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第二話『雑誌スポンサー制度(雑誌オーナー制度)のデメリット?』

(前回から)
結局、現状だと基準はないので、職員は削られ、資料費は減らされる一方なんですが、サービスの低下は許されなさそう(ただの言い訳になりそう)なので、そういう点で苦労している図書館職員も多いだろうな。

ということで、2つ目の話題。
『雑誌スポンサー制度(雑誌オーナー制度)のデメリット?』

財政難の昨今、図書館の中で削られるやり玉に挙がるのが、雑誌費と雑誌です。
雑誌は一部の館を除いて、数年保存される消耗品的な扱いですし、分館がある自治体だと、「同じ雑誌があるんなら削れるよね?」と、そういう面でも狙われやすいため、予算確保のための説得に奔走する図書館職員といった状況も例年通りです。
さて、ここ数年で雑誌スポンサー制度を導入している館も増えているのですが、その仕組みはだいたいこんな感じですかね。

1.図書館または外部団体(NPOとか)が、図書館で収集している雑誌のスポンサー企業を探す。
2.スポンサー企業と書店等と関係する契約書を結ぶ。
3.スポンサー企業は雑誌のリストから、広告を載せたい雑誌を選び、書店等に雑誌の年間購読料を支払う。
4.書店は通常通り、雑誌を図書館に納入する。
5.図書館は雑誌新刊のカバーに該当企業の広告を貼りつける。
もちろん、自治体の広告に関する要綱とか、審査があればそういうのも入ってきますが、およそこんな感じですね。

図書館は企業からスポンサーになってもらうために、雑誌を増やせるし、スポンサー企業も公共の場に広告を出せるとともに、地域住民に社会貢献をアピールしつつ、雑誌ジャンルによっては広告ターゲットも絞れる…
つまり、図書館にとってもスポンサー企業にとっても、いわゆるWinWinなことです…と、なっているらしいです。

ええ、そんなことなら、「いっそ図書資料費も出してもらっちゃえ」という方向に進みそうなんですが、メリットばかり強調されて、デメリットが言及されていないのは落とし穴なんじゃないかと、ひねくれている私は感じます。

デメリットを考える前にもう少し現状を見てみると…
雑誌スポンサー制度を始めた当初はスポンサーが付きやすいが、継続してスポンサーになってくれないことがあるのと、そもそもスポンサーがほとんど付かない場合があることが、現状における課題のような表記がされています。
その一方で、雑誌スポンサー制度が好評といった記事も散見しています。
また、広告のサイズは表面が小さめで、裏面は全面といった感じが多いでしょうか。

この雑誌スポンサー制度は、確かに機能すれば良さそうですが、スポンサーは永続的に付いてくれるものではなく、広告効果が見られない場合などは、企業ですからすぐに撤退されてしまいます。
そうすると、一気に収集雑誌が削減されてしまうことになります。
確かに、財政難で削られてしまうだろう分を賄うために、スポンサー集めに職員が奔走するのですが、頑張れば頑張るほど撤退された時の影響が大きいはずです。
また、「どうせ削られる運命だった雑誌だろ?」という反論もちらほら聞きますが、そこがちょっと微妙なんですよね。

基本的に、図書館は雑誌は継続的に収集しています。「その雑誌の収集を止める時は、その雑誌が休廃刊したときだ」的に。
なので、スポンサーが付いたら収集して付かなかったら購入中止というのはできるだけ避けたいわけです。
でも、スポンサー側も関連する雑誌のスポンサーになることもあれば、できるだけ手に取られる雑誌のスポンサーになりたいのは人情ですから、図書館側があまりコントロールはできません。

そのため、スポンサーが付いた雑誌が図書館として継続して収集したいものであれば、スポンサーが付かなくなった時点で、別の雑誌を切ることになります。
(これがなかなか手間なんです。読まれていないだろうな、と貸出数を見て予算減のためカットした雑誌に限って、「来館して見ていたのに」とクレームが来ますし。)

雑誌の年額も月刊誌・週刊誌の違いに限らず、大きく異なりますから、金額が大きい雑誌のスポンサーを降りられると、数誌削減する候補を選ばないといけなくなります。
だからといって、予算削減されて削られた雑誌の中からというのも欠号だらけになるでしょうし…

スポンサーが付かなくなったら、その分の予算が少しは戻るかと言えば、戻らない方に賭けた方が確率高いでしょうね。

また、もし、この雑誌スポンサー制度が企業側にとってどのくらいメリットになるかというと…もし、私が企業側なら出さないかも。
裏面の全面広告はおそらく見られないだろうし、利用者にとって、見たいのは雑誌の表紙ではなく中身だろうし、せっかく自分がスポンサーになってお金を払っているのに、バックナンバーには広告載せられない場合が多いし、そもそも、図書館を利用していない人の方が多いらしいし…と。
もちろん、市役所や図書館に恩を売っておきたいとか、別な思惑があれば別ですけどね。

もし、とてもメリットがあるのであれば、「雑誌スポンサー制度って図書館でやっていませんか?」って問い合わせが先に企業側からあっても良いわけですし。
それに、都市部はともかく、地方の方で雑誌スポンサーになった団体等を聞いてみると、義理と人情でといった寄付金的な要素が大きい感じもしています。

「45誌収集して予算が付いている館がプラスアルファとして5誌雑誌スポンサーが付けるという話」と「50誌収集している館が雑誌スポンサーを5誌付くことになったので、45誌分の予算を付けるという話」は違うだろうなと。

民間の力を利用してと言えば聞こえは良いですが、要は、経費を削減するために、最小限の手間で、企業からお金を出してもらおうというだけになっている感じも否めません。
市民との協働云々も、要は、人件費を削減するために、ただで使える労力を得ようというのが前提となっているのと同じようなものですかね。

本来は、企業側が雑誌スポンサーになることがステイタスと感じるような図書館、市民がボランティアでも良いから参加したい図書館を作っていかなきゃいけないはずなんですけどね…

「民間力を利用して」が本当の意味で機能するように、利用させていただいている民間力にあぐらをかかずに、本質を追究して、精進しないといけないんじゃないかなぁと。

ということで、3つ目の話題。
『さらば、われわれの館。』に続く。

少し追記:
何も民間からお金を支援してもらうがだめとは言っていませんよ。
そういや、『ネット活用 運営資金を募る 海士町立中央図書館』(http://www.sanin-chuo.co.jp/news/modules/news/article.php?storyid=542829006)って記事も最近ありましたし、図書館の資金調達は最近色々と話題になっていますし。
ただ、資金調達ありきや、他人の懐を当てにしすぎて、かつ二番煎じ、三番煎じだったり、上辺だけの取り繕いでは、結局は一時的な効果しかないのではないか、ということです。

今回は触れませんでしたが、相手は企業ですから、交渉のプロがいると図書館職員なんか太刀打ちできません。
スポンサー費用を餌に、少しずつ相手の要求が拡大したり(例えば、「イベント広告を置かせてくれ」とか、「この雑誌を収集リストに加えてくれ」とか、「販売スペースを出させてくれ」とか…だから、個人スポンサーは募集していないのかもしれませんけど。)、広告審査は通ったけど、その先で利用者とトラブったりもあるかもしれません。

よくリンクでは外部サイトで、自己責任の旨の記述がありますが、利用者が民間療法的な本を読んで「図書館にある本だから信じていたのに云々」と言われるケースもあると考えると、きっとそういうトラブルも出てくるかなぁと。

もっとも、利用者のニーズの拡大に財政がついていかないというのがそもそも問題で、目標は上を目指せとは言っても、上限もなければ下限も結局ないわけで、負のスパイラルに突入している感じもします。
おそらく、どこも財政難なのですから、資料は全部寄贈かスポンサー、職員はボランティア、システムはスタッフの持ち出しPC+フリーソフト、運営費は募金という図書館だって現れるでしょう。似たような図書館はすでにいくつかあるようですが。

図書館のない地域ではそれでも嬉しい図書館ですし、その館が取り上げられればマネしようとするところも出てきます。
図書館は金ばかりかかる所だと財政当局に思われている館は。

結局は、個々の善意が逆に首を絞めることになるのかなぁと。
(そういや、以前、やなせたかしさんが無料で仕事を引き受けていたことを吉田戦車さんが指摘していた話がありましたよね。それと同じで、自治体的には『お金をかけない=税金の無駄遣いにならない』という考えがあるわけで、それはもっともだけど、今回の話はその甘えと同じような理論になるのかな、と。)
(話の内容は異なるけど、図書館で有名どころの講師を呼んで、参加者に好評を得ていたけど、謝金は真っ先に削減されますので、予算が付かなくなり、破格値でやってくれる方もおられますが、それを下回る予算って…誰も呼べないじゃん、近い将来、謝金0になって、職員かボランティアでやることになるんだろうな…)

ではでは☆

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