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図書館ネットワークと相互貸借について説明した時の話。

え~、先日…というか、数ヶ月前、県立主催の図書館新任職員研修で小1時間ほど人前でしゃべってきました。
私は人前でしゃべるのは非常に不得手ですし、16ミリ映写機講習以来の久しぶりのことだったのですが、「こういうチャンスはあんまりないことだし」と二つ返事でやらせていただきました。
内容は『図書館ネットワーク』についてと『相互貸借』について。

で、それからはレジュメを作ったりしてい思ったことですが…
・「図書館新任職員とは言っても私より年齢が上の方も多いだろうなぁ」
・「研修講義って案外眠っちゃう人が多いし…」
・「相互貸借の担当者ではない人もたくさんいるだろうし…」
ということで、『できるだけ当たり前のようなこともわかりやすく、レジュメを読み返せばわかるレジュメ』(この時点でレジュメではなくなっているんですけど…笑)と思い、パワーポイントやOpen Officeなんかを使いちまちまとレジュメ兼スライドを作りました。
そうなると、以前講師をした時みたいな1時間なのにスライド70枚とかふざけたことになったりしますので、書きたいことを圧縮圧縮…それでも30枚…笑
まぁ、明らかに「そのスライドの部分は後で読んでね」的なとこも多いんですけどね。

さて、話の展開としては、図書館ネットワークという言葉と内容とその歴史(県内を中心に)について触れ、その中の相互貸借についてしっかり説明し、相互貸借で図書館資料の物流が中心の説明になったわけだから、あとは図書館員同士のネットワークの話や情報の共有化などを取り混ぜて説明して、まとめってことにしました。
『図書館ネットワーク』、書くと簡単なのですが、実際にこれを説明しようとすると長い長い。
図書館協力の話から始まったとして、その内容を説明し始めると、『資料の相互貸借』『複写』『資料の収集・提供・保存』『図書館の相互利用』『所蔵資料目録の作成』『レファレンスサービス』などそれ1つでも1時間くらいは軽く話せるんじゃないかというものの総称ですから、そこは細かく説明しないで、『図書館同士の助け合い』だよってことと、『人と物と情報をつなぐもの』だよってことを押さえてもらうことにしました。

その歴史については、以前、自分の所属している委員会で作成したものをそのまま流用…しようとしたらおかしな点を発見。で、県立の人に頼んで、その点を確認してもらったら該当データの根拠となる資料が見つからなかったため、その部分は断念した上で、ほぼ流用。(作成したのは私ですし、実際に研修の講師依頼はその委員会にですから、流用しても問題はないです。はい。(念のため))

で、相互貸借の説明では、まずは相互貸借要領などのポイントを説明。
「容易に入手できる資料は貸借の対象としない。」という大原則(?)を一応説明したのですが、半ばスルー。
後の方で、問題意識を持ってもらうために、改めて説明することにしました。

次に大きく全国ではどんな方法でやっているかということを説明。
搬送方法が
・巡回車 72%
・宅配便 13%
・併用  15%

経費負担が
・県が全額 70%
・大半は県 17%
・相互負担 13%

というアンケート調査の資料を県立の人からもらっていたので、それを説明。(それにプラスして「搬送資料が県立の資料のみ36%・市町村立の資料も64%」ってのもあったんですけどね…今回は盛り込みませんでした。)

で、うちの県では巡回車に資料が乗ってきているのでそれについては十分説明ができますが、宅配便を利用して県が全額負担しているところなどの説明はできません。
それでも「こういう風に考えてやっているところもあるんだよ」っていうことで、色々な考え方で相互貸借が行われていることを話したかったのですが、他の都府県(北海道の事は知っていたのですが)の事例は知らなかったので、「どうしよう」と困っていました。

そうしたら、『読書ノートのつもり?なつれづれ日記』(http://d.hatena.ne.jp/yoshim32/)のyoshim32さんから、メールをいただき、丁寧な説明をいただきましたので、その点も無事に盛り込むことができました。感謝です!
で、せっかく実体験として「twitterなどを介した繋がり」ができたのですから、そのことも後半の『人のネットワーク』という話に盛り込ませていただきました。

それから、図書館ネットワークの歴史のパネルを作った時に作成した利用者サイドからみた相互貸借の流れ(のパネルに書かれていたもの)を別紙資料にして、実務的な流れを説明しました。
フローチャート式にしたのですが、実務担当者には当たり前のことだろうからなぁ…と思いつつ、横断検索の仕方とかの実演もしながらの説明をしました。(ので、時間が一気になくなってしまった…泣)

で、この次が自分で『これが相互貸借について説明するときの大きな山』と思っていて説明に力をいれていた点です。

『 問題意識を持って相互貸借を考える』
 予算がないから借りる?
 所蔵したくないから借りる?
 県内に1冊あれば良い?
 他館の資料が届くのは当たり前?

ただ、力は入れたのですが、私自身、解決策があるというわけではないですし、「これがベストな方法」という事例があるわけでもないですから、新任職員のみなさんに「相互貸借1つとっても、考えて行動しようよ」ということを言いたかったのと、「頭の片隅にでもこのような問題意識を持ってもらえれば良いのではないか」と思ったので話したのですが、果たして新任職員のみなさんはどれだけわかってくれたのか…

さてさて、最初の『予算がないから借りる?』っていうのは、今の図書館だと「予算削減なんだから仕方ないじゃん」というのが多いのかなぁと思います。
でも、相互貸借要領の但し書きに『ただし、容易に入手できる資料は貸借の対象としない。』とあることと、ある種の矛盾があったりしますよね…
他の都道府県にある図書館はどうしているんでしょう?新刊の相互貸借…

で、それに関係して、予算がないけど、利用者のリクエストに一生懸命応えようとすると「貸して貸して館」に見られるし、借りられる方の図書館は業務が増えるし不満も出るということもあり、それ故『新刊は○カ月相互貸借依頼するのは自粛しましょう』って話も出てくるし、自粛したからといって結局購入しないまま利用者を待たせることになる場合も多いし…といった話を織り交ぜて、「予算がないのはわかるけど、せめて容易に購入できるんだから購入検討はしようよ」って話に持っていきました。
「『容易に入手できる資料は貸借の対象としない。』のだから、買えなきゃリクエストに応えられなくても…」って話にしようか迷ったんですけどね…

次の『所蔵したくないから借りる?』は、「あまり図書館で購入したくないなぁ…」っていう図書に関して「購入はしないけど、他の館が持っていたら(購入したら)相互貸借で借りて提供しますよ」っていうスタンスについてどう思うか?ということを説明しました。
自分の館では購入したくないからしないけど、借りてそれを利用者に貸すってことは、利用者から見ればその館から借りているわけだから、いっそ「そういう本は購入もしませんし提供もしません」の方が潔いのではないか?という考えもあるでしょう。
利用者に提供するのは図書館の義務だっていう意識との葛藤もあるので、これも非常に難しい問題だと思います。
「全部が全部買えるわけではないのは当たり前なんだから、図書館として提供するのなら少しは購入してみるとかも考えようよ」ってことで、不時着してみましたが。

続いての『県内に1冊あれば良い?』も上2つの似たような感じなのですが、「利用者に提供できさえすればいつまで待たせても仕方ない」とか「あまり利用はされないと思うからどっか買わないかなぁ」とかそういう意識が蔓延すると、「相互貸借があるから県に1冊あればいつか提供できるさ」ってことになってしまう問題点について説明しました。
迅速に提供したいと思っても「予算が…」とか「買いたくないし…」というネガティブ兄弟に苛まれてしまって、自己矛盾を起こしかねない…
ということで、この件は選書で買われない図書と同じような問題も含んでいますが「提供速度や所蔵することの意義をもう一度考えてみよう」って話にまとめました。

最後の『他館の資料が届くのは当たり前?』は、相互貸借はとても便利だけども、その裏には県立による物流などもあるからこそ成り立っているわけで、その予算も削減されているわけですから、いつか「市町村立図書館は相互費用負担でやってください」ってことになるでしょうし、相殺で…となると、あまり借りないで貸す方が多い持てる図書館の不満がMAXになるでしょうから、「他館の好意にあぐらをかかないようにすることが自分の首を絞めなくても済む」って話でまとめました。

ということで、相互貸借という図書館の協力体制は非常に便利で有意義なのですが、古くからある理想と現実とのギャップがあるため、図書館員は余計な葛藤をしなければいけないので、もうそろそろ意識改革をしなければ、せっかくの有意義なシステムも「(自分の館は自分のとこの利用者のリクエストに購入で応えるので)他館から借りませんから他館に貸しません」なんて持てる図書館が出てきたら、一気に瓦解するんじゃないかという面もあるため、新任職員のうちにそういう問題点を持って欲しいなぁと思った私なりのテーマでしたが…失敗だったかなぁ?

この相互貸借の説明の後は、県内に所蔵が少ない資料の保存について多摩の事例などを織り交ぜての話をして、情報と情報をつなぐという面、人と人とをつなぐという面、人と情報をつなぐという面から、ゆうき図書館や野田市立図書館、成田市立図書館などの他県の(!)事例や、レファ協の話とか、カーリルの話をして、twitterやGoogleグループやSNSなどを使ったコミュニケーションネットワークの話などをして、U40 - Future Librarianや全国図書館大会や研修などに積極的に参加して自分のネットワークも広げていこうって話でまとめました。
この辺の部分はほんと一気に、でも図書館の事例は一応動かしてみて、説明をしてみました。

今なら図書館ネットワークの事例の1つとして、図書館員同士が共同で資料紹介ブログを立ち上げた『Yonde ! - ウェブリブ』なども入れたいなぁと思っていますが、来年度もやらせてもらえるかなぁ…そっちの方が心配だったり。笑

さてさて、そんな久しぶりの講師の当日談・後日談を最後に、今日の話題はおしまいにしましょう。

講師当日、普通に会場に出向いたところ、入口で「研修の方はあちらへ」と案内されました。
「いやいや、講師で来たんですけど…」と私。
でも、講師控室に行かなければいけないので、研修の受付に行ったところ、「所属とお名前は…」と聞かれたので素直に答えたら受付名簿を探しているし…
ということで、その後数回(計5回ほど)研修を受ける方だと思われるくらい、威厳さがない自分に苦笑いしましたよ。はい。

それで、本番。
やっぱり、少し年配の方もいらっしゃり、予想通り。
司書資格を持っている人も半分ちょっとで、相互貸借担当者も1/3切れるくらいはいました。
見ていたら、特に寝ている人もおられなくて安心しましたが、インターネットをつながるように設定しておいてもらった講師端末がたまにエラーが出たりで、気付いたら時間が迫って来て一気に話したりで、あっという間の1時間でした。

で、後日、受講生のアンケートの集計をいただきました。
おほめの言葉もあり嬉しかったのですが、「資料以外の話を説明してほしい」とか「実務は承知しているので通常では思いつかない方法等を教えてほしい」とか「効率的な実務方法について教えてほしい」とか「相互貸借にもう少し踏み込んだ説明がほしかった」などの意見も頂戴しました。

最初の2つは、これまた予想通りで、メモを取らなくても後で確認できるような資料を作りましたし、実務担当者には当たり前のことだろうなぁと相互貸借について全く知らない人にもわかりやすくと思って作っていたのでね…後の2つは確かに実務担当者であれば物足りない相互貸借の説明だったでしょうし、相互貸借に踏み込みすぎると自己矛盾を起こしそうな面もあったりするので、なかなか…といった感じです。

「画面が見づらい」(たぶん、インターネットでの実例の部分などでしょう。)とかそういう面に対しては、自分の端末を持っていくなど工夫しなきゃいけないかなぁと思ったりしますし、自分でも100点とは思っていません(60点くらい?)から、もし次回というのがあれば、『図書館ネットワーク』で1時間、『相互貸借』で1時間とかもらえるといいなぁと思ったり、会場や設備面でやりやすい所が良いなぁと思いつつも、自分自身より良い説明ができるようにしたいなぁと思っています。

図書館ネットワークの説明をしつつも、自分自身、色々な人に支えられて、かつ受講生にもしっかり聞いてもらえたおかげで、無事本番が終わってほんと良かったなぁと思いましたよ。はい。

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コメント

大変興味深くブログを拝読しました。

私は長くロンドン在住で、現在働きながらパートタイムで大学院でデザインマネージメントを学んでおります。

数年前に英国で図書館設計に携わった経験から、どのように既成概念を変革してコミュニティーや幅広い利用者がより楽しく図書館を利用できるようになるかを研究課題とし、リサーチやイヴェントで多くの方からのご意見をいただいています。多くの図書館がデジタル革命による変貌を経験するなか、日本の事情や、現場からの情報は大変参考になります。

大変ぶしつけで恐縮なのですが、いくつか質問をお送りしたいのですが、ご協力いただけるかどうかをお伺いしたくメッセージを送らせていただきました。もちろん、私が調べた範囲内で、こちらの情報などをお送りする事も可能です。

メールアドレスを表記しましたので、ご返答いただければ幸いです。

あき

投稿: あき | 2010年8月10日 (火) 22:20

> あきさん
コメントありがとうございます。
ロンドン在住ですか…ホームズ好きな私にとってはとても羨ましいなぁと思います。(が、英語が非常に苦手なので難しいのですが。)

はい、協力は可能ではあるのですが、私自身は片田舎の図書館の司書ですから、実りある回答をお伝えできるか、少し…いや、かなり心配だったりします。
日本の図書館はどうも組織立って何かをするというよりは、各館の差が激しく、その自治体の首長や館長の意識如何によって違っている面も多く、私の知っている範囲以外もあるという前提の元でよろしくお願いします。
もちろん、協力するからには、自分の館だけではなく、県立の方など、できるだけ他館の人の協力も得て、回答しますので、ご安心を。

プロフィールにありますように、
連絡先:roto0307☆yahoo.co.jp
☆→@でメールアドレスになります。
(フィルタリングであきさんのメールがちゃんと仕分けされるように設定しましたので、いつでも大丈夫です。そうしないとYahooで勝手に迷惑メールになっちゃうこともよくあるようですし。)

投稿: トーネコ | 2010年8月11日 (水) 12:13

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