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(仮称)図書館員大賞を考えてみる

年末も押し迫り、クリスマスも目前で、なぜかどこの図書館も児童コーナーはどこもかしこもクリスマス本特集で、先日も『Xマス絵本 お薦めは? 図書館と書店に調査』中日新聞(http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20121220/CK2012122002000039.html)という記事を読み、私だったらどれを候補にあげようかなぁと思いながら、前回、TRC図書館スタッフが選ぶ…の話を振った手前、『もし、図書館員大賞をやるので、1月~11月末に出た本で0~8類の1冊ずつのおすすめを挙げてください』と言われた場合のことを考えてみました。

実際、考えてみると意外と難しいですね。
かなり印象に残っていないと、1月・2月の資料の印象が薄くなっている…そして、図書館で購入した資料以外の図書は基本的に選外になる…(選定候補も入れても良いのですけど…)

で、今回は私だけなので、紹介文を長くしても良いけど、本格的にやるのであれば、各人思い入れが色々あるでしょうから、100字~140字ならまとまるかなぁと。
大掛かりになれば、本屋大賞と同じようにタイトルのみの一次…って感じの方が能率があがるでしょうけど。

ということで、共感をあまりよばないだろうトーネコ選、2012年のおすすめ図書~9類除く各類1冊~。笑

0類
総記なんでコンピュータ関連や図書館、書評系の本とか色々あるのですが、私が選ぶのは、これ。

ご存じ、東京子ども図書館発行の図書で、児童畑の図書館の人にとっては、当たり前な良書(?)が、あらすじと簡単な紹介文で紹介されています。
また、特徴的な部分としては、キーワードから絵本を探せる点で、絵本選び、学校等への読み聞かせ、お話会、ブックトークに十分力を発揮することでしょう。

1類
哲学に、人生訓に、宗教などですから、『超訳ニーチェの言葉2』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)とか『夢解釈<初版>上・下』(中央公論新社)や地獄関連の本もいいなぁと思いましたし、見て楽しむというのであれば、『錯視図鑑』(誠文堂新光社)もと思って、かなり迷ったりしていましたが、私はこれを。



マジックに興味のある人は数多くいるでしょうが、この本は神経科学者が、どうしてあるものが見えなかったりするのかなどを科学的に考えています。
もちろん、適度にマジックのタネ明かしはされているのですが、理屈はわかっても、手品を見るとやっぱり騙されてしまう脳って不思議だなぁと思える本です。

2類
歴史に地誌に伝記と類で分けるのがもったいない気もしますが…地誌系だと『原色ニッポン 南の島 大図鑑』(阪急コミュニケーションズ)で、伝記系だと『この年齢(とし)だった!』(集英社)なのですが、最終決断して個人的には、これですかねぇ…



今でこそ、英語を話せる人も増えていますが、確かに幕末期にはオランダ語が話せる人はいたけど、英語は当時の日本人にとっては新しい言語だったんだよなぁと。
やはり、LとR音は当時も難しかったんだと、妙に納得しましたが、情報や移動手段が少ない時代の通訳できる人物の大変さがよくわかる本です。

3類
法律や経済、教育などちょっと硬めの本が多い3類ですが、逆に民俗などではちょっと楽しい本もあったりします。シリーズで出ている『47都道府県・こなもの食文化百科』(丸善出版)も今年出た中で良いなぁと思った一冊ですが、私はこっちで。



この本は赤ちゃんの気持ちがわかる本などの育児書でなく、赤ちゃんがどうやって認識し人間となっていくのかという科学的に分析された内容です。
だからといって、小難しい本ではなく、どんな実験をやってどんなことがわかったかが分かりやすく書かれており、人間ってやっぱりすごいなぁと思える本です。

4類
自然科学と医学の中から選ぶことになるのですが、『世界で一番美しい…』シリーズ(創元社)、『邪惡な植物』『邪惡な虫』(朝日出版)、『アートで見る医学の歴史』(河出書房新社)、『冥王星を殺したのは私です』(飛鳥新社)も個人的にはとても良かったのですが、最後に選んだのはこれです。



タイトルの印象とは違って、ヘンな虫図鑑というわけではありません。著者がコスタリカで見つけた変わった虫たちを紹介する中で、自然の大切さを知ることができるのがこの本です。
あとがきの『自然の中でちっぽけで「ヘンな」虫であっても…(中略)…大切で必要な存在だ』の部分が印象的でした。

5類
工業系から家事・育児までこちらも他の類に変わらずそのうち1つというのが難しく、『アイスクリーム基本とバリエーション』(柴田書店)や『電卓のデザイン』(太田出版)なんかが印象に残っているのですけど、最終的に選んだのはこれ。



過去の建築物である巨大ピラミッドから未来の宇宙エレベーター、そして銀河鉄道999の発着用高架橋まで、建設のプロのみなさんが、大真面目に考えたプロジェクトが載っているのがこの本です。
もちろん実際に作と予想以上の困難や費用もかかるとは思うのですが、出資者がいれば本当に出来そうです。

6類
どの産業に視点を向けるかで選択が変わってしまう感じがしますが、『おもかげ復元師』(ポプラ社)や『バナナの世界史』(太田出版)も良いのでやっぱり迷ったのですが、個人的にはこの本を。



この本は「どの魚が一番美味しいか」という本ではありません。味という視点以外にも、色、におい、食感、見た目など色々な角度から、どんな魚が「うまい」のかを考えていくことをテーマにした本です。
全100巻シリーズの40巻目なのですが、専門的なこともわかりやすく書いていて読みやすいです。

7類
こちらも芸術やスポーツで色々と好みがわかれるのですが、『絵本作家のアトリエ1』(福音館書店)や『絵本作家という仕事』(講談社)などは図書館員的には興味をあるところですし、『招待状のデザイン・コレクション』(グラフィック社)も素敵だったのですが、これかなぁ…



写真を撮る本の中に混ざっているこの本。タイトル通り、撮り方ではなく、証明写真などでの撮られ方について書かれている本です。
願書や履歴書、運転免許証、パスポートなど意外と思い通りにならない証明写真ですが、写りを良くする方法から貼る前のカット術まで、わかりやすく書かれています。

8類
言語系だと、日本語か関心の高い言語が選ばれるか、珍しい言語か…で、票は割れそうな類ですけど、職場体験の受け入れ時のレファレンスで筆順の話をよくするので、『筆順のはなし』(中央公論新社)も良かったのですが、こっちをあげてみます。


「てんてん」つまり濁点は、近代に発明されたものだそうで、その濁点について、その成立過程や歴史について書かれているのがこの本で、音を文字にする場合の日本人的な捉え方や考え方がわかります。
改めて、日本語ってすごいと思うとともに、日本人の感覚的な文字の捉え方に納得しました。

一般書はこんな感じでしょうかねぇ…
書評っぽく語りたい本や例にも出さなかったけどもう少し触れたい本もあるのですが、あくまで、ひとまずやってみるということで。

で、児童書も類別でも良いのですけど、児童書と絵本という組み分けで挙げると…

児童書
今回、児童書と絵本という枠組みにしましたが、絵本扱いにするかどうか館によっても違いますし、一般と同様に0~8類でそれぞれというのもありかもしれません。その中で選んだのはこれ。



今年の5~6月にイモムシの本が続けて出たのですが、ブームだったのでしょうか??子どもの目線でよく見かけるイモムシとその成長した姿がわかります。
どれも甲乙付けにくかったのですが、個人的に一番見やすかったです。

絵本
絵本は選ぶにしても量が多いので主題分類などを使って読み物系を除外するのも仕方ないかなぁと思いました。図書館員としては『としょかんねこデューイ』などでも良かったのですが…



他にも今年出た本で良いのはありますが、この本を読んで、こんな感じで「図書館の一日」ってのも出て欲しいなぁと強く思ったので、一番の印象に残っています。
博物館の研究員がどのような仕事をしているのかや、大きな展示品の展示の方法など文字通り博物館の一日を通して描かれています。
(ちなみに去年は『野球場の一日』が出てました。)

さて、ようやく本題。
(仮称)図書館員大賞を本当にやるとしたら、どんなことを考えないといけないのか、少しやってみて思ったこと。

<やる中身編>
・9類は類で除くか否か
 小説類は他で散々やっているから、図書館はそれ以外でというスタンスだったので、9類を全部除いてしまったのですが、小説だけが9類ではないですから、「9類(日本小説)、9類(翻訳小説)、9類(その他)」くらいには分けておこうか悩むところです。

・0~8類から各1冊か0~8類から1冊か
 9類を除いて1冊というのは意外とスッと出るような気もしますし、集計しやすそうな感じもします。
 また、各類1冊とした場合、印象度はやはり類によって異なるのもちょっと心配だったりします。 

・児童書はどうするか
 今回は児童書一括りプラス絵本としましたが、その館で絵本扱いにするか否かでも違ってくるでしょうし、一般で小説類を除いた場合、読み物系絵本は除くかどうかも厄介な問題な気も。
 児童書部門は児童奉仕担当者が選ぶのでしょうが、「最低でも5年で20年以上読み継がれたもので…」的な人がいる館だと「該当なし」になるかもということや(私の偏見?)、0~8類でシリーズものが良かった場合は1シリーズなのかそれでも1冊なのかとか、復刊系の取り扱いもある程度決めておかないといけないなぁ(それは一般書の方も新装版などでも言えることですが。)と。

・コメントの有無
 図書館員なので2000字…っていうのも悪くはないのでしょうけど、できるだけ気軽に参加できた方が良いので、前述のように100文字程度のコメントを付けてですかねぇ。
 そうじゃないと、最初から流されたり横着する人多数な気もしますし。

<やり方編>
・個人参加か機関参加か自治体参加か
 図書館員の個人参加だったら積極的な人が推す本が有利になりますので、やはり機関参加か自治体参加ですかねぇ…
 実際にやってみて、地域性にもよるのではないかと思いますので、分館の多い地域に流されないためには、中央館で集約してもらい各自治体で挙げてもらう方式が良いでしょうね。
 都道府県立図書館もやはり分館がある場合もありましょうが、都道府県立図書館1枠が妥当だと思うのですが、2票持つ権利があってもいいのかなぁと。

・参加館が増えたらどうするか
 まぁ、これは本屋大賞と同じように各自治体から出たものを県立図書館でまとめて、各類上位のものを出し合って、上位10くらいで再投票が良いですよね。
 地域性が出てくることを期待しているのですが、こればかりは箱をあけてみないと…

・どこが主催するか
 日図協が図書館年鑑に前の年の集計結果を載せるのが楽しいと思うのですが、きっとやらないんだろうなぁ。
 TRCがやっても良いとは思いますが、TRCと契約していない館が参加しにくいということで、図書館振興財団でしょうかねぇ。 

<準備編>
・まずは個人で。
 1年近く休止していたので、私が探していないだけで、同じようなことをやっている人(日常的に書評ブログがある人はすぐできそうですし)もいるかもしれませんが、県の企画担当などでなければ、なかなか一気にはできません。
 なので、個人レベル…例えば各ブログとかで同じようなことをやる人が増えれば、県域レベルでやろうという企画が持ち上がるかもしれないなぁと。
 ただ、私は影響力皆無な図書館員なので、まずそうそうに広がらないのが痛い所でしょうか。笑
 1冊挙げるだけならTwitterでハッシュタグ付けても良いのでしょうが…それでも、付けるとしたら #libgp-0、…、#libgp-8、#libgp-c、#libgp-pかな?

 以下様式っぽいもの。

 (仮称)図書館員大賞プレ
 ※9類を除いて今年出た本で私がおすすめしたい本

 ☆0類
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 ☆1類
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 ☆2類
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 ☆3類
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 ☆4類
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 ☆5類
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 ☆6類
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 ☆7類
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 ☆8類
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 ☆児童書
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 ☆絵本
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・次に県レベルで。
 県レベルで各自治体から集約することをすれば、全国規模まであと少しだと思われます。
 ただ、色々と込み入った事情もありますから、似たようなものを色々な都道府県でやってもらって、統一していくといいかなぁと。

ということで、まとめ。
(仮称)図書館員大賞をやってみたら、どれほど面倒…いや、楽しいことになるかと思い、考えてみたら、色々と配慮・検討しないといけないことが少し見えてきました。
でも、1年間の出版物を改めて通覧してみると、別出版社で同じ時期にピンポイントな本が出たり、今年の情勢やブームなどが見えてきたり、面白いなぁと思いました。

前座予定がなんか長文になってしまいましたねぇ…
こっちもちょっとやりたかったなぁ…19日の官報号外であった改正望ましい基準。
(参考:『「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」が改正される』(http://current.ndl.go.jp/node/22557))
一通り目は通したけど…やれやれです。
年内間に合えば。

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コメント

図書館大賞ならやっぱり、あがさクリスマスの「図書館のすぐれちゃん」真珠書院しかないと思いますよね!!

全国に推薦しましょう!!

投稿: 八重の桜 | 2013年1月23日 (水) 06:38

> 八重の桜さん

コメントありがとうございます。
その本は2007年の本ですね。
一応、この記事の趣旨としては、その年に出された本の中から図書館員が読んで貰いたいものというものを考えていますが、過去に出版された図書の発掘部門とか、図書館や司書が出てくる本部門というのもあるのも面白いかもしれませんね。

ただ、出版年月で区切らないと、「○○を超える図書出ないねぇ」ってことになってしまいますから、こういうのを企画する場合は後々悩まないようにしないといけないのが難しいところです。

投稿: トーネコ | 2013年1月23日 (水) 07:20

土井晩翠先生が、会津の荒廃した城を「荒城の月」という詩にしたように、あがさクリスマスもこの震災、津波で流された場所、いわきを「荒野の月」という詩であらわしております!
「荒野の月」本の泉社
ぜひ応援してください!
図書館大賞第一号だと思います!

投稿: 会津太郎丸 | 2013年8月24日 (土) 18:11

> 会津太郎丸さん
コメントありがとうございます。
まぁ、そもそも図書館員大賞って残念ながら、その兆しすらないのですが。笑

IPアドレスからも、同じ作者の本について記述されている点でも、もしかすると同じ方かなぁ?と思いますが、どちらにせよ、本の宣伝はここで書くより、直接図書館へメールや郵送する方が良いと思いますよ。(よく色々な著者の方から所蔵のお願いのメールは届くのですが、文章だけじゃ中身がわからないですからね、ページの一部分のコピーとかあると良いかもしれません。)

まずは、多くの図書館で所蔵してもらわない限りは、こういう賞があっても、候補になりにくいですし、財政難の昨今、所蔵されるまでの道のりは厳しいでしょうが、がんばってくださいとしか、私には言いようがないですね…

投稿: トーネコ | 2013年8月25日 (日) 13:55

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