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あらゆる資料要求にこたえ…れる?

Imamuraさんのブログの『図書館はリクエストがあっても新刊しか購入しない?』(http://d.hatena.ne.jp/Imamura/20091220/library)というエントリーが気になったので、いつもながら、私の長い一言。

まず、前提として、この出てきた図書館を擁護する気はありません。
でも、そういう話はよくあるなぁと。
実際に、その図書館の人間ではないので、その館の内情はわかりませんけど、私の持っていた疑問とも符合する問題なので、とても興味深く読ませていただきました。

図書館側のリクエスト提供不可理由はこの記述によると、
A.県内で所蔵していない
B.発行から2~3ヶ月以上経っている
C.自費出版だから

で、Imamuraさんの疑問は
a.1年半前の出版物だし、県内にないからこそ買うべきでは?
b.自費出版に対する差別では?
c.市民のリクエストに対し図書館が一律に判断することではないのでは?

この状況から判断すると、私の予想ではこんな流れだったんじゃないかと。

1.Imamuraさんからリクエストを受けた。
2.自館には所蔵がなかった。
3.県内他館から相互貸借で…と検索。なかった。
4.一応購入検討をしてみる。
5.でも1年半前に出ているし。(1年半どこの図書館でも購入してないし。)
6.一般流通してなさそうだし。
7.うちの館で需要は多くなさそうだし。
8.なので、提供不能ということで。

1と2はいいですね。
3はおそらく県内で相互貸借資料運送車が動いているのかもしれません。なので、利用者の送料負担を軽減しようかと、まず県内図書館を横断検索などしたかと思います。
4はその図書館の規模によって違うでしょうが、選書委員会とか、購入選定会議とかで俎上にあげます。
5は1年半前ということは、逆にImamuraさんがリクエストするまで、1年半県内のどこの図書館でも購入されなかったということです。
6は自費出版と図書館が言っているので、図書館側ではそう感じたんでしょう。でも、実際、このリクエストされた資料は例えばTRCの新刊全点案内でも1567号に載っていますので、一般流通はしているものでしょう。
7はImamuraさんという需要はあったのですが、おそらく図書館側の思考的には「なんかコンピュータ系の専門書っぽいよな…」があったんじゃないかと思われます。
で、8という残念なお知らせがImamuraさんに届いたのかと。

『図書館』という理想というか理念的には、国民の知る権利を保障する機関だとかありますけど、現実論としては、予算をはじめ様々なしがらみ(?)があって、実は保障もままならない状況であったりします。

多くの図書館のリクエストサービスの項を読んでみるとわかりますが、「ただし、提供できない場合もあります」的な書き方をしているところもあるのは周知の事実です。
もちろん、今回の例ではなく、絶版本で買えないとか貴重書で相手館から借りられないとか、そういうことが本来の意味ではあります。

でも、本来と異なっていることはたくさんあります。
例えば、先に挙げた他館との相互貸借。
本来は「自館で購入検討し、購入ができない場合に所蔵する館に申し込む」という原則が本来です。
でも、実際、「出版後○ヶ月は相互貸借に回しません」という制限がない(つまりその図書館が受け入れたら、他館はその図書館利用者が借りていなければすぐにでも相互貸借依頼を出せる)図書館に、出たばかりの話題の本やライトノベルをはじめ、高くもない新書など、どんどん相互貸借依頼が届くのが現状です。(うちの県内だけか??)

もう1つ実際の話。
他の県の県立職員さんとそこまで話をしたことがないのでわからないのが申し訳ないですが、私の所蔵している県立図書館での対応ですけど、市町村立図書館から購入リクエストを送ることができます。
市町村立図書館で「うちの館だと購入はちょっとなぁ」となったのであろう図書があげられるんでしょうけど、(うちも何回かリクエストしましたが)「県立図書館では検討結果これこれこういう理由で購入は見送ります」と回答が返ってきます。
そういうことがどこかの県立図書館であることを知ったら、Imamuraさんは憤慨するでしょうね。「県立図書館なのに」と。
もちろん、その例に挙がった図書館とは違い、県立図書館の回答はもっともらしい回答です。でも、うちであげたのも、実は出版されて2~3ヶ月の新進気鋭の芸術家の画集だったり、有害図書指定された『完全自殺マニュアル』ではないですが、危ない香りのするものだったりするのですけど…(何も図書館に入れちゃいけないというわけではないです。そこは誤解なきよう。)

で、それを踏まえて、Imamuraさんの疑問に対し、私の考え。
bは、その図書館の答え方がおかしいと思いますので、賛同します。
購入するしないは別にして、うちみたいな小さな図書館でも、入手手段と内容検討をして、良ければ買います。
もちろん、聞いた話だと、自分の書いた本をわざわざ購入リクエストする方も世の中にはおられるようですけど、内容如何かなぁと思います。
ただ、実際問題がいくつかあって、例えば、自治体の規則で「購入は登録業者から」とか「図書館の図書は地元書店で」とかルールがあることがあります。
となると、本当の意味で自費出版の資料は著者に自治体への登録してもらってとか、一般流通していないので、書店さんが個人的に購入してもらって、とか、ちょっと一手間かかることがあります。
それをクリアしても、送料を価格に含めるか、別に送料分の請求書を送ってもらうかとか、請求書の書式はこのようにとか、個人で買うより案外わずらわしいこともありますから、難しい顔をする図書館はあります。(でも、書いたように、良いなと思ったら買うところも多々あるはずです。)

cは、図書館業界としては、…そうですねぇ~、『図書館の自由に関する宣言』でも『国民のあらゆる資料要求にこたえなければならない。』とありますもの。
そこが私の疑問でもあり、図書館員のジレンマも少なからずあるかと思います。
限りある少ない予算を1年掛けてどうやりくりするかという命題がまずあります。
図書館は『国民のあらゆる資料要求にこたえなければならない。』ということから、自治体住民のリクエストをどんどん購入すると、パンクするのは目に見えていますし、そう簡単に予算は増やしてもらえません。
逆に、BL問題なんか「図書館は『国民のあらゆる資料要求にこたえなければならない。』なんだから、問題ないんだ!」って業界的には思うのでしょうから、そんな発生しないはずなのに、別の住民の声などで、上の方からバタバタして(下は上司に従う義務が公務員にはありますし。)問題となってしまうこともあるということを考えると、私も疑問を抱いてしまいます。
また、図書館の選書は、一言で書くと難しい(私も結論が書けなかったし)のですが、色々なことを考慮して行っているため、リクエストに対しても、蔵書構成やら何やらを考えると、購入しないことを選択する図書館もあるだろうな…
(どこぞやの図書館ではリクエストは何人かリクエストがない限り、購入しないとしているみたいですし…)
それらを考えると、『一律に』判断するのは確かに変なところもあると思いますけど、『判断』はリクエストに対し図書館はしている現状がありますね…。

で、a。
言うなれば、県立図書館に購入リクエストを送って、断られたうちの館の気持ちと一緒なんでしょうね。私も「県内にないんだし、県立だろ?」と思わなかったかと言えば嘘になりますし。
でも、極端な例だと、自治体内のある医者が図書館に専門書をリクエストして、値段もそんなに高くなく、出版されて1ヶ月もしていない場合、市町村立図書館でどのくらいの館が買うでしょうか?
図書館は「専門書だし、それを読むのはその医者くらいだなぁ」と思って、買わない図書館は案外少なからずあると思います。
また、コンピュータ系で、それほどマニアックでない資料だとしても、県内で1~2館しか所蔵がないものがたくさんありますから、少しUNIX系となると、ある種壊滅的所蔵割合だったりします。
そんなことを考えると、うちでそのリクエストが来た時、どうかなぁと悩みますね、たぶん。
どこぞの図書館でないですが「リクエスト対象本を図書館購入検討会議で所蔵しないと決定したため」という理由が付いて購入しないかもしれません。


さて、じゃあ、その図書館の対応が悪くなかったかという面で考えると、私の考えは、「もっと努力しましょう」です。

今、上記で書いたのは、どうして購入できないのか、という側面。
購入するかしないかは図書館の収集方針などもあるので、それはそれ。
うちも購入しない確率は低くないと思いますし。
でも、購入しないから提供できないは、ちょっと違うんじゃないかなぁと。

おそらく、その図書館は、県内の所蔵しか調べていなかったんじゃないかなぁと。
実際、国立国会図書館では所蔵していますし。
うちの県でも所蔵はなかったのですけど(え~もしかして、うちの県内の図書館じゃあるまいな。笑)、他では墨田区立図書館などで見つかりました。(県立で持っていないとこも多いことは実感。)

となると、対応的には、「送料負担になりますけど、県外や国立国会図書館からお取り寄せできますが?」(図書館によるけど、うちは借受館が往復送料負担することになると思う(そこまでの需要がないので県外借受の実績なし)ので、うちの場合は利用者にその送料を負担してもらう予定))というのがなかったのがすごく残念。
まぁ、所蔵してる相手館が「県外の図書館への貸出規定がないので」と断るパターンもあるでしょうけど、新刊で4000円かかるよりは安く済むでしょうからね…

残念ながら購入できなくても、提供可能性くらいは提示しようよ、と思った次第。

それにしても、普通に紀伊国屋書店などでも買える本が自費出版…って、もしかして、検索できなかったのかねぇ???

ところで、これに関連するけど、全くの別件2つ。
・この例にあがった資料、DVD-ROM付きだけど、動画となるものはない?アニメーションGifも。
・TRCの新刊全点案内ではストックブックではありませんでした。なので、その数ヵ月後に出るストックブックの購入数一覧には載っていなかったような…(見落とさなければ)
(で、TRCに提案、載せてあるもの全ての買われた数を載せて欲しい、もっと言えば、これは不可能でしょうが、購入した図書館がわかるといいなぁ…例えばTooliで所蔵館が見れたら、県外の横断検索とかやる手間少し減るし(もちろんTRC以外もあるから必要なら横断検索しますけど))

最後に、うちで県立への購入リクエストが通らなかった本のその後ですが、やはりうちでも購入しませんでしたが、所蔵してる県外の図書館を紹介したら、「今度その図書館の近くに行くから」って言われましたので、利用者的にはベストでないけどベターな状態で応じられたんじゃないかと…はい。

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