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職場体験等の研修生受入について思うこと

 夏休み中、中高生の職場体験や、教職員の年次研修&社会体験研修(場所によって色々名称は異なるのでしょうけど)、司書課程生の図書館実習など、7月末から8月末にかけて研修生の受け入れをしている図書館も多いことでしょう。

 私のところも、例年通り+α+βくらいの勢いで、研修生を受け入れて、ようやく今日で夏休み期間中最後の研修生(次は秋に予定が入ってます。)の指導が終わりました。やれやれです。

 図書館の利用者も多くの図書館ではこの8月をピークとして山型の利用者数になっていることだと思いますから、このピークに研修を詰め込むのはご遠慮くださいって言いたいところだったりします。

 さて、毎年のように研修生を受け入れて、その準備のために毎年のように悩んだりしていることがあり、特にこのブログでも細かくは触れていなかったような気がしますから、今回はその話題。

 ある程度大きな図書館であれば、各担当による持ち回りで、研修生の指導ってできるのでしょうが、うちのような小さな館では、色々兼務な担当ですし、基本的には『全部担当』(主か副かしか違わない)なので、ようは一人で全研修生指導です。

 研修生の種別(?笑)や研修日数によって、内容も異なることでしょうし、その研修内容について情報交換ってあまりしたことがないので、ここに書いたこと以外にもやっている図書館もたくさんあると思いますけど、大きく分けたら次のような感じでしょうか…
1.貸出・返却・配架
2.カウンター業務
3.展示・資料紹介
4.レファレンス
5.おはなし会
6.Web関連
7.装備
8.雑用

ということで、これらについてひとつずつ考えてみてみます。

1.貸出・返却・配架
 どの研修生にも図書館の自由に関する宣言や守秘義務は説明するのですが、研修生の多くは地元の学生だったり地元の学校の先生だったりするわけで、図書館の利用者にとっても近所の子であったり子供の担任だったりすることも多いはずです。

 もちろん、研修に限らず、普段だって、ご近所の奥さんがパートだったりするのですが、図書館としては、貸出業務はどうだろうか?ということがいつも悩みの種だったりします。
 ある図書館では「職場体験中です。気にされない方は貸出業務体験のご協力をお願いします。」と専用カウンターを作っている館もありますし、その方法は良いなぁと思っていますけど、ある図書館に行ったとき、ポツンとその専用カウンターに座らされて、他のスタッフはバタバタと忙しそうに動いているのを見ていると、「ちょっとなぁ」って気がしました。

 研修生はあくまで研修生なので、いきなり「図書館業務のカウンターにおける全てに対して対応せよ」っていうのは無理ですから、仕方ないのでしょうが、端末を1つつぶして、増えた利用者に対応するとなると、結局邪魔扱いっぽく見えるんですよ。はい。

 となると、夏休みで返却資料も多いですから、「じゃ、配架に行って来て~」だったりします。
 で、配架だって実際には図書館の資料を把握してもらうのに、欠かせないことなんですけど、研修生のほとんどは、図書館ヘビーユーザーってことはまずないので、「この資料はどこに??」って案内図を見ながら、時間をかけて配架に追われていたりします。(ので、あまり資料を見ていない。)

 中高生であれば、フロアで利用者に声をかけられることは(知り合いにというのならありますけど)ほとんどないのですが、教員の研修生はフロアで時々質問を受けているようです。
 でも、答えられませんから、職員を探しに来て「かくかくしかじかで」ってバトンタッチとなります。その「かくかくしかじか」も時々要領を得ないこともあるので、改めて利用者に尋ねてみるってことになるので、ネームプレートに「研修中」ではわからないようなので、いっそ背中に「研修生です。声をかけないでください」とか「質問は職員に仲介します」とか…笑

 まぁ、実際は人によりますが、聞かれたら「自分が聞かれたのだから、自分で解決しなくては」と思ったのか、利用者と一緒に資料を探し始める方もおられ、それはそれで良いと思いますけど、時間のかかる方法をしてしまいがちなので、ひとまずさせておいて、こっちで資料を集めて渡し、「そういうときはこんな感じでさがすと良いんですよ~」って後で指導タイムになったりします。(私は図書館はチームプレイだと思っていますから、時間がかかりそうなら「聞いてよ」って思っているんですけど。)

 ということで、忙しくても放っておいたり目が離せないのが研修生だったりします。

 また、カウンターに研修生がいて準備万端でスタッフも数人いる時には、あまり利用者が来ないで、配架や利用者対応をしたり、「ちょっとお手洗いに…」って感じで、人が少なくなったら突然わさわさとカウンターが混むことになり、よくわかっていない研修生は立ちつくし、私はてんてこ舞いってこともあるのですが、それって普通なんでしょうかねぇ…笑

 ところで、さっきの疑問、「貸出業務体験」って他の図書館はどうしているんでしょうか?  
 自分で本を借りて自分で処理ってのは、もちろんいつでもできますし、教員には元々守秘義務がありますから、学生の研修生にはさせないけど、教員の場合はさせるって館もありますが…


2.カウンター業務
 貸出・返却だってカウンター業務ではあるんですが…
 一応、一通りの説明はしていますけど、研修生に臨機応変さを求めるのも酷ですから、特定業務を静々とやってもらったりしています。
 ただ、登録とか利用者検索とかの操作って、やはり個人情報を扱う部分ですから、利用券を持っていなければ自分の登録をしてもらうのはしますが、カウンターでそういうことを考慮すると、雑誌登録や資料の検索くらいしかないんですよね…


3.展示・資料紹介
 いくら図書館の繁忙期だからといっても、前述のようにふとした瞬間、カウンターにほとんど利用者が来ない時間があったりします。
 そういう時は、せっかくの研修ですから、ぼーっと突っ立たせるのももったいないですし、うちの館だと飾り付けの作品(折り紙や切り紙)を作らせてみたりしています。
 あとは企画展示に利用するテーマにあった本を選んできてもらったり、そのPOPを作ってもらったりする場合もあるようです(うちの館ではやってない)が、どうなんでしょう?

 うちの館での飾り付け作品作りは、なんか楽しんでやっているようで、良いっちゃ良いのですが、熱中し始める人もいて、なかなかカウンターに戻ってこないので「お~い」ってことも。
 普段は、空き時間を利用して他の業務もやりながら、少しずつなんですが、研修生にいたっては、ひとまず仕上がるまでって感じですから、果たしてこれが研修になっているのかどうか…

 他でも聞くので、テーマ本やPOPもやらせようとは思ってはいるのですが、テーマ本はどちらかというと「この資料を集めて来て」ってリストを渡すことになりそうですし、POPは描き方から教えないといけないかなぁと思うと、研修は研修なのですが、研修後の実りとしては使えるか?と思うと、どうもなぁ…と思ったり。
 もちろん、図書館らしさという面では、図書館らしいのですし、普段のセンスとは違う感じなので、こちらも学ぶところが出てくるかもしれませんが。


4.レファレンス
 私自身、研修の受け入れで一番力を入れている部分なのですが、その準備がなかなか大変だったりします。
 研修生が来ている時に、タイミング良く研修生でもできそうなレファレンスが発生することもまずないので、通常は過去に受けたレファレンスの改造した演習問題的なことをやってもらっています。
 最近は『調べる』ということに対し、「図書館で」が第一に浮かぶ人は少なくなっているような気がしますし、辞書や事典の引き方を知らない高校生や大学生までいる始末ということもあるんでねぇ…

 うちの館としての出題傾向としては、
 a.理科年表など一般の人には気付きにくいを使用するもの
 b.インターネットで目途を付けて新聞縮刷版などをあたるもの
 c.回答が複数出てくるもの
 d.目次や索引を使わないと答えられないもの
 e.最新ではなく古い情報を利用するもの
 f.百科事典や国語辞典のコラムを利用するもの
 g.発想を必要とするもの
 h.質問自体が間違っているもの
 これらを織り交ぜて、問題を作っています。
 私個人としては「図書館にこんな本もあるんだ」という発見を研修成果として持ち帰ってもらうことを第一に考えていますので。

 例えば、h.の質問自体が間違っているなんて、ちょっと意地悪なのですが、利用者の覚え違いで質問されることも多いですからねぇ…レファレンスインタビューの重要性や質問に対する頭の中での考え方などを解説するのにはもってこいだったりしますし。

 あと、案外研修生を悩ませるのが、電話帳を使うと実は簡単という設問。
 図書館によるかもしれませんが、全国の電話帳を完備している図書館って多いかと思います。
 毎回、館内案内するときに、「ここに全国の電話帳が置いてあります」ってわざわざ伏線を作っているのですが、地図帳類とにらめっこしている研修生も多いんです。(どうも「インターネットと『館内にあるもの』で調べて」って言っているのに、参考資料で調べないといけないと思ったり、図書以外で調べようとしなかったり…)

 また、インターネットでの検索もしながら、資料を探す手法も説明しているのですが、設問そのものを検索したり、検索キーワードが足りなかったり、案外苦戦する人も多いなぁというのが、実感です。(二語は入れようね…)
 ついでに、この解説のとき、Google検索と図書館システムの癖の違いの説明もするので、良いのですけど。

 で、先生方が研修生でレファレンス演習をさせる時に、私が絶対言うことは「問題はいつも生徒に言っていると思いますが、できるところからやってくださいね☆」と「考え方も知りたいので途中経過も書いてくださいね」です。
 1問目は大抵、頭を悩ます問題になっていますから、途中に経過を見に行ったら、まだ1問目で悩んでいたってこともありましたので。


5.おはなし会
 平日におはなし会を開催している図書館などでは、読み聞かせの基本手法を教えて、練習してきてもらい、本番でやってみるというところもあると聞きます。
 うちの館では残念ながら開催が土日限定なので、研修生は基本的に平日というのがほとんどですからね…
 普段やっていないのに突然平日に特別開催ってのも広報が不十分だし。
 でも「研修生によるおはなし会」ってのも面白そうだな。来年は取り入れてみるか。


6.Web関連
 教員や学生の研修って1日~4日間くらいが多いです。
 Web関連の研修したことって、長期で他の自治体職員を受け入れた(その自治体で図書館が開館するので、その準備として2週間程度の研修)時くらいなのですが、本当は長期でない人にもやってもらいたいなぁと思ったりしています。
 1日研修の場合はほとんど『説明→実演→実習→お昼休み→レファレンス演習→まとめ』って感じなので、入る隙間がないって感じです。

 短いと、説明した手順に追われて、「やってみた」ってだけで、研修の実りってほとんどないんじゃないかと思ったりするんですけどね…(4日間の研修生が「ようやく覚えたかなぁと思ったら最終日でした」と言っていましたし。)

 もし、1週間程度時間のある研修であれば、最後に研修でやったことや感想などのページを作ってもらうとか、2に近い感じで、気になった資料や役に立った資料を紹介するページを作ってもらうとかも研修内容としてはいいなぁと。

 もちろん、ブログやTwitterで情報発信をしてみようっていう研修も楽しくできるかもしれませんね。
 おそらく研修生が持っている昔ながらの図書館というイメージを崩すのには良いような気がしますし、研修後も使えると思うのですが、基本図書館業務(?)も色々と体験してもらいたいですし…悩むところです。


7.装備
 装備は雑誌の装備であれば、多少のミスでも修正もききますが、図書装備の失敗は大きいので、自分で本を持ってきてもらうか、リサイクルコーナーにある本で行うと良いかなぁと思っています。
 まぁ、練習何冊かやって、本番というのももちろん良いでしょうが。

 この装備実習での話ですが、表紙が付いているもので、よく研修生は表紙を開いてブックコートを貼るのですが、そうすると、表紙が閉まらなくなる(突っ張った状態になる)ので、それはそれで後の研修生のために、「こうするとこういう失敗になる」という実例として受け継がれていたりします。
 よく図書館の講座みたいな企画でブックコート体験というものがありますように、ある程度説明すれば、研修生上手い下手は人それぞれですができるので、良いんだと思います。


8.雑用
 繁忙期ということもあり、保存期限の切れた新聞や雑誌を書庫から搬出してまとめる作業とか、雑用的に研修生を利用していただいたりするんですが(聞くところによると草刈りなどの作業などもやってもらう館もあるらしいですし)、基本的に裏での作業になりますから、「そういう面倒なこともやっているんだなぁ」と思ってもらう点は申し分ないけども、そればかりだと、研修意義も薄れる気も…
 要はバランスなんでしょうけどね、誰でもすぐ取りかかれる点はいいんですけど。


ということを考えながら、研修生を受け入れているんですが、他の図書館だとどんな意識をしてどんなことをやっているのか、とても気になるところです。なかなかそういう情報って出てこない感じがします。

 うちの館に来た研修生ではないのですが、某図書館で受け入れた研修生が図書館での研修を希望した理由に「貸出返却を見て楽そうだったから」と言っていた輩がいたそうですけど、外から見るとやはりそういう人もいるだなぁって思いましたし、逆に、そういう人が来たら「あ~図書館って大変だった」って思わせたくなりますね。笑

 私は、研修生に

『図書館は意外と体力も使うし、頭(発想力)も使う』
『色々調べる方法があり、資料を把握することが大事』
『表から見えない裏方作業によって利用しやすさが変わる』

ということを感じ、気付いてもらって、『図書館って面白い』って思ってもらえると良いなぁと思いながら、研修計画を立てています。

 特に先生方の研修の時は、研修で学んだことの児童・生徒へのフィードバックも期待できるので、熱が入るのですが、よく同僚に「説明多すぎ」とか「色々詰め過ぎ」って言われますけど。笑

 ただ、研修を受け入れるのは意義もありますから、否定しませんが、研修生って基本的に図書館業務初体験なので、1度説明してわかったようでも、やらせると失敗することも多いし(例えば、新刊を分類順に左から右に並べると言ったのに逆に並べるとか)、色々同時にはできませんから、やりやすいようにちゃんとお膳立てしてあげないといけない面倒さがあります。
 そして、最初に書いたように、うちの館のような図書館では人員的に一人で全部指導で、研修中はちゃんと付いていてあげないと思わぬミスをされ(必要データを上書きとか…)ることもあるので、付きっきりになります。(研修日もずれると同じ事を毎回話さないといけませんし。)
 そうすると、本業部分は他の職員やスタッフに任せられますが、研修指導以外の自分の仕事が残ってしまうため、それをやるのは研修生が帰った後となり、私の場合、この時期はいつも大変です。

 毎年、研修生を受け入れて、毎回指導担当なんですけど、他の図書館が研修生を受け入れるときに、どんなことをどんな風にやっているか、いつも気になっていて、「こんな研修のやり方で良いのだろうか」と悩んでいるのですが、何はともあれ、今日は一段落ついて、ホッと一息☆

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