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2010年1月の1件の記事

図書館のDVD貸出についての覚え書

え~、みなさま、今年もそれとなく更新していきますので、よろしくお願いします。
それにしても、年末年始のアクセス数の少なさといったら、ちょっと笑えました。
ただ、図書館の年始休館が明けた頃から、一気に(とはいっても、細々とやっていますから1日に100も来ていただいているわけではありませんけど)普通に戻るって、どれだけ、図書館員は複写で困っているんだ…と思った次第。

で、年末年始にかけて、図書館でのDVDの貸出に絡んだ話題が出ていたので、それについての覚え書を書いておきます。
もし、間違いなどあれば、教えてくださいませ。

さて、何度か著作権法38条の5があるから、図書館でDVDを購入するときはものすごく高価だって話を…たぶん書いたかなぁと思います。
参考までに条文を見ると…

『5  映画フィルムその他の視聴覚資料を公衆の利用に供することを目的とする視聴覚教育施設その他の施設(営利を目的として設置されているものを除く。)で政令で定めるものは、公表された映画の著作物を、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には、その複製物の貸与により頒布することができる。この場合において、当該頒布を行う者は、当該映画の著作物又は当該映画の著作物において複製されている著作物につき第二十六条に規定する権利を有する者(第二十八条の規定により第二十六条に規定する権利と同一の権利を有する者を含む。)に相当な額の補償金を支払わなければならない。 』

といったものです。

 これが絡んで図書館が大変になっていることが数多くあり、例えば…
『図書、雑誌、CDに付いているDVDやCD-ROMに動画が入っていると、貸出できない。』
アニメーションGIFとかも原則的には映画の著作物になるので、この条文をクリアしない限り、つまりは、相当の補償金を支払うか、著作権者にOKをもらわない限り、利用者に貸与、つまり貸出ができないんですよね。
いや、もちろん、図書や雑誌、CD本体は貸出できますよ、でも、『DVD付録付き』って書いているのに雑誌と一緒に借りられないとか、初回購入特典でCDに付いているPVは借りられないとか、悩むところです。

さて、この条文、なぜかこんなところでも、威力を発揮します。
『利用者の弁償するDVD』
利用者が図書館のDVDを破損したり紛失したりしたときに、「館外貸出し可能な」「補償金分を上乗せした」「高い金額の」DVDを購入…
とはいっても、利用者が一般流通していないそんなDVDは買いに行けませんから、図書館が発注して振込用紙でというのが一般的かもしれません。

図書館は映画の著作物のDVDを一般市販で2980円のところを16000円とかで購入していますから、その金額でということになるのですがねぇ…
(もちろん、以前にも書きましたが同じ館外貸出許諾のものが、バーゲンセール的に5000円になったりしますし、メーカーによっては市販価格とそうかわらないで貸出ができるものもあります。)

で、実際にはこの『補償金』、条文を読めば、「なるほど市販のDVDをそのまま貸されたら、商売上がったりだから、図書館に補償金をつけて売っているので、図書館が購入する時は高いんだろうなぁ」と納得されると思います。
が、逆に「その複製物、つまりDVDの貸与をするのにすでに補償金は払っているんだけど、何故利用者弁償のDVDも高いのか?」と疑問を持つことも可能です。

ここに以前も触れたと思いますが、実際にはカラクリ(?)があって、『図書館は補償金を払っているわけではない』と。
これだけだと、絶対に誤解する人がいると思うので、ちゃんと説明してみます。

1.図書館が利用者にDVDを貸す場合、著作権法により相当な補償金が必要なので、図書館で購入する貸出用DVDは高い。

2.でも、補償金についての金額設定があいまいで、支払い処理機関もない。
 ※JVA(http://www.jva-net.or.jp/faq/solution_2.html)によると、視聴覚教育施設と著作権者との問で団体間協定というのがあり、『補償金の額は教育教養作品がビデオソフトの小売価格の100%、娯楽作品が300%』となっているようですが、公共図書館との間ではしばらく補償金の合意ができなかったけど、最終的に補償金協議は合意したとのことです。(が、補償金がいくらかということは書かれていないという微妙な書き方ですが。笑)
  当の日本図書館協会の映像事業部の記述(http://www.jlaeizo.jp/c_media.html)によると、ポイントは2つ。
 ・一部を除き著作権補償(法38条5項)処理済映像資料の一般小売価格での提供
 ・「補償料」込み定価によって
 ということなので、補償金がいくらその定価に含まれているかわからないままの定価で販売されるのを認めているということなんでしょうね。

3.となると、補償金分と称して、高く定価設定をして、『許諾契約』として図書館に納入すれば、補償金分がいくらということを考えなくても済む。
 ※よくライブラリー価格というのがありますね、『館内貸出可』『館外貸出可』『上映可』みたいに。
  「『館外貸出可』のDVDを購入するとその図書館での貸出を許可しますよ」という感じです。
  つまり、契約なので、その購入したDVD1枚に対する許諾ということで、違うDVDである利用者弁償のDVDは改めてということになります。
  同様にその映画作品の複製物であるDVDに対する補償金というわけでないので、『館外貸出可』で『上映可』に変更してもらいたい場合は改めて図書館が上映可の価格のDVDを購入することになります。

うちは日図協ルートで購入したことがないから、わかりませんが、補償金込み価格で購入を1度したから、弁償は一般市販ので大丈夫だったという話も聞きませんし、実質、3の契約論に近いのかもしれません。

なので、補償金という制度が法律でありながら、補償金分だけ別払いというのが難しい現状があると思います。

同様に、例えば雑誌付録のDVDを貸出可能にしたいからと言って、補償金を支払うか許諾を受ければ可能になるのですが、500円の雑誌に付いているDVDを5000円払ってというのも、なかなか難しい話かなぁと思います。
なので、図書館の館外貸出可とか不可とか明記して欲しいというのは以前も確か書いた通り。よくレンタル禁止は書いていますが、レンタルとは賃貸しなので言葉が違いますしね…

 これらに関してもう少し話を続けると、例えば先ほど書いた『館内貸出可』という言葉。
著作権法で『貸与』という言葉は図書館で言う『館外貸出』に当たります。となると、DVDの館外貸出や上映は著作権法上、補償金の記述があるのですが、「『館内貸出』とはなんぞや?」となります。

 実際には『資料の閲覧』なので、普通に市販されている個人視聴用DVDを図書館で購入し、館内で閲覧だけさせるのは問題ないという解釈も可能です。
その一方で、「AVブースの貸出をするとき(図書館側としてはあくまで『ブース』の貸出なのですが)、DVDの貸出処理をするでしょ?だから貸与だ。」とか、「不特定多数の人間に館内と言えど貸出するんだから貸与だ。」とか、終いには「第2条の『十七  上映 著作物(公衆送信されるものを除く。)を映写幕その他の物に映写することをいい、これに伴つて映画の著作物において固定されている音を再生することを含むものとする。』とあるのだから、AVブースの視聴も上映だ」って話も出てきて、図書館員を悩ませます。

『館内貸出可』の資料は先ほども書きましたが、「図書館で視聴させるときは、この『館内貸出可』の資料を買ってくれれば許可しますよ」という契約を結ぶための価格なので、著作権法とは全く異なることで特に問題があるわけではありません。
もちろん、図書館で購入した個人視聴用DVDを館外貸出しちゃ、大問題ですけどね。

 補償金云々については『権利者側で統一窓口&補償金処理機関を設ける』形で実現して欲しいと思いますが、どうも「設けた方が良いね」で止まって、実際にはそういう機関を作らず、個別契約でということになっているので、著作権法改正云々でも聴覚障害者向け等の補償金処理が実質これと同じなるだろうと予想は容易です。法に見合った機関を業界総意で作っていただいてから権利主張という順番にはならないのが、端から見ると不思議ですが、逆に「業界のいいようにされている」方が優先な社会なのかもしれませんね。

 さてさて、話は変わって、先日こんな話が出ました。
 「著作権の切れた映画DVDって図書館に置けるの?」と。
 これについては私も以前に疑問に思っていたので、問い合わせしたりしたことがありました。
 で、ブログでのメールのコピペは個人的にマナー違反だと思いますので、それを私なりの考えと合わせて考えてみます。

 著作権の保護期間が終わった映画の著作物は、もちろん、保護が終わっていますから、原則として貸出も上映も可能になります。

 【が】、「その500円DVDとかに含まれる著作権の保護は全て終わっているか?」となると、難しい話になります。

 実際、『著作権切れの映画♪』として販売していたけど、実は切れていなかったという訴訟があったりしましたよね?逆に切れていたけど切れていないと訴訟されたこともありますが。
 法改正前後の映画だとその辺をチェックしないといけないでしょう。

 もちろん、映画は映画で中で使われている音楽の著作権者はまだ存命だったとか、そういうことはあるのですが、この場合は映画の著作物としてなので、その貸与は問題なしだと思います。しかしながら、同じ音楽でも、公開当時と違う音楽だったらどうでしょう?そうなると映画の著作物として違うものになるのかな?と微妙になりますね…もちろん、そんなのを発売するのがどうかと思いますが。

 でも、字幕を改めて付与するのは、問題ありませんし、普通に考えられます。そうなると、「公開当時と違う(字幕のある)映画の著作物だから、その権利はどこそこにあるので、補償金が必要」という考えと「映画の著作物としては保存期間が切れているのだから、字幕は言語の著作物というだけなので構わない」という考えもあります。

 ただ、そのくらいであれば、「音楽や字幕の著作権保護があっても映画の著作物は切れているんだから、貸与は可能でしょう」って言えるのですが、実はよりそれくらいのことと言えるにより難しくなる場合があります。

 最初の方で述べましたが、アニメーションGIFとかも1つの映画の著作物です。
 となると、例えば映画全編に渡って…いや、映画DVDの中の一部でも例えば、その発売会社のロゴが動いているといったことでも、その部分が別の映画の著作物になるんですよね。

 その部分をカットして新たにDVDを図書館側で作り…いや、コピーガードがあるとまた作れなくなりますが…と、おそろしく『それくらいのこと』がことを難しくしています。
 先の雑誌の付録DVDではありませんが、500円DVDにどれだけ手間や費用をかけて…となると…なんかそれ式をやっている図書館を聞かないというのもなんか納得できちゃいますね。

 今日はそんなところで☆

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