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ゲームを収集する図書館に向けて

まずは、中日新聞の『懐かしいソフト130本 福井駅前に「ゲーム図書館」』(http://www.chunichi.co.jp/article/fukui/20100204/CK2010020402000005.html)から。

音楽、映画(映像)に続いて、「ゲームも収集しては?」と以前このブログにも触れましたし、アメリカなどでは普通にゲーム機がある状況から、「ああ、ようやく日本でも市営でこういう状況になったか」と思って、よく読むと…
これを企画したのは『市の中心市街地振興課』の職員。

…やっぱり。

最初に見た記事には企画した人が『市職員』というだけで詳細がわからなく、「図書館職員だったらなぁ」と思っていたのですが…商工会などの企画ではない分、良かった気もしますけどね…
まぁ、でも、期間限定のようではありますが、図書館の収集に一石を投じてくれれば、と。
(ただ、『図書館』というネーミングは安直過ぎて、この業界にいる私はいただけないですが。)

さて、このラインナップは、職員の手持ちだったということは、良いですし、『製造・販売が終わり、メーカーから許可が得られたもの』ということなので、法的にも良いのですが、東京都写真美術館の『レベルX』に比べるとちょっと見劣りする感もなくはないです。
それは、開催規模の差かもしれませんが、任天堂系とソニー系が全くないのは、『許可されなかった』のか『職員が手放さなかった』のか…いくらなんでも、『許可を求めなかった』はないかと思いますので、おそらく前者なんだろうな。

もし、これが中心市街地の活性化という理由ではなく、市立図書館が図書館として収集保存し、館内で試戯できるとした場合、やはり許可されないのか、それともされるのか気になるところです。
(館外貸出はやはり、ゲームが映像の著作物ですから、補償金ということになるのですが、前回のエントリーのように補償金徴収機関などもないですし、新たに館外貸出許諾の契約と考えても、通常はもう生産終了になっていますから、補償金が上乗せされた新品は手に入らないでしょうし、WiiのバーチャルコンソールやPLAYSTATION Storeなどの影響で難しいでしょうから。それに館内試戯ですと、企業側にもメリットは0ではなく、「図書館で改めて遊んだら最後までやりたくなったのでダウンロード購入」ということも…)

で、この方式を図書館が踏襲するとして、これが『本』であると、矢祭町のような事例があります。
逆に矢祭方式で考えると複本の確率が上がる、全ての本が揃うわけではないということもあるでしょうが、それは非常に大きな問題ではないかと思います。
ゲームを本気で収集するとすると、市場的にも最新ソフトは難しいだろうと思いますし、例え定価の○百%だとしても、ただでさえ資料費が減らされているのに、購入は無理です。
となると、ひとまず『全国規模で』かつ『送料、送り主負担で』ソフトやハードを送付してもらい、その中から許可が下りたものだけ、館内のみで提供するというのが、やはりベターな考えかと思います。

何せ、16ミリフィルム映写機ではありませんが、古いゲーム機本体は販売終了しているので、壊れても多くは修理できませんし。
また、ソフトも複数あることによって、利用頻度が多いものの代替にもなりますし。

ゲームを収集するまでは、このような感じで大丈夫だと思いますが、これを館内で長期的に提供し続ける場合の疑問として、前にも少し触れましたが、次のようなことが考えられます。

・ゲームのデータをセーブする扱い
PSとかであれば、セーブデータを外部に保存できるので、本に対して自分のノートのようにメモリカードを持参して試戯することが可能です。
しかし、ゲームソフト内バックアップのようなものだと、本で言うところの栞を挟んだり、書き込みをしている状況ですから、それはやはり後の利用者が途中からということはやはり悪いですし。

そうすると、開館から閉館までずっとやっていてもクリアできなければまた最初からということになるので、どうもなぁ…笑
それと、ファミコンやスーパーファミコンなどで使われていたバックアップ用の電池。
ほぼ、確実に電池切れなんでしょうけど、それを交換するのは、資料の修理と同様な処置ではありますが、面倒といえば面倒。

だからと言って、セーブさせないのであれば、交換しないでも良いのですが、「セーブはOKでも、上書きや消されても文句は言うな」にすると、バックアップ電池が切れたままだとスタートしていきなり「ぼうけんしょは消えてしまいました」になるわな。
ほんと、その辺、国立国会図書館ではどういう扱いなんでしょう?今度聞いてみようかな…

・どこまで収集することになるか?
基本、家庭用ゲーム機のソフト限定で進むと思いますが、ゲームを収集する意義としては、やはり「MSXなどをはじめとするパソコンゲームや本家本元のアーケードゲームは?」と。

まぁ、この辺は、「レーザーディスクの再生機がなんでこの図書館にないんだ!」ということがレーザーディスクを所蔵していない館にないようなものかな?とは思いますけど。
同様に、ゲームボーイなどの携帯ゲーム機も集まるとは思いますが、そうなるとその前のゲームウォッチあたりもあるべき形でしょう。

が、携帯ゲーム機となると、旧たまごっちなどのキーホルダー型の携帯ゲームはどうするとかになってしまうので、「ゲーム専用機としてその本体が発売され、ソフトの入れ替えによって異なるゲームが可能なもの」くらいの縛りは必要でしょうか?
ファミリーベーシックとかはどうなんだろうとか多々収集方針が定まらない要素がありますけどね。

・分類は?
これは単純にゲームのジャンルと同じで構わないかもしれませんが、それだと、図書を10分類のみでというぐらい、切ない感じがします。
NDC的に分けるのも良いですが、せっかくなので、16進数(0~F)の表記も面白いかも…2進数じゃきついし。笑

・弁償の扱い
例え、館内試戯のみだとしても、利用者の不注意で壊れることはあるでしょう。
それを弁償してもらうのは、なかなか難しいものがあります。
図書でも寄贈資料を弁償してもらうとき、通常の寄贈資料であれば同じものを原則購入して納入することになりますが、定価0円などの弁償の時が困るように、ファミコンソフトを寄贈してもらって、それを買うのは非常に難しくなっているのと、じゃあ、当時の定価分の弁償というのは良いのですが、代替資料だってファミコンソフトじゃ入手しにくいですから、普通に図書とかになるのでしょうかねぇ?

実際問題として、先のエントリーでも書いていますが、館内閲覧は貸与(図書館で言う館外貸出)ではないというスタンスに立つと、館内試戯は最新ゲームでも可能な気がします。
この辺は、DVDでも図書館においては火中の栗的な感覚でしょうから、そのようにやっている館は聞きませんから、ゲームソフトとなるともっと難しい気分になるでしょう。

ただ、今回のようにちゃんと館内試戯の許可を取っていくことはもちろん可能で、それをしておくとドキドキしなくても大丈夫なのですが、やはりネックは上の人の理解。
自治体住民的には、購入でなく全寄贈であれば、「税金でゲームを買って!(怒)」的な人も牽制できるでしょうけど、上の人の理解を得て、Goサインをもらうのは、なかなか難しいものです。

そうなると、図書館が収集・保存して提供する事例として、この福井市立図書館が行うことはやぶさかではないですし、4月からは中心市街地振興課から図書館に機能を移して、本格的に行うのも認められやすい環境にあるんじゃないかと思います。(それにしても、今回はどこまでの決裁なのかわかりませんが、中心市街地振興課長さんを含め、Goサイン出せる理解のある人っていいなぁ。)

個人的には、福井市立図書館に「中心市街地振興課に負けるな」っていうのと、せっかくの火種を市レベルだとこのイベント的でお終いになってしまいそうなので、福井県立図書館に「是非支援して大きくして」と言いたいです。

なんか、寄贈方式で許可の得られたもののみ提供ということなら、できそうな気がしてきました。
本当なら、私の所属館でやりたいところですけど、館内での提供場所がないこともさることながら、自信を持って(?)上司に一蹴されるのがおちなので、誰か~っていうのが口惜しいです、はい。

国立国会図書館でもゲームソフトは収集しているんですから、都道府県市町村立図書館でも頑張って収集しないかなぁ…

ゲームを収集するとなると、その当時の攻略本などもあると面白いですよね。
先日、私の隣に座っていた年配の方が、DSでドラゴンクエスト6をやっており、その横にスーパーファミコン時代の攻略本があったので、「あ~懐かしいなぁ」と思い、「そういや、この攻略本の図書館における所蔵状況は?」と調べるまでもなく…ねぇ?

本当はこの話を前段に違う話に持っていこうと思いましたが、思ったより図書館でゲーム収集の話に終始してしまったので、それも一興と思い、今日はこれにて。

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