カテゴリー「著作権考」の13件の記事

ガイドラインは、どんな感じなの?

ちょっと忙しかったり、油断していると、いつの間にか世の中変わっていて、「あれ?こうじゃなかったっけ?」ってこともある現代、同じ様な話が立て続けに出て、某所で話をしていたら、「それは今年の初めに…こうなったよ」って言われ、「えーっ、そうなん?」ってことが最近ありました。

図書館司書って、いつ何時もアンテナを十分張り巡らせていないといけないのに…今年は特に本業に忙殺され、アンテナが途中で故障しているダメダメなトーネコです。
某氏のようにブログ文章書きのリハビリを兼ねて、連日UP…っていうのも、私には無理ですが、無事同僚も復帰したことだし、アンテナを修理して磨こうと思ったりしている今日この頃です。

さて、最近思うのは、ブログの記事の事。
世の中色々変わりますから、その記述当時はそうだったけど、今は変わっているとか、案外あります。
世の中以外にも、自分の意見はこうだったけど、それと違う意見が出て討論しているうちにとか、年数を重ねてうまくいかないので、軌道修正の必要があったりとかして、見解が変わった場合もあると思います。
ブログの場合、消したり修正しない限りは、当時の文のまま残っていますし、でも、検索では案外古い記事もヒットしちゃうということもあるので、その記事だけ読まれると間違った情報を与えかねないこともあったりします。
そういうのって、みなさんはどうしているんでしょうかねぇ?
変わったの気付いたら、古い記事を消す(非公開にする)という方法が1つあります。
他にも、その記事に<追記>として変更を記述するって方法もあります。
おそらく、後者の方が検索から来た一見さんなどに有効で優しいのですが、過去のエントリーを世の中変わるごとに再チェックというのは、私には難しいので、似たような記事があれば最新のものを見ていただくということで、よろしくお願いします。


で、まず最初は、前述の私が気付いていなかった話。
以前、2009年10月29日の『取りとめもない研修会の話』(http://c-town.way-nifty.com/blog/2009/10/post-3590.html)のエントリーで、著作権法第三十七条、第三十七の二の『ただし書き』に一言(?)文句を書いていました。
要は、活字を音声で、と言っても朗読と音訳は違うし、販売予定だって言われれば躊躇せざるを得ないじゃないか…ということでした。
でも、今年の2月に『図書館の障害者サービスにおける著作権法第37条第3項に基づく著作物の複製等に関するガイドライン』(http://www.jla.or.jp/20100218.html)ってことで、ガイドラインできていたんですね。
もちろん、これで全てがOKではないところが、悲しい現実ですが、ちゃんと一歩は進んでいるんだなぁと思いました。

さてさて、これによると、9の『市販される資料との関係』において、『録音資料において,朗読する者が演劇のように読んだり,個々の独特の表現方法で読んでいるもの』や『利用者の要求がデイジー形式の場合,それ以外の方式によるもの』は似て非なるものなので、以前言及しましたが、無事『著作権法第37条第3項ただし書に該当しないもの』の例に明文化されました。

公衆への提供又は提示に関しても、『販売予定の場合,販売予告提示からその販売予定日が1か月以内までのものを「提供または提示された資料」として扱う。ただし,予定販売日を1か月超えても販売されていない場合は,図書館は第6項に示す複製(等)を開始することができる。』ということで、『図書館が視覚障害者等用資料の複製(等)を開始した後に販売情報が出された場合であっても,図書館は引き続き当該複製(等)を継続し,かつ複製物の提供を行うことができる。ただし,自動公衆送信は中止する。』というただし書き条件は少しついたのですが、自動公衆送信が中止されるだけで、提供は可能なので、同方式で発売されていることも考えると、仕方ないかといったところでしょう。
…なのですが、販売予定日が1か月を超えて延期になった場合は、『予定販売日を1か月超えても販売されていない場合』に含まれるか否かということを疑ってかかってしまいます。
最初の時点では作れなく、「よし、1か月出なかった」と思ったら販売予告が1か月以内に再びなることもありますし…考えすぎ?
また、ただし書に該当しないものとして、『インターネットのみでの販売などで,視覚障害者等が入手しにくい状態にあるもの(ただし,当面の間に限る。また,図書館が入手し障害者等に提供できるものはこの限りでない。)』は一般入手条件のようなものですが、遠くの実在店舗or会社事務所で売っている場合『インターネット販売のみ』ではない判断も可能になっていますし、図書館は『インターネット販売のみ』でも、頑張って入手しないといけませんからねぇ…

まぁ、不安要素は少しずつ潰していかないと、安心して活動しづらいですけどね。

で、全く同じようなただし書きがある第三十七条の二に関しては、まだガイドラインないようですけど…
権利者団体が映像関係なので、難航しているということでしょうか?
そういう途中経過を可能であれば、日図協のページで見られると、多少は見直す人もいるんじゃないかなぁ…

ところで、2009年2月4日の『著作権法31条2!』(http://c-town.way-nifty.com/blog/2009/02/post-180f.html)のエントリーで、丸山氏のブログを引き合いに出して、図書館資料の保存のため必要がある場合の複製として、廃棄資料のデジタル化などの可能性を話題にしたのですが、なかなか実施に移す図書館が見られません。

著作権法改正時の報告書(http://www.bunka.go.jp/chosakuken/pdf/21_houkaisei_houkokusho.pdf)の192ページにも、
『国立国会図書館以外の図書館等の行うアーカイブ活動については、前述のとおり現行第31 条第2 号の規定に該当するのであれば、その所蔵する資料を
複製することができる。例えば、損傷、紛失の防止等のためにデジタル化することも不可能でなく、また、記録のための技術・媒体の旧式化により媒体の内容
を再生するために必要な機器が市場で入手困難となり、事実上閲覧が不可能となる場合において、新しい媒体への移替えのためにデジタル化をすることについ
ても、同規定の解釈として不可能ではないと考えられる。』
とあり、文面では『国立国会図書館<以外>の図書館』とありますし、問題ないと思っていますが、やはり動きは見られません。

例えば古くからある図書館が所蔵している16ミリフィルムのDVD化とか、もっと進んで良いと思うんですけどね…

もちろん『図書館資料の保存のため必要がある場合』がどの程度まで許されるのか、微妙な範囲ではあります。
「資料として保存したいが、書庫がいっぱいなので、原資料を廃棄する代わりにデジタル化」ということで、マイクロフィルム・マイクロフィッシュがデジタル情報になったような感覚が可能なのか(もちろんデジタル化した資料は館内閲覧ということになるのでしょうけど)、「ページ売りはしてもらえないので、損傷する前にデジタル化しておいて、ページが紛失したらそのデータからページを複製」が可能かどうかなど、判例がない分、解釈的には可能だと思われることが多くあります。

また、著作権法31条3にしても、『絶版その他これに準ずる理由により一般に入手することが困難な図書館資料の複製物を提供』の一般に入手することが困難とはどこまで言うのか…ってことは以前も言及したような気もしますが、デジタル化と併せて考えると…
「A図書館にある保存のためにデジタル化して複製した絶版資料BをC図書館が31条3でデジタル化された複製物としてもらいうける」ってことも可能なんじゃないか?と思ったりします。
そうすると、絶版資料BはA図書館でデジタル化されているので、A図書館は求められればどの図書館にもすぐあげることが出来ることに。
いや、もちろん、メールで送信とかは公衆送信権がひっかかりますから、デジタルデータをCD-Rに焼いて郵送ることにしないといけませんが。笑

そういうことを考えていると、マイクロフィルムなどを多く作成している県立図書館なんかでは、カメラがデジタルに変わっただけですから、ノウハウは持っていることでしょう。
絶版資料をどんどん『保存のために』デジタル化し、市町村立図書館の求めに応じて、まとめてください!って要望が増えても良いはずです。

もちろん、A図書館がデジタル化するのに手間と費用がかかっていることもあるでしょう。
それをただでもらおうなんて…と、思わなくもないですが、各館できるだけ重複しないように、デジタル化すれば、相互貸借ならぬ相互提供によって、貸出可能資料は数万冊の図書館でも、デジタル化されて他館から提供された館内閲覧可能な資料が数十万冊ってこともあり得ませんか?

ただ、デジタル化する手間はやはり大変なものです。
デジカメと撮影台があれば、できなくはありませんが、1ページずつめくるのってやはり大変です。
某社の自動ページめくり機能付き撮影機がお安く手に入るようであれば、あったに越したことはないですが、それは無理でしょう。
そうなると、パートさんとかを集めて人海戦術ができるところに、委託外注することも考えないといけないと思います。

もちろん委託を受ける企業は自ら「廃棄資料のデジタル化やります」ってことは大っぴらには言えません。第31条はあくまで図書館がですからね。
第31条に絡んで、図書館が委託するという形であれば可能かなぁと。
それならばビジネスになり得ます。出版界などの権利者団体を敵に回すかもしれませんけど。笑
でも、図書館の依頼で(一応面倒だけど)やるんですから、大丈夫かもしれません。
どう、権利者団体が動くかわからないのが、予想を難しくしています。

実際、第31条2を利用して、報告書の意味合いで、デジタル化していくと、きっと権利者団体からのアプローチがあり、時には裁判になるかもしれません。
でも、そのおかげで、判例が確立するので、良くも悪くも白黒付ける意味では良いかもしれません。

第31条は図書館における複写の生命線でありますが、今ならかなり有効に使えそうです。
というのも、前段の第37条絡みの『ただし、当該視覚著作物について云々』のようなただし書きもありませんし、第35条の『ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。』のようなただし書きもありません。

上述式の複製をやっていたら、権利者サイドに目を付けられて「第31条はなくせ」とか「『ただし、当該電子著作物について云々』や『著作権者の利益を不当に害する云々』のただし書きを追加せよ」ってことになると、首を絞めそうで怖いといっちゃ怖いですし、「法に問題なければやっちゃえ」はGoogleさんみたいな感じもしますが、各図書館はそれほど体力ないですからねぇ…
図書館界が一枚岩として、断固として、第31条を有効的に最大限活用すると、行動をうつせれば良いのですけどね…ただでさえ、バラバラな方向を向いていることが多いので難しいか。

今日はそんなところで☆

…いやね、今日のこういう話題をしたのは、最近、確か全国公共図書館協議会の当事者会での話として第31条の権利の制限の制限について権利者団体さんから意見があったらしく、それに対する意見聴取があったわけですよ。
以前も同じ様な意見聴取があって意見を提出したのですが、結局図書館側として、どうまとまった意見として権利者側に伝えたのか、それを伝えてどういう答えがあったのか全く見えてきませんが、再び戻ってきた権利者団体さんから意見は同じようなものだったわけなんです。

そうなると、以前の意見はどうなったんだろう?話は進んでいるか平行線になったのかわかりませんよね?そんな不満があった時に、私の周りの数か所で、第31条とデジタル化の話がありました。
で、第37条に絡む話もしていたら、これは私が知らなかっただけなのですが、いつの間にかガイドラインが出来ていたということもあり、もっと関連団体は意見のやり取りなどを見える化して欲しいなぁと思いました。

また、その意見聴取では、同時に、電子書籍の扱いの意見も聴取されたんですけど、電子書籍は各社出されてフォーマットが定まらないとか、媒体変換が難しいようであれば、課題も多いよなぁと思ったりしていましたが、第31条2や3に絡めてデジタル化したり媒体変換が報告書の中では可能なようなので、うまくやれるかな?と思ってみたりでしたので、今日の話題となりました☆

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表紙掲載は可能かどうか考える追記

改めて書きますが、私は一介の図書館司書ですし、法は判例が出るまで「絶対この解釈が正しい」とは言えないのですが、ひとまず、公立図書館が本の表紙を自由に使えるか否かについて、自己矛盾しそうな感じで、自分でもしっくりきていない部分もあるので、メモ的考察。


1.表紙は誰の著作物か?

およそ図書にはタイトルがあり、表紙・背表紙・裏表紙があり、前文やあとがきがあり、目次や索引があり、大元として本文があります。
もちろん、ないのもあるんですが、あるないを言いたいのではなく、以前も例に挙げた判例(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/A78B418D57307DB549256A7600272B97.pdf)によると、同じ人が1つの図書に記述しても内容が異なる項目ごとに著作権があり、複数人が関わる図書でそれぞれの著作物が明示されていると、各人の寄与を分離して個別的に利用することができるので、やはり異なる著作物ということですから…
前文やあとがきと本文は大抵同じ著作者によって書かれることが多いのでしょうが、その著作者はそれぞれに著作権を有しているという理解でよろしいでしょうかねぇ?
まぁ、「よくない」という方はおそらく「異なる著者が書いたならまだしも、1つの図書にその著者が関わって、本文につながるプロローグとしての前文で、本文を受けてのエピローグとしてのあとがきなんだから、それらは合わせて1著作物だ」という意見なのでしょう。
それはそれで、私は否定する気はありません。解釈論の1つですから。(ただ、その解釈の一貫性を持たせるのであれば、「○○○○文・絵」という絵本の表紙は1つの著作物なのだから、1ページ分にあたる表紙の複写は問題ないことになってしまいますし、内容紹介の書評文の一部として引用したって構わないことになってしまいますね。)
で、私は前文と本文とあとがきはばらばらに著作物と思っていますから、例え同じ人が中身と表紙を作成したとしても、表紙は表紙だし、中身は中身なので、それぞれ別々の著作物という考えでいます。

もちろん、異なる人が表紙を作成したのであれば、それだけで、表紙は独立した著作物というのは問題ないでしょう。
また、明示されていないけど、表紙に絵や写真があれば、著作者かそれとも別の人かが作成した著作物であることは明らかでしょうから、絵や写真が利用されている表紙は少なくても誰かの著作物であって、1つの著作物の1部ではないと、私は考えています。


2.表紙は何の著作物か?

著作権法をもう一度確認すると…
(著作物の例示)
第十条  この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
一  小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
二  音楽の著作物
三  舞踊又は無言劇の著作物
四  絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
五  建築の著作物
六  地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
七  映画の著作物
八  写真の著作物
九  プログラムの著作物

とあります。
表紙と本文を別の著作物という考えに立つと、表紙に著作物性を認めるのなら、四か八になります。
タイトルはフォントなどを工夫したとしても、新聞見出し文でさえ、著作物性が乏しいとされたので、やはり文字だけのものは保護されないでしょう。
目次や索引も私としては工夫を凝らしたものをあるので、個人的には著作物性を大いに認めてあげたいのですが、どうも同様に著作物性は乏しいという見解がよく見られます。

で、話は戻して、表紙は絵画、版画とは言えないようなものもなくはないのですが、著作物性がないとしないのなら、当てはめる必要もありますし、絵本などでは、よく原画展とか普通に見られますから、やはり美術の著作物でしょう。
そうすると、著作権法四十七条の二で書かれている『美術の著作物又は写真の著作物の原作品又は複製物』の中で、市販されている絵本の表紙は著作物(原画)の複製物なので、間違いはないと思われます。
逆に『美術の著作物又は写真の著作物の原作品又は複製物』ではないのであれば、著作物性に乏しいということなので、普通に表紙を載せて構わないという論法が成り立つことと思います。

また、図書館便りや図書館サイトに載せる載せないに関わらず、もし、みなさんの図書館の利用者が「表紙をコピーしたいんですけど…」と複写申込書に書いて提出したら、どういう対応をするでしょうか?
「表紙の複写?どうぞ」というのであれば、著作物性を考えていない(もしくは表紙はその図書の一部として考えて)ということで、利用者には認めて、自分たちは疑問があるから使えるか否か悩むというのはナンセンスな話かなぁ?と。
私のところでは、利用者に「根拠は?」と言われることを想定して、「絵や写真のある表紙は美術の著作物」として判断していますから、同一性保持権云々も考慮すると一部分だけというのもなんですし、だからといって表紙の全部というわけにもいきませんから、『ご遠慮ください』となることが多いなぁと。

もちろん、美術の著作物であるか、著作物性の乏しい表紙であるかの判断は難しいところではありますが、文字の配置・大きさ以外の要素は誰でも同じということはまずないですからね…

ちなみに、先日、南江堂が勝訴した表紙の訴訟(http://www.47news.jp/CN/201007/CN2010070801001187.html)では、表紙のデザインを参考にしたかしないかを争ってくれなかったようなので、私としては残念ではありますが、このくらい似ていたら(http://www.nankodo.co.jp/wasyo/html/nyumon.html)『翻案物にあたる』っていう事例も考えると、「ただの図形の羅列だから著作物性はないよね」っていうのも言えないのだろうなぁと思ったりしました。


3.表紙を載せるのは何のため?
表紙を載せるのは、何も図書館司書が書評や紹介の字数を減らすため(笑)ではなくて、「こんな本ですよ~」的なイメージを読み手に持たせることや、利用促進のため、というのもあるでしょう。
書誌情報や配架場所などを明示しておけば、基本的には利用者に提供できますから、なきゃないで構わないといえば構わないでしょう。
でも、そもそも、載せなくて良いのなら、悩む必要もないのですけどねぇ…

また、利用者が表紙のイメージだけを覚えていることがレファレンスを受けているとよくあります。
なので、表紙というのは他の図書と区別するためにも載せるのはやはり良いでしょう。

それに図書館で資料を面置きされていると、書店でもそうであるように、『売れている』・『良書である』・『おすすめである』・『視覚的情報量が増えている』ということで、手に取られることが多いと思います。
その効果を考えると、本の紹介に表紙はあった方が良いんじゃないかと、私は思います。

では、表紙を見せることによる利用促進効果はあると思いますけど、『利用促進=貸出』でしょうか?
この条項を当てはめるためには、少なくても『貸与』でなければならないので、皮肉にも貸出至上主義の考えであれば文句なく適用できることになるんじゃないかと思います。

逆に、そうなると、前のエントリーに書いたように『貸与』しない(絵や写真がある)表紙は載せられないんじゃないかと思います。


4.何を貸し出すのか?
表紙の原画のレプリカを載せてそのレプリカを貸出するというのであれば、「うん、適用されるんじゃない?」と言う人は増えるでしょう。
画像を載せたことによってその表紙を貸出するんではなく、図書館司書としては、その紹介文の中身によって、その図書の中身に興味を持ってもらい、その結果として、貸し出されるという順番だと思います。
簡単に言うと表紙が綺麗だから載せているわけではないということです。

一応図書として、出版されているわけですから、基本的には中身が主で、表紙はその付属品のようなものという考えも可能です。
もちろん、そんなことをいうと、表紙を作成した著作者には失礼ですが。

おそらく、私もそうですが、「これの適用って無理があるんじゃない?」と思う部分としては、ここが問題なんだろうと思います。
表紙を貸すために載せて、たまたまその表紙に面白そうな中身がついてくるというわけでもないということ。

ただ、図書館便りによっては、『新しく入った本』ということで書誌情報が羅列しているだけのものもありますし、おそらく許諾を得たものの表紙と書誌情報だけというのもあります。
もし、そういう図書館便りを見て、利用者が面白そうか否かを判断する基準としては、書誌情報羅列の方は、『タイトルが面白そうか』『好きな著者がいるか』でしょうし、表紙画像がある方は、『視覚的に面白そうと感じるか否か(タイトル・著者名込みで)』でしょう。
絵本に至っては『好みの画風の絵本かどうか』の判断にもなります。

中身の紹介がちゃんとあるものであれば、その紹介文によってということもあるのでしょうが、表紙+書誌情報という場合であれば、書店で本を手に取るのと一緒(買うかどうかは中身をぱらぱら見ますが)で、『表紙「を」』借りる』というより『表紙「で」借りる』という流れもあると思います。

また、絵本などでは、中身は読んでないからわからないけど、好きな画風の絵なので、借りてみるというのも案外あったりしますから、「表紙が気にいって借りたら中身も面白かった」ということだって少なからずあるかと思います。

では、1・2で、表紙は個別に作成者の著作物であり、美術の著作物という考えが良いとしたとき、「表紙付き中身」か「中身付き表紙」なのかが適用の可否を考える上でネックだという話になりますが、その個別に分けられた著作物としての表紙だけでみるとどうでしょう?
表紙自身は中身(本文)と一緒に借りられる貸与対象です。
表紙を貸したいと思っていようがいまいが、著作物カウントでいうと「その表紙と前文と本文とあとがきがある図書を借りる」わけで、表紙自身はついでにでも借りられちゃったですし、もれなく貸与されてしまったことになるという解釈も可能かと思われます。

表紙が出ていたから借りたいという利用者もいるので、私は表紙が主だろうと従であろうと、借りていかれるのには変わりないのだから、目的はいずれにしても「貸与しようとする場合」であるというのはアリだと思います。


5.貸与権との関係は?
著作者が自分の著作物の複製物を貸与により公衆に提供する権利を専有するのが、貸与権なのですが、図書館は前回書いたように非営利無償の場合なので、その複製物の貸与により公衆に提供することができるわけです。
これは、非営利無償であれば貸与できるよと言っているだけで、貸与権自体はなくなっているわけではない気もします。
つまり、非営利無償でない場合は、貸与権というのが発動しますから、消えていないわけです。
となると、貸与権を害しているか否かというよりは、貸与権に関わらない貸与をしているわけでして、表紙を載せることで貸与権が害されたとはもちろん考えにくいのですが、条文を考えるとちょっとひっかかったもので。


ということで、やはり、4の解釈がこの適用の可否を考えるネックになるんだと思います。
ただ、条文には『譲渡し、又は貸与しようとする場合』としか書いておらず、『それ自身の貸与を目的として貸与しようとする場合』という解釈と『結果的にそれが貸与されるので、それを貸与しようとする場合』という解釈が成り立つので、一つの解釈論として提起されているのではないかと思います。

逆に、この条項が適用ということであれば、実際には前エントリーなどにあるように、貸与しない資料は逆に載せられないとか考えなくてはいけませんから、私としては解釈論がどうこうという状態のものを適用するより、図書館法だろうと著作権法だろうと、「図書館は自館の所蔵する資料の利用に供するため資料の書影について、複製又は公衆送信を行うことができる(以下その条件)」とかになってほしいものですし、法が難しいのであれば、出版界との申し合わせでも良いので、もう少し簡単にわかりやすくなってほしいなぁ思います。
もちろん、無断でやってよいからといって、許諾を取ってはいけないというわけでもないし、法的には無断で使えるけど、「使わせてね」って一言あった方が、なんか感じは良いような気がします。

可能であれば、「表紙掲載はもちろん貸出数UPのためにやっているんだ!貸出してなんぼの世界だ!」っていう図書館にでも、率先してこの条項を適用の解釈をしてもらって、それを快く思わない出版社が挑発されて判例になってくれると嬉しいのですが、図書館側も出版社側もなかなか裁判までしようとしてくれませんし、裁判になったとしても、前述の南江堂の訴訟のように、論点がずらされてしまうこともあるので、そうはならないように頑張ってほしいものです。

日図協の著作権委員会でもきっと…おそらく…たぶん…お願いだから…検討されていることと思いますが、伝家の宝刀(?)「各図書館を指導する立場にはないので、各館の判断にまかせます」と言わないでほしいなぁと思ったりしている今日この頃です。

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図書館における表紙掲載論争の終焉?

タイゾーさんの『ピリ辛著作権相談室』の中の『Q43:公立図書館で貸し出す本の表紙をコピーしたり、ウェブにアップしたいんだけど…』(http://urheberrecht.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/43-1eed.html)のエントリーでわかりやすく記述してあるので、私なんぞの出る幕はないのですが、私なりのメモ的考察。

みなさん御存じのように著作権法が改正され、図書館にとって恩恵を得たり、サービス向上になりそうだったりするところもありますし、見た目は「おお~良くなるんだな」と思ってよく読むと「ただし~…」となっていて結局微妙だったりな今回の改正ですが…

今回の話に出てくるのは、著作権法第四十七条の二。

(美術の著作物等の譲渡等の申出に伴う複製等)
第四十七条の二  美術の著作物又は写真の著作物の原作品又は複製物の所有者その他のこれらの譲渡又は貸与の権原を有する者が、第二十六条の二第一項又は第二十六条の三に規定する権利を害することなく、その原作品又は複製物を譲渡し、又は貸与しようとする場合には、当該権原を有する者又はその委託を受けた者は、その申出の用に供するため、これらの著作物について、複製又は公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)(当該複製により作成される複製物を用いて行うこれらの著作物の複製又は当該公衆送信を受信して行うこれらの著作物の複製を防止し、又は抑止するための措置その他の著作権者の利益を不当に害しないための措置として政令で定める措置を講じて行うものに限る。)を行うことができる。


 私もこの条項は読んでいたのですが、普通に「オークションサイトなどでのサムネイル画像とかのことだったよな…」と先入観(文化庁のページの概説(http://www.bunka.go.jp/chosakuken/21_houkaisei.html)に『インターネット販売等での美術品等の画像掲載に係る権利制限』と書いてありましたし…)で読んでいたので、やっぱりまだまだ奥が深いなぁと。
ちなみに、第二十六条の二第一項又は第二十六条の三は譲渡権と貸与権のことです。

 ピリ辛著作権相談室のQ43によると、表紙はテキストベースのようなものは元から大丈夫だし、絵や写真が使われている表紙は『著作権法コンメンタール別冊 平成21年改正解説』(池村聡著,勁草書房,2010.05.)により今回の改正で適用されるとのこと。
なので、普通の図書館は貸与権はクリア(正確に書くと第二十六条の三の貸与権というよりは、第三十八条4より営利を目的としないから公衆に貸与できるなんですが…(そのためクリアとしない解釈もありか??))しているわけだし、政令、省令にある条件を満たせばOKということになります。

で、逆に、図書館の資料で当てはまらなさそうなものを…とひねくれて考えてみると…
タイトルが俳句とか詩になっていると、もちろんその作品自体は言語の著作物として保護を受けるのでしょうが、タイトルとしても機能しているので、その辺は問題ないかと思われます。
 でも、参考資料とか貸出禁止資料はどうでしょう?条文上は『複製物を譲渡し、又は貸与しようとする場合』とあるので、最初から閲覧のみで貸与ではない資料は当てはまらないかもしれません。(広辞苑とかは基本表紙は字だから良いでしょうけどね。)
 もちろん、館内閲覧も貸与だとしてしまうと、雑誌付録DVDの閲覧としてブースで視聴させる行為が貸与になってしまいすから、どっちをとるか…
 要はやっぱり解釈論になるといったところでしょうか?
 それとも、「貸与しようとすればできる資料だけど、図書館運営上貸与しないことを決めた資料なので…」と解釈順序なんか考え出すと、より混乱しちゃいます。笑

 以前の著作権法では基本的に許諾を得てからでしたが(もちろん、引用という解釈もなくはなかったのですが、その書評なり紹介に表紙画像は本当に必要か(書評は本の表紙の評論でなく中身のなんだし。)と言われると、どうでしょう?と考える人もいて、微妙でしたけど。)、今後はできる方の解釈で定着すると良いなぁと思います。

 さて、この場合の条件としてあがっている政令と省令をそのまま表示すると長いので、上記文化庁のページを参照してもらうことにして、それぞれについて見てみると…

 著作権法施行令の一部を改正する政令の第七条の二では、『表示の大きさ又は精度が文部科学省令で定める基準に適合するものとなるようにすること。』ということが書いてあり、著作権法施行規則の一部を改正する省令の第四条の二で、詳しく書いてあります。
印刷物とデジタル方式に分けられ、印刷物では『表示の大きさが五十平方センチメートル以下』つまり、大体7cm×7cmくらい。ということは、A4用紙が210mm×294mmだから、案外大きいかも?

 で、デジタル方式で普通に何の処理もしない画像として載せる場合は、『画素数が三万二千四百以下であること。』なので、180ピクセル×180ピクセル…案外小さいかも?でも、Google Booksで出てくる表紙のサムネイル画像は54~55ピクセル×80ピクセルだからその倍はOKということなんでしょう。
コピーガードとか画像にかけてある場合は『画素数が九万以下であること。』とあるので、300ピクセル×300ピクセル…ちょうどAmazonでの画像(サムネイル画像ではなく)くらいのサイズ。

 さてさて、美術品のカタログ掲載などの問題で裁判というのはたまに見ますが、本の表紙画像を載せたから裁判って話は聞きませんから、判例がない、つまりは明確な回答というのが難しいってことです。
(例によっての発言ですが、例えば日図協あたりで、『表紙を載せるのは著作権法上も大丈夫!』って明記することによって、出版社が「それは困る」とでも裁判になってくれると判例が出るのですが、出版社側が「まぁ、図書館で紹介されたら一応宣伝になるし…」と裁判をしないとかが普通でしょうか。まぁ、日図協もそんな明記の仕方はしないで、「各館の判断で…」なんでしょうけど。)

 今回の条件については、取引の態様その他の事情に照らして、必要と認められる限度のもので、公正な慣行に合致すると認められるものであることが前提なのですが、基本的に図書館で「この図書は絶対買ってはいけない」とかズタボロに書くということはないでしょうし、最近は黙認という状態ですから、黙認≠OKではないのですが、公正な慣行に近いものがあるんじゃないかなぁと。

 また、CRICのケーススタディ著作権第3集のQ11でも、図書館での表紙利用について記述があります(http://www.cric.or.jp/qa/cs03/cs03_11_qa.html)。
 個人的には『最近は「図書館だより」などで新刊紹介の際に、表紙を使うことについて、無断でもよいのでは、という見解が示されており、筆者もほぼこの見解に賛成です。』という意見がちょっとびっくりなのですが…いや、賛成してくれる分には良いのですが、以前CRICに著作権に絡む相談をした時に、紋切型で、予想通りの堅い回答しかもらえなくて、がっかりしたことがあったのでね…
 ただ、今回の著作権法改正は前述の通り、『貸与』の目的がある資料についてなので、『お話会・読み聞かせ団体等による著作物の利用について』は図書館ではない団体と考えるわけですから、今回の改正で話は分ける必要があるんじゃないかと思ってみたりしています。(次期改訂くらいに記述が増えるかな?)

 これで、前述の貸出しない資料で表紙が著作物のものの掲載はどう考えるかというのと、今まで普通に許諾をもらっていても、許諾してくれなかった某出版社がどう出るかという部分は考えどころですが、条件さえ満たしていれば、図書館で作成する印刷物にもWebページにも載せられそうです。

 ということで、条件付きながら、図書館における表紙掲載問題という長年の論争の終焉ような感じ(細かい論争はありそうではありますが。)で、ほっとしたのも束の間、今後は電子書籍と図書館と著作権の問題が大きな悩みになっていくような気がしています。
 電子書籍のフォーマット形式のコンバート可能性とか、館内閲覧のみになるのか、貸出方法はどうなるのか(というかそもそも可能かどうか)とか、不透明な部分が多いので難しいところですが、早い図書館だとその対応を考え始めていますし、しばらく傍観しようとしている図書館もありますし、もちろん何も考えていない図書館だってあったりします。笑
 また、このことを考える上では、いつもながら著作権法が時代にそぐわないので、図書館職員の悩みは尽きないんでしょうね。

 例えば『「図書館内での電子書籍端末の貸し出し」は違法である可能性大、米法律系ブログが指摘』(http://hon.jp/news/modules/rsnavi/showarticle.php?id=1608)とあるのですが、この記事のことが正しいとすれば『ユーザー規約』に中のソフト(電子書籍含む)の貸出禁止がうたわれているそうで、DVDの補償金問題と同様に著作権法では大丈夫であっても、契約のしばりが優先されるようなものですから、貸出を考えたい図書館員は早々に行動を起こして、規約を改正してもらう必要があるでしょうね。
 図書館界で意見をちゃんと言わないと、図書館で電子書籍の閲覧すらままならない状況になるんじゃないかと危惧している今日この頃だったりします。

 図書館の中の私としては、タイゾーさんより先に図書館の人がそういう指摘をしていて欲しかったなぁと思ったり、逆に図書館員はこの改正でこの解釈をすでに当たり前に思っているのならすごいなぁと思ってみたりしているのですが、もう少し、色々な方の判断や解釈を見てみたいところです。

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図書館のDVD貸出についての覚え書

え~、みなさま、今年もそれとなく更新していきますので、よろしくお願いします。
それにしても、年末年始のアクセス数の少なさといったら、ちょっと笑えました。
ただ、図書館の年始休館が明けた頃から、一気に(とはいっても、細々とやっていますから1日に100も来ていただいているわけではありませんけど)普通に戻るって、どれだけ、図書館員は複写で困っているんだ…と思った次第。

で、年末年始にかけて、図書館でのDVDの貸出に絡んだ話題が出ていたので、それについての覚え書を書いておきます。
もし、間違いなどあれば、教えてくださいませ。

さて、何度か著作権法38条の5があるから、図書館でDVDを購入するときはものすごく高価だって話を…たぶん書いたかなぁと思います。
参考までに条文を見ると…

『5  映画フィルムその他の視聴覚資料を公衆の利用に供することを目的とする視聴覚教育施設その他の施設(営利を目的として設置されているものを除く。)で政令で定めるものは、公表された映画の著作物を、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には、その複製物の貸与により頒布することができる。この場合において、当該頒布を行う者は、当該映画の著作物又は当該映画の著作物において複製されている著作物につき第二十六条に規定する権利を有する者(第二十八条の規定により第二十六条に規定する権利と同一の権利を有する者を含む。)に相当な額の補償金を支払わなければならない。 』

といったものです。

 これが絡んで図書館が大変になっていることが数多くあり、例えば…
『図書、雑誌、CDに付いているDVDやCD-ROMに動画が入っていると、貸出できない。』
アニメーションGIFとかも原則的には映画の著作物になるので、この条文をクリアしない限り、つまりは、相当の補償金を支払うか、著作権者にOKをもらわない限り、利用者に貸与、つまり貸出ができないんですよね。
いや、もちろん、図書や雑誌、CD本体は貸出できますよ、でも、『DVD付録付き』って書いているのに雑誌と一緒に借りられないとか、初回購入特典でCDに付いているPVは借りられないとか、悩むところです。

さて、この条文、なぜかこんなところでも、威力を発揮します。
『利用者の弁償するDVD』
利用者が図書館のDVDを破損したり紛失したりしたときに、「館外貸出し可能な」「補償金分を上乗せした」「高い金額の」DVDを購入…
とはいっても、利用者が一般流通していないそんなDVDは買いに行けませんから、図書館が発注して振込用紙でというのが一般的かもしれません。

図書館は映画の著作物のDVDを一般市販で2980円のところを16000円とかで購入していますから、その金額でということになるのですがねぇ…
(もちろん、以前にも書きましたが同じ館外貸出許諾のものが、バーゲンセール的に5000円になったりしますし、メーカーによっては市販価格とそうかわらないで貸出ができるものもあります。)

で、実際にはこの『補償金』、条文を読めば、「なるほど市販のDVDをそのまま貸されたら、商売上がったりだから、図書館に補償金をつけて売っているので、図書館が購入する時は高いんだろうなぁ」と納得されると思います。
が、逆に「その複製物、つまりDVDの貸与をするのにすでに補償金は払っているんだけど、何故利用者弁償のDVDも高いのか?」と疑問を持つことも可能です。

ここに以前も触れたと思いますが、実際にはカラクリ(?)があって、『図書館は補償金を払っているわけではない』と。
これだけだと、絶対に誤解する人がいると思うので、ちゃんと説明してみます。

1.図書館が利用者にDVDを貸す場合、著作権法により相当な補償金が必要なので、図書館で購入する貸出用DVDは高い。

2.でも、補償金についての金額設定があいまいで、支払い処理機関もない。
 ※JVA(http://www.jva-net.or.jp/faq/solution_2.html)によると、視聴覚教育施設と著作権者との問で団体間協定というのがあり、『補償金の額は教育教養作品がビデオソフトの小売価格の100%、娯楽作品が300%』となっているようですが、公共図書館との間ではしばらく補償金の合意ができなかったけど、最終的に補償金協議は合意したとのことです。(が、補償金がいくらかということは書かれていないという微妙な書き方ですが。笑)
  当の日本図書館協会の映像事業部の記述(http://www.jlaeizo.jp/c_media.html)によると、ポイントは2つ。
 ・一部を除き著作権補償(法38条5項)処理済映像資料の一般小売価格での提供
 ・「補償料」込み定価によって
 ということなので、補償金がいくらその定価に含まれているかわからないままの定価で販売されるのを認めているということなんでしょうね。

3.となると、補償金分と称して、高く定価設定をして、『許諾契約』として図書館に納入すれば、補償金分がいくらということを考えなくても済む。
 ※よくライブラリー価格というのがありますね、『館内貸出可』『館外貸出可』『上映可』みたいに。
  「『館外貸出可』のDVDを購入するとその図書館での貸出を許可しますよ」という感じです。
  つまり、契約なので、その購入したDVD1枚に対する許諾ということで、違うDVDである利用者弁償のDVDは改めてということになります。
  同様にその映画作品の複製物であるDVDに対する補償金というわけでないので、『館外貸出可』で『上映可』に変更してもらいたい場合は改めて図書館が上映可の価格のDVDを購入することになります。

うちは日図協ルートで購入したことがないから、わかりませんが、補償金込み価格で購入を1度したから、弁償は一般市販ので大丈夫だったという話も聞きませんし、実質、3の契約論に近いのかもしれません。

なので、補償金という制度が法律でありながら、補償金分だけ別払いというのが難しい現状があると思います。

同様に、例えば雑誌付録のDVDを貸出可能にしたいからと言って、補償金を支払うか許諾を受ければ可能になるのですが、500円の雑誌に付いているDVDを5000円払ってというのも、なかなか難しい話かなぁと思います。
なので、図書館の館外貸出可とか不可とか明記して欲しいというのは以前も確か書いた通り。よくレンタル禁止は書いていますが、レンタルとは賃貸しなので言葉が違いますしね…

 これらに関してもう少し話を続けると、例えば先ほど書いた『館内貸出可』という言葉。
著作権法で『貸与』という言葉は図書館で言う『館外貸出』に当たります。となると、DVDの館外貸出や上映は著作権法上、補償金の記述があるのですが、「『館内貸出』とはなんぞや?」となります。

 実際には『資料の閲覧』なので、普通に市販されている個人視聴用DVDを図書館で購入し、館内で閲覧だけさせるのは問題ないという解釈も可能です。
その一方で、「AVブースの貸出をするとき(図書館側としてはあくまで『ブース』の貸出なのですが)、DVDの貸出処理をするでしょ?だから貸与だ。」とか、「不特定多数の人間に館内と言えど貸出するんだから貸与だ。」とか、終いには「第2条の『十七  上映 著作物(公衆送信されるものを除く。)を映写幕その他の物に映写することをいい、これに伴つて映画の著作物において固定されている音を再生することを含むものとする。』とあるのだから、AVブースの視聴も上映だ」って話も出てきて、図書館員を悩ませます。

『館内貸出可』の資料は先ほども書きましたが、「図書館で視聴させるときは、この『館内貸出可』の資料を買ってくれれば許可しますよ」という契約を結ぶための価格なので、著作権法とは全く異なることで特に問題があるわけではありません。
もちろん、図書館で購入した個人視聴用DVDを館外貸出しちゃ、大問題ですけどね。

 補償金云々については『権利者側で統一窓口&補償金処理機関を設ける』形で実現して欲しいと思いますが、どうも「設けた方が良いね」で止まって、実際にはそういう機関を作らず、個別契約でということになっているので、著作権法改正云々でも聴覚障害者向け等の補償金処理が実質これと同じなるだろうと予想は容易です。法に見合った機関を業界総意で作っていただいてから権利主張という順番にはならないのが、端から見ると不思議ですが、逆に「業界のいいようにされている」方が優先な社会なのかもしれませんね。

 さてさて、話は変わって、先日こんな話が出ました。
 「著作権の切れた映画DVDって図書館に置けるの?」と。
 これについては私も以前に疑問に思っていたので、問い合わせしたりしたことがありました。
 で、ブログでのメールのコピペは個人的にマナー違反だと思いますので、それを私なりの考えと合わせて考えてみます。

 著作権の保護期間が終わった映画の著作物は、もちろん、保護が終わっていますから、原則として貸出も上映も可能になります。

 【が】、「その500円DVDとかに含まれる著作権の保護は全て終わっているか?」となると、難しい話になります。

 実際、『著作権切れの映画♪』として販売していたけど、実は切れていなかったという訴訟があったりしましたよね?逆に切れていたけど切れていないと訴訟されたこともありますが。
 法改正前後の映画だとその辺をチェックしないといけないでしょう。

 もちろん、映画は映画で中で使われている音楽の著作権者はまだ存命だったとか、そういうことはあるのですが、この場合は映画の著作物としてなので、その貸与は問題なしだと思います。しかしながら、同じ音楽でも、公開当時と違う音楽だったらどうでしょう?そうなると映画の著作物として違うものになるのかな?と微妙になりますね…もちろん、そんなのを発売するのがどうかと思いますが。

 でも、字幕を改めて付与するのは、問題ありませんし、普通に考えられます。そうなると、「公開当時と違う(字幕のある)映画の著作物だから、その権利はどこそこにあるので、補償金が必要」という考えと「映画の著作物としては保存期間が切れているのだから、字幕は言語の著作物というだけなので構わない」という考えもあります。

 ただ、そのくらいであれば、「音楽や字幕の著作権保護があっても映画の著作物は切れているんだから、貸与は可能でしょう」って言えるのですが、実はよりそれくらいのことと言えるにより難しくなる場合があります。

 最初の方で述べましたが、アニメーションGIFとかも1つの映画の著作物です。
 となると、例えば映画全編に渡って…いや、映画DVDの中の一部でも例えば、その発売会社のロゴが動いているといったことでも、その部分が別の映画の著作物になるんですよね。

 その部分をカットして新たにDVDを図書館側で作り…いや、コピーガードがあるとまた作れなくなりますが…と、おそろしく『それくらいのこと』がことを難しくしています。
 先の雑誌の付録DVDではありませんが、500円DVDにどれだけ手間や費用をかけて…となると…なんかそれ式をやっている図書館を聞かないというのもなんか納得できちゃいますね。

 今日はそんなところで☆

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取りとめもない研修会の話

これがUPされる本日は、注目している『Future Librarian 全国図書館大会U40プレミアセッション』が開催されるので、どんな発言が飛び出すか、ものすごく楽しみです。
私の携帯電話だとTwitterできないし、家のPCはちょくちょく止まるからなぁ…PSPだと発言しにくいし。笑
ということで、『U40自宅部』幽霊部員…いや、始まる時間はまだ職場で仕事だろうなぁ…になっているはず。笑

さてさて、先日(?)、著作権法改正についての研修に行ってきました。
どっちかというと、障害者サービス寄りだったのですが、なるほど『条文はよく読むべし』ってことが勉強になりました。当たり前っちゃ当たり前ですけど。

質疑応答でちょっと暴走気味の発言をしたのは、講師の先生に素直に謝ります。すみません。(ちなみに、暴走であって暴言ではないです。)

以前、某(笑)全国図書館大会で著作権分科会に出席したのですが、その時の質問者の質問が、著作権法をちゃんと理解されていないものだったので、「やれやれ」って感じで、特にこれといって質問なかったのですが、わざとらしく確認のような質問をしてみたり、前に書いたと思いますが『図書館間協力で借り受けた図書の複製に関するガイドライン』で雑誌など除かれているのに、「借り受けた雑誌を複写して良い?」って聞いてくる図書館職員がいたりしましたので、せっかく研修のために来てくださっている講師の先生が一生懸命話していることを誤解しながら聞いていてはもったいないと思い、確認及び質問的に質問したのが長くなってしまい、まずかったかなぁと反省。

まだ、新しい政令ができていないので、なんとも言えない面が多く、『いつの間にかパブコメ募集』ってことにならないように目を光らせているつもりですが、多分見落とすんだろうなぁ…

さて、今回中心だった37条関係の話で、思ったことをいくつかメモ。

今回の改正で、視覚障害者向けの音訳テープやデイジーを作りやすくなったのはみなさん、ご承知の通り。
ポイントは37条3。

『3 視覚障害者その他視覚による表現の認識に障害のある者(以下この項及び第百二条第四項において「視覚障害者等」という。)の福祉に関する事業を行う者で政令で定めるものは、公表された著作物であつて、視覚によりその表現が認識される方式(視覚及び他の知覚により認識される方式を含む。)により公衆に提供され、又は提示されているもの(当該著作物以外の著作物で、当該著作物において複製されているものその他当該著作物と一体として公衆に提供され、又は提示されているものを含む。以下この項及び同条第四項において「視覚著作物」という。)について、専ら視覚障害者等で当該方式によつては当該視覚著作物を利用することが困難な者の用に供するために必要と認められる限度において、当該視覚著作物に係る文字を音声にすることその他当該視覚障害者等が利用するために必要な方式により、複製し、又は自動公衆送信(送信可能化を含む。)を行うことができる。ただし、当該視覚著作物について、著作権者又はその許諾を得た者若しくは第七十九条の出版権の設定を受けた者により、当該方式による公衆への提供又は提示が行われている場合は、この限りでない。』

と読むと長いのですが、
1.『視覚障害者その他視覚による表現の認識に障害のある者』はどこまで含むか?
 従来の視覚障害者の方々はもちろん入ります。改正の概要を見ると発達障害等という点では、ものすごく広く感じます。ディスレクシアは確実に入るのですが、例えばアスペルガー障害(例えば色に過敏なのでモノクロコピーとか…)なども含むかとなると「???」。
 実際、今回の研修の質疑で「高齢者というのは含むのか?」ってあったと思いますが、まだはっきりしないので、たぶん無理だと思うけどなぁ…と感想。
 図書館側だって、今と同様にするのであれば、障害者手帳の有無が利用条件になりますよね?例えば広汎性発達障害とかだとあまり手帳出ないし。診断書持参で図書館に来る人もいなかろうに…

2.『視覚著作物』はどこまで含むか?
 『視覚によりその表現が認識される方式』要するに、見てわかるものってことなのでしょうが…
 普通だと今までどおり図書類なのですが…
 聞いたところによると、インターネット上のPDFのほとんどはわからない場合が多いそうなので、例えば読みたいPDFを図書館に送って透明テキストとかテキスト化して送ってもらうとかは…だめかな??
 PDFを印刷して、それを図書館に持ち込んで読んでもらうという従来パターンでも、と思いましたが、ずらずらと見て、必要なら印刷ってことができないので、便利じゃないなぁと。
 もちろん、PDFに関しては、最初から音声ブラウザなどでも読めるページを用意しておくとか、配慮されていれば良いのですけどね。

3.『ただし、』以降は案外困ったちゃん。
 なんか普通にスルーしちゃったのですが、今回の研修で「あ、そうだよな」と思った点がここでした。
 簡単に書くと『本の出版権のあるとこが、音声のものとかを作っている(もしくは予定していたら)だめでっせ。』ってことみたいです。
 確かに、視覚障害者用ってことで、図書を音訳した商品を売っていれば、いくら図書館だからといっても、勝手に類似商品を作ったらいけないよなぁ…程度の甘い認識だったのですが、『当該方式』が曲者で、どうも解釈によっては、「某俳優が感情豊かに読み上げます」というのも「音声による方式」なので、音訳テープ類とかぶると解釈するというのもあるそうで…
 条文には『予定』商品ということはないですが、時間を掛けてようやっと「話題の本○○の音訳テープ完成!」ってときに、「あ~商品出すことになったからそれだめね」と言われかねないので、商品予定なしの確証か、許諾が必要になるのかも?と。
 ということは、出版者が「今後いつか音声版を作る予定です」って行っていれば、おいそれとは動けなくなくなるってことでしょうかね?

 それにしても、某俳優のまどろっこしい音声版と音訳テープを一緒にされると…ねぇ?
 『当該方式』をデイジー形式やテープも倍速なら可みたいにならないと、解釈的にはそういうことか…難しいのぉ。

 で、研修はその後38条まわりの説明だったのですが、字幕や手話を付けて改めてDVDを焼いたりするのは、ここでも『ただし書き』が同様に猛威を振るっているとのことで…

『第三十七条の二聴覚障害者その他聴覚による表現の認識に障害のある者(以下この条及び次条第五項において「聴覚障害者等」という。)の福祉に関する事業を行う者で次の各号に掲げる利用の区分に応じて政令で定めるものは、公表された著作物であつて、聴覚によりその表現が認識される方式(聴覚及び他の知覚により認識される方式を含む。)により公衆に提供され、又は提示されているもの(当該著作物以外の著作物で、当該著作物において複製されているものその他当該著作物と一体として公衆に提供され、又は提示されているものを含む。以下この条において「聴覚著作物」という。)について、専ら聴覚障害者等で当該方式によつては当該聴覚著作物を利用することが困難な者の用に供するために必要と認められる限度において、それぞれ当該各号に掲げる利用を行うことができる。ただし、当該聴覚著作物について、著作権者又はその許諾を得た者若しくは第七十九条の出版権の設定を受けた者により、当該聴覚障害者等が利用するために必要な方式による公衆への提供又は提示が行われている場合は、この限りでない。』

ってことで。
ただ、私が知らなかっただけなのですが、これを回避する手段として、字幕を別掲示って方法があるようなのです。
「あ~なるほど」と思いました。恥ずかしながら。
言うなれば要約筆記みたいに、映画の下に字幕を流す(もちろんコンピュータで)…それなら、DVDの複製を作っているわけでないですものね。

で、ここで、登場がPSP!(笑)

映画を見ながら、PSPに字幕を表示させてって両方に目をやるって方法がすでにあるようです。(人工内耳友の会-東海-『PSPで手軽に字幕キャッチ!!』(http://www2u.biglobe.ne.jp/~momo1/sub1/new_sub/akemi071210.htm):ここでは朝礼+字幕ですが、映画の場合もそんな感じなのでしょう。)
(『キュー・テック、PSPで映画の字幕を配信するシステムをデモ展示』http://bb.watch.impress.co.jp/cda/event/23391.html):もう去年の話だったか…見落としてました。)

ってことで、図書館の備品としてPSPなんかも。(?)

今回の研修では全く触れなかったので、気になっているのが第47条。
前回のさらっと読みでは、絵本の全文入力とか変なことを考えていましたが、今回は第47条の6。
どっちかというと、Googleとか情報検索業者は日本にサーバを置いて、キャッシュ機能のために複製を保存公開していいよ的なものなのですが、次の文にも心が動きました。

えっと条文は
『第四十七条の六 公衆からの求めに応じ、送信可能化された情報に係る送信元識別符号(自動公衆送信の送信元を識別するための文字、番号、記号その他の符号をいう。以下この条において同じ。)を検索し、及びその結果を提供することを業として行う者(当該事業の一部を行う者を含み、送信可能化された情報の収集、整理及び提供を政令で定める基準に従つて行う者に限る。)は、当該検索及びその結果の提供を行うために必要と認められる限度において、送信可能化された著作物(当該著作物に係る自動公衆送信について受信者を識別するための情報の入力を求めることその他の受信を制限するための手段が講じられている場合にあつては、当該自動公衆送信の受信について当該手段を講じた者の承諾を得たものに限る。)について、記録媒体への記録又は翻案(これにより創作した二次的著作物の記録を含む。)を行い、及び公衆からの求めに応じ、当該求めに関する送信可能化された情報に係る送信元識別符号の提供と併せて、当該記録媒体に記録された当該著作物の複製物(当該著作物に係る当該二次的著作物の複製物を含む。以下この条において「検索結果提供用記録」という。)のうち当該送信元識別符号に係るものを用いて自動公衆送信(送信可能化を含む。)を行うことができる。ただし、当該検索結果提供用記録に係る著作物に係る送信可能化が著作権を侵害するものであること(国外で行われた送信可能化にあつては、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものであること)を知つたときは、その後は、当該検索結果提供用記録を用いた自動公衆送信( 送信可能化を含む。)を行つてはならない。』

(長っ!)
なのですが、『検索し、及びその結果を提供することを業として行う者(当該事業の一部を行う者を含み、送信可能化された情報の収集、整理及び提供を政令で定める基準に従つて行う者に限る。)』の前半は図書館は『業』とはしていないけど、『当該事業の一部を行う者』として図書館が政令で認められないかなぁと。

というのも、地域情報とか、ネット上の必要な情報を機関リポジトリではないにしても、集めて保存し、利用者の検索によってそれを提供するってのに使えるかなぁと思って。

ということで、取りとめもないですが、「研修を聞いて来たよ~」的なメモでした。

政令に関してパブコメ募集が出たら、意見を忘れずに出さねば。

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図書館での複写の<補足>

全般的&実務的な図書館においてのコピーについては以前書いた『図書館における複写(コピー)の私的まとめ(著作権法31条1について)』(http://c-town.way-nifty.com/blog/2009/02/post-1aad.html)を参照していただくとして、ここを訪れてくれた人達の検索フレーズから基本部分と補足なんかを。
ほとんど、よくある質問は書いているんですけどね。


◎図書館における複写は著作権法(主に31条1)によります。
なので、全部コピーさせないのは図書館がいじわるしているわけでもない。
でも、図書館が複写の許可しないこともできる。
どうも利用者側に複写する権利があると思われている方が多いようで…


◎基本単位は1冊でなく1著作物です。
短篇集はそれぞれの短編で1著作物なので、単純に10ページの短編5つ(仮にA・B・C・D・E)ある50ページの本は、
A:5ページまで、B:5ページまで、…E:5ページまでの25ページまでは複写できますが、
Aの部分だけ10ページというのはできません。25ページより少ないのですがね。

極端な話、写り込みの協定がなければ、俳句17文字も1著作物なので、8文字までしか複写はできないってことです。
『複製物の写り込みに関するガイドライン』についてはこちらを参照してください。(http://www.jla.or.jp/fukusya/uturikomi.pdf

まぁ、このガイドラインも、図書館職員でさえ、勘違いしているところもあるけど、
・楽譜
・地図
・写真集・画集(書の著作物を含む)
・雑誌の最新号
は除外されているんですよねぇ…(ということで、楽譜は保護期間内であれば1曲の半分までです。短くても。)

同様に図書館間協力における現物貸借で借り受けた図書の複製に関するガイドライン(http://www.jla.or.jp/fukusya/taisyaku.pdf)は図書のみで雑誌は除外されているのに…何回か「利用者が複写したいと言っているのでガイドラインに基づいて可能か?」って聞かれました。
苦笑いしながら、「ガイドラインは図書だけですよ」って説明しましたけど。


◎基本提供可能単位
公表された著作物の一部分のコピーを一人につき一部のみです。

なかなか、『著作物』の概念が理解されないようで、上記短編集的なものや、最新号の雑誌なんかも「ここまでが1著作物」って理解されにくいとこですね。

で、利用者がよく「1枚だけですか?」と聞いてくるのですが、よく聞くと友達の分とか保存用というわけでなく、「1冊で1ページ分だけ」と『一部』を解釈する人がたまにいたりします。
実際は、1著作物単位なので、1ページであってもだめなこともあるんですけどね。そういう質問はちょっとかわいらしくもあります。

前にも書きましたが、図書館界では「半分を超えたら一部分とはいえない」ということから、「半分まで」という解釈ですけど、「半分!」はどうするか、微妙なところです。
私も半分は半分であって、一部分とは言わない気もしますが、49.99…%ってのもねぇ…
ので、「半分以下」とは書いたり言ったりしないようには気をつけています。(だからといって「半分未満」とかも言いにくいけど)

ゼンリンの地図は区分図が1著作物という主張ですので、全面(右面と左面)などの複写はできません。
まぁ、右か左かというわけではないので、紙で隠して真ん中というのは可ですけどね。うちでは道に沿って斜めにという要望もありましたけど。

検索フレーズで「2日に分けて」ってのもありましたが、何日に分けようが、その著作物単位なので、だめですって。
国立国会図書館だと数ヶ月前のも正しくチェックされて、不可と言われたようですし。
エライ!

え、他館で複写した残りの複写ですか?
聞かなかったことにします。笑
というか、だめです。
でも、チェックできないのが現状ですが。


◎上下巻・シリーズ・付録
これらは、それぞれ別物として扱われます。
「上下巻で1つの作品なんだから、上巻全部が複写可能なはずだ」っておっしゃる利用者もいますが、『上巻』という1つの著作物なのですし、もっと細かく書けば、その本文が1著作物です。前文とかは別に考えた方が無難。

基本はそうなのですが、合本は微妙。
おそらく、1冊にはなっているけど、目次などを見て元上巻・元下巻となっていれば、やはり短編集と同様に、それぞれの半分でしょうし、それがなく上下巻を読んでいないと区切りがわからない場合は、改めて半分までということなんでしょうね。

で、基本話のはずなのにいきなり応用話をちょっと。笑
小説系の雑誌、毎月少しずつ文章が載ります。
ある作家の書いた小説それらは次の月には大抵全部分複写可能になります。(その雑誌1冊の半分までならね。)
そうするとその連載終了後、出版されるだろう、単行本を最初から最後まで複写するのと同等になる…

ってことで、文芸誌は全部分複写可能は除外してくれと、権利者の一部が申しております。

これについては、作者死亡などで単行本出版に至らないケースもあるし、単行本で改変されていることもあるという理解なので、現状は上記応用はOK。と私は思っています。


◎図書館で書き写す行為
◎図書館でデジカメやスキャナで複製する行為
まず、前にも書いたけど後者。
少し前に、『デジタル万引き』って言葉が作られ、その後自粛傾向にありますけど、それと同じ考えで良いかと。

つまり、日本においては原則として利益窃盗が不可罰ですので、窃盗行為でもなく、撮影行為自体は私的使用目的の範囲内で著作物を複製する場合となるので、著作権法違反にもならない(複製したものつまり、その画像を送信したら、即違反。)。
お店の敷地内で行なわれることなので、お店は売り物に対し管理権を有するので、お客の本や雑誌の取扱いに制約を課すことは、可能なので、注意したり、やめさせたりできるのと一緒。

よくビニールで覆って書店で立ち読み禁止とか見るけど、そういうのも一緒。管理上のこと。ついでに、違反した利用者に立ち入り制限を課すことも自由。

図書館だと、立ち入り制限を課すのは微妙だけど、同様に「著作権法違反で」というのは、ちょっと難しい面があります。
「許可なく館内における撮影行為等を禁止します」と一文書いておいて、「資料管理上、ご遠慮いただいています」というのがベストかなぁ。

で、前者。
いわゆる文章のメモだったら、私的使用でしょうし、資料を痛めないので、大丈夫でしょう。
が、わざわざそれで検索してくるということは、その問題は、トレース行為なんじゃないかと勘ぐってみたりします。
トレースすることももちろん複製行為なのですが、私的使用だと言われるとやはり、もめます。

でも、先に書いたように、ボールペンやシャープペンでやられると、痛むので、管理上、やめてもらえますけど、痛まないように配慮されてだったら、「ご遠慮」ですかねぇ。

ついでに、手描きだと、自分のノートにキャラクターを描く程度であれば、大丈夫なのですが、それを販売したりするのは違法です。
もう少し書くと、それを図書館内などに常設展示するような場合は、著作権法に抵触することがあります。
例えば、お話会のメンバーが作ったぐりとぐらの看板だとか…

よくペットボトル持ち込みで注意すると、「フタはちゃんと締めているし、館内では飲んでいないからいいでしょ?」と言われるのと、一緒で、「それを真似て持ち込んだ人が汚したり飲んだりするから」みたいな。

私的使用でも複製一切禁止にできないのは、普通のメモ行為も抵触するからなのかなぁと。


◎DVD付録の扱い
DVDで、文字情報だけっていうのは、ほとんどないと思うので、動画が含まれていたら映画の著作物になります。
なので、購入した雑誌についているDVDは本来であれば許諾を得ないと貸し出せません。

でも、最近、「図書館での貸出以外のレンタル禁止」とか、ちゃんと書いてくれている出版者さんがいて、それはちょっと感動ものだったりしますが、原則、「貸出してよいか」と問い合わせるのが正当。

可能であれば、全出版者さんが、図書館で貸出OKかどうか明記しておいてもらいたいなぁ。


◎ブースで録音・撮影
管理上、目的外使用ということで、一律禁止というのも可能です。
もちろん、ダビング行為は、公共物だろうとそういうお店で置かれているものだろうと、私的使用範囲外なので、問題外です。
上のデジカメ撮影と同様、持ち込み機器だと管理上やめてもらえる。

で、知り合いの某氏が「それは盗撮だ」って言っていたので、それは違うんじゃないかと、ちょっと確認。
『映画の盗撮の防止に関する法律』が成立していますから、そういう言葉が出たのかもしれませんが…

この法律は著作権法30条1項の規定を適用しないこととしてあるので、そのため、映画の盗撮行為は複製権の侵害となり、刑事罰の対象になります。
もちろん、この法律を待たずに著作権法によれば、海賊版を流通させる目的をもって映画館で映画を録画したり録音する行為は、著作権法21条や著作権法119条1項により、刑事罰の対象になるのですが、これを読んでいる方がご存知のように著作権法30条1項は、その目的が著作物の私的使用であるならば、著作権侵害とならない旨を規定しているので、除外する法律が必要だったのでしょう。

なので、この法律以後は、「病気で入院中の弟のために」とかどんな理由であっても、映画館で映画を撮影しちゃいけないということになりました。

確かに、映画館における映画の録画・録音行為を禁止できる法律上の根拠として、(先にあげた図書館での管理上云々と同様に)施設管理権や誰も読みはしない観客との契約などもあるので、映画館内への録音録画機器の持ち込みを禁止し、実際の行為を制止することもできますし、見つけたら退場&再入場禁止も可能ですが、荷物チェックなどもちょっとねぇ…

この第2条3号で、映画の盗撮の定義が『映画館等において観衆から料金を受けて上映が行われる映画(映画館等における観衆から料金を受けて行われる上映に先立って観衆から料金を受けずに上映が行われるものを含み、著作権の目的となっているものに限る。以下単に「映画」という。)について、当該映画の影像の録画(著作権法第二条第一項第十四号に規定する録画をいう。)又は音声の録音(同項第十三号に規定する録音をいう。)をすること(当該映画の著作権者の許諾を得てする場合を除く。)をいう。 』ってなっています。

なので、「映画館等において」で図書館におけるホールでの上映会は含まれます。

でも、料金を受け取ってはいないので、撮影しても映画の盗撮には当たらないです。
ついでに書くと、ブースでの撮影は『映画館その他不特定又は多数の者』にも当たらないので、私の判断(映画の盗撮行為というわけでない)に軍配でしょうか。

もちろん、「管理上やめてね」ですけど。笑


…全然基本になっていないや。
でも、こんなに図書館の複写関係で検索している人が多いということは、それだけ、図書館で判断に困っているということでしょうか?
悩むなら、そこの出版者の編集部にでも電話すれば、解決するのですけどね。(時には認められているはずのことも「それはご遠慮ください」と禁止されちゃうこともありますし、逆もまたあったりするので、臆せず交渉してみるのも経験です。交渉の仕方で回答が変わることもあります。恐い編集者もいますが、優しい方もいますし。ちゃんと著作権担当者もいますからねぇ、大抵。)

おそらく、私のエントリーだって、カウンターで利用者を待たせて見ているわけではないでしょうから、図書館で複写関係の問題があって、それの回答を探しているみたいな感じでしょう。

一番の理想は判例をじゃんじゃん作ってもらうことで、金銭的に余裕のある一般利用者が、前にあげた判例ではないけど、「図書館が複写をさせてくれなかったのは、心外」ということで、裁判があれば良いのですけど、この手の裁判があまりないのは、「裁判を起こすほどのことではない」というのもありますが、一番最初にあるように、「図書館が複写の許可しないこともできる。」というのがあるので、複写範囲の判例にならないからなんでしょうね。

それなら、逆に権利者側が、「ここまで複写させるのは31条を満たさない!」って訴えなら、どこまで満たすかの判例になると思うのですが、そのためには、利用者が図書館で権利者の訴える範囲まで複写した事実が必要になるのですけど、図書館側は秘密を守る云々などもあり、申込書を提出しないでしょうし、利用者だってわざわざ権利者に「これだけ複写させてもらえたよ」なんて言わないでしょうし。利用者も訴えられる範疇になるでしょうし。

そうすると、権利者側の息がかかった人が、図書館で申請し、受け取った複製物を元に、訴える…そこまでやると複写申請が虚偽申請で逆に図書館に訴えられる可能性もあるし…と考えていくと面白いです。


次こそはDVDの上映権とか補償金とか書きたいけど、なかなか資料がなぁ…前も書いた気がするけど、補償金上乗せ分は権利者の言い値ですけどね。
法的にも補償金額は『相当の』とあるから、定価の数百%といったところでしょうか。

最近の複写関係の検索ワードからのエントリーでした☆

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著作権法の一部改正

『著作権法の一部を改正する法律案』がいつの間にかUP(http://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/171/1251917.htm)されていました。
ずっと気になっていたのですが、ほんといつの間に…笑
(というか、これを書いている日はブログにUPする日とは違うんだけど。)

さて、改正予定の案をザーッと見て、何点か。
まず、吹き出してしまったのは、31条1項で「国立国会図書館及び図書、記録その他の資料を公衆の利用に供することを目的とする図書館…」と、「国立国会図書館は『公衆の利用に供することを目的とする図書館』とは違うのだよ、そこらの図書館とは!」って明確に分けられたってこと。
確かに『国立』ではあっても「国会」のための図書館ですからねぇ…これが公衆利用に供することを目的とする『国立図書館』の設置への布石であれば、申し分ないのですが、違うのでしょうね。

次に、気になっていた資料の電子化については、31条2項が新設されて、『国立国会図書館においては』と限定して「原本を公衆の利用に供することによるその滅失、損傷又は汚損を避けるため(中略)当該図書館資料に係る著作物を記録媒体に記録することができる」と国立国会図書館は明文化されているのですが、普通図書館(笑)については、報告では1項2の保存のための複製で出来そうな書き方でしたが、明文化まではならなかったようで、相変わらず解釈論の展開といったところでしょうか。

それとも、これも、『図書館においては』に変更される前段階ということでしょうか…
もちろん、除籍資料などの電子複製もGoogleさんのような機器があるわけでないから、市町村図書館では難しいですが、繋ぎとしてでも、国立国会図書館が電子化した資料を保存のための複製の条項によって(所蔵資料ならば)受けられるとでもなると手間もなく良いのですが…

で、普通図書館としてありがたかったのは、37条が変更されたこと。
今までは37条で点字への複製は可能だったのですが、点字図書館系でしか視覚障害者用の録音資料が作れなかったのです。
これが『「視覚障害者等」…の福祉に関する事業を行なうもので政令で定めるもの』であれば作成可能ということになり、「政令で定めるもの」が微妙ではありますが、概要に明確に録音図書の作成が公共図書館等にも拡大となっているので、間違いなく可能なんでしょう。

ただ、気になるのは、視覚障害者サービスとして掲げているまたは事業を明記していないとできないのかなぁ?と。
でも、これで、音訳ボランティアさんにも普通に作成依頼が可能になるんじゃないかと、思うと、「著作権の許諾がないので、資料の大半は録音資料にできないんですよ」とか情熱に水をかけることを言わなくて良くなったんじゃないかなぁと。

ところで、聴覚障害者向けのサービスとして視聴覚資料に手話を付けるのは可能だったようなのですが、普通の図書館でどうやって手話付きの映像にするんだろう…作っている図書館があったら教えて欲しいものです。

他にも改定される部分はたくさんあるのですが、気になるところをいくつか。

新設された47条の7(情報解析のための複製等)で、情報解析を行なうことを目的とする場合は記録媒体に記録できる…まぁ、情報解析の定義どおりであれば無理かもしれませんが、例えば、絵本の全文をコンピュータに記録しておいて、解析という名の検索をする(もちろん検索結果に内容は表示されない)とか…

というのは、登場人物名とか台詞とか児童図書担当で精通していれば別ですが、簡単なところでは「いちもくさん」というキャラクターが出ている絵本(簡単だからすぐわかるかもしれないけど『しょうぼうじどうしゃじぷた』(渡辺茂男,福音館書店,1979))とかを利用者サイドで検索できると良いかなぁと思ってね。
まぁ、情報解析って感じじゃないからだめか。

それでも47条周りが新設されたことによって、新しい図書館サービスが何か可能になるんじゃないかなぁと思ってみたり。

個人的にはもう少し31条関連をてこ入れしてほしかったなぁ…
次の改正に期待するしかないか。
例えば、31条1項の2の保存のための複製をもう少し具体例が入ったような感じにとか…(16mmフィルムからDVD化が明確に可能だとは書かれていないし、公立図書館での資料の電子化についても…)

まぁ、平成22年1月からなんだけどね。

今日は短めだけど、重み付けの話<その1>~<その3>が長かったし。笑

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図書館における複写(コピー)の私的まとめ(著作権法31条1について)

 時々アクセスログを見ていると、統計的に『いじわるな複写~著作権法の解釈の間で~』(http://c-town.way-nifty.com/blog/2008/09/post-057e.html)が(拙ブログの中では)一番読まれているらしい…
 ということで、私なりの見解をちょっとまとめてみようかと…もちろん、私の解釈が絶対ってわけではありません。(あくまで図書館司書の一人の立場ということで)

まず、著作権法の図書館の複写に関する条項を改めて確認。

著作権法31条
図書、記録その他の資料を公衆の利用に供することを目的とする図書館その他の施設で政令で定めるもの(以下この条において「図書館等」という。)においては、次に掲げる場合には、その営利を目的としない事業として、図書館等の図書、記録その他の資料(以下この条において「図書館資料」という。)を用いて著作物を複製することができる。
一  図書館等の利用者の求めに応じ、その調査研究の用に供するために、公表された著作物の一部分(発行後相当期間を経過した定期刊行物に掲載された個個の著作物にあつては、その全部)の複製物を一人につき一部提供する場合
二  図書館資料の保存のため必要がある場合
三  他の図書館等の求めに応じ、絶版その他これに準ずる理由により一般に入手することが困難な図書館資料の複製物を提供する場合 』

と、わかりきったのを載せることからはじめてみました。
で、解釈や説明を全て文章にすると相変わらずダラダラ書いてしまうので箇条書きにする…ように努力します。笑

<大前提>
 この条文、図書館が主体となって『複製することができる』ですから、図書館は『複写させなければいけない』とはないので、『複写させなくても良い』なんです。利用者に複製権はないんです。
 ついでに、コイン式でセルフっぽく見えますが、司書がチェック(複写申し込み時の可否の決定等)をすることによって、主体の図書館の手足となって利用者がコピー作業をしている解釈となります。
 また、これがあるので、複写できるのは図書館の資料で、図書館の資料以外である私物は複写できなく、1人につき1部なので友人の分はできません。
(ただし、申し合わせにより他館から借受した『図書』のみ同様に複写できます。(他館で借りてきたではないし、雑誌はだめですし、相手館がNoと言っている資料もだめですけどね。))

<複写可能施設>
 この条文で著作物を複製…つまり、コピーをして良いのは『資料を公衆の利用に供することを目的とする図書館その他の施設で政令で定めるもの』とありますがこの点は…

著作権法施行令
(図書館資料の複製が認められる図書館等)
第1条の3 法第31条(法第86条第1項及び第102条第1項において準用する場合を含む。)の政令で定める図書館その他の施設は、国立国会図書館及び次に掲げる施設で図書館法(昭和25年法律第118号)第4条第1項の司書又はこれに相当する職員として文部科学省令で定める職員が置かれているものとする。
1.図書館法第2条第1項の図書館
2.学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条の大学又は高等専門学校(次号において「大学等」という。)に設置された図書館及びこれに類する施設
3.大学等における教育に類する教育を行う教育機関で当該教育を行うにつき学校教育法以外の法律に特別の規定があるものに設置された図書館
4.図書、記録その他著作物の原作品又は複製物を収集し、整理し、保存して一般公衆の利用に供する業務を主として行う施設で法令の規定によつて設置されたもの
5.学術の研究を目的とする研究所、試験所その他の施設で法令の規定によつて設置されたもののうち、その保存する図書、記録その他の資料を一般公衆の利用に供する業務を行うもの
6.前各号に掲げるもののほか、国、地方公共団体又は一般社団法人若しくは一般財団法人その他の営利を目的としない法人(次条から第3条までにおいて「一般社団法人等」という。)が設置する施設で前2号に掲げる施設と同種のもののうち、文化庁長官が指定するもの

ですから、小中高の学校図書室(館)や企業の図書室、ついでに公民館図書室もできません。
ただし、公民館図書室を条例上、公立図書館の分館とした場合は可能です。

<条文の解釈問題>
発行後相当期間を経過していない定期刊行物について
1.経過していなくても公表された著作物なんだから、一部分は可能
2.わざわざ後に『発行後相当期間を経過した定期刊行物』とあるのだから、一部分も不可能
と2種類考えられているかもしれません。
私は1の解釈で良いと思うのですがねぇ…
「じゃあ、雑誌の最新号の複写不可ってのは?」という質問には「図書館の運営上、最新号を複写させていないってだけ」と答えたいです。

ついでに、『発行後相当期間』は、著作権者の中には「専門誌のバックナンバーなどは普通に買えるのだから次号が出たらという理論はおかしいのじゃないか」とおっしゃる方もおりますが、図書館的には「次号が出るまで」がほとんどです。(ちなみに、地方だとなかなかバックナンバーを置いている書店って少ないです…)

 でも、日刊・週刊・月刊あたりはわかるにしても、1年に1回しか出ないものは…この場合、発行後3ヶ月経つか次号の出るまでってしている図書館が多いでしょうかねぇ…

<複写範囲の問題>(本日のメイン!笑)
 著作権者の中には「一部分というのは半分ってことではない。20%くらいが妥当じゃないか。」と考える方もおられますが、図書館業界的には「半分まで」って解釈が多数派です。
 さて、可能と思われる最大限について個別に考えてみると…

1.図書
原則は目次、前書き、後書きを除いた本文の半分まで。
目次や索引はその全部。(どんなに工夫を凝らした目次や索引でも、どうも大勢は著作物でないよう。)
本文以外の前書き・後書き・解説等はそれぞれ半分まで。

・一冊完結もの…本文の半分まで
・複数冊もの(上下巻、シリーズもの等)…各冊の半分まで
・全集・短編集等…収録されている個々の著作物の半分まで(ただし、同一紙面に複数の著作物がある場合は楽譜、地図、写真集・画集を除き、写り込みを許容する。(申し合わせより))
※この辺は普通に複写取扱い要領みたいなのでも普通にありますよね…
※なので、本来であれば、俳句は17文字の半分までが本当の解釈なのですが、写り込みの申し合わせが出来たので、見た目、一句全部できます。

・本体から分離した付録…その付録を独立した著作物と見なし、その半分まで
・表紙・背表紙・裏表紙…著作権法で保護されている写真・絵画・カットが含まれるものでなければOK?
※よく、図書館便りに表紙を載せたいとかあるのですが、新書などじゃない限り、大抵、絵や写真があるので、本来であれば、イラストレーターや写真家に著作権があるので(著作権の帰属は出版者になっているかもしれませんがどちらにしても)、だめでしょう。
が、著作権法を厳密に解釈するとだめですが、出版者に本の紹介で図書館便りに載せたい旨を伝えると、案外OKをくれることが多いです。もちろん、OKになるだろうと思って勝手にやると、いい気はしないでしょうから、その辺はビジネスマナーって感じですかねぇ…

・辞書類…各項目で著作者表示をされているものは、その項目の半分まで。それ以外の場合は他の項目同様に本文の半分まで。
※各項目著作者表示ってたまにあるんですよね…

2.定期刊行物
・雑誌の最新号…個々の記事の半分まで
※「じゃあ、個々の記事って?」ってのが問題になります。
 厳密に解釈すると、法的には1著作物ですから、記事の中にあるグラフや図・表なんかも1著作物と言えばそうなのでしょうが、記事を構成する要素とも解釈できるので、悩ましいところです。
 まぁ、内容に応じてでしょう、こういう場合。(わかりやすい例は左ページに写真、右に記事の文字があったら、記事部分は半分で、写真は複写不可となるけど、記事内に「表1のグラフによると…」とあって表が1ページを占めてなければ、そのグラフが記事の半分内の複写時に含まれるのであればOKみたいな。)

※料理のレシピ自体は特殊な食材を加えているとしてもレシピそのもの(文字情報的)には著作物性が薄いですから、レシピ部分は大丈夫でしょうが、1つの料理が完成するまでの手順は完成までが1つの記事なんでしょうから、手順は半分までとなるでしょうね。もちろん、厳密に言えば、手順の1写真ごとに著作物性がありますから、一概にYes or Noってわけにはいきません。

※時刻表について…考え方としては、いくつかあって…
1.「誰が作っても何時発・何時着は同じなんだから、全体で1つの著作物」と考え、『時刻表部分全体の半分まで』
2.もし目次を作る場合、「○○線上り」「○○線下り」っなるから『その該当線の上り・下り別でその半分まで』
3.1列車、つまり6時18分発の列車はその終着までを1つの記事なので、『1列車ごとに半分まで』
と考えられます。
 もちろん、マナー良くその出版者に問い合わせると「時刻表部分の半分まで良いですよ」(太っ腹!)とか「(複写予定範囲を伝えたら)そのくらいなら大丈夫です」とか答えてくれるので、やはり原則問い合わせですね。

 私も問い合わせたら、太っ腹な回答『最大時刻表部分全体の半分まで』を得られましたが、全ての時刻表の出版者ではないので、各自問い合わせてみてください。

※テレビガイド系については、これも「1日ごと」「1局ごと」「1番組ごと」とありますが、周囲にあらすじや番組内容紹介がなければ、1日で記事が完結していると思いますが、これも類似出版物が多く、それぞれの出版者があるので、それぞれ問い合わせですね…

※ぴあ系のコンサートや映画の案内については、小さくても1つの記事だと考えられますから、複写するとしたら、その半分でしょう。まぁ、日時・場所・問い合わせ電話番号くらいでしょうから、複写しないでメモ推奨ですが。笑

※もちろん、近所の図書館が「最新号複写不可!」とか言っても、私の論法を持ち出して対抗しようとしないでくださいね。最初の方で書きましたが、『最新号を複写させる・させない』は図書館が決めて良いのですから。

・発行後相当期間を経過した雑誌… 1冊の半分まで
・年鑑・白書・新聞縮刷版…図書扱いで本文の半分まで
・新聞の最新号…個々の記事の半分まで
※まぁ、雑誌と同じ考え。ちなみに、見出しは全部OK。ただ、新聞の写真は自社報道カメラマンでないこともあるので、後に出てくる1枚物の写真と同様に同一性保持権から不可だろうな。

・発行後相当期間を経過した新聞…全面広告を除く本紙全体の半分まで
※ちなみに、発行後相当期間を次号とすると、朝刊・夕刊は同じ号なので、次の日の朝刊が(新聞休刊日ならその日の夕刊かその次の日の朝刊、要するに次の号になるもの)が届いたらOKということに。
※ただし、朝刊と夕刊は別なので、図書の上下巻などと一緒で、それぞれに半分までを適応。
※なので、夕刊が出たからと言って、その日の朝刊はまだ最新号なのです。

3.地図
・一枚物…原則その半分までで、製作機関の承認を必要とするものは承認がなければ複写不可
・住宅地図…見開きの半分までで、全体の半分を超えない範囲
※ゼンリンさんの主張が見開きの区分図が1著作物と言っているのだから、他の地図帳とは異なり、見開きの半分までとなります。
※図書館で困るのがどこかの営業さんが来て、全区分図の右ページばかり、別の営業さんが左ページばかり複写するとき。もちろん、図書館的には『調査研究』でないような気がしますが『調査研究結果を提示しなくてはいけない』とかの規定もありませんし、本人が「調査研究だ」と言われればどうにも手出しが…。もちろん、これは図書館ではどうにもなりませんが、その両ページを合わせて持った時点でその会社やその営業さん達が著作権法違反になります。

・その他の地図帳…図書と同じ扱い
・資料中の説明地図…全部分可
※厳密には地図って1著作物なんだから、るるぶなどの旅行誌にある1ページより小さな地図もその半分って解釈もなくはないけど、最近はそこまで厳密に解釈しない場合が多いと思うので、図書なら図書扱い、雑誌なら雑誌扱いでやっているところが多いんでしょうね。

4.楽譜・楽譜集・歌詞・歌詞集等
著作権の保護期間内のものであれば一曲の半分まで。
※基本はそうなんですが、もちろん保護期間内のものです。あと、組曲は曲目ごとの半分までというのは良いと思いますけど、歌詞、3番まである曲は1番は丸々複写可能かどうか…おそらくOKでしょうね、全部で1曲なんですから。たまに、1曲=1アルバムだと思っている方がおりますが…笑

5.写真・絵画・図表・カット
・一枚物…複写不可
・写真集・画集・カット集…複写不可(ただし、複写目的で作られたカット集は図書扱いとし、その場合は一冊の半分まで。)
※「え~写真集とかって半分までじゃないの?」ってよく言われますが、写真や絵はそれ全体で1つの作品とされているので、同一性保持権に反すると思われますので、複写不可になるかと。

・資料中の説明写真… 全部分可
※地図の説明と一緒

6.AV資料に付属している表紙・裏表紙・ジャケット・地図・説明資料等
原則として上の各項目と同様の扱い…
ようは、ジャケットの表紙はほとんどが写真でしょうから、5の一枚物の写真と同じ解釈。
裏は写真類がなければ、曲目なんでしょうから、目次と同じ解釈。
説明資料の中の歌詞は上にあるように1曲の半分まで。
説明文章はその全容量の半分まで。

7.紙芝居
全部の半分まで
※意外とこの検索フレーズで見られているのは理解できます。だって実はとても悩ましいんですよね、これ。
 というのも、片面は絵1枚だし、裏はほとんどが文字。とすると絵ばかり全面複写しても良いのか逆に裏の文字を全部複写して良いのかってことにもなりますし、1枚1枚が独立しているっていう点もね…
 ただ、類似したものから考えると、右ページにテキスト・左ページに絵という絵本でテキストのみ・絵のみの複写も可能ですし、加除式の資料だとバラバラにもできますが、資料としては1資料扱いなので、本文の半分でしょうから、紙芝居はその全場面で1つの著作物なんですから、私の見解では全場面の裏表合わせた量の半分までって考えが妥当かなと。
 1枚の絵っていうのも気になりましたが、その1枚で完結した作品というわけでもないですしね…

8.折り込み広告
・最新号…求人広告のようなものは各会社で1記事とみなして、ぴあ系と同様それの半分。なので、メモ推奨。その他の広告は掲載写真(人参や胡瓜の写真)も1著作物ではあるのでしょうが、人参や胡瓜を(もちろん新鮮そうに美味しそうに撮っているのでしょうけど)それ1つの作品として撮っていないのでしょうから、広告全体を1著作物とも考えられるし…これもメモ推奨ではありますが、一面はその半分、表裏あるものは(両面で1つとも考えられなくはないでしょうが)各面半分まででしょう。
・バックナンバー…各面の半分まで
※バックナンバーは確かに定期的に発行される求人広告やスーパーのチラシもあるので、定期刊行物だから全部可と言いたいところですが、微妙だなぁ…
※よくあるのは求人広告の複写ではありますがね…。普通のスーパーの広告なんかは、問い合わせしてみると、「全部コピー可」って言われることも多いと思いますよ。元々、広告を保護するよりは品物を売りたいのでしょうから。事例がなかったから聞いたことがないけど。

9.付録物
雑誌や図書等にある付録…本誌・本体と別なものなので、それぞれ独立して考えます。新聞の朝刊・夕刊や図書の上下巻といっしょで、単体それぞれで、本文の半分のような感じです。

…検索フレーズで最近あったものに一応答えてみたつもりですが…何か抜けているかな?

<勝手に複写の問題>
 実際、メモ用紙に書き写したり、住宅地図を紙にトレースしたりするのは、複製していることなのですが、自分でやっている分には30条の私的複製だと考えられます。
同様に、携帯電話のカメラやデジカメで写したり、ハンディースキャナでスキャンしたりするのも30条で出来そうです。
 以前も書きましたが『個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること」で『使用』に関して範囲を決めていて、複製場所については言及していない』というのもありますし、31条も図書館が図書館資料を複製することができるとあるので、図書館空間における複製行為全般を制限できるかや、『複写機器』についての言及もありません。

 で、それがダメだと言われるのは…以前書いたのですが…
・館内撮影禁止もしくは撮影制限がされている場合…私的複製による複写目的でもカメラな以上制限できますし、音が出るのなら、なおさら運営上注意してやめさせることができます。
・ハンディスキャナ…電子メモみたいなものなので、手書きメモも許さないのであれば、不許可で良いですし、電源を使われるのであれば、それは運営上使うなと言えますし、上と同様音がうるさければやめるように主張できますが、音も静かで電池式の携帯ハンディスキャナは、資料を痛めるような使い方をしていない限り、認めざるを得ないと思います。
もし、条文の『図書館等において』を『図書館にある複写機』だけでなく『図書館という空間』として考えているのであれば、認められない複製行為(図書館は複製のために複写機を設置しているのでという論法)として、許可しないということも考えられなくはないですが、ちょっと論拠が弱いかもしれません。この辺はもう少し判例が欲しいところです。

 なので、著作権法上は辛いけども、神社仏閣が撮影禁止に出来ているのと同様に『所蔵者の有する所有権の行使』ということで、資料が写真やスキャナに写し取られるのを制限するという考えも…でも、厳しいな。笑

<CD・DVDの複製の問題>
 そもそも図書館にこれらを複製する機器を置いていることは皆無とは思いますが、法的には『その他の資料』も含まれていますから、CDだったら歌詞・楽譜同様に1曲の半分まで、DVDは映画の半分まで可能だとは思います。機器があったとしても半分の判定が面倒でしょうが。笑
 上映についてや映画会、補償金云々についてはまた日を改めて。(過去にも多少言及していますので、そちらを参照してください。)

<拡大問題>
 今日は第31条1の問題まとめのつもりなので、第38条(営利を目的としない上演等)は後回しなんですが…書画カメラ(OHC)などで、単に大きくして写すのであれば、拡大読書機と同様にOKなのですけど、OHPやパワーポイントにすると、複製権がOHPシートやスキャナによるデジタル化が絡むので、やるとしたら31条1で半分までってことですね…

<半分の複写は?>
 判例等により「半分を超えたら一部分とは言えない」という考えから、最大『半分○○』と図書館界では解釈しています。
 なんで○○にしたかと言うと、『半分以下』と『半分未満』という考えがあり、「以下」なら『半分』が入ります。
 100ページあって49ページなら『一部』表現できますが、50ページだと言葉的には『半分』って使う気もするので微妙です。
 なので「複写範囲をXとすると、X>半分 だと一部分でない」って発言なのか、イコールが入るのか判断が分かれるところのような気がしますね。

今日は、こういった感じなのですが、思ったより長くなっちゃいましたね…全部読んでくれたみなさま、お疲れ様でした。そしてどうもありがとうございます。

 ところで、最近出された『著作権法コンメンタール2 23条~90条の3』(半田正夫・松田政行/編,勁草書房,2009.1,978-4-326-40253-3)を持っている方(もしくは図書館の方)、31条関係の記述はどの程度のものなんでしょう?(図書館だとまだ入っていないところが多いかな?)
 とても気になるのですが、近隣の書店に置いていなし、うちの館では購入しないことが決まったので…まぁ、9千円(税抜き)だから、必要なら購入するのも良いのですが…

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著作権法31条2!

 どうもこのカテゴリーで、著作権法31条1について、法解釈とか別に現場の解釈的なことを書いていたら、最新号の複写とか時刻表の複写とかそういう検索で、拙ブログを見に来ていただいていることが多いので、嬉しい半面、「間違った解釈していないよな…」とちょっと不安になってみたり。あとで、31条1について自分なりにまとめたいなぁ…

 さて、今回は31条の2について、以前から気にしていたことについて文化審議会著作権分科会での報告案(http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/bunkakai/27/index.html)が出ていましたから、先にこっちを。

 また人様のブログを絡めてしまいますが、丸山高弘の日々是電網  The First. : 廃棄資料のデジタル化は違法/合法?(http://maru3.exblog.jp/7843542/)から、丸山高弘さんは、廃棄図書をデジタル化することについて何度か(廃棄図書のデジタル化...応用編(http://maru3.exblog.jp/7869934/)、やはり、いずれデジタル図書館ができるんじゃないかな。(http://maru3.exblog.jp/7888062/))書かれています。

 これには、基本的には賛成。もちろん、『過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会報告案』しか当時はなかったので、普通の図書館でも可能なのか協議が必要なのかはっきりしていませんでしたから、今回の報告案が出るまで、微妙な解釈でしたがね…(まぁ、出ても微妙な点はありますけど)

 もちろん、全て賛成というわけではありません。寄贈本を受けた先からというのはちょっと無謀な気もしますし、バックナンバーが手に入る状態の時は、そちらを手に入れる方がセオリーかなとも思います。(実際に図書館での保存ということであれば。)

 ちなみに、『過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会報告案』の注の60には『必ずしも廃棄は必要ない』旨の考え方もあるので、色々と考えないといけないことが多々ありますから、原本もデジタルも保存は悪いことではないように思います。

 そこまでいかなくても、今回の文化審議会著作権分科会報告書(案)で気になっていた部分だけサッと目を通すと、P192に国立国会図書館以外の図書館でのデジタル化が『二 図書館資料の保存のため必要がある場合』に当てはまる場合、『その所蔵する資料を複製することができる。』(ここまでは条文にあるんだから当たり前)とあり、その後段の『例えば、損傷、紛失の防止等のためデジタル化することも不可能でなく』と(媒体の旧式化)で『事実上閲覧が不可能となる場合において、新しい媒体への移替えのためにデジタル化することについても、同規定の解釈として不可能ではないと考えられる』が朗報かなぁ。

 もちろん、そのまた後段で『デジタル化された資料を館外に提供したり提示したりすることについては(中略)関係者間の協議によって議論を続けることが必要である。』とありますから、この解釈が微妙ですよね。この『提示』は通常であれば『館外に提示』なんでしょうが、『提示』だけだと館内閲覧もできなくなってしまうからね…

 ひとまず、図書館の所蔵資料で損傷・紛失防止の観点と資料保存の観点から、及び、再生機器が販売していない資料については、著作権保護期間内の資料のデジタル化はどこの図書館でもOKで、ただし、館外貸出などはまだする時期ではないという解釈で良いのでしょうかねぇ?

 とすると、丸山高弘さんほど極端ではないですが、次のことなら一応可能かなぁと。

・雑誌に関しては出版者品切れで重版未定な時点でデジタル化する。
(ただし、デジタル化した雑誌は館内閲覧のみ)
※図書も同様にしたいけど、図書だと数年後再刊とかあり得るし。

・利用回数が多くて、痛みが激しくなりつつある児童書をデジタル化しておく。
(ただし、閲覧・貸出は原本で。)
※複本があればページ紛失のときに複製を作っても良いようなのですが、複本がないので、1ページ抜けただけで利用不能になることもあるので、その場合にデジタル化したものからページ複製を作って修理するとか…

・16ミリフィルムやレーザーディスクのDVD・ブルーレイ化
※これは第一段階としては待望ですね。ただ、関係者と協議しないと館内閲覧しかできませんが…

 ただ、こうは書いたものの、損傷・紛失防止の観点からすると、最近話題の雑誌切抜き問題に応用もできるのではないかと思ったりするのですが…

 そうすると、丸山高弘さんではないですが、図書館の全資料をひとまずデジタル化するって考えにもなってしまいますね。もちろん、館外貸出はしませんよ。今のところ関係者の協議が必要ですし。

 もう少し、議論が煮詰まって、早めにわかり易い法改正に繋がればいいんですけどねぇ…ひとまず、たぶん他の人より遅いでしょうが速報的に比較的短めに書いてみました。笑

 これからゆっくり文化審議会著作権分科会報告書(案)を読んでみます。

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著作権法31条とその周辺

アクセスログを拝見すると、著作権法絡みで見に来ていただいている方が多く、とても恐縮しています。
専門的な人が多いためか、細かい表現のチェックが手厳しいなぁと、思ってみたり。(それはそれで勉強になりますから、いいのですけど。)
今回も、前回に引き続き、図書館にあるコピー機周りの話です。

判例検索システム(http://www.courts.go.jp/search/jhsp0010?action_id=first&hanreiSrchKbn=01)でふにふにと検索してみたら、こんな判例が出てきました。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/A78B418D57307DB549256A7600272B97.pdfおよびその控訴審http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/84AF6002BC8A907C49256A7600272B2E.pdf

(判例の文章がわかりにくいので外さないようにわかりやすく書いてみます)
利用者Aがある図書館である事典の複写請求をしたら「それだと著作物の全部だから出来ません」だと言われたので、その利用者は
1.著作権法31条1項に基づく複製権が自分にあること
2.その事典は公共的著作物(だと考えられるので)だから全部コピーしてもいいじゃないか
3.それに請求はその本の一部分の数ページなんだから自分に複製権があること
4.この事典は発行後14年経っているのだし、「発行後相当期間を経た定期刊行物」と同じような解釈できるでしょ?
5.だから著作権法上問題ないはずなのでコピーを交付してくれ
4.そして図書館は精神的苦痛分の10万円払ってくれ
と裁判にて要求。

図書館側は
1.利用者個人に複製権があるわけでない。
2.事典が公共的著作物ってわけではない。
3.その事典は、それぞれの項目に著者名が書かれているので、編集著作物であるけど、その請求部分は1人の人が書いているからそれで1著作物と考えられるので、その請求は全部になる。
4.定期刊行物と同じように解釈できるということはない。
5.各項目がそれぞれ1著作物なんだから、認められない。
と主張。

結果、
・著作権法第31条は一定の要件のもとに図書館で一定の範囲で複製することができると規定したもので、図書館に対して複製物の提供を義務付けたものではない。(私が前に書いた『図書館は著作権法に基づいた複写を必ず提供しなければいけないというわけでない』ってこと。)
・まして、利用者に複製権を与えるとか複製権を定めたってことではない。
・複製サービスのお知らせは行政サービスの周知であって複製物の交付契約や予約契約でもない。
他、図書館の主張が認められ、棄却されました。
で、控訴したけど、やっぱり却下。

少し補足。
著作権法で保護されるのは著作物全てってわけではありません。
憲法の条文や法律の条文とかは作った人がいて、著作物ではあるけど、著作権の権利の目的とならないものもあります。
そういうのがあるので、『公共的著作物』という言葉でその利用者が要求しているんでしょうが…少なくても13条(権利の目的とならない著作物)に事典の類っていう言葉はありません。
それと、各項目に著者名があると、百科事典などの小さな項目といえど、その項目1つで1著作物って判断になります。(まぁ、この判例が出たから特に。)
ただ、同じような百科事典でも、最後にまとめて執筆者一覧となっていれば、どの項目までが誰が書いたかわからないので、共同でって考えも可能なので、1冊の半分までは可能です。(たぶん)

と、前置きとして、前回の白黒はやはり、判例が出ていないとなんとも言えないってことをご理解していただければ。
この裁判を起こしてくれた利用者みたいな方が「最新の時刻表(番組表)をコピーさせてくれなかった」とか「スーパーの広告をコピーしたかったのに」とか裁判を起こしてくれれば、判例ができてそれを基準にできるのですけどねぇ。
逆に権利者が「図書館でそんなにコピーさせやがって」と裁判をしてくれるか…(著作権法は親告罪なので)
判例が増えると、利用者にも「そういう判例が出ているので、判例に従うとこういう判断になります」みたいに説明しやすいんですけどね。笑

ついでに、前回の補足気味に、少し書いて、今日の本題に入ろうと思います。
図書館と著作権法について考えると、31条の他に、これも以前書いた映像著作権の問題(DVDの補償金云々とか)とか、たくさん絡むことが多いです。やっぱり、本をはじめとして著作物がたくさん集まっているところだからでしょうか。

図書館には大昔に書かれた資料から、最新の雑誌やDVDなどがありますからね。
大昔…例えば江戸時代以前などに書かれたものなど貴重書の類になる資料は、実際的には著作権法上保護されないので、現行法上は複写することができますが、資料の保存の観点から複写を拒否できますし、青空文庫などであるような著作権保護期間の切れたものであれば、(たぶん)全部複写できますが、注とか編集著作物性が見受けられるところは、図書館の判断ということになります。

なので、「もうこの著者は亡くなって50年経ったかなぁ」とかちゃんとチェックしないといけないのですが、なかなか全員に徹底できなかったりします。(微妙な人の没年を調べるのがこれまた大変)
利用者側も、先にあげた裁判の利用者のように、「図書館にある資料はコピーして良いはずだ」式の人も確かにいますから、『「することができる」と「させなければいけない」は違うのです』と理解していただくまで丁寧に説明する必要があります。

さて、図書館に置かれている複写機の運用について考えてみると、この複写機は31条に基づいて設置しています。
なので、私物のコピーなどはできません。(と前にも書きましたけど、確認。)
ということは、30条の私的複写…

(私的使用のための複製)
第三十条  著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
一  公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製する場合
(以下略)

が、図書館という場所で公衆の使用に供している感じでも、できないのです。(一時期30条で複写させる図書館があって話題になりましたが。笑)
つまり、31条のためだけにあるって感じ。

そうすると、保護期間の切れた著作物の複写とか、42条(裁判手続等における複製)とかもできないんじゃないかと思ってみたりします。
逆に31条以外の複写が可能であれば、もちろん「30条でもやらせろ」って話も出てきますし…(この辺の話は『著作権法第31条と35条及び42条の関係について』という権利者側の話です)。
(これは去年の図書館大会での)「31条の存在が(42条の)複製物の提供を拒否する根拠にはなりえない」ってことになるんですけど、そうすると30条のみ拒否っていうのはもどかしい感じもしますね。
(話が複雑になるので省略したけど35条(学校その他の教育機関における複製等)の複写も生涯学習機関として図書館を考えると拒否しなくても良いかと)

手続き上は、うちの図書館の場合、『図書館運営規則』に基づいて、『図書館において、図書館資料の複写をしようとする者』(31条に基づきとは書いていない)が申し込み書を提出とあるので、複写申込書を記入してもらい、この規定で複写したら実費徴収という条項もあるので、あまり変わらないです。
(ちなみに、うちの館の複写機は通常電源OFFなので、申し込みを受けて初めて電源を入れるため、「著作権が切れているはずだから」とか「42条だから」って勝手にコピーできません。全て申請書を見て確認してからとなります。(30条における申請はもちろん拒否ですが))

で、30条でどうしてコピーできないのかは、(社)著作権情報センターのぺージ(http://www.cric.or.jp/qa/cs03/cs03_3_qa.html)で書かれていますように、『「文化的所産の公正な利用に留意」しつつ権利者の保護を図ることを目的とした著作権法を曲解している』ということらしいんです(曲げようが解釈は解釈?)が、逆にその後段が私はちょっとひっかります。
ようは公衆の使用に供する複写機での複写は本来であれば(附則5条の2(自動複製機器についての経過措置)がなくなれば)私的複製にも該当しなくなるってことなんですよね、そうすると私的複製機ではどうか…

というわけで、うまく次の話に持っていけます。笑
「じゃあ、誰でも使えるものでない、つまり私物の複製機なら30条でいいんでしょ?」と。
図書館でよくあるのが、携帯電話のカメラでパチリです。
他にもハンディスキャナを持ってきたりとか…図書館にある複写機ではないので、いいんじゃないかと。
著作権法上は、きっと大丈夫なんでしょうね。(30条は「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること」で『使用』に関して範囲を決めていて、複製場所については言及していないから。)

じゃあ、どこの図書館でも可能かと言えば、著作権法以外が実際にはひっかかってくるかと思います。
携帯電話のカメラだと音がするのでというのもありますが、館内における写真撮影禁止とあれば、音消ししたデジカメなども、管理運営上ご遠慮いただけると思います。
しかし、ハンディスキャナは…写真でないですよね。
当館では前述における『図書館において』を「図書館にある複写機」だけでなく「図書館という空間」として考えれば、図書館資料を利用する複写全てに申込書を書いてもらうことはもちろんOKで、不許可もできるとも考えられます。
(飲食物の持ち込みと一緒で、堂々とやっている人は見ないですが、見つけたとき、複写行為をご遠慮いただいて、それでもめそうだったら、この解釈で、とは思っています。今のところ、まだそこまでもめてはいないですけど。)

ただ、これらについて法的根拠があまりないので、なかなか難しいところでありますが、強いてあげれば、『所蔵者の有する所有権の行使』でしょうか…寺院とかの撮影禁止と一緒で。

図書館法的には複写サービスについては何もないので、後にも先にも著作権法第31条でしか図書館は判断できないですが、個人的には、グレーな部分のそういう問い合わせ機関を設立するとか、『図書館間協力で借り受けた図書の複製に関するガイドライン』『複製物の写り込みに関するガイドライン』(http://www.jla.or.jp/fukusya/index.html)のようなガイドラインか、その上のそれを含めた法律ができればなぁと思います。(別の意味で『著作権法第 31条の解釈・運用についてのガイドライン』を作ってと権利者側も言っていますけどね。(著作物の一部分の解釈の違い(20%にするように)とか、雑誌の発行後相当期間の運用(専門雑誌や文芸雑誌を除くように)とかそういう意味で…))
専門家のみなさんが法改正や法の設置まで辿り着くのはまだまだかかりそうなので、じゃんじゃん判例ができてくれた方が手っ取り早いですよね。
だから、権利者側のみなさんが、当事者会議で言うのならば、「図書館で半分コピーできるのはおかしい」とか訴えれば、それが判例になるのになぁと、期待しているのですけどね。
それと時間的・金銭的余裕がある人で、31条とか図書館と著作権法周りの判例を作ってくれる人がいると嬉しいなぁ。(仮に訴えられる方の図書館は、面食らうでしょうが、業界の共通認識のために犠牲になってください…(それならうちの館で??訴えられてみたい気もしますが、それはそれで大変そうだなぁ…))
でも、訴えられた図書館の論法によっては、一部分が20%になったり、現状よりマイナスになってしまうかもしれないとは危惧していますが、そうなったらなったで、従わざるを得ませんよね。
ただ、裁判所が解釈論に言及しない可能性も捨てきれないので、なんとも言えませんが。

それにしても、著作権法の附則5条の『自動複製機器についての経過措置』の当分の間はいつ終わるのでしょうかねぇ…コンビニから一斉にコピー機が消えたらそれはそれでビックリですが。笑
そうじゃないと、図書館で借りてコンビニでコピーがまかり通ってしまいますから…(じゃあ、図書館で貸すなって方向になるのでしょうか。確かに雑誌の最新号の貸出は著作権にかかる法的根拠ではなく、書店などの不利益を考慮してだと思いますし、それなら市販の本は?と権利者側に言われそうですけどね。)
どうも、著作権法について考えていくと、奥が深くて楽しいのですが、「あれはどうだろう?この場合は?」と難しい解釈論になってしまい、疲れてくることも多いです。やはり図書館が権利者でもなく、末端の利用者でもないからなんでしょうかねぇ…

ひとまず今日はこの辺で。(アクセスログを見て、このような長い駄文に色々な方が、最後まで(もちろん、ぱっと見て帰られる方もいるでしょうが)付き合っていただいているようなので、「いつも感謝しております」と一言添えさせていただきます。)

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