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2011年7月の2件の記事

館内閲覧だって利用の形態ですよね?

数日前(書いた時は…笑)の毎日新聞の地方版の記事『ばってん日記:不便な図書館/熊本』(http://mainichi.jp/area/kumamoto/news/20110718ddlk43070206000c.html)を読んでみて、さらっと読んだ時と、深く読んだ時にに受ける印象が違うなぁって思ったので、コメント。

まずは、さらっと。
1.熊本県立図書館と熊本市立図書館で、とある郷土資料扱いで貸出していない資料があった。
2.ネットで調べてみるとその資料は福岡県立図書館や福岡市立図書館では貸出が可能だったので取り寄せたいと思った。
3.しかし、熊本のどちらの図書館でも所蔵としてはあるので、取り寄せられないとのことだった。
4.それって何とかならない?

ということなので、相互貸借のルールにひっかかったんだね…と、わからないこともないなぁって気分に一瞬させられるのですが…

ちゃんと読むと色々なことを思いめぐらせることになります。

A.『利用=貸出』?
『図書館』と言えば、「本を借りるとこ」って半数以上の方が答えるだろうと思いますけど、以前も触れましたが、借りるばかりが利用でないし、資料だって借りられない資料もたくさんあります。
なにも、熊本の2館は「所蔵はあるけど見せません」って言っているわけでないのだから、中を見ることはできるはずです。
記者も書いていますが、30年前の資料なんですから、もしかして「貴重書なので…」とか「修理中なので…」ってことはあるかもしれませんけど、基本的には閲覧利用可能だと思われます。

また、該当資料が郷土資料扱いされている資料ということだけしかわからないので、一概に言えませんが、図書館のほとんどは複写サービスもやっていますので、必要な部分を複写するのも手だったんじゃないかと思いますが…
どうも、この方は『利用=貸出』で図書館を考えておられるんじゃないかと思ってみたりもします。

それと、もしかすると貸出用の複本が過去にあったかもしれない(30年間でなくなったり使えなくなったりしたとか…)とも考えると、「なんで貸出用がないんだ」的な書き方はちょっとどうかなぁ…

さて、これに似たケースが、うちの館でもありました。
県内ではあまり所蔵されてないだろう郷土資料で、やはり1冊しかないので、禁帯扱いのものを、某放送局の番組作成責任者が借りたいと。
その時は、『取材扱い』という特例で貸出したのですが…返却の督促をして約1カ月…最終的には戻ってきましたが、ものすごく心配になったことがありましたので、「放送・報道関係にはあまり貸したくないなぁ」と少々トラウマだったりします。笑

児童向けの図鑑などに多いのですが、「これは図鑑だけど貸出用にしよう」とかの判断は分かれることがあります。
「どこそこの図書館では貸出できるのだからなんでできないんだ」って話もわからなくはないですが、その館では参考資料として貸出さないと決めたのだから、それはそれで尊重されるものだと思うんですけどね…

『利用=貸出』という意識で図書館があるのであれば、逆に館内の資料は「すべて貸出可能です」が理にかなっています。
でも、そんな館はまずないですし、貸出されない参考資料や郷土資料についての一定の貸出しない暗黙の了解はあるのだと思います。(雑誌の最新号一夜貸しとかもまれにはありますけどね。)

まぁ、そういうことは理解しつつも、やはり自分の借りて読みたいものが貸出できないと思うと、「何とかならない?」って気持ちもわかります。
けど、今回は相互貸借のルールに基づいた対応ですし、所蔵資料が閲覧のみの利用ではあったけど、利用できるわけだし、郷土資料の禁帯は理解してもらっているようなわけですから、「いちいち記事にすることか?」って思ったりしますけどね。

ただ、利用云々の話になると、無限ループのごとく、どこまでを無償と考えるかとか、結論の出ない日々ではありますが。

B.所蔵資料は他館から借りられない?

おそらく、記者の方はここの部分が不満なのでしょう。
この部分は相互貸借の暗黙のルールとして、「所蔵している資料は借りない」というのがあるのだろうと思われます。

相互貸借は図書館の相互協力のもとに運用されますから、「所蔵資料があんのに、なんでうちの館のが必要なん?」って思うこと多々あったりします。

もちろん、所蔵資料でもOKだと、ベストセラーなどで人口が少ない館などの資料が地元住民の目に留まらないままで他館に貸出されたりするってこともあるとは思われますので、原則所蔵資料はご遠慮いただくのですが、こちら(私のいる地域)ではその辺は意外とアバウトさがあるかもしれません。

読書会グループの複本を集めるなどは普通にありますし、聞いた話だと「そちらの館の資料の方が(館が新しいので資料が)きれいかと思って」って話もあったりするそうですし…(笑)
いや、もちろん、そこまでされると、断るかもしれませんが。

例えば、所蔵資料があっても、あることにはなっているけど、不明なのでとか、督促をガンガンしているけど、長期未返却なのでとか、ある程度ちゃんと理由がある場合であれば、良いかと思いますけどねぇ…

郷土資料に限り、所蔵資料があっても、貸出可能なものが借りられるようであればOKというルールになると、おそらく、この記者さんも願ったり叶ったりなんだと思いますけど、以前も書きましたが、相互貸借資料って、原則は『まずは購入努力をして、手に入らない理由があるときのみ、持っている館の協力で借りることができる。』のはずなんです。
が、相互貸借で移動される資料の量が年々増えているのは、それに反して、資料費が削減され、優先順位の低い資料は「どっか買ったら借りよう」という意識が蔓延しつつあるからなのでしょう。

あくまで、相互貸借は、仕方なくするものなんですから、相手の親切に胡坐をかくものではないですし…

そう考えると、「所蔵しているから、他館から借りるのはちょっと…」っていう答えは、図書館的にはルールに基づいた回答なのかなぁと思ったりしています。

それにしても、今回の事例(?)、なるほどと思ったのは、自分の自治体の郷土資料は複本がなければ、基本的に禁帯なんだろうけど、他地域であれば、借りられるということもあるということは、確かにそうで、自地域以外の資料はじゃんじゃん貸出するっていうのもありかもしれないですね。
ただ、この件の貸出可能だった理由は、複本があったからなのか、自県ではなかったからなのか…わかりませんね。

ただ、福岡の図書館が複本を持っていたと考えると、熊本の両図書館だって、複本があったと考えるのが普通ですよね?
自地域の資料だから需要も多く、貸出用資料がなくなってしまったと考えるのも普通かなぁと。

C.越県の相互貸借

地域によっては、自分の所属県でない地域からも、県レベルで協定が結ばれていて、利用者はお金がかからず借りられる場所もあるようで、それはそれで羨ましいなぁと思ったりします。
自分の都道府県内であれば、県立図書館が運用している配送車や、配送費県立払いとか、相互に費用負担とか、同じ都道府県内図書館から借りる場合の利用者負担0はよくある話です。
でも、協定がない県同士の場合は、通常、郵送の金銭負担が発生します。

場合によっては、県内になければ貸出不可って言っちゃっている館もありますが、どうなんでしょうね…

郵送費用は、往復利用者負担が多いような気もしますが、そんな統計はないでしょうかねぇ?
図書館で相互負担で相殺するとことか、全部借受館負担だとか、色々なケースは考えられるのだけど。

あ~、そういや、そんなに古くない(1年前未満の)新書を貸して欲しいってFAXが隣県から来たことがありました。
郵送費往復したら、その新書買えますから…ってお断りしましたが。笑

D.税金で所蔵した?

いやいや、郷土資料だと、寄贈資料かもしれないよっと。
寄贈資料だと、まぁ、「2冊いただけると嬉しいな」的なアピールはしますが、1冊だけだと、やはり禁帯出扱いになるんだろうなぁ…
もし寄贈者が著作権者だったら、もらうときに、「貸出用に勝手に複製して良いですか?」って聞いてもらうと面白いかも~☆

E.30年前の本のリクエスト

んー、対処としては良いのだろうけど、普通は購入できないよなぁって思いますよね。
それなら、新聞記事にタイトル書いて、「もし家にあれば、熊本の各館に寄贈してあげて」って記事にしてあげるのが、手っ取り早いかもしれませんね。

F.書庫で眠っている?

確かに、書庫で眠っているような資料もありますけど、動かないでそこにあるということは、あまり利用がなかったので、保存しているってことでしょうから、「ちゃんと保存していてエライ」くらい書いてもらいたい気分だったりしますけどね。
書庫に限らず、書架で全然動かない資料ももちろんありますが、大抵の図書館員は、「どうやって動くようにしようか」とか「どうやって日の目を見るようにしようか」とか「10年後くらいには利用があるだろう」と思いながら、創意工夫を凝らしているわけでして、寝かしているわけではありません。
もちろん、この記者の方のように、「利用=貸出」で、資料に眠る時間を与えないような図書館ばかりですと、「行ったけど読みたい本なかったよ…」ってことになるのかなぁ?と妄想したりしています。

G.本の幸せとは?

私自身、本になったことがないですから、よくわかりませんが、図書館で埃をかぶっているのも嫌ですけど、たくさん利用されて手あかをベタベタにされるのも嫌だなぁ。
温度と湿度が行き届いた場所で、たまに手に取られながらも、優しく扱われて、後世まで残されていくっていうのがいいかなぁ?と思ってみたり。
まぁ、人間の幸せの価値観が違うように、「ガンガン利用されて役目を終えるのが本望」っていう本もいるかもしれませんし、「折り目が付くから人に触られるのは嫌」って本もいるかもしれませんが。笑

H.著作権法の壁

図書館が別の図書館の求めに応じて絶版などになっている資料を複製することは可能ではありますし、保存のために必要がある場合複製できるのは、わかっていますけど、30年前の資料が絶版であっても、所蔵はしていますので、できないでしょうし、保存のための複製については、なかなか権利団体さんと意見がちょくちょく平行線だったりしています。
今回の件は、一般流通していた郷土資料なのか、普通に頒価不明な郷土資料なのかわかりませんが、せめて、一般流通していない郷土資料だけでも、「利用者の利用(貸出)に供するために必要がある場合」といった感じで複製できると良いのでしょうけどね。

といったことを考えながら、図書館の記事を読んでいる日々。

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たまにはブックトークをした話でも。

児童担当もやっているよ(というか実際は全部担当)ということで、たまに児童サービス関係の話なんてのも。

さて、最近は学校で朝読ということで、読み聞かせに来てほしいという依頼や、授業時間でブックトークの依頼がよくあります。
書いちゃいないけど、幼稚園から中学校まで呼ばれれば行くというスタンスで児童サービスはしています。

ただ、バリバリの児童担当の人のように「あの人の絵はねぇ~」とか「この作家だったら定評があって…」という話には時々ついていけなくなったりしています。
ので、そういう方にはお叱りを受けそうですが、それなりの児童担当ということで…ご勘弁を。

先日、児童担当の人と、絵本の選書について、「図書館で、定評のある良い絵本を…云々」って言われたので、「じゃあ、良い絵本って?」と返し、「ぐりとぐらとか長年読まれている…」と言うので、「じゃあ、最近のは買えないじゃん」と、まぁ、そんな定番の(?)会話をしていたのですが、共通認識としては、最近の絵本は色使いが派手というか目立つというか表現しにくいですが、「今の子好みの感じだよね」って結論になりました。
要は、選書の話から始まったのですが、良書主義をとるか、色々な本に触れる機会と考えるかって元々似て非なる考えがある2人ですから、どちらの言い分ももっともということで、後半は「最近の絵本は…」って話になったわけです。

私は、何も図書館に悪い本(?)を置けって思っているわけでもないですが、大人の感性と子供の感性はやはり違うものですし、もしかして図書館であまり置かれていない本に出会って、他の本をも読みたくなったって子だっているかもしれませんし…、借りてみて「自分には合わない」とか「つまんない」って思うことで、本を見る目が育つような気もしますので、余程の受け入れられない理由がない限りは置いても良いと思っています。
しかしながら、もちろん、予算というものがありますから、以前も書きましたように、優先順位がついて何でも感は薄れてしまいますけどね。
なので、どちらかというと、定番の複本より多様性で購入って感じではあります。

で、こないだ、小学校へ同僚と一緒にブックトークに行ってきました…
が、先生から頼まれたのは1~2年生。
あまりブックトークにおすすめはされないらしい年齢です。(どうも3年~くらいの方が良いらしいってよく聞くので。)
かつ、私が担当したのは1年生。
でも、テーマは自由だったので、そこは安心。(以前、某所で「戦争をテーマにブックトークを…」って頼まれて、なかなか大変だったので。)

おそらく、普通なら「いや、その学年だとブックトークより読み聞かせが…云々」って主張するのもありでしょうが、私にはできませんので、頭では難しいなぁと思いながら、受けました。
実際問題として、図書館側としては、積極的に学校に出前をしたいところなのですが、ただでさえ、時間数が増え、授業内容が増えた状態で、「授業時間を1時間ばかりください」というのは、なかなか言いにくい状況ですから、どうしても受け身になります。
そのため、先生が突然、「来週のいついつお願いしたいのですが…」って言われたら(というか日程調整なしの場合が多いですが)、なんとかやりくりして出かけます。

さて、朝読の読み聞かせで中学1年生と小学2年生に同じ資料を展開してみるなど、実験的なことばかりしている、そんなそれなりの私が今回設定したテーマは、7月7日に実施したこともあり、『7』です。笑
強いてテーマらしく書けば、「何が7か考えよう」です。

こんな展開。

1.はらぺこあおむし(エリック=カール/さく,偕成社)

・あらすじ紹介
(一週間が7つ曜日があるというのを説明。読んだことがある子がほとんどなので、月曜日と土曜日を読み、蝶になるまでを確認)

2.ハンダのびっくりプレゼント(アイリーン・ブラウン/作,光村教育図書)

・読み聞かせ
(読み聞かせ後、ハンダが持って行ったフルーツを確認(7つのフルーツ))

3.ポテト・チップスができるまで(森山 京/作,小峰書店)

・あらすじ紹介
(おいてけぼりにされたところで紹介は終え、最後に良いことがあったことを予告(7匹の子豚))

4.こそだてゆうれい(さねとう あきら/文,教育画劇)

・あらすじ紹介
(挿絵を見せながら、内容を紹介。女の人は何だったのかで終わり。まぁ、タイトルでわかるし、つなげるためにバラすけど。(飴屋に7晩通う))

5.お月さまをのみこんだドラゴン(ジョアン・デ・レオン/さいわ・え,新世研)

・あらすじ紹介
(あらすじで全部紹介。月に竹藪があるか?という問いで次へ。(7つの月))

6.月をみよう(藤井 旭/著,あかね書房)

・説明
(世界にはうさぎ以外にもカニや女性に見えた人々もいることを説明)

7.ななほしてんとう(たかはし きよし/さく,福音館書店)
・説明
(少し脱力させるために、7つの星と言えばということで。一応中身も簡単に確認。(7ほし))

8.ほくとしちせい(藤枝 澪子/ぶん,福音館書店)
・説明
(7つの星の並びについて説明。また添え星についても興味を持たせる説明。(7つの本物の星…でも本当は…))

9.お月さんはきつねがすき?(神沢 利子/作,ポプラ社)

・あらすじ紹介
(挿絵を見せながら、内容を紹介。月は誰にでもついてくるよね?と確認(秋の七草))

10.しちどぎつね(岩崎 京子/文,教育画劇)

・あらすじ紹介
(最後、おおきなかぶと関連付けて(1度やられたら7度仕返しするきつねのあだ名))

11.おかえし(村山 桂子/さく,福音館書店)

・読み聞かせ
(最後にこの本は何が7つだったか確認(きつねのおくさんの贈ったもの7回))

でした。

トータル40分かかりましたが、1年生なのに、最後までしっかり反応してくれて嬉しかったです。
もっと素直に、7色の虹の出てくる話とかでも良かったかなぁ?と思いましたが、流れが「食べ物」→「夜」→「きつね」つながりで展開したので、いたしかたなく。
もちろん、他にも『オオカミと7ひきのこやぎ』とか、『ゆうかんなしたてやさん』とか、7に関わるものは案外たくさんあったなぁというのが今回の収穫です。
(例えば『こぶたを数えてIからMM』もローマ数字の説明だけど、ローマ数字って7種だし…(1年生じゃ難しいので却下しましたが))

今回注意した点は、1年生なので、読み聞かせは慣れているけど、ブックトークは基本的に「あとで読んでみてね」なので、違和感を感じると思って全部読むか、あらすじの説明かを言ってから、話をしたのが良かったかなぁ?と。
基本的に聞き手の反応でアドリブや展開の変更するブックトークなので、他に持って資料を持っていましたが使いませんでしたね…。

また、おそらく普通のブックトークだと紹介数多すぎと言われかねないですね…はい、でも、ご想像通り、低学年は集中力勝負なので、ハイテンポで話しました。

で、実際にやってみて、びっくりしたのは、月の影の部分の説明をした時、「えっとね中国ではカニに見えて…」って詳しい説明をし始めた子がいたこと。
なので、その子に合わせて話を展開したりして、楽しく話せましたし、子供達も最後の『おかえし』で、大笑いしてもらえましたから、楽しんでもらえたかなぁと思います。

なのですが、そのあとの時間は同僚の正統派ブックトークを見学し、「やっぱりそういうのが普通なのかなぁ?」って思ったりしました。
(もちろん、普通のブックトークっていうのも変ですが…)

ということで、今回ブックトークで思ったのは、最近はブックトークの虎の巻的な本が色々出ていますし、ネットでも紹介した本を紹介している所も多いのですが、レファ協みたいに、どんどん登録していき、1つにまとまっている所があると、とても便利だし、勉強になるんじゃないかなぁ?と。
もちろん、聞き手に合わせてプログラムを組む面白さや、聞き手の反応で展開を変えられる柔軟さが必要なので、紹介した本の羅列というのも味気ないかもしれませんが、「同じ本でこういう展開する方法もあるんだ」とか「この本も加えたらどうだろう」とか、知識が広がるのはソーシャルネットワークの本領発揮なんじゃないかなぁ?

確かに、長期的に図書館勤務で、資料把握も完璧で、自館未所蔵の資料も広く把握している状態は理想なのでしょうが、現実の正職員で司書持ちは多くない状況であれば、そういう場もありなんじゃないかと思います。

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