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2011年5月の3件の記事

貸出制限依頼について思うこと

前回に引き続いて、『もしも、新刊を出す作家が、図書館に貸出猶予を求めたら』(笑)です。

まぁ、「出てくるのは時間の問題だろうなぁ」と思っていたら、詳伝社から出された『陰謀の天皇金貨』(加治 将一/著)が早速『公立図書館では貸出さないで』と書いています。
それも、あとがきや奥付けでなく、巻頭に『本書の公立図書館での貸出をご遠慮願います』とあります。(まぁ、まだ文章は書かれていますが。)

『雑司ケ谷R.I.P.』は大きく取り上げられましたが、こちらの方はまだそんなに…といった感もあります。

でも、所蔵する・しないに関わらず、作家さんのお願い攻撃はどんどん増えそうな勢いなので、やはりちゃんと図書館内で検討する必要があると思います。
こちらも、間違えないでおかないといけない点としては『貸出さないで』ということで、『所蔵するな』『閲覧するな』というわけではないことは前回と一緒です。

すでに所蔵して貸出しているところはありますが、まだ発売されたばかりなので、今後どのくらいの図書館が普通に所蔵して貸出するか経過が楽しみだったりします。
あっ、もちろん、所蔵しているけど貸出禁止資料になっている館もあるかとは思いますが。

前回も書きましたが、図書館で貸出をしていない資料はたくさんあります。
が、それは、図書館が運用上(百科事典の途中が貸出されていたり、壊れやすい資料だったり、雑誌や新聞の最新号だったり)、あまり貸出するのはどうかな?と思って図書館が自主的・主体的に貸さないことを決めた資料です。
雑誌の最新号だって一夜貸ししている図書館もありますし、一概には言えませんけど。
しかし、著者のお願いだから貸出さない資料というのは受動的ですし、例を見ないことです。

法的には前回のもそうですが、著作権者に図書館の貸出を左右する権限はありません。
図書館側がそのお願いの意思を汲むか無視する(語弊があるかな?)かです。
図書館が図書の貸出を行えるのは以前も触れたと思いますが、著作権法38条4項で、非営利無償の場合は複製物の貸与が可能とされているからです。

また、ベストセラー大量貸出問題については、「公共図書館貸出実態調査2003」(http://www.jbpa.or.jp/pdf/documents/report0403.pdf)で解決済み(?)ですし、新刊の貸出制限云々は(CDにも図書館においてはないですけど)根拠法がない状況だったりするんですけどね…
ある意味義理人情の世界でしょうか??

確かに、この財政難などで、資料費は激減していて、図書館としては買いたくても買えない図書がある状態で、なんとか所蔵したい資料を優先的に選んで購入していますから、最初の選択からこの手の図書は落ちてしまうような気がします。
今回の『雑司ケ谷R.I.P.』のように、大きな話題になれば、作者の意図とは別に宣伝効果も出て売れるパターンも出てくるでしょうが、それも後になるにつれて、扱いも小さくなると思うので、何匹目のドジョウまで宣伝効果がうまくいくかって見方も面白いかもしれません。

作家さん側がもし本気でどうにかしたいならば、前述の著作権法38条を変更する必要が出てきます。(って話も過去にありましたよね…映画の著作物だけでなく書籍等にしたいって話。)
他国で見られるように、その保障を国が基金を作ってその辺の補償をする制度が確立されているなどあればともかく、先に補償を要求されると反発せざるを得ない状況かと。
例えばDVDなどの映像著作権に見られるような補償金云々になった場合、図書の購入冊数はおそらく1/3以下になります。(例えば300%割増の場合だと)
で、補償金を処理する機関なんて、作る気なんて更々ないでしょうから、同じ轍を踏むことになるでしょう。
もちろん、DVDの時に見られるように、中身のデータについての補償なのかそれを焼き付けた媒体としての契約なのかによって、ダメージを負ったページを捨てて補償金なしでそのページを複製できるかどうかなどの図書館としてのうま味も出てくるかもしれませんが。

公貸権の話をするとまた長くなりそうなので、話を戻して。

そもそも、図書館の存在理由と商業主義の考えは相容れないような気もします。
図書館の貸出数をただ単に増やしたいなら、予算の続く限り、人気ベストセラーとその複本だけを買っていれば格段に増えるのはわかっています。
商業主義的に考えると、図書館は収入がほとんどないですから、支出を減らすためにブックオフなどで資料を仕入れれば費用対効果も上がることでしょう。
まぁ、今後はわかりませんが、そんな図書館はないですから、まだ機能しているのでしょう。

ただ、その一方で、税金で運営していることから、地域住民の要求を全く聞かないというわけにもいきません。
図書館についてよくわかっている住民ばかりではないですから、自然とマスコミで取り上げられた本に飛びつく人も多く、リクエストとして図書館に要求してきます。
で、自分の予約が半年後くらいになると知った利用者の中には以前も触れましたが「なんでもっとその本を買わないのか」って文句を言う人もいて、それは近年日常茶飯事だったりします。
また、これも書きましたが自分に過失のある弁償本ですら、「ブックオフで買っていいのか?」「保険で何とかならないのか?」「俺は税金を払っているんだ」なんていう利用者もいますから、「予約しないで購入をお勧めします」と言っても買う人は少ないかと…
もちろん、逆に、新刊が出て自分で購入して「あ、これ予約いっぱいになっているでしょ?私は読んだから寄贈しますね」って一度読んだきりの話題の本をくれる利用者もいますがね…

それら(図書館を利用するから書籍を買わないのか、そもそも書籍を買わないのか、いくらぐらいなら買うのか等)の総合的で多角的な調査って最近はみないので、是非やってほしいほしいなぁ。

xiao-2さんの『みききしたこと。おもうこと。』での『図書館で予約の多い本は?』(http://d.hatena.ne.jp/xiao-2/20110518/1305733056)でも触れられていますが、図書館側でなぜ買わないのかという質問や調査は難しいですから、やはり何か新聞等での調査があると良いなぁと私も思いました。

質問を加えるとすると、「なぜ、この本を(買わずに)予約したくなったのか?」なんかもあると面白いかも…

そういったことをうまくまとまっているところを見つけられなかったので、

・図書館の利用者は3割
参考:時事通信社(http://www.jiji.com/service/yoron/result/pdf/071121.pdf)など
(過去に拙ブログのエントリーでも図書館を利用しない人が7割の話を書きました(http://c-town.way-nifty.com/blog/2008/11/post-e283.html))
(毎日新聞での第62回読書世論調査の件)

・新刊の出版点数は増えている
参考:不破雷蔵さんのエントリー『新刊書籍・雑誌出版点数や返本率推移をグラフ化してみる』(http://www.garbagenews.net/archives/1565633.html
(色々数値が出ている中で一番わかりやすかった)

・が、売り上げは減っている
参考:不破雷蔵さんのエントリー『10年で売上は書籍17.4%減、雑誌は24.4%減に~落ちる売り上げ・上がる返本率』(http://www.gamenews.ne.jp/archives/2008/08/10174244.html

・でも、販売冊数はあまり変化ない
参考:『書店の販売冊数と図書館の貸出数の推移』(http://www.1book.co.jp/002649.html
(『まずは図書館で読んでみて自分に本当に必要な本か見定めしたいという消費者の声があるように感じます。』ここになんか共鳴。そういう使われ方は個人的には嫌ですが。)

・一方、買われる書籍は月に1人あたり300円程度
参考:不破雷蔵さんのエントリー『1か月の購入金額は155円!? 週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる』(http://www.garbagenews.net/archives/1243180.html

・その割には月に1回以上買う人は約8割(!?)
参考:『書店での書籍購入頻度は「月に1回以上」が79%』(http://www.spireinc.jp/news/pdf/071101.pdf

といった感じで見ていくと、もちろん、統計の取り方などで数値の感じが違いますし、最後の調査結果は雑誌も書籍に含まれているようなので、一概には言えませんが、9.7%の人が書籍を読むけど購入しないと言っていますので、『図書館を利用する1/3程度はどうやっても購入しない人なんだろう』と推測できます。
だからといって、残り2/3の利用者が貸出しされないから購入するようになるかというと、月の購入平均が300円だから、新刊単行本だと年2回程度購入しないわけで、年々増えている新刊の中から、2冊を選ぶとなると、外れは引きたくないから、図書館で読んでみて買うか、図書館で読んだから買わないになるか、買ってみて外れだったから中古書店になるか、千差万別十人十色ですが、売り上げにはどのみち貢献しないと思われます。

ということであれば、今や文庫も300円じゃあまり買えない時代になりましたが、そのくらいであれば、図書館だと2週間は回ってこない場合が多いですから、自分で買っちゃう人も増えるでしょうね。
まぁ、そもそも、図書館を利用している人は3割ですから、そこに目くじら立てるより、残り7割に売りつければ良いのでしょうが。

最後に、図書館が電子書籍に対応し切れていない現状であれば、図書館での貸出が気になる作家さんは電子書籍で販売すれば良いとも思いますが、まだ過渡期なので、不正コピーが蔓延ってしまい、デジタル化しやすかったCDに似た状況になるのではないかと思っています。
現状でも、最近は書籍を電子化するのも比較的楽になってきて、自炊云々が問題になってきていますし。
不景気になったら新刊の出版点数が上がるのは、見てのとおりなのですが、その中から利益をあげるために、本の内容の良し悪しに関わらずメディア戦略が重要となっていくことでしょう。
今も、メディアに取り上げられれば内容はどうであれ、売り上げが高く、図書館での予約も殺到するのは多くあります。
将来的には、図書の内容ではなくその特典を目的とさせるような戦略的な販売をするケース(雑誌やCDなどで見られていますけど)もあったり、多作家1作品や同じような本の大量投入とかも出てくると、図書館側としても一層の苦労をしそうです。

ある時は卵を産む鶏に、ある時はナスや胡瓜を作る農家に例えられている作家さんなのですが、まぁ、あながち悪い例ではないなって思うこともあります。
ブロイラーで卵を産み続けさせられて、産まなくなったら処分される鶏も見ますし、規格通りの真っ直ぐな胡瓜などを生産し、より安い野菜に太刀打ちできなくなってやめていく農家の方々も見ます。
もちろん、丹精込めて育てられ、質の良い卵を産む鶏や美味しい野菜を作る農家の方々もいて、多少高くてもそれを購入するお客もたくさんいます。
その例えでいうと、図書館は農協でしょうか?でも、売っちゃいないから、品評会とか見本市とか試食会ですかねぇ?
いずれにしても、個人的には、読み続けられるものを置いていきたいものです。

色々な調査からも、買わない人は絶対に買わないのですから、お金を出して買ってでも読みたいという図書が少なくなっているのか、買われている本は図書館の有無にかかわらず買われていますから、「図書館が貸すから云々」という作家さんは単に負け犬の遠吠えなのかわかりませんが、共存共栄は表面的であっても望まれていることなのですから、図書館を利用しない7割の人に文学の面白みを伝えてもらえれば、図書館利用の3割を目の敵にするより、利用しない7割をターゲットにすれば利益は大きいですし、図書館側もその7割が本読みたい状況になってくれると利用も促進できるので良いのですけどね…

また長くなった…泣

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貸出猶予はする?しない?

テレビでやっていた替え歌が気分転換に面白かったので、自分でも作ってみようと…図書館の歌を作ってみたのですが、替え歌の歌詞は、基本的に著作権の保護期間にあるものは、同一性保持権にひっかかりますから、一般の人がカラオケなどでその場でおふざけで歌う分には良いのでしょうけど、公開するには著作権者の許諾が必要なのですよね…著作権についてあーだこーだ言っている私のブログにはもちろん載せられません。笑

今回の震災で、図書などが入手できない被災地に限ってレファレンスの回答のページをFAX可能にするなど、一時的・条件付きではあっても、著作権の保護を制限可能にする申し合わせが迅速に進行されたことは喜ばしいことです。
もう少し可能であれば、被災地の図書館に限って、予想されるレファレンスの情報を掲示板に貼ることが出来たりすれば、良かったのに…と思ったりしています。
まぁ、ネットで読み聞かせをしたいなどの動きもあったようですけど、もし可能になってもネットに接続できる環境で、プロジェクターも利用できるとなると電気がないとそもそも難しいですよね。(それと同じで、被災地の図書館だと複写機も動かないか…)
図書館が開館できない状況で読み聞かせをする場合は、避難所内に押しかけずに、避難所外の空きスペースにシートやござを敷いて青空読み聞かせなんかも良いかもしれませんね。

さて、この震災直前に著作権法との兼ね合いで物議を醸すようなことがありました。
著者が「一定期間図書館では貸さないで」と書いてある例の件です。
著作権法などで認められているので無視するか、著作者の主張を配慮するか…
だいぶあちこちで議論されているようですが、その図書館職員の考え方によってそもそも平行線になるような話です。
結論は非常に難解でしょう。

『全ての人に本を読む機会を提供する図書館の公共性』は、雑誌の最新号や参考資料、新聞など貸出していない資料はたくさんありますから、貸出でなく、閲覧だって良いわけです。
その著者の言っているのは、貸し出しの猶予であって、閲覧や所蔵もやめろとは言っていないようですし。
もちろん、図書館側が心配している『主張が増えた場合が心配』ってのは切実です。
今回は半年ですが、3年間とかいっそ所蔵するなとか、貸出回数に制限をするとか、好きなことが書かれると、それを全部チェックして管理するのは予算も人員も減らされている状況では無理です。
また、こっちはすぐ貸出でOKだけど、これはダメとか、システム上や資料管理が難しいものになってしまいます。カスタマイズするお金なんて出て来はしません。

一方で、1Q84などベストセラーに見られるように、「買いたくないから1年でも2年でも待つ」って人はとても多くいます。
その反面、「数か月待ちになります」って言う職員に対し、「俺は税金払っているんだからたくさん買って早く回るようにすれ」ってクレームを言う利用者もいます。
統計上正確なデータではないのですが、複本をどうするかという件は図書館だってきちんと考えているのに、「あの館は○冊も所蔵している」ってセンセーショナルに報道されたりしますが、大体計算すると10~20人くらいの予約につき1冊というパターンが多いような気がします。
100万人人口のところと1万人人口の図書館で複本所蔵数は違うのは当たり前なのですが、こういう場合には十把一絡げで『図書館』ですからねぇ…小さな図書館だと精々2冊くらいです。
複本を買わずに済むのであれば、図書館としては良い点もあります。他の資料にまわせるんだし。
もっと極論すれば、相互貸借で借りられるのだから、県内1冊でまかなうってことだって、国内1冊でいい…って書くと、「あれ?」って違和感も出て来ます。

多くの問題が複雑に絡んでいるので、それを1つずつ言及していくと、ただでさえいつも長いと言われるエントリーがますます長く…笑
(ひとまず書いてみたけど…自分でも長すぎだと。なので途中端折ることに。笑)
図書館の理念や理想は今回は置いておいて(だって知る権利云々や利用の対価の利用はどこまでかにも言及の必要があるから)、

1.利用者の行動と言い分(もちろん全てでない)
・『節約本にあるように』気になる本は買わずに図書館にリクエスト
・『税金で運営している図書館なんだから』図書館はあまり読まれない本よりニーズある本を買うべき
・お金は使いたくないから『一応予約しておく』
・予約キャンセルは待ちくたびれたからだけど『定価で買いたくはないから古本屋で』

2.行政上のプレッシャー
・数値化できて図書館をよく知らない首脳陣でもわかる『成果指標が貸出数くらい』しかない
・利用者満足度でも1で『満たされない利用者の図書館評価は低くその数が多い』
・首長への手紙や議員(の知り合い)から「1年以上も借りられない」という話があるので対応せよ

ってことがあるから、あまりどうかなぁと思う図書でもマスコミで話題になった本がリクエストが殺到するので対応せざるを得ないですし、予約一定数で複本というのも妥協点を見出してのことだと思います。(何も10件予約があって10冊買っているわけでない。)
1の最後は案外重要なことで、経験則での話です。
キャンセルの理由を知る機会はあまりないのですが、本屋で買ったからという人より古本屋で買った人の方が多いです。
(別の話だけど、弁償本でも本屋で注文すればすぐ手に入るのに「古本屋で探したけどなかったのでもう少し待ってもらえますか?」って言われたことありますし。)

という現状でこの件をどうするか各図書館で話し合われたと思うのですが、高崎市立図書館さんのように(http://lib.city.takasaki.gunma.jp/contents/files/20110414.pdf)明示している館は少ないと思います。良くも悪くもちゃんと表明するということは素晴らしいです!
そんな中、隣の館はどうなんだろう?ということもあり、横断検索が近年は充実してきていますから、サクッと確認すると、とある県では1/3が『さらば雑司ケ谷』を所蔵していて、その1/3が『雑司ケ谷R.I.P.』を所蔵していて、その1/3が貸出を止めているという状況のようです。
こう書くと多くの図書館が著者の主張を認めているように見えますが、1/27…つまり3~4%なので、そう多くは感じません。
全国調べるのは大変なので、おそらく著者の方自身はチェックされているかもしれませんけど、通常続刊は購入する館が多いと思いますが、今のところまだ様子見のままという館も多いのではないかと思います。
個人的には、その期限が過ぎた後の売れ行きが気になるところではありますが…ただ、その時期には絶版ってことも考えられなくはないですが。

それらを踏まえて、今回の件での私の意見は、『貸出猶予は構わないが、ちゃんと条件と環境を整備すべき』です。
その考えられる条件と環境というのは…

A.貸出猶予は○か月と決めて表紙に大きく明示する
・新刊を十把一絡げに6か月などとすると、作家さんによっては考えが異なることもあるでしょうし、だからといって、どこぞやの約款みたいに小さい字や後書きのどこにあるかわからないというより、図書館側も利用者もわかりやすいように表紙に明示してあれば、図書館としても利用者の「なんで貸さないんだ」ってのにも説明しやすいですし。

B.再販売価格維持制度の改変
・1つ目は貸出猶予期間後は2割ほど安く買えるように、2つ目は古本屋から著者が収入を得られるようにするなど、改正すれば、図書館としても「安く新刊が買えるから猶予期間後でもいいかな」って思う館も増えるかも…

C.いつでもその本が買えるように
・一見、貸出猶予と関係なさそうですが、絶版を考えて複本を買うこともないですし、貸出猶予期間が長いとどうするか考えているうちに絶版ってこともありますので、その仕組みは出版界で是非作って欲しいです。

D.図書館システムの改変に出資を
・貸出猶予期間がまちまちの場合、Aのようにわかりやすくなっていれば、商用MARCなどでタグを作るのは可能なはず。でも、それをシステムに反映できるようにするためには、システム屋のカスタマイズが必要なのですが、図書館側にはその費用負担は無理ですので。

短くしたら、ちょっと誤解を生みそうな表現になったところもありますが、まとめたらこんな感じになりました。
所蔵猶予や閲覧猶予っていうのなら、また問題は違うと思うんですけどね。所蔵猶予であれば参考図書など図書館所蔵向けなどの図書が困ることになりますからね。

雑誌の複写の一定期間云々の話も似ているところがあるのですが、権利者の一部は一部の情報が全てだと思って、主張したいことを主張して、だからといって、それで困る人のことは知っちゃことないっていうのはどうもなぁ…(DVDの補償金もそう。ちゃんと機関ができれば色々な問題が解決するのに作りやしない)

ということで、今回の件は、貸出のみ猶予ということのようなので、わからなくはないし、考える余地はあると思いますが、仕組みが整わないのに、個別にやられるのは図書館側の人間としては問題があると思います。

ただ、ベストセラーって売上が多いものですよね、図書館の購入数がそれにどれだけ反映されているかと考えると、買う人はちゃんと買っているわけです。他は古本屋で買う人もいるし、図書館で何か月待っても予約しておく人もいます。

古本屋で買う人はおそらくその定価では買いたくない人でしょうし、予約待ちの人はいつまでも(図書館に文句を言いながらも)待つでしょうから、あまり意味がないかもしれません。

仕組みが確立していない状況で貸出猶予を主張したのは今回まだ1人なので、統計上の信頼性は少ないでしょうが、あれだけ大々的に記事になりましたから、その説明責任として、最初の巻の売れ行きと比べて、増えたのか減ったのか、発売から半年間の各月と半年後の1か月の売れた数を公表する必要があると思っています。
最初の巻から増えていれば、話題になったことと、最初の巻を図書館で読んで買った人が増えたということで、減ったら、図書館で買っていた分が買われなかったことになるでしょう。
また、本って発売後話題になるとかならなければ売れ行きが伸びていくものでもないでしょうから、発売後1か月目~半年目の各月の数値変化から見て半年後に急にあがったら図書館のせいでしょうし…
まぁ、「半年間売った合計数<半年後1か月で売った数」なんてことはないと思いますが、あったら笑えちゃいますね。
私も覚えていたら、同じとこの横断検索をしてみて、続刊として最初の巻と購入されたか確認してみますが…半年後は他の資料を買うことに気が行って、結局図書館で買い控えに終わる可能性もなくもないですけど。

あれ?この件に関して図書館の某団体は声明とか出したんだろうか?バタバタしていて確認してないや。

もしなんなら、図書館員大賞の話ではないですが、文芸書は図書館に置かないってのも面白いと思ったりしますが…一応文学という文化があるので、それは極論でしょうけどね。
ので、私の立ち位置としては条件付き賛成ということで。

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震災と図書館

今回の震災で、図書館の中の人として、色々と思うことがありましたので、その覚え書きとしてキータッチの進むままに書いていこうと思います。

東北各地の図書館の被災状況を聞いていますと、数千冊の資料が落下したぐらいではどうも被災したとはちょっと思えない自分がいる一方で、資料が1冊落下したって被災は被災なのかなぁと思ったりしています。(その辺の話は後述)

私の立場上、図書館の中の人である以上に、公務員ですから、震災当日は落下した資料に後ろ髪をひかれつつも、避難所の開設などの業務に携わっていました。
まぁ、私のいる所はそう長期戦になるようなところではなかったので、次の日には資料を棚に戻す作業をして、その翌日には通常開館となりましたが…

さて、当日の話。
避難所開設に動員されるまでに、利用者から一本の電話が。「図書館、今日、やってますか?」と。
こちらとしては、資料が数千冊落ちなければ、開館してあげたいとこなんですが、安全も確認されていない状態で停電で照明もシステムも停止した状態でどうすれと…
もちろん、地震は日中でしたから、まだ本は読めます。システムだって、先日蔵書点検でPOT(ハンディーターミナル)で電池を交換したので、貸出は可能なはず。
でも、足の踏み場のない書架間があったり、書架のゆがみとかのチェックも終わっていない状態で、開けるのはちょっと無謀でしたし…
(まぁ、次の日も別の方から「え、なんで図書館休館なの?○○図書館はやっているって言っていたよ?そこ(○○図書館より)より小さいでしょ?」ってクレームの電話があったりしたんですが…)

ひとまず、館長などの判断で、当日は臨時休館。次の日も元に戻す作業で臨時休館ということが決まりました。

一方、避難所開設するために、避難所となっている小学校へ駆けつけましたが、夕方まで私のいる避難所に避難される方はいませんでした。
日が落ちる頃、ポツポツ避難される方が来ましたが、自治体内が停電ということもあり、自家発電機が用意されていないこともあり、真っ暗なので「まぁ、いいや帰ります」って方も。

自治体内放送は聞き取りにくいし、情報収集に使っていた携帯電話は電池切れという状況の中、東北が大変なことになっているということがわかったのがもう少し先の話になってしまいました。(避難所だったけどラジオもなかった…泣)

避難所の話は置いておいて、その日感じたのが、情報収集手段が断たれた時の様々な段取りの悪さや、FAX対応電話が(電源がないと回線は無事でも)使えないってことと、岩手県広聴広報課のTwitter(http://twitter.com/#!/pref_iwate)など、自治体内サーバがダウンした時に情報発信手段を日ごろから持っていることの素晴らしさですかねぇ…

最後の部分は重要。
というのも、東北各地の自治体や図書館は自前等のサーバを用意してWebサイトを公開しているわけなのですが、そのWebサーバが長期停電等でだめになった時、その自治体内の人は市役所に行くか回線が無事なら電話するしか情報取得の手段がありません。
急きょ、別のサイトで開設することも可能ですが、その広報は時間もかかりますし、そんなすぐにはGoogleにも載りませんし。
私の友人の安否確認もお互い携帯の電池切れで連絡が数日つかなかったし、その図書館のサイト自体が見えない状態だったので、停電等でダウンなのか津波でだめになったのか非常に心配していたとこでしたからね…。

図書館の話に戻して…
うちの図書館は数千冊資料が落下したのは前述の通りなのですが、落ち方に特徴がありました。
書架は低めに設計してあるのですが、一番上の棚と天板に載せていた資料がことごとく落ちました。
別の高書架にあった新聞の縮刷版はもっと大変な状態でしたが…
しかし、その一方で児童コーナーの方は立て掛けていた数冊の資料がパタンと倒れて落ちただけで、それは普段でもたまに倒れますから無傷と言っても良い程度でした。
他の図書館の人の話でも、「本震の時にはなんともなかったけど、余震の時にバタバタ落ちた」って話は聞きますから、揺れの向きなどもあるんだろうなぁと。
実際、ブックエンドとかで押さえていると落ちにくいって話もありますが、ブックエンドごとまとめて引っ張り落とされたような箇所もあり、止めていないところでは確かに落ちているところもありましたが、落ちないで横に流れただけの感じなところもありました。
キチキチに詰まっていた棚では、湾曲に資料が飛び出て真ん中辺は半分以上飛び出たところがあり、「これもうちょっと(時間が長く)揺れたらここの棚全部落ちたよね…」ってところもありました。
ということは、まず揺れの向きや揺れる時間、書架の高さや棚の滑りやすさが関係しているのかなぁと。

落ちた資料を見て、思ったのが、どうやったら被害を少なくできるか…(いやもちろん想定外の揺れには対応できないでしょうけど)
まず、資料落下手前でバーがあるような落下防止装置。
日本ファイリングさんのブックキーパー(http://www.nipponfiling.co.jp/products/library/bookshelf/book_keeper.html)なんかがそういう感じなのですが、例えばうちの館で落下したような新聞の縮刷版10カ月分くらいの本が同時に落ちようとするのを支えるのはかなりの強度が必要で、資料の大きさや揺れのリズムによってはバー乗り越えちゃったり、その棚にある資料の重さによっては落ちる時の力でバーが変形したりするかも?と思ったりしています。
次に、資料落下防止の滑り止め。
でも、摩擦係数が大きくなるほど、棚から本が抜きにくくなるんじゃないか…ちょっと加減が難しいか。端に松脂みたいなのを塗るとか…。キハラさんですでに安全安心シート(http://www.kihara-lib.co.jp/anshin.htm)というシート状の滑り止めが販売されていて、研究の成果のような良い塩梅なのでしょうが、全棚付けると財政難の公共図書館には痛い出費か…もちろん落ちやすい上部の棚だけという手もあるけど…と思ってみたり。
それなら、全棚少し内側に傾斜なんてどうかな…
どうせ、揺れが大きければどんな対策であっても、落ちるんだし、ほぼ水平に見えるんだけど、ビー玉をのせると内側に転がっていくようなほんの数度の傾斜が内側向きにあると、少しは軽減されるかも?
確かに傾斜棚っていうのはブックトラックとかも含めてありますが、あんなに傾斜するのではなく、どのくらいの傾斜でどのくらいの効果があるのかどこかで実験してくれないかなぁ…きっと数度違うだけでだいぶ違うと思うんだが。その程度であれば傾斜書架みたいに幅を取らないで済むと思うし。

いっそ、逆転の発想で、どうやって安全に資料を落とすかと考えるのも面白そうなのですが、棚がスイングしてきたりしたら、すごく危ないなぁ…と。

そんな事を考えながら、落下した資料をどうやって効率的に並べ直すか少し思案して…
まず、床にある資料を順番どうでも良いから、背ラベルが見えるようにそのまま床に並べる。
次に、書架に並べるときに請求記号の順番に直すという手順にすることにしました。落下なので、だいたい同じような位置に落ちていますからね。
Picasaで被害状況と復旧状況を公開していたゆうき図書館さんのページ(https://picasaweb.google.com/118182004366193053491)を見たら、同じような手順でしたね…

そんなこんなで、CDケースの修理などが残りましたが、ひとまず安全確認と落下資料の復旧が1日で終了し、展示コーナーの資料も集めて次の日からの開館に備えました。

震災から2日目。
まぁ、やっぱり「今日はやっていますか?」って電話があり、「はい、開館しています」って言えるのは開館しようにもできない図書館には悪いなぁと思いつつも、嬉しいものです。
来館者から、「図書館は大丈夫だったの?」訊かれたので、展示コーナーに掲示していた自館の被害状況の写真を案内して、「やっぱり大変だったんだねぇ」と言われましたが、「2日目には開館できたんですから、(被害状況は)軽いもんです」って気分でした。(その時、利用者には「そうですねぇ…」ってごまかし笑いしていたと思いますけど)

で、3日目は月曜日ですから休館でしたけど、4日目の話。
東京電力の計画停電の情報は1週間も経ったら広く知れ渡ったと思いますが、その日は計画停電2日目。
東京電力のページに載っていた情報をわかりやすく自治体内の部分だけ抜き出して大きく掲示しておきました。
それから数日間、その掲示版を(掲示版が低かったこともあり)しゃがんで見たり、携帯電話で写真を撮っている利用者がたくさんいました。
そんな中、印象深かったのが、「あの掲示板にある情報、どこから見つけてきたんだい?」と聞かれたこと。
その頃には、自治体のページでもグループ分けなどがアップされていたと思いましたが、「東京電力のWebページと自治体のページの情報からです」と返答。
その利用者曰く、「自分の住んでいるところの自治体ではこういう大事なことを広報しないし、自分の所が何グループかわからない」と。
計画停電発動すぐならともかく、その頃になっても広報しない自治体ってないような気がしましたが、知りたいというレファレンスでしたので、東京電力の該当ページを見せながら、たまたまその方の住んでいる場所は2グループに分かれた場所だったのでその追加説明も加えて、説明したら、とても感謝されました。
「仕事中に(調べてくれて)悪いね」と言われたので、咄嗟に「情報を見つけるのが仕事ですから」なんてある意味すごいことを言ったような気がします。笑

それでも、しばらくは掲示板を撮影する人が絶えなかったですから、必要なWeb情報に触れられない人ってどんだけ多いことか…って痛感しました。

話は変わって、各図書館の図書館の被害状況や必要な支援について有志の手によって立ち上げられたWebページ(http://savemlak.jp/wiki/saveMLAK)があります。
先日も記事になっていたようですが、(当初のページはこっち(http://www45.atwiki.jp/savelibrary/)ですが)
しかしながら、Twitterでそういうことをやっているという情報があったので、私も編集に参加しようか迷いましたが、やめておきました。

というのも、前述のように、どの館がどのくらい資料が落下したか、天井が剥がれたか、書架にダメージがあったかなどの情報はある程度把握していたのですが、そんな数日のうちに復旧し通常開館している館の情報って必要だろうか?被災と言えば確かに被災なのでしょうが、そういう図書館の利用者から見ると、自分の行きたい図書館が今日やっているか否かの情報が(特に計画停電絡みの臨時休館など)必要なんじゃないかなぁと思ったことと(加えて、一般利用者はそういうサイトがあることも知らないので、最寄りの図書館のサイトにつなげてみて「あれ?出ない」ってことで電話ってパターンだろうし)、東北のとある図書館職員の話では「今、図書館でなく避難所にいて避難者の対応をしなければならないので、自館の状況把握どころじゃない」と言われたことも心にひっかかっていたということもあります。

また、原発問題で避難せざるを得なかった図書館職員からは「地震で避難した後に立ち入り制限になったから中がどうなっているか把握できてない」って話も聞きました。
私の友人の図書館職員が勤めている館の情報は被害が把握しきれなかったからか、なかなか情報が出てませんでしたし、停電が長期にわたった地域などでは、ネットにつなぐこともままならない状況でもありましたので、どういう情報伝達手段が有効か考えさせられることも多々ありました。
(各市町村立図書館自身もバタバタした状況で、うちの館も県立から来たメールにすぐ気付かなかったですし、電話回線ズタズタであればFAXも電話もできませんからねぇ…ほんと電気と電話回線がだめだと、動きが取れないことを痛感しました。)

もちろん、こうやってすぐに動ける有志の方々は素晴らしいと思っていますし、少しずつライフラインが復旧し始めた今はこれからどうするかということを知ることができる点で、とても重要だと思いますが、逆に今となったら、「数百~数千の資料の落下について追記する意味あるかなぁ?」とやっぱり書けず仕舞いだったりしますけど。

で、改めてこのサイトを拝見すると、被災情報が上書きされている部分(例えば以前は「○○のため△△日まで閉館中」だったのが「□□日から開館」など)もあり、前述のようにそこを見た利用者のために現在を知るというのも良いのですが、過去と現在を分けたら良いのではないかと思ったりします。
急に立ち上げられたことや多人数による編集ということもあり、細かいところでは「○○日」という表記があってそれが今見ると3月なのか4月なのか5月なのかわからないなど、なかなか難しい部分があるなぁと感じました。

先日テレビで見た図書館はまだまだ復旧の「ふ」の字もままならない状況でしたので、改めてショックを受けましたが、落ち着いて通常開館に戻った図書館から順に「あの時はこんな状況だった」と書く館が増えても良いんじゃないかなぁとちょっと惜しい気もします。

他にも、有志といえば、絵本の読み聞かせや避難所への図書の寄贈などの話も早々に出ていたようですが、一方で「そんな(図書)の置く場所なんかない」とか「(体を休めたいとか絵本の読み聞かせなんか聞きたくないなどで)その間どけって言うのか」って話も出ることもあるようですので、押し付けにならないように、他の避難者も考慮しながら活動するのって難しいなぁと思いながら今日に至っています。

話は二転しまして、生きることに一生懸命な時って心に余裕が全くないから、今でこそ音楽などが心に染みいるという話がありますけど、おそらく震災1週間くらいは難しかったんだろうなぁと思っていた矢先、某所から元気の出る本って何かないかって話が。
個人的には「えーこの時期って難しいなぁ」と悩みましたが、「いくらなんでも不遇な状態から立身出世した時代小説や長編小説なんか、元気のない人は読む気にもならないだろう」ってことで、できるだけスッと読める詩的なものや、大人が読んでもちょっと笑顔になれる絵本など、そんな感じのものをチョイスしたのですが、果たしてその評価は…笑(聞きに来た人のそのまた向こうですから…)
自分でも「この時期でなくて、例えば、あと半年後とかなら、また別の本を紹介するんだろうな…」って思う今日この頃です。

ってことで、だらだら書いた感じですが、まとめると…
・日ごろから自治体や図書館は手元でない別サーバの公式情報発信手段を持った方が良い
・Web情報はまだまだ見られていない人が多いし、長期停電の時は特に考える必要がある
・図書館資料や図書館が機能しなくても、情報を色々と収集してその状況に応じた発信を考えよう
・どのタイミングで何をするのかよく考えないと、良かれが自己満足になりかねないことも
ってことでしょうか…

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