欲しいところです。はい。

最後に、どうしてこのG.C.W.さんのエントリーが私の心にヒットしたかというと、別のところで、貸出ベストや予約ベストって地域性出るか?という話がありました。
で、「ベスト10ぐらいだと多少の前後はあってもベストセラー本が中心となるんじゃないか」という話の流れだったと思います。
となると、やはりつまらないので、小説以外だと変化あるかなぁ?と思って分野別貸出ベストを見たりして、統計を見直している時に、ちょうどG.C.W.さんのエントリーを見て、『ただし文学を除く』『児童文学・絵本も外したい』が響いたからなんです。
前から「本屋大賞」あるのに「図書館大賞」ってなんでできないんだろうと思っていましたし。

今年はあと1回ぐらいは更新したいなぁ…

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